1.最初の素案

 元々のネタは野宿をしながら料理人の女が四国を回る話だったが、当時は四国88ヶ所巡りが始まって1200年とかでテレビでよくニュースとか特集をやっていたので、それをネタにしようとしていて弘法太師のネタを探しに色んな寺を巡った。しかし小説のネタにするには弘法太師の行状がひどいので、あきらめたような記憶がある。仏教的には良いことらしいけどね。88ヶ所巡りをすることも考えたが1200km歩くことを考えると、やる気がしぼんだ。
 ノートの右半分は野宿で何を食べるのか色々考えた跡が記されている。どうやってたんぱく質を取るのか悩んでいた。
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2.チーズでダシが取れる!

『砂の上のロビンソン』という本を探していたが絶版になっているようで見つけられなかった。その代わりに『旅の重さ』と『ロード88』という映画をDVDが借りて見た。『旅の重さ』の方は何となくまだ見た感じが残っている。でも今の時代は放映できない感じだと思う。採算的な意味で。
 右ページに大きく『驚き! チーズでダシを取れる!』と書いてあるのは、チーズでダシを取った豆のスープを作って食べると、とても美味しかったことの驚きを表している。本当に美味しかった。野外用の小さなコンロと小さな鍋で作って、鍋から直接食べた。その後、残った汁で雑炊を作った。これも美味かった。
 そのあと水を沸かしてコーヒーをブラックで飲んだ。その日の夜は目が冴えて眠れなかった。

 この時タビーという茶トラの猫の短い話の流れが書き込まれている。これは後のジンジャーに繋がる。その下にある別れた女房に執着している男はタクヤが天野巡りを始めるきっかけになる男の前世。
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3.異世界創造

 徳島県がすだち県になっている世界のあれこれ。お札の人物が変わっている案もこの頃に出している。もちろん歴史も違うものになっているのだが、ここまで入れると長すぎるのでカットした。一応架空の歴史を語ると、大庭義昭が仁科為吉を不破の関で打ち破って征夷大将軍になり大阪幕府が開かれているという設定になっている。
 最後にちょろっと旅人がふらっとやれるような仕事を探していて、それの報酬を調べていた。でもいちいち仕事の描写を書くのも面倒なのでボツとした。タクヤはホームレスからお金を得ることになる。

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4.ターンワールドのパイロット版

 最後までプロットを通す。この時はまだ通しただけでプロットは完成していない。88ヶ所巡りをどうやってさせるか悩んでいた。異世界に行くので、異人(猫人間や魚人間)がいることを思いついたが、面白くないのですぐにボツとなった。
 この時にターンワールドのパイロット版とでもいう短編を二つ書いた。この辺りでターンワールドのイメージを捉えたような気がする。
 ○成人月歩
 ○I'm walking
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6.最後までプロットを引く

 最初から最後までプロットを引く。すっきりとしたプロットで12万字で終わる予定だった。
 表紙の案もできていて、推敲が終わる頃に書いたが、別の表紙を書いた。
 主人公の名前はまだ決まっていなかった。というより誰の名前もまだ決まっていなくて、ミワも女とだけ記されている。
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7.各章のプロット

 全体から各章のプロットへ。この時はまだ章のタイトルが決まっていなかった。たぶんターンワールドという本の名前もまだ出ていなかっただろう。『GO! AWALAND!』という奇妙なタイトルが左上に書かれている。最後の章はreturn worldなので、この辺でturn worldが出てきたのかもしれない。
 この段階では主人公が死のうとしているところで女と出会って助かることになっている。
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 猫の章はスカスカ。あとで最後の章のシトラスクィーンとミックスさせるのだが、もしかするとプロット通りで良かったかもしれない。
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9.雨乞いの巫女

 天野巡り信仰の要である雨乞いの巫女アマノウズメの名前が決まる。日本神話に出てくる女神と同じ名前で、この時には既に読んでいるはずだが、だいぶ後になるまで気付かなかった。でも彼女が主人公を異世界から元の世界へ戻す役割を担っているのでアマノウズメで良かったと思う。
 この時は最後にアマノウズメに会わせる予定だったらしい。

 右ページは作中作の『拙者、猫に候』のプロット。この時は本気で書くつもりでいたが力不足により設定だけの登場。
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10.突然始まる刑事物

 プロットの段階で私にターンワールドを書くのは無理とあきらめて、別の話を書こうとしていた。T島県に巣食う麻薬組織をある刑事が追う話。このプロットはまったく日の目を見ることはなかったが『エバーホワイト』『聖者の行進』で似たような事情の話がちょろっと出てくる。
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11.気を取り直して
 
 猫の章を書く自信がなかったのでプロットを練り直した。猫とシトラスクィーンの章がミックスされている。登場も女より早くなったが、女の代わりに猫が死ぬことになった。何故死ぬのか? それは作者にも分からない。シトラスクィーンがイルカの群れに飲まれて死ぬという案もあった。ターンワールドではあの時点で誰かが死ななければならなかったのだろう。小説の不思議だ。

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12.仮書き

 プロットができたのでノートにざっと仮書き。
 最初のBAD WORLDはかなり短いが、原稿ではかなり長く書いた。次の章はもっと長く書いた。
 この時点ではまたミワと先に出会うことになっている
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ミワと出会って、ジンジャーと出会い、シトラスクィーンと出会い、そしてジンジャーが死ぬところまで
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 最後の章。最初に出会った老人の教えがここで生きてくるというのを考えていた。アマノウズメと出会わないというラストにしたのはこの辺りのようだ。
 右ページでは、仮書きの後にまたプロットを引きなおしている。
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13.プロットの引きなおし
 仮書きを踏まえてプロットの引き直し。2枚目の写真ではミワの章で色々と悩んでいる様が窺える。
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 余白に書く感じでturn worldの章の最後の部分が書かれているが結局書かなかった。パイロット版のI'm walkingみたいな話を2万字と考えていたが、作者の限界がきていたので物語を支えられなかった。すぐに最後の天野神社へ行くことになった。

 こうやって振り返ると力不足によりプロットを変えたところが多い。今ならこれ書けるぞ、というプロットがある。でもどんな小説と出会うか作家は選べない。その時に出会ったものを、その時の実力で書くしかないのだ。それでも『ターンワールド』は牛野小雪の中でひとつの金字塔となった。とても大きな小説で、まさか『真論君家の猫』に続けて、こんな物を書くとは思わなかった。

(おわり)

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