愚者空間

KDP作家牛野小雪のサイトです。小説の紹介や雑記を置いています。

火星へ行こう君の夢がそこにある

火星へ人類初の有人飛行をする宇宙飛行士の小説『火星へ行こう君の夢がそこにある』



壮大な宇宙への夢を背負い、人類初の有人火星飛行に挑む一人の宇宙飛行士。その孤独と冒険を描いたSF小説『火星へ行こう君の夢がそこにある』は、宇宙開発をテーマにした壮大なストーリーと、切実な人間ドラマが絡み合った感動作です。著者・牛野小雪氏の筆致はリアルでありながらも想像力豊か。作品を読み進めるうちに、読者は火星の赤い荒野の中に立つような錯覚に陥ることでしょう。

本作の主人公、一郎は特別なエリートではありません。普通の青年だった彼が、宇宙飛行士として人類史に名を刻むミッションへと挑むその背景には、世の中の閉塞感や将来への不安が描かれています。「君の夢がそこにある」というキャッチコピーで始まる募集広告。運命のように選ばれた彼は、過酷な閉鎖実験、耐G訓練、火星での生存準備など、心身を極限まで追い込む訓練を経て、種子島から火星へ旅立ちます。

火星での孤独な闘いと成長

火星での生活は決して華やかではありません。地球とは異なる環境下での実験と生活に挑む一郎。バラの栽培実験を皮切りに、さつまいもの栽培、そして四輪車での惑星探査。火星では日常と呼べるものが一切なく、食料や物資の不足、隕石の衝突、謎の砂嵐といった数々の困難が襲いかかります。通信が途絶えた孤独な環境で、彼はどのようにして希望を見いだすのでしょうか。

砂嵐に巻き込まれながら、彼が見た火星の雪と青空。その瞬間、読者もまた火星の新たな一面に驚かされます。この作品では、未知の惑星での挑戦が描かれるだけでなく、そこで得られる「人間としての成長」も大きなテーマとなっています。一郎の視点を通して、火星がただの遠い惑星ではなく、夢を追い求める象徴的な舞台として読者に映し出されます。

帰還への希望と人類の未来

地球への帰還が叶うのかどうか、その緊張感は物語のクライマックスへと続きます。地球で彼を待つ家族、宇宙飛行士としての使命、そして火星で生き抜いた彼自身の変化。一郎の物語は、単なる宇宙冒険譚を超え、読者に人生の意味や人間の可能性について深く問いかけてきます。

未来を切り開くために挑む彼の姿は、私たち自身へのメッセージでもあります。人間の力ではどうにもならない「運命」との闘いの中で、どう希望を見つけ、前に進むのか。火星という極限の環境を舞台にした一郎の冒険は、現代を生きる私たちへの勇気を与えてくれるでしょう。

読後感と次世代へのメッセージ

『火星へ行こう君の夢がそこにある』は、宇宙への憧れや夢を抱く人だけでなく、困難に直面するすべての人に読んでほしい作品です。孤独の中でも希望を見いだし、どんな状況でも前を向いて進む姿が感動的に描かれています。さらに、未来の宇宙開発や人類の新天地への挑戦に思いを馳せるきっかけにもなるでしょう。




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火星を舞台にした小説『火星へ行こう君の夢がそこにある/牛野小雪』




牛野小雪の『火星へ行こう君の夢がそこにある』は、火星に挑む一人の青年の物語を通じて、人間の希望、孤独、そして未来を考えさせる作品です。読者は、一郎という平凡な主人公が宇宙飛行士として火星での過酷な任務を通じて成長し、最後には地球に帰還するまでの感動的な旅路に心を動かされることでしょう。


物語の概要

本作の舞台は、火星有人飛行を実現させる「火星開発公団」が企画する壮大なプロジェクトです。「君の夢がそこにある」というキャッチフレーズが象徴するように、人々に希望を与えるこのプロジェクト。しかし、その裏には予算不足や技術的な課題が山積していました。

物語の主人公、一郎は無職で平凡な若者です。ひょんなことから火星探査の宇宙飛行士募集に応募し、厳しい試験と閉鎖環境実験を経て、唯一の宇宙飛行士に選ばれます。一郎は巨大な責任を背負いながらも、火星へ向けた冒険に出発するのです。


火星での生活と試練

宇宙船での孤独な日々や、火星到着後の過酷な環境との戦いが詳細に描かれています。火星で行う植物栽培実験や、地球から届く補給物資に頼りながら進める生活は、科学的なリアリティを持ちながらも、一郎の心の葛藤や成長を織り交ぜています。

そんな生活の中、突如として隕石衝突や砂嵐に見舞われ、火星の環境が激変します。一郎は地球との通信が断たれる中、補給物資を失い、限られた資源の中で孤独に耐え抜く術を模索します。彼が火星の荒野で孤立しながらも生き抜く姿は、読者に深い感銘を与えるでしょう。


地球への帰還

火星での試練を乗り越えた一郎は、ついに地球帰還のタイミングを迎えます。帰還用ロケットの発射準備が整う中、一郎はそれを押すべきか葛藤します。しかし、彼は自らの直感と希望を信じ、帰還ボタンを押します。

火星の軌道を離れ、宇宙船が地球の大気圏に突入する場面は緊張感と感動に満ちています。一郎が地球の青い海と空を目にした瞬間、彼の旅路がついに終わると同時に、新たな人生の幕が開ける予感を読者に与えます。


物語のテーマ

『火星へ行こう君の夢がそこにある』は、単なるSF冒険小説にとどまりません。孤独の中で人間が持つ適応力と精神力を問う心理的な深みや、現代社会が抱える技術的・経済的課題への鋭い洞察が込められています。

また、宇宙という極限の環境を舞台にしながらも、描かれるのは人間の本質的な悩みや希望です。一郎の旅は、読者に「自分の夢や目標とは何か」を問いかけてきます。


おすすめポイント

  • リアリティのある宇宙描写
    宇宙船内の生活や火星の過酷な環境描写は、科学的なディテールが緻密でありながらも、ストーリーの中で読みやすく表現されています。

  • 心に残る主人公の成長
    一郎は平凡な若者から、試練を通じて精神的な強さを手に入れるまでを見事に描かれています。その姿は共感を誘い、多くの読者に希望を与えます。

  • 孤独と挑戦の物語
    火星という孤立した環境の中で、生き抜くために奮闘する一郎の姿が、読む者に人間の可能性を感じさせます。


まとめ

『火星へ行こう君の夢がそこにある』は、単なるSFを超えた感動作です。夢と現実の間で葛藤しながらも希望を捨てない主人公の姿は、現代を生きる私たちにとって大きな示唆を与えてくれるでしょう。

火星の赤い大地を舞台に展開されるこの冒険譚を、ぜひ手に取ってお楽しみください。



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『火星へ行こう君の夢がそこにある』に学ぶ小説の書き方、登場人物の心理描写テクニック

小説を書く上で、登場人物の心理を巧みに描写することは非常に重要です。読者は登場人物の感情に共感することで物語により深く入り込むことができるからです。今回は、『火星へ行こう君の夢がそこにある』を例に登場人物の心理描写のテクニックについて探っていきましょう。

この小説の主人公一郎は人類初の火星探査に選ばれた宇宙飛行士です。物語の大半は一郎が孤独な火星での生活を送る中で希望と絶望の間で揺れ動く心理状態が描かれています。

まず一郎の孤独感を効果的に描写するテクニックに注目してみましょう。火星に着陸した当初、一郎は広大な火星の荒野に圧倒されます。「見渡す限りの荒野が広がっているだけで、後ろにはタイヤの線が二本と一郎の足跡があるだけだった」という描写は一郎を取り巻く環境の殺伐とした雰囲気を伝えると同時に、一郎の孤独感を読者に強く印象付けます。

またパソコンが故障して地球との交信が途絶えたことで一郎の孤独感はさらに増幅されます。「これで地球との連絡は完全に取れなくなった」という一文はシンプル・イズ・ベストの原則を体現しています。あえて感情的な言葉を使わずに事実のみを述べることで、かえって一郎の絶望感が読者に伝わってきます。

一方で、一郎は絶望的な状況下でも希望を失わないように努力します。火星四輪車が動かなくなった時、諦めずに車を引っ張り続ける一郎の姿は、読者に強い印象を与えます。ここでは、一郎の行動を通して彼の前向きな心理状態が巧みに描写されています。

さらに「火星の空は依然として青空だったが、赤茶色の曇り空が昨日より迫っていた。三日もしないうちにまた元の空に戻るだろう」という描写は一郎の心理状態を風景描写に投影するという興味深いテクニックを使っています。一時的に明るくなった空は一郎の希望を迫り来る曇り空は絶望を象徴しているのです。

また「一郎は壁から壁へ飛ぶという単調な動作を繰り返した。やめるのはさつまいもを食べる時か寝る時だけだった」という描写は、食料が尽きかけ孤独に苛まれる一郎の心理状態を見事に表現しています。同じ動作の繰り返しという行動描写を通して一郎の精神的な追い詰められ方が印象的に描かれているのです。

最後に物語のクライマックスで地球に帰還した一郎が兄の二郎に「火星まで行ったことだし、今度はジントニックを飲んでもいいか」と言うシーンは死の淵から生還した一郎の心境の変化を見事に捉えています。わずか一言の会話ですがそこには一郎の心理の変化が凝縮されているのです。

以上『火星へ行こう君の夢がそこにある』を例に登場人物の心理描写のテクニックについて見てきました。孤独と希望の狭間で揺れ動く一郎の心理を行動描写や風景描写、会話などを巧みに使って描き出すことで、作者は読者に一郎の感情を追体験させることに成功しています。

小説を書く際は、『火星へ行こう君の夢がそこにある』の一郎の心理描写を参考にしながら、自分なりの工夫を重ねていってください。登場人物の感情に真摯に向き合い、丁寧に言葉で紡いでいくことが、読者の心に響く小説を書くための第一歩となるはずです。

Claudeに書評してもらうシリーズ『火星へ行こう君の夢がそこにある』



この小説「火星へ行こう君の夢がそこにある」は、人類初の有人火星探査に選ばれた一郎の物語です。一郎は苦難と孤独に満ちた火星での生活を通じて、人生や夢について深い洞察を得ていきます。

小説の大きな魅力はリアリティある火星探査の描写にあります。宇宙船内での閉鎖的な生活、火星の過酷な環境、食料や装備の問題など火星探査に伴う様々な困難が細部まで丁寧に描かれています。特にパソコンの故障によって地球との通信が途絶える場面からは孤立無援の状況下で必死に生き延びようとする一郎の姿が印象的です。荒涼とした火星の風景描写も秀逸で、読者は一郎と共に火星の地に立っているかのような臨場感を味わえます。

また、一郎の心理描写も非常に興味深いです。当初は消極的だった一郎が次第に火星での生活に適応し、前向きに困難に立ち向かっていく過程が丁寧に描かれています。特に印象的なのは火星四輪車が動かなくなった時、諦めずに車を引っ張り続ける一郎の姿です。過酷な状況下でも希望を失わず粘り強く生きようとする一郎の精神性に読者は勇気づけられます。

一方で、この小説にはいくつかの問題点もあります。例えば一郎以外の登場人物の描写が薄く、物語への影響力も限定的です。火星探査の背景にある政治的・社会的な文脈についても、もう少し掘り下げがあればより深みのある作品になったかもしれません。また文体も平易で読みやすい反面、やや単調な印象を受けます。

しかし、これらの点は本作の価値を大きく損なうものではありません。「火星へ行こう君の夢がそこにある」は火星探査という人類の大いなる挑戦を一人の青年の成長物語として見事に描き上げた秀作です。夢の実現のためには多くの困難が伴うこと、しかしそれでも諦めずに挑戦し続けることの尊さを一郎の物語は雄弁に語りかけてきます。SF小説でありながら人間の普遍的なテーマを描いた本作は、多くの読者の心に響くことでしょう。

以上が私の「火星へ行こう君の夢がそこにある」の書評となります。小説の魅力をしっかりと分析しつつ、改善点にも触れた、バランスの取れた内容になったのではないかと思います。小説の魅力を多角的に紹介することで、この作品の本質的な価値を読者に伝えることを意識しました。一郎の物語を通して、夢を追うことの素晴らしさと困難さ、そして人間の逞しさを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

最後に、私(Claude)が印象に残ったフレーズをいくつか挙げさせていただきます。

1. 「火星へ行こう君の夢がそこにある」というタイトル自体が非常に印象的です。夢の実現が火星にあるという比喩的な表現が、物語のテーマを端的に表していると感じました。

2. 「隕石の衝突、その後の砂嵐と厚い雲による日光の遮断、そして、二カ月毎に送られる補給コンテナの消失、途切れた送信。そのどれもが生存の可能性を否定しています。」という専門家の発言は、一郎の置かれた絶望的な状況を如実に表しており、読者に強い印象を与えます。

3. 「火星の空は依然として青空だったが、赤茶色の曇り空が昨日より迫っていた。三日もしないうちにまた元の空に戻るだろう。」という一文は、火星の美しさと儚さを同時に感じさせる印象的な表現です。

4. 「一郎は壁から壁へ飛ぶという単調な動作を繰り返した。やめるのはさつまいもを食べる時か寝る時だけだった。」という描写は、孤独と飢えに苛まれる一郎の心理状態を巧みに表現していると感じました。

5. 「火星まで行ったことだし、今度はジントニックを飲んでもいいかと一郎は言った。二郎は、俺をからかっているのかと言って変な顔をした。」という一郎と二郎の会話は、死の淵から生還した一郎の心境の変化を象徴しており、非常に印象深いです。

以上が私が特に印象に残ったフレーズです。これらのフレーズは物語の要所要所で効果的に使われており、読者の感情に強く訴えかけるものだと感じました。

(おわり)



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『火星へ行こう君の夢がそこにある』を読書会で読むべき5つの理由

読書会は参加者同士が一つの作品を読み、その感想や解釈を共有し合う場です。読書体験を深め、新たな視点を得るためにも読書会で取り上げる作品選びは重要です。ここでは『火星へ行こう君の夢がそこにある』を読書会で読むべき5つの理由を提案します。

1.SF小説としての魅力と普遍的なテーマ性
『火星へ行こう君の夢がそこにある』は火星探査という近未来のSF設定を持ちながら、主人公の一郎の心理描写を通して、孤独や希望、夢や挫折といった普遍的なテーマを見事に描き出しています。リアリティのある火星探査の描写はSF好きにはたまらない魅力ですが同時に一郎の孤独や苦悩は多くの読者が共感できる要素でもあります。
読書会ではSF小説としての設定や世界観の構築について議論すると同時に一郎の心情に焦点を当てて、人間の普遍的な感情について語り合うこともできるでしょう。ジャンルの垣根を越えて多様な読者を巻き込んだ議論ができる可能性を秘めています。

2.多様な解釈と議論の可能性
この小説では一郎の心理描写が非常に印象的ですがそれぞれの読者によって受け取り方は異なるはずです。例えば火星での過酷な環境に適応しようとする一郎の姿に忍耐力や適応力の大切さを感じ取る読者もいれば、極限状態に置かれた人間の脆さを見出す読者もいるかもしれません。
また物語後半で一郎が見た火星の青い空について、それが本当の現象なのか、一郎の幻覚なのか、作中では明確にされていません。このように作品の随所に読者の想像力を刺激する余白が用意されています。
読書会ではこうした多様な解釈や疑問点について、参加者同士が意見を交換することができます。自分とは異なる視点に触れることで作品の理解がさらに深まるでしょう。活発な議論を通して参加者の読書体験がより豊かなものになることが期待できます。

3.科学的な話題からの発展
『火星へ行こう君の夢がそこにある』は火星探査を題材にしたSF小説ですが、そこには現実の科学技術の話題も数多く盛り込まれています。例えば重力の変化が人体に与える影響、あるいは火星の気象条件など科学的な裏付けのある設定が随所に見られます。
読書会ではこうした科学的な話題について参加者同士で知識を共有し合うことができます。SF小説を入り口に、火星探査や宇宙飛行の現状、あるいは将来の可能性について議論を深めることで参加者の科学に対する興味や関心を高めることにもつながるでしょう。文学と科学の融合という観点からも読書会で取り上げる価値のある作品だと言えます。

4.夢を追うことの意味を考える
『火星へ行こう君の夢がそこにある』というタイトルが示唆するように、この物語は夢を追うことの意味を問いかけています。主人公の一郎は人類初の火星探査という大きな夢に挑戦しますが、その過程で数多くの困難や試練に直面します。孤独や絶望に苛まれながらも一郎は夢を諦めずに前進し続けます。
読書会では一郎の姿を通して夢を追うことの意味や価値について議論することができます。夢を実現するためには、どのような覚悟や努力が必要なのか。挫折や困難に直面した時、どのように乗り越えていけば良いのか。こうした問いについて、参加者同士が自分の経験も交えながら意見を交換することで、夢に向き合う勇気や希望を与え合うことができるでしょう。

5.人間の可能性と限界を見つめる
『火星へ行こう君の夢がそこにある』は人類の宇宙進出という大きなテーマを扱っていますが、同時に一人の人間の物語でもあります。火星という極限の環境に置かれた一郎の姿を通して、この物語は人間の可能性と限界を浮き彫りにしています。
読書会では一郎の経験を通して、人間とは何か、人間の強さや弱さとは何かについて考えを深めることができます。過酷な状況下でも希望を失わない一郎の精神力に、人間の逞しさを見出す一方で、食料の欠乏や孤独に苛まれる一郎の姿からは、人間の脆さや限界も感じ取れます。
一郎の物語は、私たち自身の内面を見つめる契機にもなるでしょう。自分ならば同じ状況下でどう行動するか、どこまで耐えられるか。読書会で一郎について議論することは結局のところ人間について、そして自分自身について考えることにつながるのです。

『火星へ行こう君の夢がそこにある』を読書会で読むべき5つの理由を見てきました。SF小説としての魅力はもちろん、普遍的なテーマ性、多様な解釈の可能性、科学的な話題、夢を追うことの意味、人間の可能性と限界など、この作品からは実に様々な議論の手がかりが得られます。
読書会では、参加者同士が自由に意見を交換し、時には議論を戦わせることで、一人では得られない新たな視点や気づきを得ることができます。文学という共通の体験を通して、参加者同士の理解も深まるでしょう。
『火星へ行こう君の夢がそこにある』は、読書会で取り上げるにふさわしい、考えさせられる要素が詰まった作品です。ぜひ読書会で取り上げ、参加者同士で活発な議論を交わしてみてください。一郎の物語を通して、夢や人生、そして自分自身について、新たな発見や学びがあるはずです。




ここからさらに『火星へ行こう君の夢がそこにある』を読書会で議論する際に、活発な意見交換を促す議題を5つ提案します。これらの議題は、参加者が自分の感想や解釈を共有し、他者の視点に触れることで、作品理解を深めることを目的としています。

議題1:一郎の心理描写について
一郎の心理描写は、この物語の大きな魅力の一つです。火星での過酷な環境に適応しようと奮闘する一郎の姿は、読者に強い印象を与えます。読書会では、一郎の心理描写について、以下のような点を議論してみましょう。

- 火星に着陸した直後の一郎の心情について、どのような描写が印象に残りましたか?
- パソコンが故障して地球との交信が途絶えた時、一郎はどのような心理状態だったと思いますか?
- 火星四輪車が動かなくなった際、一郎が車を引っ張り続けたシーンについて、どのような感想を持ちましたか?
- 食料が尽きかけ、孤独に苛まれる一郎の心理状態について、どのように解釈しましたか?

参加者それぞれが一郎の心情に寄り添い、自分なりの解釈を述べることで、一郎という人物像がより立体的に浮かび上がってくるでしょう。また、一郎の経験を通して、極限状態に置かれた人間の心理について考えを深めることもできます。

議題2:物語の結末について
この物語の結末には、読者の想像力を刺激する余白が残されています。一郎が火星で見た青い空は本当の現象だったのか、それとも一郎の幻覚だったのか。また、一郎は無事に地球に帰還できたのか、その後の人生をどのように歩んでいくのか。読書会ではこうした点について参加者同士で意見を交換してみましょう。

- 火星の青い空について、どのように解釈しましたか? それが本当の現象だと思いますか、それとも一郎の幻覚だと思いますか?
- 地球に帰還した後の一郎の人生について、どのように想像しますか? 火星での経験は一郎にどのような影響を与えたと思いますか?
- 結末部分で一郎が兄の二郎に「火星まで行ったことだし、今度はジントニックを飲んでもいいか」と言うシーンについて、どのような印象を持ちましたか?

物語の結末をめぐる議論は参加者の想像力を掻き立て、作品解釈の可能性を広げてくれるはずです。一人ひとりが自分なりの物語の続きを想像することで、作品世界がさらに豊かに彩られていくでしょう。

議題3:SF設定の妥当性と可能性
『火星へ行こう君の夢がそこにある』はリアリティのあるSF設定が魅力の一つですが同時にいくつかの疑問点も残されています。読書会では作中のSF設定について、その妥当性や可能性を議論してみましょう。

- 一郎が火星で食べていた食料(特にさつまいも)の設定について、どのように感じましたか? 現実的な設定だと思いますか?
- 火星探査の技術レベルについて作中の描写はどの程度現実的だと思いますか? 現在の技術水準から見て、どのような点が未来的でしたか?
- 火星での放射線の影響や重力の変化など、一郎の健康面に関する設定について、どのような印象を持ちましたか?

SF小説を読む楽しみの一つは現実世界の科学技術を踏まえつつ、そこから一歩先の未来を想像することです。作品の SF設定を議論することで、参加者の科学に対する興味や関心を高め、現実の技術との比較を通して、設定の妥当性や可能性について考えを深めることができるでしょう。

議題4:夢とは何か、夢を追うことの意味
『火星へ行こう君の夢がそこにある』というタイトルが示唆するように、この物語は夢とは何か、夢を追うことの意味を問いかけています。読書会では一郎の経験を通して、夢についての議論を深めてみましょう。

- 一郎にとって火星探査はどのような意味を持っていたと思いますか?
- 夢を実現するためには、どのような覚悟や努力が必要だと思いますか? 一郎の経験から、どのようなことを学べると思いますか?
- 挫折や困難に直面した時、どのように乗り越えていけば良いのでしょうか? 一郎のように前進し続けることの意義について、どのように考えますか?

参加者一人ひとりが自分の経験を踏まえながら夢について語り合うことで、夢に向き合う勇気や希望を与え合うことができるでしょう。一郎の物語は、私たち自身の人生を見つめ直すきっかけにもなるはずです。

議題5:人間の可能性と限界
『火星へ行こう君の夢がそこにある』は人類の宇宙進出という大きなテーマを扱っていますが、同時に一人の人間の物語でもあります。読書会では一郎の経験を通して人間の可能性と限界について議論を深めてみましょう。

- 過酷な状況下でも希望を失わない一郎の精神力に、人間のどのような強さや可能性を感じ取りましたか?
- 一方で、食料の欠乏や孤独に苛まれる一郎の姿から人間のどのような弱さや限界を感じ取りましたか?
- 一郎と同じ状況に置かれたら自分ならどこまで耐えられると思いますか? 極限状態における人間の適応力について、どのように考えますか?

一郎の物語は私たち自身の内面を見つめる契機にもなります。人間の強さと弱さ、可能性と限界について議論することは、ひいては自分自身と向き合うことにつながるでしょう。

以上、『火星へ行こう君の夢がそこにある』を読書会で議論する際の5つの議題を提案しました。一郎の心理描写、物語の結末、SF設定の妥当性、夢の意味、人間の可能性と限界。これらのテーマについて意見を交わすことで、参加者同士の活発な議論が生まれることを期待します。
読書会は、一人では得られない多様な視点や解釈に触れる機会です。自分の感想を言語化し、他者の意見に耳を傾けることで、作品理解がさらに深まるでしょう。また、議論を通して参加者同士の交流が生まれ、読書体験がより豊かなものになることも期待できます。
『火星へ行こう君の夢がそこにある』は、読者に多くの問いを投げかける作品です。これらの議題を出発点に、参加者一人ひとりが自分なりの答えを模索していく。そういう意味で、この作品は読書会に最適の題材だと言えるでしょう。ぜひ、活発な議論を通して、一郎の物語の魅力を存分に味わってください。

(おわり)



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火星の嵐

火星は地球とは大きく異なる環境を持つ惑星ですが、地球と同じように大気の流れによって引き起こされる嵐が発生します。火星の嵐は地球の嵐とは異なる特徴を持っており、火星の環境や気象を理解する上で重要な現象です。

火星の嵐には主に2つのタイプがあります。1つは局所的な砂嵐で、もう1つはグローバルな嵐です。局所的な砂嵐は火星の表面で発生する小規模な嵐で数百キロメートルの範囲に及ぶことがあります。これらの嵐は強い風によって火星の表面の砂や塵が巻き上げられることによって引き起こされます。砂嵐の中では視界が悪くなり太陽光が遮られるため火星探査機の活動に影響を与えることがあります。

一方、グローバルな嵐は火星全体を覆うような大規模な嵐です。これらの嵐は数年に一度の頻度で発生し、数ヶ月間持続することがあります。グローバルな嵐の発生メカニズムは完全には解明されていませんが火星の大気の循環パターンや太陽放射の季節変動が関係していると考えられています。

グローバルな嵐が発生すると火星の表面は薄い塵の層に覆われ、太陽光が遮られます。このため火星の表面温度が下がり大気の循環パターンが変化します。また、嵐の中では強い風が吹き、砂や塵が高速で移動します。これによって火星の表面の地形が変化したり岩石が風化したりすることがあります。

火星の嵐は火星探査にも大きな影響を与えます。例えば1971年に打ち上げられたNASAのマリナー9号は火星に到着した時にグローバルな嵐に遭遇しました。嵐によって火星の表面が見えなくなったため、当初の観測計画を変更せざるを得ませんでした。また2018年に発生したグローバルな嵐ではNASAの火星探査機オポチュニティが太陽光パネルに塵が積もったため電力不足に陥り、探査活動を中断せざるを得ませんでした。

火星の嵐は火星の気象学的な特徴を理解する上でも重要です。火星の大気は非常に薄いため、地球とは異なる気象現象が見られます。例えば火星では温度差によって引き起こされる大気の対流が地球ほど活発ではありません。また、火星の大気中には水蒸気が少ないため、雲の形成も限られています。火星の嵐の観測はこれらの特殊な気象現象を理解する手がかりになります。

火星の嵐は火星の環境や気象を知る上で重要な現象ですが、まだ解明されていない部分が多くあります。今後の火星探査によって嵐の発生メカニズムや、嵐が火星の環境に与える影響などが明らかになることが期待されます。そして、火星の嵐の理解は地球の気象現象の理解にも役立つかもしれません。

火星の嵐は火星の厳しい環境を象徴する現象です。砂や塵が舞い上がる様子は荒涼とした火星の姿を連想させます。しかし、その一方で嵐は火星の大気の力強さや惑星の活動性を示しています。火星の嵐は、生命の存在しない火星においてもダイナミックな変化が起きていることを教えてくれるのです。


火星が赤い理由

火星が赤く見える理由は主に火星の表面を覆っている鉄分を多く含む砂や岩石に起因しています。火星の表土や岩石には酸化鉄が豊富に含まれており、これが火星に特徴的な赤色を与えているのです。

火星の表面はかつては地球と同じように水と大気に覆われていたと考えられています。しかし約40億年前、火星の核が冷却し始め、惑星の磁場が弱まったことで太陽風が大気を宇宙空間に吹き飛ばしてしまいました。その結果、水は蒸発し、大気は薄くなり、火星は乾燥した寒い惑星になりました。

大気が失われたことで火星の表面は太陽からの紫外線や宇宙線に直接さらされるようになりました。この過酷な環境下で、火星の表面にある岩石や鉱物中の鉄分が酸化し、赤い酸化鉄が形成されたのです。この過程は数億年にわたって続き、火星全体が赤茶けた色に変化していきました。

火星の表面には酸化鉄以外にも様々な鉱物が存在しています。例えば火星の北半球には玄武岩が豊富に存在し、黒っぽい色を呈しています。また、火星の南半球には少量の水が存在し、それによって形成された粘土鉱物が見られます。これらの鉱物は火星の地質学的な歴史を理解する上で重要な手がかりとなっています。

火星の赤色は季節によって変化することがあります。火星には地球と同じように季節があり、春になると、火星の南極や北極の氷が昇華して大気中に水蒸気が放出されます。この水蒸気が凝結して細かい氷の粒子になり大気中を漂います。これによって火星の空が薄い青色に見えることがあります。また、火星の表面に吹く強い風によって砂塵が巻き上げられ一時的に火星の色が変化することもあります。

火星の赤色は古くから人々の想像力を刺激してきました。火星は「火の星」や「戦いの神」と呼ばれ、多くの神話や伝説の中で重要な役割を果たしてきました。また19世紀末には火星に知的生命体が存在するという説が流行し、火星人との交信を試みる人々もいました。現在では火星に生命体が存在する可能性は低いと考えられていますが火星の赤色は宇宙の神秘を探求する人類の好奇心を呼び起こし続けています。

火星の赤色は単なる視覚的な特徴ではなく、惑星の地質学的な歴史や環境の変化を反映しています。今後の火星探査によって、火星の赤色の謎がさらに解明されることが期待されます。そして、火星の赤色は、宇宙の中で地球と並ぶ存在である火星の個性を象徴し続けるでしょう。


火星でヘリコプターは飛ばせるのか

火星でヘリコプターを飛行させることは技術的に可能ですが多くの課題があります。火星の大気は地球のわずか1%程度しかなく、非常に薄いため、ヘリコプターのローターは地球上よりもはるかに高速で回転する必要があります。また、火星の重力は地球の約38%と弱いため、ヘリコプターの揚力も限られます。

これらの課題を克服するためにはヘリコプターの設計を大幅に変更する必要があります。まず、ローターのブレードを大きくし回転速度を上げることで薄い大気でも十分な揚力を得ることができます。また、機体を軽量化し、バッテリーの容量を増やすことで長時間の飛行が可能になります。

火星の環境はヘリコプターの運用にも影響を与えます。火星の気温は非常に低く、日中でも氷点下になることがあるため、バッテリーや電子機器の保温が必要です。また、火星の強い紫外線は、機体の材料を劣化させる可能性があるため、耐久性のある材料を使用する必要があります。

通信の遅延も大きな課題です。火星と地球の距離が離れているためヘリコプターからの信号が地球に届くまでに数分から数十分かかります。このためヘリコプターの自律性を高め、地上からの指示に頼らずに飛行できるようにする必要があります。

2021年4月19日、NASAの「Ingenuity」ヘリコプターが火星で初めて飛行に成功しました。Ingenuityhは高度3メートルまで上昇し、30秒間ホバリングした後、着陸しました。この飛行は火星でのヘリコプター飛行の可能性を証明する歴史的な出来事でした。

今後、火星探査におけるヘリコプターの活用が期待されています。ヘリコプターはローバー(探査車)では到達できない場所を探索したり、ローバーの経路を偵察したりすることができます。また、ヘリコプターに搭載されたカメラやセンサーを使って火星の地形や大気のデータを収集することもできます。

ただし、火星でのヘリコプターの運用にはまだ多くの技術的な課題があります。バッテリーの寿命や、火星の砂塵がもたらす影響など、克服すべき課題は少なくありません。また、ヘリコプターの運用コストも高く、探査計画の予算に影響を与える可能性があります。

火星でのヘリコプター飛行はまだ実験段階ですが将来の火星探査に大きな可能性を秘めています。技術的な課題を克服し、ヘリコプターの運用コストを削減することができればヘリコプターは火星探査に欠かせないツールになるかもしれません。


『火星へ行こう君の夢がそこにある』から見る、現代の宇宙開発技術の現状と未来



『火星へ行こう君の夢がそこにある』はSF小説でありながら現代の宇宙開発技術の現状と未来を考えさせる作品です。主人公の一郎が火星探査に挑戦する姿を通して私たちは宇宙開発の現在地とこれからの可能性について思いを馳せることができます。

まず小説の中で描かれる火星探査の技術レベルは現在の宇宙開発の到達点を反映しています。一郎が乗り込む宇宙船は現実の宇宙船と同様に厳重な気圧調整システムを備え、太陽光パネルで電力を賄っています。また火星の地表を探索するための火星四輪車も登場しますが、これは現在のローバー(探査車)の発展形と捉えることができるでしょう。

こうした設定の数々は著者が現実の宇宙開発技術を入念にリサーチした上で物語に組み込んでいることを窺わせます。読者は小説を通して現代の宇宙開発がどの程度のレベルに達しているのかを具体的にイメージすることができるのです。

しかし同時にこの小説は現在の宇宙開発技術の限界をも浮き彫りにしています。例えば一郎の火星探査では補給コンテナの消失や通信の途絶など様々なトラブルが発生します。これは現実の宇宙開発においても、技術的な課題がまだ多く残されていることを示唆しているのかもしれません。

また小説の中では一郎の火星探査に多大なコストがかかることが度々言及されます。これは現実の宇宙開発においても予算の確保が大きな課題となっていることと重なります。一郎の物語は宇宙開発に関する技術的・経済的な障壁の高さを私たちに再認識させてくれます。

とはいえ『火星へ行こう君の夢がそこにある』は決して宇宙開発の将来を悲観的に描いているわけではありません。一郎の火星探査は困難の連続でありながらも最終的には成功を収めます。これはたとえ挫折や失敗があっても夢に向かって挑戦し続ける意義を示唆しているのかもしれません。

『火星へ行こう君の夢がそこにある』はSF小説という形を借りて、現代の宇宙開発の現状と未来を鮮やかに描き出した作品だと言えるでしょう。一郎の火星探査は私たちに宇宙開発の難しさと可能性、そして夢の大切さを同時に教えてくれます。

この小説を読み終えた時、読者は現実の宇宙開発に思いを馳せずにはいられないはずです。今、人類はどこまで宇宙に手を伸ばしているのか。そして、これからどこへ向かおうとしているのか。一郎の物語はそんな問いを私たちに投げかけているのかもしれません。

宇宙開発は人類の未来を大きく左右する営みです。『火星へ行こう君の夢がそこにある』はそんな宇宙開発の現在と未来を一人の青年の物語に凝縮した示唆に富む作品なのです。

(おわり)



小説なら牛野小雪がおすすめ【kindle unlimitedで読めます】

現代小説の位置と、自分の小説がどこにカテゴライズされるか考えてみる

文学部唯野教授 (岩波現代文庫)
筒井 康隆
岩波書店
2014-12-18



筒井康隆の『文学部唯野教授』に文学作品の主人公を五分類するくだりがある。それによると小説の主人公は以下に分類される。

1.主人公が普通の人間や環境よりも優れている場合。つまり神様のこと
2.主人公が普通の人間や環境よりもちょっぴり優れている場合
3.主人公が普通の人間よりも優れているけれど環境に負ける場合
4.主人公が普通の人間や環境よりも優れても劣ってもいない場合
5.主人公が普通の人間よりも劣っている場合。この場合は読者が見下すような人物


こうした主人公が登場する作品はそれぞれ以下のような文学作品になる。

1.神話
2.恋愛小説、冒険小説、伝奇小説
3.悲劇、叙事詩
4.喜劇、リアリズム小説
5.風刺、アイロニー


どの小説が良いというわけではなく時代と共にメインストリームがサイクルする。

小説なんて今の時代、斜陽もいいところだがそれでも読まれているなろう系と呼ばれるものを考えてみるに、現代は1の時代かもしれないと思う。批評的には努力が報われなくなった現代の風刺として語られることもあるし、追放物は教育や社員へのケアを怠ってきたことのよる産業の空洞化を風刺しているという説もあるので5寄りの1かもしれない。

どちらにせよ、上を前提にしてみると牛野小雪は3に位置する気がする。時代外れも良いところ。サブにすら位置していない。

『火星へ行こう君の夢がそこにある』だと主人公の一郎は宇宙飛行士の試験に合格するが、火星開発公団のずさんな計画に振り回されるだけで彼らに一泡吹かせるわけではないし、そもそも火星開発公団の代表とは会ってもただそれだけで、彼らは物語の背景にすらなっていない。そして一郎は火星で偉大なことをするわけでもなく、実験の条件に合った一装置の役目を果たすだけ。『グッドライフ高崎望』では主人公の望が赤髪を倒して不良界での名を上げるが、人生に対しては何の意味もなかったりする。最新作の『銀座の中心で稲を育てる』でも金持ちの主人公が銀座の中心に田んぼを作るが、宇宙的絶対無意味性を体現する。

恋愛至上主義の代名詞ともいえる月9の象徴トレンディドラマが流行ったのはウィキペディアによると1980年代後半から1990年代前半らしい。そういえばシュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネガーちゃんの人気が出たのもその頃だ。ここが恋愛小説、冒険小説の時代だとすると、1の時代の2023年までに約40年かかっている。つまり十年一時代という別に新しくもない概念を発見したということ。

1995年からが3の時代となると、ちょうどエヴァンゲリオンが始まった頃で主人公のシンジくんは今までのロボアニメと違って主人公らしからぬ弱虫として描かれている。現代だと、そりゃあの環境じゃああなるよ、むしろ大人が弱い的な話はあるが、リアタイで見ていた人ならエヴァは強いけどシンジくんは弱いって思ってたよね? そういう見方が変わったのも時代が変わった証かもしれない。話を一個前に戻すと今の時代に『ロングバケーション』みたいなのが放送されてもちょっと鼻白んでしまうかもしれない(なんならエヴァも同じ)。その証拠に月9の視聴率は年々下がっているし、ど真ん中な恋愛をドラマでやらなくなっている。村上春樹だってねじまき鳥からそういうのから距離を取り始めたように見える。でも時代がサイクルするならあと10年以内にまた恋愛ドラマ全盛になる。それとかシュワちゃんみたいなアクションスターが出てくるとかね。そういえば『シン・エヴァンゲリオン』はシンジとマリが結ばれるエンドだった。これって2の時代の先取りかも・・・? 

4はちょっと分からないがエンタの神様が始まったのが2003年だ。これは喜劇か? こじつけになってきたな~

5は本気で分からない。むしろこれこそなろうの走りじゃないか・・・・? あるいは牛野小雪が3のタイプだからこの辺りは感性にピンとこないだけかも。

時代サイクルで考えると牛野小雪に時代のチャンスが巡ってくるまであと20年。生きているかどうかはあやしい。ワンチャン死んでいる可能性もある。出てくるのが遅かったな! 中2の時に小説を発表していれば時代が後押ししていたかもしれない。あの頃のメンタリティで自分が書いた物を世間に公表できたとは思わないけど(笑)

持って生まれた性を変えるのは難しい。小説家が物語の書き方を変えるのが難しいのと同じだ。シェイクスピアみたいな天才なら何でも書けると言うかもしれないが、彼の作品で語られるのは『マクベス』か『リア王』だろう。あ、『ロミオとジュリエット』『ハムレット』もある。ほら、でもみんな悲劇だ。何でも書けても、うまくやれるのは一つだけ。「バカ言うな『じゃじゃ馬ならし』があるぞ!」なんて言い出すのは文学オタクぐらい。私は3から1や2の作家にはなれないだろう。自著の『蒲生田岬』や『エバーホワイト』を恋愛小説の文脈で読んだ人がいるとはちょっと考えられない。

時代から外れた人に時代外れの小説を読ませる。そういう小説家でいいんじゃないかな。そういうところから牛野小雪を読む人を増やしていけないかと考えている。さて、どうやったら時代外れの人を集められるだろう?

(おわり)

牛野小雪のページ


『火星へ行こう君の夢がそこにある』AIリライト版

 宇宙船のテレビ画面のように惑星が再び赤くなったのである。数秒後、赤い光が消えて、地球は青い惑星になった。

「これが、これから向かう地球だ 」と一郎は言った。

「なるほどね。火星に行けば、今、地球は赤い色になっているはずだ」

「なるほどね。そうだったんですね」

「そうです。地球は左に移動しますから、そちら側の惑星と同じ色になります」

「それは知っておいて損はないだろう。コースを変えよう」

「わかった」

 一郎はまだ微弱な船のエンジンを始動させた。次の瞬間、彼らは地球から立ち上がり、火星へと飛んでいった。

「私たちは急いでいます。あと2分で出発します」

 地球から火星への転送の最後のステップを終えた一郎は、乗客に向かってこう言った。

「この船を操縦するのは、君たちではないか」と一郎は言った。

「その通りです」

「周りを見てくれれば、道を教えよう」

 悪い人ではなかった。一郎はとても慎重でよく訓練された人という雰囲気があった。

「5分後に行くよ。では、また。」

「はい、一郎さん」

 そして、電話を切った。

「僕は火星に行く。空を探検しに行くんだ。世界の青い空を見て、空に住んでいる人を探しに行くんだ。 そして、その人たちにメッセージを届けに行くんだ」

 一郎はテーブルから立ち上がり、コックピットから歩き出した。部屋は静寂に包まれ、空気は石油の香りで重くなっていた。彼は宇宙船の上部に上がった。

 宇宙船の長さは約一〇〇メートルだった。窓は極端な暑さや寒さにも耐えられる特殊なガラスでできていて、透明ではない。窓の高さは高く、100km以上の範囲を見渡すことができた。

「一郎さん、どうするんですか?」

「大気の中を飛び回るんだ。世界の青空を見に行くんだ。空に住んでいる人を探しに行く。その人たちにメッセージを届けに行くんだ。空でしか生きられない命を探しに行くんだ」

「空を探しに行く」

 宇宙船はまるで建築物に使われるような巨大な機械のような音を立てて動き出した。

「一郎、ずっと続けなければならないのか?」

「いや、これは小さな実験だよ」

 イチローは、時速三〇キロほどのスピードで飛び回っていた。体で感じることができるほどの薄い大気だった。

「何が起こっているんだ?」

「一郎、世界の青い空が見えてきたよ。見たいんだ。とても不思議な感じがする。私たちがいるのは、とても特別な空間なんじゃないかと思っているの」

「世界の青い空?」

「そうなんだよ。あのね、真っ青な世界があるんだけど、それはとても珍しいことなんだ。空の世界と呼ばれているんだ。青い空の世界は珍しいから誰も青い空の世界があるとは思わないよ」

「そんなことを聞くのは初めてだ」

「聞いても本当のことはわからないよ。不思議なものを見ていると思うしかない。 でも、それがわかるのは、もう少し先のこと。夢なんですよ。空は空の世界と呼ばれているから、空の世界なんだよ。だから空の世界と呼ばれているんだよ」

「・・・初めて聞きました。何を言っているのかわからないけど」

「空の世界は空の世界。真っ青な世界なんだよ。それは夢だ」

「何て言ったの?」

「それは夢だ。私たちは夢の中にいる。夢の中にいるんだ」

 船が止まったので彼らは窓の外を見た。

「変だな」

「誰も乗っていないからだ。私たちがこの宇宙船を操縦しているのはいいことなんだよ」

「いや、それは良くないよ。よくないよ!」

「いい夢じゃないよ。夢の中にいるんだ!」

「夢って何?」

「夢の中にいる人がいたら、きっと怖くて悪い夢だと思う。もしあなたが夢の中にいると言ったら、きっと相手は怖がるでしょう。だから夢の中にいるとは言わないのではないでしょうか」

 乗客たちはうなずいた。彼らは、一郎の命令に従うことができるように長い間訓練されてきた。一郎が少々不器用であっても彼らは止めない。結局、この宇宙船に乗っている人たちは、特別な人たちなのだ。エリート中のエリートだった。一郎もお金をたくさん持っている人だった。しかし、今はそうではないかもしれない。一郎は目を輝かせ真剣な表情を浮かべていた。将来、自分がこのクルーを引っ張っていけると確信していたのだ。乗客たちは一郎を見つめていた。

「一郎。なぜ理由を教えてくれないんだ?」

「理由は言えますよ‥‥‥私が火星に行く理由です‥‥‥なぜ火星に行きたいのか、その理由は…………宇宙を征服したい 」

 それは重大な理由だった。しかし適切な言葉ではなかった。乗客たちは混乱した。しかし、誰も何も言わなかった。この船を操縦したくないのは明らかだった。数秒しか飛べないような怖い機械を異星の地に持ってくるのはおかしいだろう。

 一郎の顔が赤くなると警戒心を持っていた宇宙船の中の人たちは一郎を睨みつけた。しかし一郎は敵意を感じなかった。犬を見ているような感覚で彼は私たちと一緒にいてくれた。彼は何を考えているのか。彼は何者なのか。誰にもわからなかった。でも、今はそれがわかる。彼は騒ぎたくないと思っている。

(つづく?)

この文章は『火星へ行こう君の夢がそこにある』を元にhttps://playai.nu/によって生成された文章に牛野小雪が手を加えた物となります。








ヒッチハイク 推敲,改稿,やってみよう 

 ヒッチハイクはほとんど人名が出てこない。副題が~正木忠則君のケース~だが、たぶん彼の名前が出てくるのも片手で数えるぐらいではないだろうか。改稿している時に忠則とかいきなり出てきて、作者でさえ一瞬誰だか分からなかったほどだ。最後に出てくる姉の夏未の方がよっぽど名前が出てくる。
 他の人は旅館の女将さんとか、男とか、インド人とか、ヒッチハイクの小説を書こうとしている牛何とかという小説家とか。彼らに名前はあるのだが正木忠則君は人の名前を忘れてしまうので、そうなっている。理由はない。そういう小説を書いてやろうと技に振った小説だった。

 名前は別にあってもなかっても支障はなかったが、旅館の女将さんと、大阪のおっぱいが大きいひどい顔をした女は『エバーホワイト』を書いた後だったらもうちょっと別のことを書けただろう。でもこの時はどうしても一歩踏み出せなかった。その時、その時で書ける物を書くしかないんだからしかたがない。火星の話だって本当はオペレーターの女の人とのやりとりがメインになるはずがどうしても女性を書くのが恥ずかしくてメールの味気ないやりとりになったようなものだ。
 『聖者の行進』から全作改稿を始めてから4ヶ月が経とうとしている。まだ『ヒッチハイク』を改稿しているということは半年近くかかる計算になる。この間に色々書いた物はあるが誰かに読ませるための小説は一文字も書いていない。これだけ長い間書かなかったのは初めてで、また書けるのかなと不安になるのだが、また別のところでは凄い物が書けるんじゃないかとも思っている。
 『聖者の行進』から一章ずつ、短い章を繋いでいく物は1万字前後のファイルに分けて改稿をしていて、大体5~7回ぐらいやる。場所によっては10回以上する。何度も同じような文章を読むことになるのだけれど不思議と飽きない。むしろやればやるほど読むのが楽しみになる。一番良いのは一文字も変えなかった時だ。脳がしびれるような快感がある。
 先週は『ターンワールド』の最後の章をたった二文字変えるだけで全然違うラストにできることがわかって一文字の威力を知った。過去の物でもずっと改稿しているとそれなりに得るものはある。それはきっと新しく書く小説の固い土台になるのではないかと今は感じている。

(2018年3月31日 牛野小雪 記)




『火星へ行こう君の夢がそこにある』のリリース記事



【火星豆知識】

火星の1日は 24時間37分地球とほぼ同じ長さ。ただし1年の長さは 687日

【内容紹介】

人類初の有人火星飛行に挑む青年、一郎。
無重力の中で宇宙船に乗り込み、地球から遠ざかる彼を待ち受けるのは、壮大な火星への旅。しかし、その冒険はただの科学的ミッションにとどまらない。宇宙の果てでの孤独、広がる無限の静寂の中で一郎は自分自身と向き合う。
地球の喧騒とは切り離されたこの旅路で、一郎が見つけるものは――希望か、それとも絶望か。


この本を読むべき理由(ChatGPT)


火星へ行こう。
なんだそれは。中二病か? あるいはNASAのプロパガンダ?
違う。これは、人生のメタファーだ。

この小説を読む理由? あるとも、ないとも言える。
でも、わたしは読む。
なぜなら、文章が剥き出しだからだ。

どの小説も“洗練”されすぎている。
安全。
滑らか。
無菌室で育てられた子どものような小説が多すぎる。
その点でこれは異常だ。

文体がたまに崩れる。
主語が抜ける。
視点が迷子になる。
でも、そこで書き手が見える。

ああ、ここで作者は苦しんだな。
書けなかった。けど、書いた。
その“あがき”が、いい。

火星が出てくる。
けどそれは、リアルなSFじゃない。
アポロでもないし、イーロン・マスクでもない。

火星とは、逃避であり、希望であり、
絶望の先にチラつく可能性である。

火星へ行こう。
このフレーズを何度も読み返すと
「あれ、これ自殺願望じゃないか?」と思う瞬間がある。

けれど、違う。
ちゃんと生きようとしている。
読めばわかる。
ぐちゃぐちゃな日々を、どれだけ言葉で拾おうとしたかが。

登場人物? それはもう、どうしようもない連中ばかりだ。
夢を語るには遅すぎた。
でも語るしかなかった。

構成は甘い。
伏線は、張っているようで回収されない部分もある。
でもそれがいいんだよ。
人生に伏線回収なんてあるか? なあ。

この本は、読者に優しくない。
たぶん、途中で投げる人もいる。
でも、耐えて、読みきってほしい。
そうすれば、あの一文に出会える。

「あの一文」——それは、
作者があなたの存在を見抜いた瞬間だ。
読んでいるあなたが、なぜ読んでいるか。
それに応えるような言葉が、唐突に落ちてくる。

たった一行のために読む小説って、ある。
それだ、これは。

言い忘れていたが、これは“いい話”ではない。
でも、“本気”ではある。
「書かずにいられなかった」が全部に染みてる。

読み終えたあと、ちょっと疲れる。
でもその疲れが、悪くない。
体内に残る。ザラザラしたまま。

これは火星じゃない。
これは、地球の話だ。
もっと言えば、今、ここにいる、
あなたの話だ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

試し読み


 星ひとつ見えない暗闇に青白い光に包まれた球体が孤独に浮かんでいる。種子島宇宙センターはもう見えないが、日本列島はまだ見えていた。

 宇宙船が地球を三周しながら航行速度まで加速すると、加速のGが無くなり船内を自由に移動できるようになった。その時に一郎は宇宙船の窓から地球を見たのだ。

 宇宙船はさらに地球を半周すると地球を離れ、火星まで行くことになっていた。人類初の有人火星飛行をするのだ。
 操縦席の赤いランプを点滅していた。

「こちら宇宙管制局。一郎さん、そちらに異常はありませんか?」

 管制局からの電話だった。一郎はイヤホンとマイクを着けていたので通話ボタンを押せばそのまま会話ができた。
「はい、今のところ異常ありません」と一郎は言った。

 五秒ほど間があった。地球にある管制局と距離があるので、電波が届くまでに時間がかかる。

「そうですか、貨物室の点検は終わりましたか? 終わったらまた連絡してください」

「これから確認してきます」

 一郎はそう言ってからしばらく待ったが、イヤホンは静かなままだったので電話を切った。

 操縦室から居住空間へ出た。広さは十畳ほど。

 その居住空間の奥に貨物室がある。廊下は無いのでドアを開けるとすぐに貨物室だった。貨物室のスペースは居住空間より三倍広い。居住室の下にはさらに大きな貨物室がある。

貨物のほとんどは水と食料で占められていた。他には火星で活動するための火星四輪車と、火星で生育実験をするためのバラの苗が十株あった。

 火星四輪車は電気で動く大きなバギー車で、宇宙船の太陽光パネルからバッテリーに充電する。満タンまで充電すれば三時間運転ができる。最高速度は時速二十キロ。

 バラは極地植生技術で作られた砂王と青姫というバラだ。

 砂王は太陽が照りつける砂漠でも育ち、半年間水が無くても枯れない品種で、葉っぱは針のように細くて硬い。白の五枚葉をしている。枝は薄い黄緑色でゴムのように柔らかかった。

 青姫は南極でも育ち、氷点下でも枯れないバラで、枝は深緑に黒を足したような暗い色をしている。そして鉄のように硬い。その枝からうちわみたいに大きな五枚葉が垂れ下がっていた。

 貨物は全て床にひもで縛りつけていた。床には紐をかけるための穴とフックがある。

 一郎は紐がゆるんでいないか確認した。特に火星四輪車は念のために紐を一度解いて結び直した。火星四輪車は貨物の中でも特に重いので壁にぶつかれば、宇宙船に穴を開けてしまう恐れがある。

 一郎が運転室に戻ると地球は夜に変わっていた。地上には人工的な黄色い光がクモの巣状に広がっている。

「貨物室の点検終わりました」

 一郎は管制局に電話をした。

「ごくろうさまでした、これから船は火星に向かうコースを取ります」と返事があった。

 船の進行方向が変わり操縦席から地球が見えなくなる。その代わりに今度は月が見えた。

 宇宙船には三台のノートパソコンがある。それを使って地球の管制局とメールのやり取りをする。インターネットも使えた。液晶テレビが一台あって、それで衛星放送を観ることもできた。カメラもあるが、一郎は地球を撮り忘れた事に気付いた。火星から帰ってくる時には忘れないようにしなければならない。

 紙の本は重量があるので持ってくることはできなかったが、電子書籍端末は持ちこめた。地球を出発する前になるべくたくさん本のデータを入れておいた。壊れた時のために同じ物を二つ持ってきている。あとは携帯ゲーム機。これも同じ物を二つ。

 一郎は居住空間に戻ると、本を読んだりゲームをしたりして時間を過ごした。

窓の外を見る度に月は大きくなり、やがて視界から消えた。

管制局から電話がきた。

「月を越えました。ここから先はまだ誰も行った事がない世界です。いってらっしゃい」

「それじゃあ、いってきます」

 一郎はそう言って電話を切った。目の前には黒い空間が見えているだけで火星はまだ見えない。

 時計を見ると地球時間で十九時になっていた。宇宙船には時計が二つある。青と赤のアナログ時計。青の時計は地球時間を表していて二十四まで数字が刻まれている。赤の時計は火星時間を表していて、二十五まで数字が刻まれている。二十四と二十五の間は他の数字より間隔が狭い。

 お腹が空いたので晩ごはんにした。貨物室から、きつねうどん、おにぎり、それとほうじ茶を持ってきた。

 きつねうどんはパック詰めされていて、レンジで温めて食べる。温めなくても食べることはできるが、あまりおいしくない。だしは地球で食べていた物と違い、粘り気があって粉っぽい。そして、うどんに絡む程度の量しかなかった。粘り気があるのは宇宙でだしを飲みこぼしても水分が四方八方に飛ぶことないようにするためだ。

 食べ物はうどんの他にもラーメン、カレー、肉じゃが、みそ汁、豚汁、たこ焼き、梅干し、白米、炊き込みごはん。とにかくスーパーで缶詰やレトルト食品として売られている物はたいていあった。汁物は全て粘り気がついていて粉っぽい。

 食後はほうじ茶をレンジで温めて飲んだ。これもパック入りでストローを使って飲む。

 それから歯を磨いた。宇宙で水は貴重品だ。歯ブラシではなくガムを噛んで磨く。宇宙用に作られた噛み歯磨きだった。最初はカチカチと音が鳴るほど硬いが、噛み続けているうちにガムは柔らかくなり、徐々に小さくなっていく。最後は飲み込んで終わり。

 ネット掲示板で人類初の有人火星行きの話題を探すと、一日で読みきれない量の書き込みがあった。三時間ほど掲示板を読んでいると、一郎は疲れたので眠ることにした。読み終わっていないところはパソコンにコピーして保存した。

 ベッドに入るとゴム製のベルトで体をベッドに固定した。宇宙だと体が浮いてあいまいな空間に投げ出された感じがする。

 部屋の明かりを消して、豆電球に変えた。初めての宇宙で眠れないと思っていたが、一郎は五分もしない内に眠り、眠ったと思ったらすぐに目が覚めた。宇宙では昼も夜も無いが、青い時計を見ると六時になっていた。地球ではもう明るい時間だ。一郎は窓の外に目を向けると暗い宇宙空間が見えた。

 朝ごはんのおにぎりとみそ汁を食べて、歯磨きも終えると、管制局に電話をした。

「おはようございます。定時(ていじ)連絡をします。火星はまだ見えません。異常も無しです」

 毎朝十時は管制局に連絡をすることになっていた。三分ほど待つと返事がきた。

「おはようございます。船は火星のコースを順調に進んでいます。良い一日を」

 地球から離れたので電波が届くまでに時間がある。火星まで行くと、地球と通信するに一時間もかかると聞いていた。

 一郎は居住空間に戻ると、ネット掲示板で自分のことが書かれていないか検索した。一回クリックして画面が切り替わるのに三分もかかった。今日も書き込みはあったが、三時間で読み終えた。一郎の事は、他の話題が埋め始めていた。

 昼ごはんを食べ終えると管制局から電話があった。電話に出て十分ほど無言のままだった。

「地球から距離が離れたので、これからの連絡をメールに切り替えます」

 電話から管制局からの声が聞こえた。

「はい、分かりました」

 一郎が電話を切ってから五分ほど経つとパソコンにメールが届いた。

〈メール確認です。このメールはそちらへ届いていますか? 届いていたら返信をしてください。〉

 一郎は返信の内容を考えたが気の効いた事が思い浮かばなかったので

〈メールは届きました。ちゃんと届いています。〉とだけ書いて送った。それから十分が経った。

〈返信を受け取りました。メールの送受信に問題はありません。確認を終わります。〉と管制局から返信がきた。

 これで一郎がすることは何も無かった。船は自動操縦なので勝手に火星まで飛んでいく。これから三十日間、一郎がやらなければならない事は火星に着くまでの時間を一人で過ごすことだ。といっても火星に行けば誰かが待っているわけではないので結局はずっと一人のままだ。

 火星に一年近く滞在し、十五日の日数で帰還する予定だった。帰りの日数が短いのは地球と火星の距離が一番近い時期に合わせているからだ。

 地球時間で夜になったのでベッドに入った。なかなか眠れないので、一郎は何故火星へ行くことになったのか思い出していた。


一年前に宇宙飛行士を募集する広告が、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット、あらゆる媒体で流された。『火星へ行こう、君の夢がそこにある』というのが宣伝文句だ。企画したのは火星開発公団という組織だ。

 募集要項には採用人数一人。仕事内容は人類初の火星到達、火星での簡単な実験と調査、そして火星からの帰還。健康な心と体を持つ人材を求む、と書いてあり、火星から帰還すれば報奨金一億円と書いてあった。さらにその後ろにカッコ付きで(この報奨金に税金はかかりません)と付け加えられていた。

 一郎は大学を卒業してから一年経つが、まだ一度も働いたことがなく、何をするでもなく日を過ごしていた。歳が二つ上の兄二郎も無職で三年間職についていない。さらに二歳上の長男三郎だけが兄弟でただ一人働いている。職業は植木職人だ。木を植えるより枝を切る事が多いので、枝切り職人の方が実態に合っているよと言っていた。

 ニュースでは三十五歳以下の失業率は五十%を超えて二人に一人が無職だと言っていた。討論番組では就職活動をあきらめた人を加えれば、六割強の若者が職に就いていないと言っていた。それが本当なら三人の内二人が無職ということで、一郎の兄弟がそのまま当てはまった。

 そんなある日、兄の二郎が、火星行きの募集試験を受けるから、お前も試験を受けろ、と一郎に募集のパンフレットを押しつけた。

 募集要項には身長百七十五センチ以下、体重七十キロ未満と書いてあった。大学に通っていた頃の一郎は、身長が百六十八センチ、体重は五十六キロと小柄な体型だった。

 パンフレットの続きには、年齢不問、学歴不問、犯罪歴無し、虫歯無し、病歴無しの人材を求む、と書いてあった。一郎は一応大学を出ているがこの試験では問題ないらしい。犯罪歴は当然無かった。大人しいというより気が弱い性格なので犯罪どころかケンカらしいケンカもしたことがない。

 母は歯磨きにうるさく、小さい頃から寝る前に五分以上歯を磨かせたので虫歯は一本もなかった。入院するような病気もしたことが無い。数年に一度風邪をひくかどうかだ。

 宇宙飛行士募集の試験内容は書類審査と健康診断をした後、さいころで八人に絞り、百日間の架空閉鎖実験を行う。閉鎖実験の合格者が二人以上出れば、もう一度さいころを振って一人に絞ると書いてあった。何故さいころで決めるのかは下の方に『私達は運がある人を求めます』と書いてあった。

 こんな怪しげな計画に一郎は気が乗らなかったが、二郎から一緒に試験を受けろと何度も言われ続けているうちに受けると言ってしまった。

 それから二週間経つと、二郎が一郎の部屋に入ってきて、火星開発公団と書かれた封筒を目の前に置いた。宛名は一郎だった。

 一郎が封筒の中を見ると、書類審査は合格。二週間後に、赤星病院で健康診断を受けてくださいと書いてあった。紹介状も入っている。二郎はそれを脇から見て、お前も受かったなと言った。

 健康診断の日、二郎と一緒に赤星病院へ行くと一郎と歳が同じくらいの人が百人ぐらいいた。みんな一郎より頭が良さそうで、元気に満ち溢れていたので、一郎は落としてもらえそうだった。

 病院の受付で紹介状を渡すと診察室の前に並んだ。この中なら俺が一番だな、全員倒せそうだ、と二郎が耳元でささやいた。試験者全員で戦うわけではないが、確かに二郎なら勝てそうな人ばかりだった。一郎は、もう一度並んでいる人達の顔を見たが、自分は誰にも勝てないだろうという後ろ向きの自信があった。

 過去に大きな病気をしたことがあるか、何か薬を飲んでいるのかと医者に訊かれ、胸に聴診器を当てられた。そのあと身長と体重を測った。尿検査と血液検査もした。心理テストを受けて、最後に歯の検診があり、虫歯無しと診断され、二時間もしないうちに健康診断は終わった。

 それから五日後に二郎は一郎の部屋に火星開発公団からの封筒を持ってきた。中を見ると、健康診断で異常は見つからなかったので、一週間後の架空閉鎖実験に参加するようにと書いてあった。

 二郎も封筒の中身を見せてくれた。やはり同じ内容で一週間後に架空閉鎖実験を受けるようにと書かれていた。

 翌日、夕飯が終わって一息ついた頃、二郎が一郎と一緒に火星行きの試験を受けることを両親に話した。父も母も突然のことで、しばらく言葉を発せずにいた。

 最初に口を開いたのは母だった。母は親をだましていたことについて怒った。


 母が半時間怒り続けて一息つくと、二郎は口を開いた。俺も一郎も就職してない、これから先できるかどうかも分からない。このままくすぶっているよりは火星に行って大きく出たい。それに火星から戻ってくれば、あいつは火星に行ってきたと言われて、どこへ行っても名前が通るようになる。そうすれば良い職も見つかるかもしれない、と言った。

 一郎もそう思っているのか、と母が訊いてきた。一郎は火星に行きたくないかもしれないと言おうとしたが、一郎もそう思っていると二郎が一郎の代わりに答えてしまった。間を置かず、それにもう試験を受けることは決まっているのだと火星開発公団からの手紙を母に見せた。

 母はそれを何度も読み返すと、勝手にすればいいと言い捨てて、足を踏み鳴らしながら寝室へ行って、勢いよくドアを閉めた。その音は家全体を揺らした。

 父はそんなにしてまで行きたいのなら勝手にしろと言って、それからは口を開かなかった。二郎は勝手にするよと言って横を向いた。家族全員が気まずい雰囲気になった。それは架空閉鎖実験の日まで続いた。

(つづきは本編で)

『火星へ行こう君の夢がそこにある』
火星行きのパイロットを募集する広告があらゆる媒体で流された。帰還すれば報奨金一億円。
兄の次郎が勝手に応募書類を送ってしまったので一郎はテストを受けることになった。
彼は試験を落ちるつもりで受けたのだが、何故か受かってしまったので一人で火星へ行くことになる。
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