ワイ、中学2年生。なんか最近、周りの奴らを見てて違和感を感じるんや。
「もしかして...みんな哲学的ゾンビちゃうか?」
そんな疑問が頭をよぎったんは、哲学の本を読んでからやった。
哲学的ゾンビ。外見は普通の人間やけど、意識や主観的経験がない存在。
ワイ「まさか...」
そう思い始めたら、もう止まらへん。
クラスメイトを観察し始めたんや。
田中「おはよう!」
ワイ(こいつ、挨拶しとるけど...本当に意識あるんか?)
佐藤「昨日のアニメ面白かったよな!」
ワイ(アニメ見て面白いと感じる主観的経験...ホンマにあるんか?)
先生「はい、授業始めます」
ワイ(先生も...もしかして意識のない自動人形なんちゃうか)
そんな疑問を抱えながら、ワイは毎日を過ごすようになったんや。
周りの奴らの行動を細かくチェックする。
何か違和感はないか、不自然な点はないか。
けど、みんな普通に生活しとるんや。
「やっぱりワイの考えすぎか...」
そう思いかけた時や。
突然、教室に謎の人物が現れたんや。
「よう、お前哲学的ゾンビのこと考えとるやろ」
ワイ「え!?お前誰や!」
謎の人物「ワイはお前の意識の具現化や。お前の中にある『自我』みたいなもんやな」
ワイ「は?なんやねん、それ」
自我「まあ、そんなことはどうでもええ。お前、みんなが哲学的ゾンビやと思っとるんか?」
ワイ「いや...そこまでは...」
自我「正直に言えや」
ワイ「...うん、ちょっとそう思っとる」
自我「ほう、面白いな。ほな、証明したろか?」
ワイ「証明?」
自我「みんなが哲学的ゾンビかどうかをな」
ワイ、困惑する。けど、なんか心の奥底でワクワクしとる。
ワイ「ほ...ほんまに証明できるんか?」
自我「できるに決まっとるやろ!ワイはお前の意識やぞ!」
そうして、ワイと自我の奇妙な実験が始まったんや。
まずは、クラスメイトにいきなり難しい質問をぶつけてみる。
ワイ「ねえ、この世界が実在すると思う根拠ってなに?」
田中「え?なに急に...う~ん、難しいなぁ」
自我「ほら見たことか、ちゃんと考えとるやん」
次に、先生の授業中にわざと変な質問をしてみる。
ワイ「先生、もし我々が脳だけの存在で、この世界が全部幻想だったらどうします?」
先生「佐藤くん、授業に関係ない質問はやめなさい」
自我「ほら、ちゃんと対応しとるやろ」
ワイ「でも、これだけじゃ...」
自我「まだ信じられへんのか。ほな、最後の手段や」
ワイ「最後の手段?」
自我「せや。お前自身が哲学的ゾンビになるんや」
ワイ「え!?そんなんできるんか?」
自我「できるに決まっとるやろ。ワイがお前の意識やからな。ワイがおらんくなれば、お前は哲学的ゾンビや」
ワイ「ちょ、ちょっと待って...」
自我「遅いわ!」
そう言うて、自我はワイの中に吸い込まれていったんや。
そして、ワイの意識が消えた...はずやった。
けど。
ワイ「...あれ?」
なんも変わらへんかったんや。
周りの景色も、自分の思考も、感情も。全部そのままや。
ワイ「これって...」
そう、ワイは気づいたんや。
哲学的ゾンビなんて、結局のところ意味のない概念やったんやと。
だって、意識があるかないかなんて、外からじゃ絶対に分からへん。
むしろ、そんなこと気にしとる時点で、ワイには意識があるんやと。
ワイ「あ~あ、なんか恥ずかしなってきたわ」
そう呟いたワイの前に、また自我が現れたんや。
自我「やっと気づいたか」
ワイ「お前...戻ってきたんか」
自我「戻ってきたも何も、ワイはずっとお前の中におったんやで」
ワイ「...そうか」
自我「で、どうや?みんなが哲学的ゾンビかどうか、もう気にせえへんか?」
ワイ「うん...もういいわ」
自我「よっしゃ、これでワイの仕事も終わりや。ほな、また何か哲学的な疑問が出てきたら呼んでや」
ワイ「おう、サンキューな」
そうして、自我は消えていった。
次の日、ワイはいつも通り学校に行ったんや。
田中「おはよう!」
ワイ「おう、おはよう」
佐藤「昨日のアニメ面白かったよな!」
ワイ「せやな!」
先生「はい、授業始めます」
ワイ「はーい」
ワイは思ったんや。
みんな哲学的ゾンビかどうかなんて、どうでもええんや。
だって、みんな生きとるんやから。
それだけで、十分に意味があるんや。
...でも、たまにはこんな風に深く考えるのもええもんやな。
完








