愚者空間

KDP作家牛野小雪のサイトです。小説の紹介や雑記を置いています。

エルフ

ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった10-2/うしP

強すぎて試合が組まれることさえなかったボクサーのシロー エルフの女騎士リーリャは ドワーフのタヌカナと別れ とうとう二人きりになる 

そして なにかが起きようとした時 「待て」 と声がかかる 

振り返ると そこには妹のルカが立っている 

「お兄ちゃん いつまで異世界にいるの 世界チャンピオンになる夢はどうしたの」 ルカが怒る 

「えっ でも試合は組まれないし 異世界で暮らすのもいいかなって」 とシローは言い訳する 

「チャンピオンって?」 リーリャが首をかしげる 

シローはボクシングという概念とチャンピオンのことを説明し始める 

「ボクシングっていうのは 拳で相手を倒すスポーツなんだ 世界中から強いボクサーが集まって 試合をするんだ 一番強いボクサーのことを世界チャンピオンって呼ぶんだ 俺はそのチャンピオンを目指していたんだけど 強すぎて試合が組まれなくなっちゃってさ」 

リーリャは驚きの表情を浮かべる

「お兄ちゃん 元の世界に帰ろう リーリャさんにも話したでしょ」 ルカが説得する 

「バカ言うなよ だって 俺は・・・」 シローは言葉を濁す 

リーリャは複雑な表情を浮かべる 自分のせいでシローの夢を奪ってしまったのかもしれない その重さに胸が苦しくなる 

「ごめんなさい シロー 私のせいで あなたの人生を狂わせてしまった」 リーリャは涙ぐむ 

「ち 違うぞ リーリャ お前のせいじゃない」 シローは慌てて否定する 

「でも・・・」 リーリャは言葉に詰まる 

ルカは二人を見つめ 決断を下す 

「リーリャさん 一緒に私たちの世界に来てください シローはリーリャさんと一緒じゃないと幸せになれないと思うの」 

リーリャとシローは驚きの表情で ルカを見る 

「でも 私はエルフで・・・」 リーリャは戸惑う 

「関係ないわ リーリャさんはリーリャさんのままでいいの」 ルカは微笑む 

シローも真剣な表情で リーリャに語りかける 

「リーリャ 一緒に来てくれ 俺は お前と一緒にいたいんだ」 

リーリャの瞳から涙があふれる 「シロー・・・」 

こうして シローはリーリャと妹と共に 元の世界へ帰ることを決意する

シローの元には たくさんのファンレターが届いていた 彼の帰りを待ちわびる人々の声だ 

「シロー お帰り」 「試合を見たいです」 「世界チャンピオンになってください」 

シローは感動に胸を熱くする リングへの思いが再び燃え上がる 

そして とうとう試合が組まれる 相手は身長2m150kgの超ヘビー級ボクサー 体格だけではなく巨体からは想像できないほどテクニックも磨かれている シローが異世界にいる間に バハムートと呼ばれるほどの強敵が現れていたのだ 

観客席には リーリャとルカの姿がある 二人はシローに声援を送る 

「頑張って シロー」 「お兄ちゃん 勝てるよ」 

シローはリングに上がり グローブを構える 

(俺の人生は ここから始まるんだ) 

シローの瞳に 熱い炎が宿る 

ゴングが高らかに響き渡り 試合の幕が切って落とされる 

新たな伝説の始まりを告げるかのように

(ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった おわり)

ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった10-1/うしP

強すぎて試合が組まれることさえなかったボクサーのシローは異世界に転生して エルフの女騎士リーリャ 鉄拳ドワーフのタヌカナは冒険の旅を続けている 三人は霊峰ヒューベリオスという山に辿り着く ここは巨人族が住む場所らしい

「はるか昔 私が生まれる前に エルフたちと共に巨人族は魔王軍と戦ったそうよ でも魔王軍の力に負け 巨人族は一人残らず死んでしまったの」 リーリャが語る

「誰かに見られている気がするわ」 と不安そうにリーリャが言う

「周りには誰もいないぞ」 シローが周囲を見回す

夜になり 三人はたき火を囲む

「さすがにオレも誰かに見られているような気がしてきたな」 シローが警戒する

「透明になれる術者かもしれないわね」 リーリャが考える

タヌカナはシュシュと口から息を吐きながらシャドーボクシングをしている 音を叩く練習だ

「なぜ攻撃してこないんだ?」 シローが不思議に思う

闇を警戒しながら 三人は夜を過ごす

朝日が昇ると 正体が明らかになる 巨大な顔が三人をのぞき込んでいるのだ それは身長が150m以上はありそうな岩の巨人だ

「実は昨日から姿は見えていたんだけど あまりに大きすぎて巨人だとは気付かなかったんだ」 シローが苦笑する

タヌカナの様子がおかしい 固まったように動かない

シローは巨人に問いかける 「俺たちに何か用か?」

巨人はゆっくりと口を開き 「オーズ」と名乗る 「巨人族最後の生き残り 旅人は珍しいから見ていた」 喋り方が遅い

「魔王は俺が倒した」 とシローが告げる

「それはすごいな」 オーズがゆっくりと驚く

旅の目的を聞かれ シローは答える 「魔王軍の残党を掃除しながら この世界を見て回っているんだ」

「それなら俺がヒューベリオスを案内しよう」 オーズは三人を肩に乗せる

巨人の動きは遅いが 一歩が大きいので 地上を歩くよりずっと速い 予想より早く 山の頂上に到着する

シローは地平線の先まで続く大地を見て言う 「地球は丸くないのか?」

「地球とは何だ?」 他の三人が問い返す 地球という概念を知らないのだ

シローは異世界にいることを再認識する 「地球とはこの世界そのものだ 地球は球体で 宇宙という場所に浮いている」 と万有引力の説明をする

しかし三人は 「丸かったら下にいると落っこちてしまうだろう」 と笑う

数日後 タヌカナの様子がますますおかしくなる 思い詰めた表情で オーズを見つめている

ある夜 タヌカナがシローに打ち明ける 「私はここに残るわ オーズを好きになったの」

シローは驚きを隠せない 「本当なのか?」

「ええ 決心したの」 タヌカナの瞳は真剣だ

リーリャは背中でその会話を聞いている 複雑な心境だ ライバルだったけど 仲間でもあった

翌朝 別れの時が来た タヌカナは荷物をまとめ オーズの横に立つ

「さようなら シロー リーリャ 一緒に冒険ができて楽しかったわ」 タヌカナが涙ぐむ

「タヌカナ 幸せになれよ」 シローが握手を求める

「ええ あなたたちも」 タヌカナが笑顔で応じる

リーリャも言葉少なに別れを告げる 「元気でね タヌカナ」

こうして タヌカナはシローとリーリャに別れを告げ 巨人オーズと共に新たな人生を歩み始める

山を下りながら シローとリーリャは無言だ タヌカナとの思い出が脳裏をよぎる

「寂しくなるわね」 リーリャがポツリと呟く

「ああ でもタヌカナは自分の道を見つけたんだ 応援するしかないさ」 シローが大空を見上げる

二人の冒険は新たなページを迎える

数日後の夜 シローとリーリャは星空の下 肩を寄せ合って座っている

「ねえシロー やっと二人きりになれたわね」 リーリャが頬を赤らめる

シローの鼓動が早くなる 「リ リーリャ 俺 お前のことが・・・」

そのとき 闇の中から声がする 「待て!」

(つづく!)

ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった9/うしP

シロー、エルフの女騎士リーリャ、鉄拳ドワーフの女タヌカナは冒険の旅を続けている 関所の門が見えてきた その時 門の上に黒衣の女が現れる 

「我こそは暗黒魔導士ソフォン 炎を操る最強最悪の魔導士なり」 彼女は不敵な笑みを浮かべ 杖を掲げると詠唱を始める 

「炎よ 我が身に宿りて 大気を焦がす業火と化せ 闇を払い 敵を滅する灼熱の嵐となれ 我こそ炎の主 天壌を揺るがす紅蓮の覇者なり 今こそ 我が言霊と共に 万象を焼き尽くせ 我 炎の魔導士たる名において 焔魔招来の秘呪を闡く イグニス・インフェルノ!」 

ソフォンの前に炎の円柱が立ち上がる 空が煮えたような感覚に襲われ シローたちは身の危険を感じる 

「こいつ 魔王より強いんじゃないか?」 シローが絶望的な表情で呟く 

「私は魔王の敵討ちに来た さっきの呪文はお前たちにこれから死ぬということを理解させてから嫌というほど恐怖におびえてもらうためだ」 ソフォンが高笑いする 

門の上にいる彼女に 拳も剣も届きそうにない 逃げることもできない絶体絶命の状況 

しかしシローは不敵な笑みを浮かべる リーリャとタヌカナは彼の頭がおかしくなったのかと心配する 

「ソフォン お前の最高の呪文を俺にぶつけてみろ」 シローが挑発する 

「愚かな 死にたがりが 望み通りに葬ってやる」 ソフォンは再び詠唱を開始する 

「古の炎神イフリートよ パン言霊にパンて顕現せよ 業パンパパン解き放ち 敵を焼きパンうパンパンパンの雨となれ 十六のパンよ 烈火のパンパンパンを巻き起こし パパンを焦土と化し 天をパン夜に染めよ 我が力のパンパンパン 炎帝の燃えるパンとともに 汝ら炎の軍勢を率いて 戦場を駆けめぐれ クリムゾンパンパンパンパンパンパン!」 

詠唱が終わっても何も起こらない リーリャとタヌカナは困惑する 

「どうした ソフォン 呪文が発動しないようだが」 シローが嘲笑する 彼がシャドーボクシングをするとパンパンパンと空気の破裂する音が響く

「ば バカな・・・私の詠唱が・・・」 ソフォンの顔から血の気が引く 

「俺のジャブは音速を超えている 音を叩くことができるんだ お前ならこれがどういうことか分かるな?」 シローが不敵に笑う 

ソフォンは絶望に打ちひしがれ ひざをつく 

リーリャは事情を察し 門へ駆け上がる タヌカナはシローに何が起こったのか尋ねる 

「俺は詠唱破壊をしたんだ 術者の音声を叩くことで 詠唱を無効化できる どんなに強力な呪文も唱えることはできなくなるんだ」 シローが説明する 

「さすがシロー!大好き!」 タヌカナが目を輝かせる 

リーリャはソフォンのいる場所に到着し 彼女の杖を折る 

「殺せ」 ソフォンが悔しそうに言う 

「お前は強力な術者だ 殺すのは惜しい その力を新しい世界のために役立てろ」 リーリャが諭す 

「また殺しに来るぞ」 ソフォンが悔しそうに言う 

「その時はまたシローが受けて立つさ」 リーリャが微笑む 

ソフォンはリーリャの器の大きさに心からの敗北を認める 術者にとって心で負けることは死に等しい 

こうしてシローたちは関所を抜け 新天地へと旅立つ 

夜 野営の火を囲んで リーリャとタヌカナがシローに迫る 

「ねえシロー 私たち二人 どっちが好きなの?」 リーリャが甘える 

「そうよ シロー はっきり言ってよ」 タヌカナも負けじと言う 

「お お前たち 急に何を言い出すんだ」 シローは顔を赤らめ 言葉に詰まる 

「もう シローったら はぐらかさないでよ」 リーリャが頬を膨らませる 

「そうだそうだ 男なら潔く答えなさいよ」 タヌカナも詰め寄る 

「わ 分かったよ 二人とも大切なんだ 俺にはどちらかを選べない」 シローが必死に言う 

「ああもう しょうがないわね」 リーリャが苦笑する 

「ずるいわ シロー でもそれでいいのよ」 タヌカナが微笑む 

こうしてシローとリーリャ タヌカナの冒険は続いていく 笑いあり涙あり 時にはライバル関係に頭を悩ませながらも 固い絆で結ばれた三人 

新たな土地で新たな出会いと別れが彼らを待っている 果てしなく広がる異世界を 渡り歩いていくのだ 

ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった8/うしP

シロー、エルフの女騎士リーリャ、ドワーフの女タヌカナは冒険の旅を続けている

 ある日 三人は魔王軍団の残党に襲われる しかしシローの拳とリーリャの剣により あっという間に敵を撃退する

「魔王軍もまとめるやつがいなくなったらどんどん弱くなっているな」 シローが感心しながら言う

リーリャは黙ったまま 何かを考えているようだ 

「どうしたんだ リーリャ」 シローが尋ねる

「ねえシロー タヌカナってどうしているの?私は剣を使える でもタヌカナはいつも後ろで応援しているだけ」 リーリャが不満げに言う

「応援も役に立ってるさ」 シローはリーリャの言うことはもっともだと思うが 肯定するとまずい展開になりそうなのでフォローする

タヌカナは青ざめた顔で立ち尽くしている 

リーリャは続ける 「タヌカナが魔王軍との戦いで役に立っていないのは明らかよ 私たちが戦っている間 彼女は後ろで叫んでいるだけ 剣も使えない魔法も使えない ただ応援するだけなんて足手まといにしかならないわ」

タヌカナは涙を浮かべ その場から逃げ出す 

「タヌカナ!」 シローが追おうとするが リーリャが止める

「シロー 自分の身さえ守れないなら この先何が起こるか分からないわ 冒険を続けるのは彼女のためにならない」 リーリャは真剣な表情で言う

シローは走り去るタヌカナの後ろ姿を見つめるしかない 胸が締め付けられる思いだ

タヌカナは森の中を走り続ける 足手まといになる自分を責め涙を流す 

「私なんて役に立たない シローさんやリーリャの邪魔になるだけだ」 タヌカナは自分を責め続ける

そのとき 崩れた祠を見つける 普段なら見向きもしないが 今日はどういうわけか立ち止まる 

「この祠 立て直してみようかな」 タヌカナは呟く

祠を修復すると 中から鉄の塊が現れる どこからともなく声が聞こえてくる 

「これは鉄拳 これを持つ者に力を与える お主にこれを授けよう」 

その瞬間 タヌカナの拳が鉄の拳へと変わる 力が湧き上がるのを感じる

「これなら 私も戦える!」 タヌカナの顔に希望が蘇る

タヌカナが鉄拳を手に シローとリーリャの元へ戻ると 二人は魔王軍団と戦っていた 

「シローさん リーリャ!」 タヌカナが叫ぶ

鉄拳で次々と敵を殴り倒すタヌカナ シローとリーリャは驚きの表情を浮かべる 

「タヌカナ その拳は!?」 シローが叫ぶ

「私にも力が与えられたの これで私も戦える!」 タヌカナは輝く拳を見せる

こうしてタヌカナも仲間の力となり 魔王軍団を打ち倒していく 

戦いが終わると リーリャがタヌカナに歩み寄る 

「ごめんなさい 私 あなたを見くびっていた でもあなたは立派に戦ってくれた」 リーリャが頭を下げる

「ううん 私こそごめんなさい 足手まといになってばかりで」 タヌカナも謝る

二人は握手を交わし 和解する シローはほっとした表情で二人を見つめる

夜 野営の火を囲みながら リーリャとタヌカナがシローに迫る 

「ねえシロー 私たち二人 どっちが好きなの?」 リーリャが甘える声で聞く

「そうよ シロー 選ぶなら私よね?」 タヌカナも負けじと上目遣いで言う

「お お前たち 急に何を言い出すんだ」 シローは動揺し 顔を赤らめる

「はぐらかさないで ちゃんと答えて」 二人が詰め寄る

「そ それは・・・」 シローは言葉に詰まる

三人の冒険はまだまだ続く

シローの恋の行方は 波乱に満ちている でも彼は二人と共に歩み続ける 異世界を救うため そして自らの想いを見つめるために

冒険の先に待ち受けるものとは・・・ シローの運命やいかに!

ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった6/うしP

シローの想いを賭けたサークリングが翌日に決行される リーリャとタヌカナは心の準備を整える 

「私はシローさんのために全力で戦うわ」 タヌカナは燃える闘志を瞳に宿す 

「負けないわよ タヌキ」 リーリャも負けじと意気込む

いよいよサークリングの時が来た 魔法陣に囲まれた円形の舞台に二人が上がる 

「シローへの愛を示すのよ」 タヌカナが雄叫びを上げる 

「私の方がシローを愛している」 リーリャも熱い想いを叫ぶ

互いに赤裸々に愛を語りながら 二人は殴り合う ドワーフたちは大盛り上がりだ 

しかしシローはそれ以上見ていられない 愛する二人が痛み付け合う姿に心が張り裂ける 

「やめろ!」 シローはサークルに乱入する 「殴るなら俺を殴れ」 と懇願するように叫ぶ

リーリャとタヌカナは拳を止める 愛しいシローを前に躊躇う 

「殴れないわ」 リーリャが呟く 

「そうね 私たちじゃ決められない シローさんが決めるべきよ」 タヌカナも同意する

シローは頭を抱える 二人の想いに応えられない もがき苦しむ 

「決められない」 シローは苦渋の表情で言う 「だから・・・3人で冒険しよう」

リーリャとタヌカナは驚く そして顔を見合わせる 

「私たち・・・」 リーリャが言いかける 

「気が合うのかも」 タヌカナが続ける

二人はシュッとシローの顔面にストレートを叩き込む 

「ぐはっ!」 シローは鼻血を噴き出しながら倒れる 

「一緒に冒険しましょう シロー」 二人が笑顔で言う

こうしてシロー リーリャ タヌカナの奇妙な冒険パーティが結成された 

ドワーフたちは祝福の印に勢力増強剤をくれる 

「これで夜は13ラウンドまでいける」 族長がニヤリと笑う

冒険の旅が始まる 道中 リーリャがシローに寄り添う 

「ねえシロー 私のこと好きよね?」 リーリャが甘える 

「ああ 好きだ」 シローは真っ直ぐに答える

すると反対側からタヌカナが近づく 

「私も好きよね?」 タヌカナが上目遣いでシローを見つめる 

「ああ 好きだよ」 シローはニコリと微笑む

リーリャとタヌカナは睨み合う ライバル心むき出しだ 

「ちょっとシロー どっちが好きなの?」 二人が詰め寄る 

「え?そ それは・・・」 シローは困惑する

森を抜け 山を越え 三人の冒険は続く 異世界を救うため 愛のため シローは奮闘する 

立ちはだかる強敵を シローのパンチが薙ぎ倒していく リーリャの剣とタヌカナの声援が力強い味方だ 

「さすがシローね」 リーリャが感心する 

「私たちがいれば無敵よ」 タヌカナが誇らしげに言う

冒険の合間には ささやかな団らんのひと時もある 

「シロー あーんして」 リーリャが料理を差し出す 

「俺も食べさせてよ シローさん」 タヌカナが負けじと言う

シローは幸せそうに二人に応える 愛情たっぷりの料理に舌鼓を打つ 

「ああ 幸せだ」 シローがつぶやく

そんな中でも決断の時は訪れる 

「ねえ 選ぶならどっち?」 ある夜 リーリャが問いかける 

「そうよ はっきりさせてよ」 タヌカナも同調する

シローは頭を悩ませる 

「俺は・・・」 シローは言葉を探す 「お前たち両方が必要なんだ」

リーリャとタヌカナは目を見開く 

「私たち二人とも?」 リーリャが驚く 

「そんなの・・・ずるいわ」 タヌカナが頬を膨らませる

シローは真剣な眼差しで二人を見つめる 

「一人を選べなんて 俺にはできない」 シローは静かに言う 「だから・・・このまま3人で冒険を続けよう」

リーリャとタヌカナは複雑な表情を浮かべる でもやがて微笑みを取り戻す 

「仕方ないわね」 リーリャが肩をすくめる 

「ずっと一緒にいられるなら それでいいか」 タヌカナも折れる

こうしてシローの異世界ハーレム冒険譚は波乱を呼びつつも順風満帆に進んでいく 

果たしてシローは いつになったら二人のどちらかを選ぶのか それとも・・・? 

愛と冒険の日々は まだまだ終わりそうにない シローの運命やいかに!

ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった5/うしP

シローとリーリャは精霊の森を探索していた かつてこの地にはエルフの里があったという 森の奥深くに足を踏み入れたその時 ドワーフの群れが襲ってきた

「シロー 気をつけて! ドワーフたちは魔王の手下よ」 リーリャが剣を抜く 

「ははっ 全員一発だ」 シローはグローブを握りしめ 戦闘態勢に入った

ドワーフたちと戦うシローとリーリャ だが数の不利は覆せない その隙にリーリャが捕らわれてしまう

「リーリャ!」 シローが叫ぶ 

「シロー 助けて!」 リーリャの悲鳴が森に響く

「待ってろ リーリャ 必ず助け出す!」 シローは怒りに震える

ドワーフたちは魔王の配下となり 精霊の森を占領していた  

リーリャを奪還するため シローはドワーフの村へ乗り込む

「お前らいつまでこんなことやってる 魔王なら もう倒したはずだぞ」 シローは啖呵を切る 

「何?お前が魔王を倒したと?証拠を見せてみろ」 ドワーフたちは疑い深く言う

「よし 証拠ならいくらでも見せてやる」 シローは不敵に笑う 

「ならば サークリングで勝負だ 我ら10人と戦え」 ドワーフの族長が告げる

「サークリング?」 シローは首を傾げる 

「魔法陣で仕切られた円形の場所での殴り合いのことだ」 族長は不気味に笑う こいつバカか? 丸いリングのボクシングってことじゃねえか

サークリングが始まった 最初のドワーフが前に出る 

「おい 話が違うぞ 10人一緒に戦うんじゃないのか?」 シローは不満げだ

ザワつくドワーフたち 息を呑む者もいる

「やれ!」 族長が命じる

一斉に10人のドワーフがシローに襲いかかる 

パンパンパンパンパン・・・・・・・ 

シローは横一列のドワーフをジャブのワンパンで薙ぎ倒していく みんな棒のように倒れていった しょせん身長が150cmもないチビ達 階級が5つ以上違うならこんなものだ

「す すまなかった 本当にお前が魔王を倒したのか」 ドワーフたちは恐怖に震える 

「分かればよろしい」 シローは涼しい顔で言う

こうして精霊の森はエルフたちの手に戻った

 平和が戻ったかに思われたが そこに一人の女ドワーフが近づいてくる 

「あ あなたのパンチ すごいわ」 彼女はシローに恋心を抱いているようだ

「ああ まあな」 シローは照れくさそうに返す

「私の名前はタヌカナ タヌキみたいな顔だからそう呼んで」 女ドワーフは頬を赤らめる

その様子を見ていたリーリャは ヤキモキし始める 

「ちょっとシロー!浮気は許さないわよ!」 リーリャはシローの腕を掴む

「ち 違うってリーリャ 俺はお前一筋だって」 シローは必死に説明する

「私の方がシローさんにはお似合いだわ」 タヌカナがリーリャを挑発する 

「な!?ふざけないでよ このタヌキ!」 リーリャの怒りが爆発しそうだ

ドワーフたちはその様子を面白そうに眺めている 

「族長 あの人間 なかなかモテるな」 

「うらやましい限りだ」

シローは二人の女性に挟まれ 困惑している 

「落ち着いてくれ 二人とも」 シローは宥めようと必死だ 

「シロー!選ぶのよ 私かこのタヌキか!」 リーリャが迫る 

「そ それは・・・」 シローは冷や汗をかく

「シローさん 私を選んで!」 タヌカナが甘える 

「わ 私だってシローのことが好きなの!」 リーリャも負けじと訴える

ドワーフたちは大笑いしている 

「なんて面白い展開なんだ!」 

「人間のすることは分からないな!」

シローは頭を抱える こんなはずではなかったのに・・・ 

「族長 なんとかしてくれ」 シローは助けを求める 

「フフフ 私には良い考えがある」 族長が意味ありげに言う

「え?なんだって?」 シローの顔が青ざめる 

「二人の想いを試すのだ サークリングでな」 族長が笑みを浮かべる 

「ええっ!?」 シローリーリャタヌカナが揃って叫ぶ

「ま まさか・・・」 シローの顔から血の気が引く 

「私は構わないわ だって私の愛はノッポの色白女より強いもの」 タヌカナは承諾する 

「私だってちんちくりんには負けないんだから!」 リーリャも怯まない

波乱の予感に満ちたシローの異世界冒険譚 新展開の幕が切って落とされた 

はたして シローの決断は・・・ リーリャとタヌカナ 二人の想いの行方は・・・ 

ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった4/うしP

「シロー あなたは元の世界に帰らなければならないのよ」 ユイが告げる 

「何だって!?俺はここで冒険を続けたいんだ!」 シローは激しく動揺した

「あなたの役目はもう終わったの この世界にいるべきではない」 ユイは冷たく言い放つ

シローは愕然とした 自分が異世界の住人ではないことを思い知らされたのだ 元の世界に帰らなければならない宿命を背負わされていると

「シロー あなたはどうするの?」 リーリャが不安そうに尋ねる 

「シロー 私についてきて 一緒に元の世界で暮らそう」 ユイが必死の形相で訴える

シローは二人の間で引き裂かれそうになった リーリャを愛している でもユイとの絆も大切だ どちらも失いたくない だが決断しなければならない

「俺は…俺は…」 シローは言葉に詰まった 

「シロー あなたの幸せが一番よ 私はあなたを想い続けるわ どこにいても」 リーリャが涙を浮かべて言う

「シロー君 私はあなたと一緒にいたい でも無理強いはしない あなたの決めた道を応援するよ」 ユイも笑顔で語りかける

二人の思いに胸を打たれ シローは決意した 自分の心に従おうと

「リーリャ ユイ 俺はここで冒険を続ける 俺の居場所はここなんだ」 シローは力強く告げた

「シロー…」 リーリャは涙を拭い 微笑む 

「シロー君 私も応援してる いつかまた会おうね」 ユイも前を向いて言った

こうしてシローは異世界での冒険を続けることを選んだ ユイとの別れは辛かったが 新たな決意を胸に歩み出す

「さて 次の冒険に出るか!」 シローは拳を握り 笑顔を見せた

「ええ 一緒に頑張りましょう」 リーリャも力強く頷く

幼馴染のユイとは別れたが リーリャとの絆はさらに深まった 二人で力を合わせれば どんな困難も乗り越えられると信じていた

冒険の日々は続く 時に笑い 時に涙する でもシローは前を向いて歩んでいく 仲間と共に この異世界で自分の居場所を見つけたのだから

そんなある日 シローは森の奥で不思議な光を見つけた 近づいてみると そこには一つの祠が佇んでいた

「これは…ボクシングの神様を祀る祠?」 シローが呟く

祠の中に入ると そこには黄金のグローブが安置されていた 思わずグローブに手を伸ばすシロー するとグローブが眩い光を放ち シローの手に吸い込まれていく

「なんだこれは!?」 シローが驚きの声を上げる

光が収まると シローのグローブは黄金の輝きを帯びていた パワーがみなぎってくるのを感じる

「シロー その黄金のグローブは選ばれし者だけが手にすることができるのよ」 リーリャが畏敬の念を込めて告げる

「俺が選ばれたってことか…」 シローは感慨深げだ

「これからのあなたの冒険が どんなものになるのか 楽しみね」 リーリャはワクワクした様子で言う

「ああ 世界中を駆け巡って 平和を守ってみせる!」 シローは黄金のグローブを掲げ 宣言した

新たなパワーを手に入れたシロー 彼の冒険はさらなる高みへと駆け上がっていく そしてリーリャはいつでも彼の傍にいた 二人の絆は何物にも揺るがない

遥か彼方 元の世界ではユイが空を見上げていた 

「シロー君 がんばってね 私はいつもあなたを想っている」 ユイは優しく微笑む

こうして 異世界ボクサーシローの伝説は始まったのであった 黄金のグローブと共に 彼は新たな伝説を紡いでいく リーリャと寄り添いながら

ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった3/うしP

シローとリーリャは長い冒険の末 とあるエルフの村にたどり着いた 村人たちは二人を歓迎し 心からのおもてなしをしてくれた

村で過ごす中で シローは子供たちがいじめられているのを目撃する 自分も子供の頃 ボクシングと出会うまではいじめられていたことを思い出し シローは子供たちを助けることを決意した

「リーリャ 俺はこの子たちにボクシングを教えたい」 シローが真剣な眼差しでリーリャに告げる 

「いいわ シロー あなたの思いはよくわかります 私もできる限り協力しましょう」 リーリャは微笑み シローの手を握った

こうしてシローは村の子供たちにボクシングを教え始めた 最初は戸惑っていた子供たちも シローの熱心な指導により少しずつ上達していく

「よし その調子だ もっと拳に力を込めるんだ」 シローは子供たちにアドバイスを送る 

「はい シロー先生!」 子供たちは生き生きとした表情で練習に励んだ

日々の練習を重ねるうち 子供たちは自信と勇気を身につけていった いじめはなくなり 村に笑顔が溢れるようになった

そんなある日 村に異変が起きた 村の守り神であるエルフの木が何者かに傷つけられ 枯れ始めてしまったのだ 村人たちはパニックに陥り 途方に暮れていた

「シロー先生 僕たちにできることはありませんか」 子供の一人がシローに尋ねる 

「あるよ 君たちが学んだボクシングで村を守るんだ」 シローは子供たちを鼓舞した

シローとリーリャの指導のもと 子供たちは村を守るため立ち上がった 彼らは村の周りを見回り 不審な影を見つけると果敢に立ち向かっていく

「そこにいるのは誰だ!」 子供たちが敵の影に声をかける 

姿を現したのは 隣の村の者たちだった 彼らはエルフの木を枯らし 村を乗っ取ろうと企んでいたのだ

子供たちは怖気づくことなく 敵と戦った シローから教わったボクシングを駆使し 次々と敵を打ち倒していく

「やったぞ みんな!俺たちの村は俺たちで守るんだ!」 子供たちが歓喜の声を上げる

シローとリーリャも駆けつけ 子供たちとともに敵と戦った 二人の力強さに子供たちは勇気づけられ 最後まで戦い抜いた

見事村を守り抜いた子供たちは 英雄として称えられた エルフの木も元の姿を取り戻し 村に平和が戻った

「リーリャ 俺はこの子たちを誇りに思うよ」 シローが感慨深げに呟く 

「ええ 彼らはあなたの教えをしっかりと受け継いだのね」 リーリャも嬉しそうに微笑んだ

村を去る日 シローとリーリャは子供たちに別れを告げた 

「みんな 本当にありがとう 君たちと過ごした日々は忘れない」 シローが子供たち一人一人と握手を交わす 

「シロー先生 リーリャ先生 またいつか会いに来てください」 子供たちが涙ぐみながら言う

「ああ 必ず戻ってくるよ そん時はもっと強くなってな」 シローは力強く頷いた

村を後にしたシローとリーリャ 二人きりの時間が戻ってきた 

「ねえ シロー ボクシングを教えるあなた すごく素敵だったわ」 リーリャが頬を赤らめる 

「リーリャ 俺はお前と一緒にいるから強くなれるんだ」 シローもリーリャを見つめ 告白しようとした その時だった

「こら~!シロー君 勝手にいい雰囲気出すんじゃないわよ!」 後ろから聞き覚えのある声が

振り返ると そこには異世界から来たはずの幼馴染の女の子 ユイがいた 

「ユ ユイ!?なんでお前がここに!?」 シローが驚きの声を上げる

「シロー君の事が心配だったから 異世界まで来ちゃった♪」 ユイが嬉しそうに言う

「ちょっと!誰よアンタは!シローは私のなんだから!」 リーリャが怒りの形相でユイに詰め寄る

「はぁ!?私こそシロー君の幼馴染なんだから!」 ユイも負けじと言い返す

シローを挟んで リーリャとユイのバトルが始まった

「ちょ 二人とも落ち着いて」 シローが必死にあやすが 聞く耳を持たない

こうして 異世界ボクサーシローの新たな冒険の幕が上がったのであった

ボクシングが強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった2/うしP

シローとリーリャは新たな冒険に出発した 目的地は遠く離れた砂漠の地 かつてそこは緑豊かな森だったが 巨大ミミズが土を掘り返し 木々を根こそぎにしてしまったのだ

二人が砂漠に足を踏み入れると そこには一本の木もない荒涼とした光景が広がっていた 

「ここは本当に昔は森だったのか」 シローが疑問を口にすると リーリャは悲しそうに頷いた 

「ええ でも巨大ミミズが現れてからは 砂漠に変わってしまったの 私たちはなんとかしてミミズを退治しないと」

その時 地面が突然盛り上がり 巨大なミミズが姿を現した 

「気をつけて あれがミミズよ」 リーリャが剣を構える 

シローも拳を握り締め ミミズに立ち向かった

だが ミミズの体表はオイルを塗ったようにぬめっていて 剣もパンチも滑ってしまう 

「くそっ 攻撃が効かない」 シローが舌打ちする 

リーリャも懸命に剣を振るうが ミミズの体を傷つけることができない

その隙にミミズがリーリャに襲いかかり 彼女を飲み込んでしまった 

「リーリャ!」 シローが叫ぶ 

リーリャの姿が見えなくなり シローは激しい怒りに震えた

「リ――――――リャアアアアアア!!!!!」 

シローは金切り声を上げながら ミミズに向かって拳を繰り出した 秒間100発のジャブが ミミズの体表を打ち据える

ジャブの連打により ミミズの体表の粘液が飛び散っていく と同時に リーリャがミミズの口から吐き出された

「リーリャ 大丈夫か」 シローが駆け寄る 

「ええ なんとか」 リーリャが答える

シローはハッとした ジャブで粘液を飛ばすことができるのだ 

「わかったぞ リーリャ」 シローが叫ぶ 「俺がジャブでミミズの粘液を取り除く その隙にお前が斬りつけるんだ」

「わかったわ」 リーリャが力強く頷く

シローは再びミミズに向かって突進した 高速のジャブを繰り出し ミミズの体表の粘液を次々と剥ぎ取っていく

粘液がなくなった体に リーリャが飛びかかる 鋭い剣さばきでミミズの体を切り刻んでいった

「やったわ シロー」 リーリャが歓喜の声を上げる 

巨大ミミズは100枚の輪切りにされている

「これで砂漠に平和が戻るな」 シローがリーリャに微笑みかける 

「ええ あなたのおかげよ」 リーリャも笑顔を返した

シローとリーリャは砂漠を後にし 次なる冒険へと旅立った 二人の絆は戦いを通してさらに深まっていく

新たな出会いと別れ 困難な戦いの数々が二人を待ち受けている それでも シローとリーリャは力を合わせて乗り越えていくのだった

冒険の旅は続く シローのボクシングとリーリャの剣術が織りなす戦いの日々 二人はこれからも様々な脅威に立ち向かい 異世界の平和を守り抜くのだ

ボクシング強すぎて異世界に逝ったらエルフの女騎士と冒険に出ることになった/うしP

ボクシングが強すぎて対戦相手がいなくなった男がいた 試合をしたくてもチャレンジャーが現れない 日々の鍛錬を欠かさないが 実戦の機会がない状況に男は苛立ちを隠せなかった

ある日 いつものようにジムで汗を流していると 突然目の前が真っ白になった 次の瞬間 男は見知らぬ世界に立っていた 周囲を見渡すと 中世ヨーロッパのような街並みが広がっている

「ここはどこだ」 男が呟くと 背後から声が聞こえた 「初めまして 異世界からの旅人さん」 振り返ると そこには美しいエルフの女性が立っていた 「私はこの国の騎士 リーリャと申します あなたをお待ちしていました」

話を聞くと 男はボクシングの強さが災いして 異世界に召喚されたらしい この世界には勇者が必要とされており 男の力が頼りにされているという リーリャは男に協力を求めてきた

「ボクシングの強さが必要とされている世界があったとはな」 男は苦笑しながらも 新たな世界での戦いに胸を躍らせた リーリャに導かれ 男は冒険の旅に出発した

道中 リーリャから この世界の脅威について聞かされる 魔物が跋扈し 平和を脅かしているという 「私の剣術とあなたのボクシングで 必ず平和を取り戻しましょう」 リーリャの言葉に 男は力強く頷いた

森を抜けた先で 男たちは魔物の群れと遭遇した リーリャが剣を抜く間もなく 男はボクシングの構えを取った 「まずはお前らから倒していくか」 男は拳を握り締め 魔物に向かって突進した

ボクシングの技術は異世界でも通用した 次々と魔物を倒していく男の姿に リーリャは驚きを隠せない 「あなたの腕前は本物ですね」 二人は息の合った連携で 魔物の群れを撃退した

冒険を続ける中で 男とリーリャの絆は深まっていった お互いの技を教え合い 戦いの中で信頼を育んでいく 男はボクシングをさらに磨いていった

ついに男たちは魔王の城に辿り着いた 「ここまで来られたのは あなたのおかげです」 リーリャが男に告げる 「いや 俺一人じゃ何もできない お前との出会いがあったからこそだ」 男はリーリャの手を取り 決意を新たにした

魔王との戦いは熾烈を極めた リーリャの剣さばきと 男のボクシングの連携が功を奏し 魔王を追い詰めていく 最後の一撃を放った男は ガッツポーズで雄たけびを上げた

「私たちやったわ」 リーリャが男に抱きついてくる 「ああ 俺たちの勝利だ」 二人は歓喜に包まれた 平和を取り戻した世界で 男はリーリャと新たな冒険に旅立つことを誓った

「俺はボクシングを続ける でも それと同じくらい大切なものを見つけた」 男はリーリャを見つめながら言った 「あなたとの冒険は かけがえのない思い出です これからもずっと一緒にいてください」 リーリャはうれしそうに頷いた

かくして 男は異世界でボクシングの強さを発揮し 魔王を倒してリーリャと冒険を続けることになった 現代に戻る方法はまだわからないが 男にはそれほど急ぐ気はなかった 新しい世界で リーリャとの毎日が楽しみでしかたないのだった

元ボクシングチャンプの俺が異世界の巨乳エルフ騎士団長と結ばれました 後編/うしP

〜第6章:愛の告白〜


魔王との戦いから数日後、俺は重大な決意をする。

ティアナへの想いを、きちんと伝えようと。

あの戦いを通して、彼女への気持ちが確かなものになったのだ。

もはや、このまま黙っているわけにはいかない。


「よし、決めた。今日こそ、ティアナに告白するぞ!」

鏡の前で気合を入れる俺。

だが、いざ告白となると、やはり緊張は隠せない。

「で、でも…うまく言葉に出来るか、自信ないな…」


そんな時、愛音から連絡が入る。

「もしもし、健二君? 今日ちょっと話があるんだけど、会えない?」

「え? あ、ああ…でも、今日は予定があって…」

「ダメ? たった5分でいいの。お願い!」

愛音の懇願に、俺はつい了承してしまう。

ティアナへの告白は、その後でいいだろう。


指定された喫茶店で、俺は愛音の到着を待つ。

ドアが開き、愛音が姿を現す。

いつもと違う、少し大人びた雰囲気だ。

「ごめんね、待たせちゃって」

「い、いや、大丈夫だ。で、話って何だ?」


俺の問いに、愛音は一瞬躊躇したあと、口を開く。

「健二君は…ティアナさんのこと、好きなの?」

「え?」

愛音の言葉に、俺は目を丸くする。

まさか、そんな質問をされるとは…。


「あの、その…俺は…」

「ごめん、聞かなかったことにして。…でも、健二君。私、負けないから」

そう言い残して、愛音は店を後にした。

残された俺は、しばし放心状態。

「は? 今のって、愛音からの宣戦布告!?」


一方その頃、ティアナは深い考え込んでいた。

(健二のやつ、最近やけに私を意識しているな…まさか、私への想いに気づいたか?)

巨乳を揺らしながら、街中を歩くティアナ。

道行く男たちの視線を集めながらも、彼女の頭の中は健二のことでいっぱいだ。

(ふふ、ならば少しからかってやるか。健二の反応が楽しみだ)


そうしてジムに向かうティアナの前に、怪しい集団が立ちはだかる。

「おっと、美人さんだな。俺たちと遊ばないか?」

「ふん、どこの馬の骨とも知れぬ輩に、私が付き合うものか」

不敵な笑みを浮かべるティアナに、男たちは苛立ちを隠せない。

「生意気な! 俺たちを誰だと思ってやがる!」


男の一人が、ティアナに拳を振り上げる。

だが、彼女はその腕を軽々と掴むと、男を地面に叩きつける。

「ぐはっ!」

「これだから、鍛錬を積んでいない男は困る。精進が足りんぞ」

残る男たちにも容赦ない連打を浴びせ、ティアナは悠々とその場を立ち去る。

「健二も、もっと鍛錬を積まねばな。…ふふ、でも、今の彼はなかなかいい男だ」


そうしてジムに到着すると、そこには固唾を飲んで待ち構える俺の姿があった。

「ティアナ、話がある。ちょっと外に出られるか?」

「ほう、私に何の用だ?」

ティアナを連れ出し、人気のない公園へと向かう。

心臓の高鳴りが、俺の緊張を物語っている。


「ティアナ、実は俺…お前のことが、その…」

「何だ、はっきり言え。私はそういうのは嫌いだぞ」

「う…わかった。ティアナ、俺は…お前が好きだ! 付き合ってくれ!」

言葉に詰まりながらも、俺は必死に想いを告げる。

するとティアナは、にやりと不敵な笑みを浮かべた。


「ふん、よくぞ言ってくれた。私も健二のことが気に入っている。…まあ、私の夫にふさわしいとは思っていたがな」

「え? じゃ、じゃあ…」

「ああ、私も健二のことが好きだと言っているのだ。私たちは、夫婦として相応しい」


そう言って、ティアナが俺の唇を奪う。

「む…!?」

柔らかくも、力強い感触。

ティアナの巨乳が、俺の胸に押し付けられる。

「ふふ、これで健二は私の物だ。異世界に持ち帰ってもいいくらいだな」

「ちょ、ちょっと待て! お、俺はまだこの世界で…」


そんな俺たちの様子を、物陰から愛音が見つめていた。

「健二君…でも、私の気持ちは変わらない。負けない、負けないんだから…!」

愛音の瞳に、強い決意の炎が灯る。

ティアナへの対抗心を燃やしながら、彼女はその場を後にした。


「健二、これからは二人で鍛錬だ。そして、私と一緒に異世界へ来い」

「いや、だからそこまでは…」

「ふふ、私からは逃げられないぞ。健二は私だけの物なのだから」

幸せそうに微笑むティアナ。

俺はこの巨乳剣士に翻弄されっぱなしだが、それもまた悪くない。

きっと、彼女と一緒なら、どんな困難も乗り越えられる気がするのだ。


「愛音にはちゃんと話をつけないとな…」

「ふん、あの女とは敵対関係にあるからな。容赦はせんぞ」

「いや、そこは穏便にいこうよ…」


そんなやり取りをしながら、俺たちは手を繋いで歩き出す。

これから先、どんな日々が待っているのか。

わからないことだらけだが、胸の高鳴りは止まらない。

ティアナとの幸せな未来を、俺は心から願うのだった。


〜第7章:新たな日常〜


魔王との戦いから数週間が経ち、街には平和が戻ってきた。

俺、伊藤健二とティアナ・シルバーリーフの新たな日常が始まる。

ティアナとの甘い日々に、俺は有頂天だ。

だが、そんな平和も長くは続かない。


「健二、貴様は怠けすぎだ。もっと鍛錬を積まんか」

「ちょ、ちょっと待て! 魔王を倒したばかりだろ? 休ませてくれよ」

「ふん、そんな甘い考えでは、いつ敵に襲われるかわからんぞ」

容赦ない特訓を強いるティアナ。

その巨乳を揺らしながら、俺に襲いかかってくる。


「痛っ! わ、わかったって! 付き合うから!」

「その意気だ。私と手合わせをしろ」

鋭い剣撃の応酬。

微塵の隙もない攻防に、俺は必死だ。

「くっ…お前、本気か!?」


「当然だ。お前は私の夫なのだから、相応の力量が求められる」

得意げに言い放つティアナ。

そう、俺とティアナは夫婦になったのだ。

正確には、異世界の掟により、魔王討伐を共にした者同士は結ばれるのだという。

「だ、だからって容赦ないだろ! 愛情はどうした!」


「愛情? そんなものこそが甘えだ。お前を鍛え上げることが、私の愛情だと心得よ」

「は? そんな恐ろしい愛情、聞いたことねえよ!」

文句を言いつつも、俺はティアナの想いに騙されていく。

彼女なりの愛情表現なのだと、そう信じたいのだ。


そんなある日、愛音が俺に話しかけてきた。

「ねえ健二君、聞いて欲しいことがあるの」

「愛音? どうしたんだ?」

「私、健二君のことが本当に好きなの。ティアナさんに負けたくない!」

真剣な眼差しで、愛音は俺に想いを告げる。

「だから、健二君とデートがしたいの!」


「で、デート!?」

唐突な申し出に、俺は狼狽える。

そりゃあ愛音は可愛いし、デートも悪くはないが…。

「ふん、私の夫に何を企んでいるのだ」

その時、背後からティアナの声がした。


「て、ティアナ! い、いや、これは…」

「私抜きでデートだと? 健二、貴様…」

怒気を孕んだ声に、俺は背筋が凍る。

「ち、違うんだ! 愛音が言い出したことで…」

「言い訳無用! 不貞の罰として、覚悟せよ!」


ティアナが剣を抜く。

マジかよ、俺の細胞が震える。

「ひ、ひいい! ごめんなさい!」

「ふん、許さん! 覚悟!」

容赦ない斬撃が、俺に襲いかかる。

なんてこった、ティアナの怒りは凄まじい!


「ま、待って! ティアナさん、私は健二君を幸せにしたいだけなの!」

「幸せ? お前如きに、私の夫の何がわかる」

「…健二君の本当の気持ちを、あなたはわかってあげられてるの?」

愛音の言葉に、ティアナは剣を止める。

「…何だと?」


「だ、だからさ、ティアナ。俺は別に愛音とのデートを望んでるわけじゃ…」

「黙れ健二。確かに、私は健二の気持ちを深くは理解できていなかったのかもしれん」

ティアナが俯く。

その巨乳が、俺の視界に収まる。

「ティアナ…?」


「私はな、健二。元々、異世界の掟に従い、お前を夫としたのだ。だが、お前との日々を通し、私自身もお前を真に想うようになった」

ティアナの瞳に、強い想いが宿る。

「私はお前を、心から愛している。だから、お前の本当の幸せを、もっと真摯に考えねばならぬ」

「ティアナ…俺も、お前のことが…」


「わかった。健二、愛音とのデートを許可しよう」

「え? ほ、本当に?」

「ただし、私も同行させてもらう。異議は認めん」

ティアナの雄々しい宣言に、愛音も俺も唖然。

「ふふ、これで公平というものだろう? 健二の本当の想いは、このデートで明らかになるはずだ」

そう笑うティアナに、俺は溜息をつく。

ティアナ節健在だが、彼女の真摯な想いは伝わってくる。


こうして、俺と愛音、ティアナの奇妙な三人デートが実現した。

街を歩けば、道行く人々が振り返る。

「なあ、あの巨乳の美女は誰だ? モデルか何かか?」

「いや、見ろよ。凄腕の戦士って感じがするぜ」

ティアナの存在感は、やはり際立っている。


「ティアナさん、あんまり目立っちゃ困るんだけど…」

「ふん、大声を出すな愛音。私は普通に歩いているだけだ」

「いや、明らかに浮いてるから…」

二人のやり取りに、俺は苦笑する。

女の バトルは、なかなか厄介だ。

だが、二人に愛されている幸せを、俺は噛みしめずにはいられない。


突如、悲鳴が街に響き渡る。

「キャー! 助けて!」

見れば、獣のような化け物が街の人々を襲っていた。

「あれは…魔王の残党か!?」

ティアナが身構える。

異世界の戦士は、敵の気配を敏感に察知する。


「健二、愛音、下がっていろ。私が相手をする」

「ば、バカを言うな! 俺も戦う!」

「私も! 健二君を守りたいの!」

俺とティアナの決意に、愛音も加わる。

ティアナは一瞬躊躇したが、すぐに頷いた。

「…わかった。だが、危なくなったらすぐ退くのだぞ」


「おうよ! 行くぞ、ティアナ、愛音!」

「うん! 負けないわ!」

俺たち三人は、化け物に立ち向かう。

剣、拳、蹴りが、次々と化け物を薙ぎ払う。

「さすがは健二君! 頼もしいよ!」


愛音に背中を預けながら、俺は必死に戦う。

だが、なかなか化け物の数は減らない。

「くそっ、こいつら…何匹いるんだ!?」

「健二、焦るな! 奴らの急所を狙うのだ!」

ティアナの助言で、俺は我に返る。

そうだ、数で劣る以上、質で勝負するしかない!


「ティアナ! 背中を任せる!」

「ふん、男らしくなってきたな! 任せておけ!」

俺とティアナはコンビネーションを組み、化け物を次々と討伐する。

愛音も、持ち前の柔軟性で敵をかく乱する。


「よし! あともう少しだ!」

「健二君、気を付けて!」

最後の化け物を前に、俺は全力の拳を叩き込む。

「喰らえええ! 俺たちの平和をぶち壊す奴は、許さねえ!」

渾身の一撃が、化け物の急所を貫いた。


「グオオオオ!」

絶命の断末魔を上げ、化け物は消えていく。

街に、歓声が沸き起こる。

「やったぞ健二君! ティアナさん!」

勝利に喜ぶ愛音。

だが、俺とティアナの顔は曇っている。


「どうやら、魔王の脅威は去ってはいないようだな」

「ああ、まだ気が抜けねえ。だが、俺たちは…」

「そうね。私たち三人なら、どんな敵でも倒せるはず」

愛音も頷き、俺たちは固く手を結ぶ。

新たな日常は、常に脅威と隣り合わせだ。

だが、俺にはもう、仲間がいる。

たとえ敵が何者であろうと、俺たちの絆が、きっと勝利をもたらしてくれるだろう。


数日後、ジムでの一コマ。

「健二、集中が足りん! もっと腰を落として構えろ!」

「ああもう、わかったよ! さっきから言ってるだろ!」

相変わらず、ティアナの特訓に付き合わされる日々。

「健二君、頑張って! 私、応援してるから!」

そんな俺を愛音が励ましてくれる。


「ったく、こんな日々がいつまで続くやら…」

文句を言いつつも、俺はこの日常が嫌いじゃない。

「…なあティアナ。お前、なんでこの世界に来たんだ? それに、なんで俺なんかを?」

ふと、ティアナに聞いてみる。

「フン、忘れたのか? 異世界の掟で夫になったのがお前なのだ。文句があるのか?」


確かに、そうだったな。

「いや、そうじゃなくて…俺みたいな奴を選んだ理由が知りたいんだ」

「…………」

ティアナの顔が、一瞬物憂げに見えた。

「それは、健二。私の心が、お前を求めたからだ。お前は私の理想であり、私の生きる希望なのだよ」

優しく微笑むティアナ。

その笑顔を、俺は初めて見た気がした。


「ふざけるな。理想だの希望だの、大袈裟すぎるだろ」

「ふん、嫌ならやめてもいいんだぞ? 代わりはいくらでもいる」

「…俺は、お前じゃなきゃダメなんだ。お前と出会えて、本当に良かった」

素直な俺の言葉に、ティアナが目を見開く。

そして、まるで少女のように頬を赤らめる。

「バ、バカを言うな…///」


照れるティアナに、愛音も微笑む。

「ティアナさんも、素直じゃないんだから」

「う、うるさいぞ愛音! 貴様も鍛錬に付き合え!」

「えええ!? 私まで!?」

慌てふためく愛音に、俺は大笑いだ。

「ハハハ! こんな日々も、悪くないよな!」


「健二、お前も笑っていないで鍛錬だ! 覚悟しろ!」

「はいはい、わかったよ旦那!」

こうして、俺たち三人の賑やかで、愛に満ちた日々は続いていく。

時にぶつかり合い、支え合いながら。

俺は、この幸せな日常が、ずっと続くことを願うのだった。


(おしまい)

元ボクシングチャンプの俺が異世界の巨乳エルフ騎士団長と結ばれました 中編/うしP

〜第4章:三角関係の行方〜


俺、伊藤健二。元ボクシング日本チャンピオンにして、今はジムの経営者兼トレーナーだ。

そんな俺の前に突如として現れたのが、異世界から来た巨乳美女の騎士団長、ティアナ・シルバーリーフ。

一方、ジムに通うOLの愛音は俺に好意を寄せているらしく、ティアナを恋のライバルだと意識している。

…なんて状況だ。

日常は瞬く間にファンタジーへと染め上げられ、ドタバタの日々が始まった。


「我が夫よ、朝のトレーニングの時間だ。さっさと起きんか」

「んあああ…! ってティアナ、お前俺の部屋で何してんだ!」

目覚めた俺を出迎えるのは、ティアナの豊満すぎるバストだった。


「何とは何だ。妻たる者、夫の寝顔を見守るのは当然のことだろう」

「だから夫じゃねえ! って、お前その格好は何だよ!」

そう、ティアナときたら全裸にエプロン姿だというのだ。

もはやギリギリすぎて、何も隠せていない!


「フン、偶然にも愛音のやつから『裸エプロンで男を誘惑する』という戦術を聞いたのだ。どうだ、参ったか?」

「参ったも何も、俺はそういうのは愛音とだな…」

がしっ! と俺の顔面にティアナの拳が炸裂する。


「浮気は許さんぞ、この不届き夫!」

「いてえ! 何すんだ! いきなり殴るな!」

頬を押さえながら文句を言うと、ティアナは不敵な笑みを浮かべた。


「ほう、私に反抗するつもりか? いいだろう、まずは朝の組手といこうではないか!」

「おいおい勘弁してくれ! 俺、今日は仕事が…」

「先日の敵襲で散々だったお前の姿を見れば、特訓の必要性は明白だ。さあ、覚悟!」

容赦ない蹴りが俺の顔面を襲う。

ティアナの戦闘力の前では、俺の全盛期でさえ歯が立たない。


「うおお! 分かった、付き合うから! せめて外でやろうぜ!」

「ふん、場所など関係ない。お前は私に捧げられた存在なのだからな」


なんて理不尽な…。

こうして俺の苦悩に満ちた朝が始まるのだった。


ジムに向かう途中、俺は愛音と出くわした。

「あ、健二君…おはよう」

「よお、愛音。珍しいな、こんな時間に」

「ちょっと早起きしちゃって。健二君は…」

チラリとティアナを見る愛音。

二人の間に一瞬、奇妙な沈黙が流れる。


「ふん、こんなところで何をしている。早く特訓を始めんか、健二」

「ちょ、ちょっと待てって! 愛音とは久しぶりに会ったんだから、ゆっくり話したいだろ?」

「私は許可しないぞ。お前は今日一日、私の手中にあるのだからな」

ティアナの凄みに、思わず固まる俺。


「健二君、私…応援してるから。だからティアナさんと、楽しんできてね」

「あ、愛音…」

寂しそうに微笑む愛音に、俺は言葉を失った。

こんな、すれ違いっぱなしでいいのか?


「ほら、行くぞ健二! 朝一番のスパーリングだ!」

「お、おう…じゃ、愛音。また今度…」

「うん、気をつけて」

小さく手を振る愛音の姿に、胸が締め付けられる思いだった。


ジムでは、容赦ないティアナの特訓が待っていた。

「 このダンベルをもったままスクワットを100回だと!?」

「当然だ。この程度で音を上げるな。ほら、もっと下まで落とせ!」

ギリギリまで膝を曲げさせられ、地獄のようなトレーニングが続く。

その間、リングでは暇を持て余したティアナがスパーリングをしていた。


「ふん、この程度の男では私の相手にならんな」

ボクサーたちを次々と打ち倒す巨乳の女騎士。

その姿はまさに圧巻で、ジム中が彼女に釘付けだ。


「健二、お前も私とやるぞ」

「はあ!? 流石に無理だって!」

「これは特訓だ。真剣に来い!」

ティアナの剣が俺に迫る。

必死で避け、カウンターを狙うが、彼女の動きは俊敏すぎた。


「くっ…こんなの絶対おかしいだろ…」

「甘いな健二。私はまだ本気を出していないというのに」

まるで遊ばれているようで、俺の自尊心は打ち砕かれていく。

ティアナの強さの前に、俺は無力すぎる。


そんな時、ジムの扉が開いた。

「健二君、話があるの…って、ってええええ!?」

そこには、愛音の姿があった。

しかし彼女の目の前で、俺はティアナに組み伏せられていた。


「愛音、これは特訓だからな。誤解するなよ」

「ふん、特訓だと言うなら仕方ないか。見てろ愛音、私が健二を鍛え上げる姿を」

楽しげに告げるティアナ。

だが、愛音の表情は曇っていた。


「ごめん、邪魔したみたいね。健二君、また…」

「ま、待ってくれ愛音! 俺はお前と…」

立ち去る愛音を追いかけようとするが、ティアナに腕を掴まれ、身動きが取れない。


「どこに行くつもりだ。特訓はまだ終わっていないぞ」

「離せってんだ! 愛音を置いていくわけには…」

俺の心は葛藤に満ちていた。

ティアナを受け入れるべきなのか、愛音の元へ行くべきなのか。

自分の気持ちが、どちらに傾いているのかもわからない。


「俺は…俺は一体、何をすればいいんだ…」

込み上げてくるモヤモヤを抑えきれず、俺はその場に崩れ落ちた。

ティアナと愛音、二人の想いに挟まれ、身動きが取れない。

このままじゃ、俺は何も前に進めないじゃないか…!


〜第5章:魔王襲来〜


ある日、いつものようにジムで特訓に明け暮れていると、外から凄まじい爆発音が聞こえてくる。

「な、なんだ!?」

俺は驚いて窓の外を見やる。

そこには、巨大な魔物の姿があった。


「まさか…私の予感は的中したようだな」

ティアナが険しい表情で呟く。

「どういうことだ? お前、何か知ってるのか?」

「ああ、あれは間違いなく魔王軍の残党だ。奴らはきっと、この世界を魔王軍の支配下に置こうと画策している」


そう言えば、以前公園で襲われた時も、ティアナは同じようなことを言っていた。

「でも、お前が倒したんじゃないのか?」

「あれはほんの一部に過ぎん。本隊はこれから現れるはずだ」

ティアナの言葉に、俺は戦慄する。

こんな異世界の戦争に巻き込まれるなんて…。


「健二、行くぞ」

「は? どこに?」

「決まっている。魔王軍と戦うのだ」

ティアナは迷いのない眼差しで俺を見つめる。

いつもの巨乳が、今は頼もしく見えた。


「ちょ、ちょっと待て! 俺は戦えるわけないだろ!」

「お前は私の夫だ。共に戦うのが務めだろう」

「だからお前の夫じゃねえ!」

言い合いをしている間にも、魔物の数は増えていく。

このままじゃ、街が壊滅してしまう…!


「健二君!」

その時、愛音が駆け寄ってきた。

「愛音、危ないから離れろ!」

「でも…健二君も危険じゃない! 私、健二君を守りたいの!」

涙を浮かべる愛音の姿に、俺は胸が締め付けられる。


「愛音…」

「ふん、こんな時に情に流されるとは。私の夫としてあるまじき行為だな」

容赦ないティアナの一言。

だが、そんな彼女も、愛音を案じているのは明らかだった。


「…わかったよ。俺も行く」

「健二君!」

「健二、そう来なくては」

俺の決意に、二人は驚きと嬉しそうな表情を浮かべる。


「よし、そろそろ行くか。健二、私の後について来い」

「ちょ、鎧もなしで!?」

「お前には私という盾がある。それだけで十分だ」

強気なティアナに、俺は溜息をつく。

…でも、なんだかんだ言って、心強い味方だと思ってしまう自分がいる。


そうして、俺たちは街の中心へと向かった。

そこには、魔王軍の大群が待ち構えていた。

「喰らえ! 愚かな人間どもめ!」

魔物たちが一斉に襲いかかってくる。


「ふん、行くぞ健二!」

ティアナが颯爽と剣を振るう。

巨乳を揺らしながら、次々と魔物を斬り伏せていく姿は、まさに圧巻だ。

対する俺は、必死で後方支援に回る。

拳では魔物に歯が立たないことは、もう思い知った。


「健二、後ろだ!」

ティアナの声に振り向くと、巨大な魔物が俺に迫っていた。

「うわあああ!」

咄嗟に身をかわすが、間一髪のところで魔物の爪が俺の腕を掠める。


「く、くそお…」

傷口から血が滲み、痛みが走る。

このままじゃ、俺はティアナの足手まといになってしまう…!


「健二君、しっかりして!」

駆け寄ってきた愛音が、俺の傷口を必死に押さえる。

「すまん…愛音。俺は、役立たずで…」

「そんなことない! 健二君は、頑張ってるじゃない!」


愛音の言葉に、俺は我に返る。

そうだ、俺だって戦えるはずだ。

ティアナのためにも、愛音のためにも、俺は強くならなきゃいけない!


「ティアナ! 俺に武器を貸してくれ!」

「よく言った。ほら、これを使え」

ティアナが差し出したのは、銀色に輝く短剣だった。

俺は短剣を手に取ると、魔物へと向き直る。


「覚悟しろ、魔物ども! 俺は…俺はもう逃げない!」

拳から武器に持ち替えた俺は、新たな気持ちで戦いに臨む。

ティアナの指導のおかげで、少しは剣の扱いを心得ていた。

俺の短剣が、次々と魔物の急所を突く。


「いいぞ健二! その調子だ!」

「健二君、頑張って!」

二人の声援を受け、俺は勇気百倍だ。

魔物の数は減っていき、形勢は俺たちに傾いていく。


「くっ、気持ち悪い人間めが…私の美しき世界を汚すな!」

その時、魔物の大群を押しのけるようにして、一人の男が現れた。

黒いローブに身を包み、禍々しいオーラを放つ男。

間違いない、あれが魔王その人だ。


「ようやく顔を見せたか、魔王よ」

「ティアナ…いつまでも私から逃げ続けるつもりか」

二人は剣を交えながら、睨み合う。

まるで、因縁の対決のようだ。


「お前の野望は、私が必ず打ち砕いてみせる!」

「ふん、望むところだ。人間など、私の玩具に過ぎぬ」

魔王の剣撃は凄まじく、ティアナも一歩一歩押し込まれていく。

このままでは、ティアナが…!


「ティアナ!」

俺は魔王に向かって短剣を投げつける。

「ぬうっ!」

不意打ちに魔王は一瞬怯む。

その隙に、ティアナの剣が魔王の急所を貫いた。


「ば、馬鹿な…私が、ティアナめに…」

「これで終わりだ、魔王よ。二度と、私たちの前に姿を現すな」

ティアナの凛とした声が、戦場に響き渡る。

魔王は絶命し、残る魔物たちも一斉に崩れ去っていった。


「やった! 勝ったぞ健二君!」

歓喜の声を上げる愛音。

俺も思わずガッツポーズをとる。

「ああ、やったな! ティアナ、俺たち…」


振り向いた先には、疲労の色を隠せないティアナの姿があった。

俺は慌てて駆け寄り、そっと彼女の体を支える。

「無茶しやがって…でも、よくやった」

「ふん、誰に言われる筋合いもないだろう」


そう言いながらも、ティアナは嬉しそうに微笑む。

その笑顔を見て、俺は改めてこの巨乳女騎士に惹かれていることを実感するのだった。


「よし、みんなジムに戻るぞ。今日はとことん飲もう!」

「ええ、そうね。みんなで乾杯しましょ!」

「ふん、たまには付き合ってやるか」

戦いを終えた俺たちは、笑顔で凱旋の歩みを進めるのだった。

魔王との戦いを通して、俺とティアナの絆は深まったように思う。

これからは、もっと彼女のことを理解していきたい。

そう心に誓うのだった。


(つづく)

元ボクシングチャンプの俺が異世界の巨乳エルフ騎士団長と結ばれました 前編/うしP

第1章:異世界騎士団長、現る!


「ただいま〜」

いつものように玄関のドアを開けて家に入ると、そこには信じられない光景が広がっていた。

リビングのど真ん中で、銀髪碧眼の美女が堂々と立っているではないか!

しかも、その服装ときたら、まるでファンタジー世界から飛び出してきたかのような鎧に身を包み、腰には長剣までぶら下げている。

一体何なんだ、この状況は?


「お、お前は誰だ?」

思わず声を上げると、美女はこちらを見下ろすような目線で言い放った。

「私はティアナ・シルバーリーフ。精霊王国の騎士団長よ。ここが貴様の住処で間違いないな?」

「は? 騎士団長? 精霊王国? って、お前、人の家に勝手に上がり込んでおいて、その態度はなんだよ!」


思わず突っ込みを入れると、ティアナと名乗った女は不敵な笑みを浮かべた。

「ふん、私を受け入れる準備はできているはずよ。だって、貴様は私の夫になる男なのだから」

「は? 夫? 俺が? 何言ってんだ、お前!」


頭の中が「?」マークでいっぱいになる。

夫だって? 俺は独身だし、この女とは初対面だ。

一体何を言っているのか全然わからない。


「ええい、わけのわからん事を言ってないで、とっとと出ていけ! 不法侵入だぞ!」

「ほう、私を追い出すつもりか。いいだろう、その覚悟、見せてもらおうではないか」


そう言うと、ティアナは長剣に手を伸ばした。

マズい、こいつ、本気で戦うつもりか?

慌てて身構えると、彼女は不敵な笑みを浮かべ、剣を抜いた。


「受けて立て、我が夫よ!」

「だから夫じゃねえっての!」


間一髪で剣をかわし、反撃の突きを繰り出す。

だが、ティアナは軽々とそれを避けると、逆に斬りかかってきた。

「なっ!」

彼女の剣捌きは速すぎる。

このままじゃ分が悪い。

何とか間合いを取ろうと下がると、足が何かに引っかかって、派手にコケてしまった。


「情けないぞ、伊藤健二。私が異世界から転生してきた理由、貴様にはわかっているはずだ」

「は? 転生? そんな設定聞いてねえよ!」


ティアナが剣を突きつけながら詰め寄ってくる。

完全に形勢不利だ。

このままじゃ、マジでヤバい!


と、そこに救世主が現れた。

「ちょっと、ティアナさん! 何やってるんですか!」

ドアを開けて飛び込んできたのは、愛音だ。

彼女は呆然とした表情で、俺とティアナを交互に見ている。


「邪魔をするな! これは私と健二の問題よ!」

「問題も何も、初対面の男に剣突きつけて、夫だの何だの言ってるあなたが間違ってるに決まってるでしょ! ねえ、健二君!」


うわ、愛音の鋭い突っ込み! さすがだ。

「お、お前、何者なんだ? 健二の女か?」

今度はティアナが愛音に剣を向ける。

いかん、巻き添えを食らわせるわけにはいかない!


「ち、違う! 愛音は俺のボクシングジムに通ってる会員で…」

「ほう、私への挑戦を望むというのか。いいだろう、相手になってやろうではないか」

「ひ、人の話を聞けっつーの!」


頭を抱えながら、俺は狼狽した。

こんな異世界人の登場から始まるドタバタな日常、誰が予想しただろう。

だが、男として、ここは愛音を守らねば!


「ティアナ、愛音には手を出すな! 俺が…俺が相手になる!」

「健二君、何カッコつけてんの? 私だって武道の心得くらいありますよ」


愛音が苦笑しながら構える。

なんだ、俺の格好良いところ見せようと思ったのに…ちょっとガッカリだ。


「二人まとめて相手になってやろう! この剣がいったいどれほどの物か、味わうが良い!」

「だからぁ、味わいたくないって! もう、誰か助けてくれ〜!」

「私たちで何とかしましょう、健二君! さあ、かかってきなさい、ティアナさん!」


こんな調子で、果たして平和な日常は訪れるのだろうか。

だが、ティアナという予測不能な存在が現れた今、退屈だけはしなさそうだ。


〜第2章:ジムに潜む影〜


「おい健二、大変だ!」

ジムに着くなり、翼が慌てた様子で駆け寄ってきた。

「なんだよ、どうしたんだ?」

「山田が、お前のジムを潰すって言い触らしてるらしいぞ!」


山田、あの野郎…!

うちのジムつぶしに躍起になってるって噂は聞いていたが、まさか本当に動き出すとはな。

「ふざけんな! このジムは俺の夢なんだ。誰にも潰させるか!」

怒りに任せて拳を握りしめる。


「でも、山田は連盟の幹部だろ? 下手に逆らったら…」

「それでも黙ってられるか! 俺は正々堂々と戦うだけだ」

翼の心配ごともっともだが、ここで引くわけにはいかない。


そこへ、例の騎士団長が颯爽と現れた。

「どうやら厄介な敵が現れたようだな、我が夫よ」

「だから夫じゃねえって! それに、お前は関係ないだろ」

「ふん、私に関係ないことなどない。お前が望むなら、山田とやらを叩きのめしてやろう」


はあ? マジで言ってるのか、こいつ。

「バカ言うなよ。暴力では何も解決しねえ。俺は俺のやり方で戦う」

「何だ、その弱気な態度は。まあいい、好きにするが良い」

ティアナは不服そうに言うと、すたすたとジムの中に入っていった。


「健二君、大丈夫?」

心配そうに覗き込む愛音の顔。

「ありがとな。でも、俺は負ける気はねえよ」

「無理しちゃダメだからね。私も協力するから」

少し安心した様子の愛音に笑顔を向けて、俺はジムに向かった。


山田の野郎、どんな手を使ってくるかわからねえが、負けるものか。

俺にはこのジムを守る義務があるんだ。

必ず守り抜いてみせる!


その日の夕方、例の山田が怪しいツラした連中を引き連れてジムにやってきた。

「伊藤、お前のジムはもう終わりだ。あきらめろ」

開口一番、上から目線で言いやがる。

「ざけんな! 俺のジムを潰させるもんか!」


「それはどうかな。用意周到というやつさ」

不敵な笑みを浮かべる山田。

裏でいろいろ根回ししてきたらしい。

「お前如きに負けるわけにはいかねえんだよ!」


「言ってろ。お前の意地なんざ、こんなもんで折れてやる」

山田の合図で、例の連中が俺に襲いかかってきた。

この野郎! 卑怯な真似しやがって!


「健二君!」

愛音が悲鳴を上げる。

心配かけまいと思ったが、一人じゃきつい…!

「クソッ、卑怯者め! やるならフェアにやれ!」


「フェア? ああ、リングの上じゃ俺もフェアにやるさ。だが、ビジネスはそうはいかねえ。弱肉強食なんだよ」

「ふざけた考えだと思わねえのか! ボクシングの精神に反するぞ!」

俺の言葉に、山田はあざ笑った。

「ボクシングの精神? そんなもん、金にはかなわねえよ」


この野郎…!

「いい加減にしろ! お前みてえな奴に、ボクシングを語る資格はねえ!」

怒りが頂点に達し、俺は山田に殴りかかった。

だが、すぐさま取り押さえられ、身動きが取れない。

クソッ、こんなところで…!


「伊藤、お前の負けだ。観念しろ」

「まだだ…! 俺は、諦めない…!」

「健二君! 健二君!」

愛音の叫び声が、遠くに聞こえる。

すまない、愛音…。

俺は、こんなところで…。


「諦めるな、健二。まだ戦えるはずだ」

不意に、ティアナの声が響いた。

「てめえは…遅せえよ…!」

「ふん、お前一人で何とかできると思っていたのだろう。甘い考えだ」


そう言って、ティアナが剣を抜く。

山田の手下どもが、怯んだ様子で後ずさる。

「何だ、お前は!」

動揺を隠せない山田。

ざまあみやがれ。

「俺の夫を痛めつける罰として、叩きのめしてくれる!」


おい、勝手に夫認定すんな!

「お前ら、何をしている! あの女を押さえろ!」

山田の号令で、手下どもがティアナに襲いかかる。

だが、彼女は軽々とかわして反撃。

次々と薙ぎ倒していく。

「な、何だと…!」

あっけにとられる山田の前に、ティアナが立ちはだかった。


「山田とやら、どうやら只者ではないようだな。健二への妨害、ここまでにしておけ」

「ば、馬鹿な…! 俺は、負けるわけには…!」

「ならば、私が相手になろう。かかってこい!」

剣を構えるティアナに、山田は怯んでしまった。

結局、大したことねえのな。


「く、覚えてろ! 伊藤! お前のジムは必ずつぶしてやる!」

そう捨て台詞を吐いて、山田は逃げ去った。

ざまあみやがれ。


「ティアナ…助かった。礼を言う」

「ふん、礼を言われる筋合いはない。私は私の夫を守っただけだ」

「だから夫じゃ…」

「健二君! 怪我は!?」

駆け寄ってくる愛音。

確かに痛いところはあるが、大丈夫だ。

「心配かけてすまなかった。もう大丈夫だ」


「もう、心配で心配で…! 一人で何とかしようとしないで!」

「ああ、わかった。次からは助けを求めるよ」

俺の言葉に、愛音は安堵の表情を浮かべた。

本当は格好悪いとこ見せたくなかったんだけどな…。


「ふん、私抜きでは何もできない、頼りない夫だな」

「てめえ、礼を言ったばかりだろうが!」

「ほら、ケンカしないの!」

愛音に叱られ、俺は頭を掻いた。

「わかったよ。もう、仲良くしようぜ」


「仲良くだと? 私は別に…」

照れくさそうに顔を背けるティアナ。

こいつ、素直じゃねえんだから。

「ほら、ティアナさんも! 健二君のために力を貸してあげてよ」


「…わかったわ。健二の役に立つなら、私は協力しよう」

「助かるよ、ティアナ。これからよろしくな」

「ふん、当然だ。私は精霊騎士団長だからな」

まあ、異世界がどうだとか、よくわかんねえけど。


「愛音も、これからもジムに通ってくれよな」

「もちろん! 健二君と一緒に頑張るんだから!」

ティアナと愛音、二人に支えられた俺は、新たな気持ちで山田に立ち向かう決意を固めた。

俺のジムを、絶対に守り抜いてみせる!


〜第3章:すれ違う心〜


ジムでのトレーニングを終えた俺は、ふと愛音の姿が見当たらないことに気づいた。

「おい翼、愛音は今日来てないのか?」

「ああ、どうも最近はあまり顔を出してないみたいだぜ」

そういや、ここ数日、愛音とゆっくり話せてなかったな…。


一方、ティアナは相変わらずジムに入り浸っている。

「我が夫よ、そろそろ真剣に私と組手をしてみないか?」

「だから夫じゃねえって! それに、お前とやったら俺の骨が幾つ折れるかわかったもんじゃない」

「ふん、どうせ怪我をするなら、私の手によるものがいいだろう?」


はあ? どっちも御免だ。

だが、ティアナはニヤリと笑うと、突然俺に向かって剣を振るってきた。

「おわっ! 危ねえだろ!」

「私を本気にさせたお前が悪い。さあ、覚悟!」

容赦ない攻撃の嵐。必死でかわすも、切りつけられ、突き飛ばされる。


「く…、参ったな…」

「まだまだ甘い! 次は容赦せんぞ!」

「もう勘弁してくれ…」

息も絶え絶えに倒れ込む俺。

ティアナはまだ余裕の表情だ。

やれやれ、こんなので夫だの何だの言われてもなぁ…。


ふと、ドアの方に目をやると、愛音が立っていた。

「あ、愛音…」

「ごめん、邪魔だったみたい。また今度来るね」

そう言って、愛音はするりとドアの向こうに消えてしまった。

おい、待ってくれよ!


「ほう、あの女が帰ってしまったな。ならば、邪魔者もいないことだし、存分に鍛えてやろう」

「だからもう勘弁してくれって! 俺、愛音のとこ行ってくるわ」

「何だと! 私より、あの女が大事なのか!」

怒り心頭のティアナに、俺は必死で言い訳した。


「そ、そういうわけじゃねえけど…。ただ、愛音が何か悩んでるみたいだから、ちょっと話を聞いてやりたいんだよ」

「ふん、私には関係ないことだ。勝手にするがいい」

そう言って、ティアナはプイッと横を向いた。

まったく、分かり合えねえな…。


俺は急いでジムを飛び出し、愛音を探した。

公園のベンチで座り込んでいる彼女を見つけ、そっと近づいた。

「愛音…」

「あ、健二君…」

愛音は寂しそうな表情で俺を見上げる。


「どうしたんだ? 最近、ジムに来てないじゃないか」

「ごめんなさい…。私、健二君のことが…」

俯いて言葉を濁す愛音。

まさか、俺に気があるのか…?


「健二君は、ティアナさんが好きなんでしょ? 私なんか、きっと邪魔なだけだから…」

「ば、バカ言うなよ! 俺は別にティアナのことは…」

「でも、あんなに一緒にいるじゃない。私より、ティアナさんの方が健二君に合ってる気がして…」

愛音の瞳に、涙が滲む。


俺は思わず彼女の手を取った。

「愛音、聞いてくれ。俺にとって大事なのは…」

その時、公園に恐ろしいオーラを放つ一団が現れた。


愛音の悲鳴に、公園にいた人々が一斉に逃げ出す。

だが、正体不明の一団は容赦なく人々に襲いかかる。

次々と魔法のようなものを放ち、建物を破壊していく。


「クソッ…! こいつらには俺が食らいついてやる!」

「ダメよ健二君! あなたの拳法じゃ敵わない!」

愛音に止められるが、男としてここで引くわけにはいかない。

俺は屈強そうな怪物めいた連中に向かって突進した。

「てめえら! こっちへ来やがれ!」


だが、いくら頑張っても、魔法のようなものを打ち破ることはできない。

あっけなく吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

「がはっ…! く、そ…」

「健二君!」

愛音が駆け寄ってくるが、もはや俺には立ち上がる力もない。


その時、颯爽とティアナが現れた。

「ふん、どこの馬の骨だかわからんゴミ虫どもが、私の夫に指一本触れることを許さん!」

「夫…だと…? お前は誰だ!」

「私はティアナ・シルバーリーフ。異世界の精霊王国から来た騎士団長にして、健二の妻となる運命の女だ」

堂々と言い放つティアナに、怪物めいた連中が怯む。


「精霊王国だと!? まさか我らが倒したはずの…!」

「そうだ。そしてお前たちは、あの愚かな魔王に付き従っていた悪しき存在。もはやお前たちに存在価値はない!」

そう言うと、ティアナは稲妻のような速さで敵に斬りかかっていった。

次々と斬り伏せていく姿は、まさに騎士団長の風格だ。


「なんて強さだ…」

「ティアナ…さん…」

俺と愛音は、唖然としながらもティアナの戦いぶりを見守る。

魔王軍の残党は、あっというまに全滅させられた。


「ふん、所詮はこの程度か。健二、大丈夫か?」

「あ、ああ…。助かった…」

俺は情けない姿を晒してしまったが、ティアナは気にする様子もない。


「私がいる限り、お前に指一本触れさせはせん。安心して私に身を委ねるがいい」

「お、お前…」

その言葉に、思わず胸が熱くなる。

こいつは、俺のことを本気で思ってくれているのか…。


「健二君、ごめんなさい…。私、勘違いしてた…」

シュンとした表情の愛音。

「愛音…」

「ティアナさんのことも、健二君のことも、応援するから。だから、もう私のことは気にしないで」

そう言い残して、愛音はその場を去っていった。


「おい、愛音!」

俺は思わず彼女を追いかけようとしたが、ティアナに腕を掴まれて止められた。

「彼女には、整理する時間が必要なのだろう。お前が追うべきではない」

「でも…!」

「それに、お前にはもっと大事なことがあるだろう? 私との特訓だ」


そう言って、ティアナは剣を俺に突きつけた。

「…わかったよ。付き合ってやる」

「ふん、それでこそ我が夫だ。さあ、いくぞ!」

「だから夫じゃねえ!」

ティアナに振り回されながらも、俺は愛音への思いを胸に秘めた。

いつか、ちゃんと伝えなきゃな…。



(つづく)
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