夏の朝日が差し込む小さな町の喫茶店で、ぼんやりとコーヒーを啜りながら窓の外を眺めていた青年。店内に流れるジャズの軽やかなメロディーに乗せて、彼の心は懐かしい記憶の中を彷徨っていた。
高校時代の同級生たちの顔が走馬燈のように浮かんでは消えていく。みんなはどうしているのだろう。あの頃の自分を思い出すと、胸が熱くなってくる。これから先、どんな道を歩んでいけばいいのか、いまひとつ見えてこない。
窓の外の風景が、ふと目に映る。太陽に透過した木々の葉が揺れ、家々の明かりがきらきらと光っていた。この町に込められた確かな安らぎに、青年は何かを感じ取った。
実のところ彼は酔っ払っていた。だから幸せだった。14時間後、自分の部屋で二日酔いで頭が二つに割れたように痛む男の姿があった。
高校の同級生のことなんて知りたくない。あの頃の自分は輝いていたのに今は昼間からカフェでワインを飲んで酔っ払っているなんて。もはや俳人同然の人生を送っている。
窓の外から生活をしている人たちの音が聞こえる。俺は地面を這いつくばっている。何が、何がこうさせてしまったのか。
二日酔いに頭を持ち上げることさえ億劫な青年は、床に這いつくばったまま天井を凝視していた。窓の外の活気ある街の賑わいが、余計に自分の虚しい現状を浮き彫りにしているようで苦しかった。
かつては夢に向かって邁進する情熱に満ちた学生だったのに、いつの間にかこんな有り様になってしまった。仕事も人間関係も上手くいかず、ただ酒に酔いしれるだけの日々を過ごしている。
「こんなふうになるなんて、あの頃の自分が知ったら絶望するだろうな」
青年は虚ろな眼差しで天井を見つめたまま、自嘲的な笑みを浮かべた。夢追い人を自認していた高校生時代の自分に会えたら、今の自分に何て言われるだろう。
でも、そんな自分でも、まだ一筋の望みの糸を抱いていた。この暗く虚しい底の中に、かすかな光が残されているのを感じたからだ。
ロトで一攫千金を目指す。番号は3,13,21,22,27,33,38。当たれば人生逆転。
14時間後、そこにはゴミ同然になった紙切れをつまむ男の姿があった。
「俺は本当に宝くじで一攫千金を目指していたのか? 希望があれば人はどんな地獄でも生きていける。希望のために俺は宝くじを買っていたのではないか」
そうだ。だから当たらなくてもいい。彼は明日を生きるために宝くじを買う。未来に希望があれば最低の人生でも生きていけるのだから。
でも、金が入ったところでどうなる? すでに俺は宝くじを10回当てて億万長者じゃないか。
ゴミ箱から取り出した宝くじの残骸を見つめながら、青年は虚しい気持ちになった。当選を夢見て何十枚と購入したはずの宝くじが、今は散り散りになって無残な姿だ。
確かに、一攫千金を夢見る資格は誰にでもある。しかし、そこに人生をすべて賭けてしまうと、失望と絶望しか待っていない。お金に救われると思い込むあまり、本当に大切なものを見失ってしまう危険性がある。
青年はしばらく天井を見つめていたが、やがて己の浅はかさに苦笑した。
「俺は本当に馬鹿かもしれないな。金があれば全てが解決すると思い込んでいた。でも、そうじゃないんだ」
確かに金は大切だが、それ以上に大切なものがある。心の拠り所、生きる目的、大切な人との絆など、金では買えないものこそが、人生を豊かなものにしてくれる。
青年は宝くじを掴んだ手を静かに閉じ、心に新たな決意を抱いた。
「これからは、本当に大切なものを見失わないように気をつけよう」
本当に大切なもの。それはアイドルだ。俺はこれからスパチャ貢献額世界一の男になる。
とりあえずホロライブのメンバー全員に200万円ずつスパチャしていく。伝説はこれからだ。
ぺこらの生ライヴを彼は待つ。そして配信が始まると一万円のスパチャを絶え間なく続ける。
「え、ええ、ええ~~~~~~」
5分後ぺこらもコメント欄もバグり始める。それでも一万円をスパチャし続ける。スパチャ欄は彼でいっぱいだ。
いま俺は最高に輝いているぜ!










