冒頭で医師は湖岸に流れついた丸太を見つける。しかしその丸太を回収するには手間も費用がかかるので、あえて湖岸から引き上げることもしないだろうから、医師は自分の物にしても問題ないはずだと考える。
そうして彼はインディアンの男達を呼ぶのだが、彼らにはっきりと「丸太を盗んだ」と指摘されてしまう。怒って家に帰ってきた彼は信心深い妻に何があったのか問い詰められる。そこで彼は自慢のショットガンの掃除をしながらインディアンの男は彼に借りがあるものだからケンカを売ってくるんだと嘘をつく。妻はいったんその嘘を飲み込むが、しばらくしてからそんなことは信じられないと嘘を見抜いてしまう。
医師は最初に丸太を自分の物にしようといて、理屈をこねて正当化しようとした。しかし文明人ではないインディアン達には通用せず、あっさりそれは盗みだと暴かれてしまう。
その次に医師はインディアンの男が彼に罪悪感を負わせようとするのは彼に借りがあるからだという理屈を考えるのだが、その理屈も神を信じる妻には通用しない。
しかし妻もインディアンも彼の罪を見破ったが裁くことはなかった。
そこでようやく医師は冷静になり「すまん」という言葉を口にする。
この言葉は妻にだけではなくインディアンの男や、丸太の持ち主、自分にも向けられているのではないだろうか。
罪も認め謝罪もしたせいかようやくこの頃になって医師の心に平和が訪れ、林の中の牧歌的な雰囲気の中で彼は息子と一緒にクロリスを見に行くところでこの短編は終わる。
いくら理屈をこねて正当化しても感情の底は欺けない。そう考えると最初の丸太のくだりがとても言い訳がましく感じられてくるのである。
(2017/06/09 牛野小雪 記)
追記:クロリスとは黒いリスのこと。本当に黒い。アメリカ中西部ではメジャーな動物なんだとか。
そうして彼はインディアンの男達を呼ぶのだが、彼らにはっきりと「丸太を盗んだ」と指摘されてしまう。怒って家に帰ってきた彼は信心深い妻に何があったのか問い詰められる。そこで彼は自慢のショットガンの掃除をしながらインディアンの男は彼に借りがあるものだからケンカを売ってくるんだと嘘をつく。妻はいったんその嘘を飲み込むが、しばらくしてからそんなことは信じられないと嘘を見抜いてしまう。
医師は最初に丸太を自分の物にしようといて、理屈をこねて正当化しようとした。しかし文明人ではないインディアン達には通用せず、あっさりそれは盗みだと暴かれてしまう。
その次に医師はインディアンの男が彼に罪悪感を負わせようとするのは彼に借りがあるからだという理屈を考えるのだが、その理屈も神を信じる妻には通用しない。
しかし妻もインディアンも彼の罪を見破ったが裁くことはなかった。
そこでようやく医師は冷静になり「すまん」という言葉を口にする。
この言葉は妻にだけではなくインディアンの男や、丸太の持ち主、自分にも向けられているのではないだろうか。
罪も認め謝罪もしたせいかようやくこの頃になって医師の心に平和が訪れ、林の中の牧歌的な雰囲気の中で彼は息子と一緒にクロリスを見に行くところでこの短編は終わる。
いくら理屈をこねて正当化しても感情の底は欺けない。そう考えると最初の丸太のくだりがとても言い訳がましく感じられてくるのである。
(2017/06/09 牛野小雪 記)
追記:クロリスとは黒いリスのこと。本当に黒い。アメリカ中西部ではメジャーな動物なんだとか。
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