物語は、ニック・アダムズという少年が父親(医師)と叔父とともにインディアンの集落を訪れるところから始まります。彼らは、難産に苦しむインディアン女性を助けるために呼ばれました。ニックは父親が帝王切開を行う様子を目撃します。手術は成功しますが、その間、女性の夫 ...
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カテゴリ: 他の作家
ヘミングウェイの『インディアンキャンプ』の読み方
アーネスト・ヘミングウェイの短編小説「インディアンキャンプ」は彼の代表的な初期作品の一つです。この小説は、一見単純な物語ですが、その奥深さと多層的な解釈の可能性から、文学研究者や読者の間で長年議論の対象となってきました。本稿では、この作品の読み方について ...
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『移動祝祭日"A Moveable Feast"/アーネスト・ヘミングウェイ』レビュー
移動祝祭日(新潮文庫)ヘミングウェイ新潮社2016-04-22『移動祝祭日』は、アーネスト・ヘミングウェイが晩年に著した自伝的エッセイであり、1920年代にパリで過ごした文学修業時代の思い出を綴ったものである。当時、ヘミングウェイは無名の若き作家であり、最初の妻ハドリ ...
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『武器よさらば"A Farewell to Arms"/アーネスト・ヘミングウェイ』レビュー
武器よさらば (新潮文庫)アーネスト ヘミングウェイ新潮社2006-05-30『武器よさらば』は、第一次世界大戦下のイタリアを舞台に、アメリカ人青年フレドリック・ヘンリーとイギリス人看護師キャサリン・バークリーの熱愛を描いた作品である。ヘミングウェイ独特の簡潔で畳み掛 ...
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『日はまた昇る"The Sun Also Rises"/アーネスト・ヘミングウェイ』のレビュー
日はまた昇る (新潮文庫)アーネスト ヘミングウェイ新潮社2003-06-28「日はまた昇る」は、ヘミングウェイの初の長篇小説であり、第一次世界大戦後のパリとスペインを舞台に、失われた世代の若者たちの虚無感や満たされない思いを描いた作品です。主人公のジェイクは、戦争で ...
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『二つの心臓の大きな川~Big Two-Hearted River~/アーネスト・ヘミングウェイ』について
「二つの心臓の大きな川」は、アーネスト・ヘミングウェイが1925年に発表した中編小説であり、「ニック・アダムズ」シリーズの一部として知られています。この作品は、第一次世界大戦後のアメリカを舞台に、主人公ニック・アダムズの心理的な癒しと再生の過程を描いています ...
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『キリマンジャロの雪~The Snows of Kilimanjaro~/アーネスト・ヘミングウェイ』について
「キリマンジャロの雪」は、アーネスト・ヘミングウェイが1936年に発表した短編小説です。この作品は、アフリカを舞台に、主人公ハリー・ストリートの人生を回顧しながら、彼の死の瞬間までを描いています。物語は、ハリーとその妻ヘレンがアフリカのサファリ(野生動物観察 ...
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『ファイター~The Battler~/アーネスト・ヘミングウェイ』について
「ファイター」はアーネスト・ヘミングウェイが1925年に発表した短編小説です。この作品はニック・アダムズというヘミングウェイの分身的な人物が主人公として登場する連作短編の一つです。物語は、ニックが貨物列車から蹴り落とされた後、線路脇で一人の男と出会うシーンか ...
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夏目漱石『こころ』について
こころ夏目 漱石2012-09-27夏目漱石の「こころ」は近代日本文学の金字塔とも言える長編小説である。本作の最大の特徴は登場人物の内面の機微が驚くほど丁寧かつ繊細に描写されている点にある。特に「先生」の抱える罪の意識や懊悩は彼の過去の告白という形式を通して克明に描 ...
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『爪痕を残そうとして何が悪い/月狂四郎』のレビュー
たとえ話から始めよう。コンビニの店員がレジでとつぜん歌を歌い出す。しかも超絶うまくて誰もが感動する。店内のボルテージは上がり、じゃんじゃん人が集まってくる。しかし残念ながら彼(あるいは彼女)はお金を稼げないのである。私たちがコンビニの店員に求めることはコ ...
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現代小説の位置と、自分の小説がどこにカテゴライズされるか考えてみる
文学部唯野教授 (岩波現代文庫)筒井 康隆岩波書店2014-12-18筒井康隆の『文学部唯野教授』に文学作品の主人公を五分類するくだりがある。それによると小説の主人公は以下に分類される。1.主人公が普通の人間や環境よりも優れている場合。つまり神様のこと2.主人公が普通 ...
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この王木亡一朗を読め3♪ 『レモン/グラス』
優れた小説は冒頭の文章が小説全体を支配する。究極的には最初の10行で読むのをやめてもかまわない。夏休みの宿題で読書感想文を書くならなおさらだ。始めに書いておこう。『レモン/グラス』の冒頭で僕と姉は毎朝京野菜を食べていると描写されている。まずはこれを憶え ...
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この王木亡一朗を読め2♪ 『あのころ』~だれにもいいねされない私達の退屈、そして無意味さ~
社会が意味の無いことを許さないのはこの記事の存在自体が示している。この映画は、この本はどういう意味なんですかという問いはよくあるし、それは何の意味もないなら何の価値もないということを暗に示している時もある。価値がないなら存在してはいけないということだ。 ...
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この王木亡一朗を読め1♪ 『当てつけ』~前山田君が令和のジョーカーになれるわけねえよ、夏~
現代社会は多様性の時代だと言われているが、そんなことは嘘っぱちでせいぜい数バリエーションの人しか受け入れ先はない。腕が6本あったり、目からビームが出たり、指の間からアダマンチウムの爪が出たり、体が岩でできている人間を想定されてはいない。社会の要請する人間 ...
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『老人と海~The Old Man and the Sea~』を読む
『老人と海』は何度も読んだ本だけど、今回は100回連続で読んでみようと思う。一つの作品を読み込めば自分の小説に活かせるかもしれないという意図もある。ついでに言えば150ページぐらいなので繰り返し読むのにちょうど良いサイズだ。その気になれば一日で読めるし、 ...
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『PCM/月狂四郎』
物語に予言は付き物だ。シェイクスピアの『マクベス』みたいなものもあれば日本昔話の『卒塔婆の血』みたいにナンセンス予言もある。『PCM』もまたナンセンス予言タイプかもしれない。主人公の五郎は亀田三兄弟を思わせるボクシング家庭に生まれて、スパルタ戦士さながらの力こそ全ての世界で育つのだが、ある日父親は息子達にこう言い放つ。 ...
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『Word.1/藍田ウメル』
なにが藍田ウメルだ!ふざけやがって。とんでもない小説を書いてきやがった。これはとんでもない傑作が爆誕したぞ。本気でスゴイ小説なのでぜひ読んで欲しい。 ...
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『天国崩壊/伊藤なむあひ』
この小説には徹底されたものが二つある。登場人物の匿名性と、くどいほどのコマーシャル的な形容詞だ。 登場人物は少年や母親、彼女、店長と、代名詞や血縁関係、社会的地位で表される。ミカとかYPという名前も出てくるが偽名である。 形容詞はコマーシャル的でいかに価 ...
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ヘミングウェイの翻訳に気を置く
『老人と海』がパブリックドメインになったのなら自分で翻訳して公開してやろうという野心を抱いた。翻訳する前に他の翻訳はどうなのかと光文社版の『老人と海』を読んでみたら、現代風のすっきりした文章になっていたので驚いた。2014年の翻訳らしい。マジか。と何度も心の中で驚きつつ、最後まで一気に読んでしまった。これがあるならあと20年は訳す必要はない。 ...
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夏目漱石の『こころ』を読みながらブログを書く
『こころ』を読みながら色々と書いてみる 夏目先生の『こころ』をたびたび引用しながらブログを書くことにした。 集英社文庫版である。 上 先生と私 1 私はその人を常に先生と読んでいた。だからここでもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。 ...
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『三日吹く風 The three-Day Blow』ヘミングウェイ
ニックとビルのやりとりがいい。というかそれだけの短編。失恋の暗さをどうでもいいようなことを話しながら過ごして、三日吹く風がみんな吹き飛ばしてしまったみたいに、ニックは元気を取り戻す。そういうところがいいんだろう。と思ったけど、読み直してみるとビルがマー ...
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『老人と海-The Old Man and the Sea』を読んで調べたこと
あやふやな語句を調べながらヘミングウェイの『老人と海』読んでみた。読んでいる時間より調べている時間が長かった。現代国語の授業を思い出した。 巻綱-まきづな。まきあみではない。この綱でカジキを引っ張る。綱は使いやすいようにまいてあるのだろう。こんな風に。 ...
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『東京死体ランド/伊藤なむあひ』
Are you really ready to the die? 僕たちはきっとこれからも失い続けていくのだろう。そしてその中で幸せや不幸を味わって死んでいくんだ。でも僕はそんな幸せなんてまっぴらなのさ。もちろん不幸もいらない。それどころか世界も必要ない。僕たちは全てを否定する。こうして僕とスピーカーは妻と子どもをトランクに放り込み、車に乗って・・・・ ...
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『ある訣別 The End of Something』/ヘミングウェイ
物語の冒頭に材木にする丸太が使い果たされて、打ち捨てられたホートンズ・ベイという町の描写から始まる。ニックとマージョリーはそのホートンズ・ベイのそばにある湖をボートで釣りをしている。題名にある通り二人は別れようとしているのだ。 別れる理由ははっきり ...
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2017年に読んだkindle本
このKindle本を読め!王木亡一朗強化週間『ライフゲージ』心身共にうんたらという言葉がある。困憊でもいいし、爽快でもいい。 そこに至るまでに心と身体が一緒に困憊したり、爽快になることは少ないように思われる。国道の端から端まで走れば、まず体が困憊して、それに ...
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『医師とその妻(The Doctor and the Docter wif)/アーネスト・ヘミングウェイ』〜小さな罪の正当化〜
冒頭で医師は湖岸に流れついた丸太を見つける。しかしその丸太を回収するには手間も費用がかかるので、あえて湖岸から引き上げることもしないだろうから、医師は自分の物にしても問題ないはずだと考える。 そうして彼はインディアンの男達を呼ぶのだが、彼らにはっきりと ...
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『インディアンの村(Indian camp)/アーネスト・ヘミングウェイ 』〜何故父親は死んだ〜
ニックがパパと一緒に川を渡ってインディアンの村へ行くとそこには子どもを産もうとしているインディアンの女性がいる。パパはその子を取り上げるのだが、子供の父親は喉を掻ききって死んでいるというお話。 何故死んだのかという疑問の前に、最初から夫は死んでいたので ...
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『スミルナ埠頭にて(On the Quay at Smyrna)/アーネスト・ヘミングウェイ』スミルナ埠頭はどんな状況なのか
『スミルナ埠頭にて』はヘミングウェイの短編である。 いきなり地名を出されてもよく分からないが、調べてみるとトルコにある都市。 そこにどうしてギリシャ難民がいるのかというと、第一次世界大戦でギリシャがそこを占領したから。しかし『スルミナ埠頭にて』の頃にはト ...
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2016年に読んだkindle本
悪人の系譜/月狂四郎赤ちゃんは言葉を喋ることができない。「あの、おっぱい吸わせてもらえませんか?」「お尻拭いてもらえませんかね?」「そろそろ眠りたいからそっと抱きしめててほしいな」 などと言葉を出したら非常にびっくりするだろう。 ある本によれば人間が最初 ...
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『私の人生を変えた一冊』/T・S・カウフィールド
『私の人生を変えた一冊』/T・S・カウフィールド 私はさる理由で地元の高校を受けずに、人里離れた山奥の高校を受験しました。そこにはうまく合格して、私は親戚の伯母の家でお世話になりながら、その高校へ通うようになりました。 距離もそうですし、地形もそうさせるの ...
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夏目漱石の『吾輩は猫である』を読みながらブログを書く
吾輩は猫である [Kindle版]夏目 漱石2012-09-27吾輩は猫である。名前はまだ無い。有名な冒頭の文章。吾輩には名前がないが実は最後まで無い。名無しの猫のまま物語を終える。夏目漱石も猫を飼っていたが名前はなかったそうだ。随筆で吾輩のモデルになった猫について書いてあ ...
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2015年に読んだkindle本
『ジミー・ザ・アンドロイド/如月恭介』を読む魂を宿した人工知能ゴッドが暴走。人類に対して戦いを挑み、別の人工知能ジミーがそれを阻止しようとする話。月狂さんは続編があると書いていた(ペンと拳で闘う男の世迷言/ジミー・ザ・アンドロイド」書評)が、人類の視点で ...
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『死ぬかと思って(A Day’s Wait)/アーネスト・ヘミングウェイ』100度の熱で息子が死なない理由
ヘミングウェイの小説でインフルエンザにかかった息子が体温計で熱を測ると100度と出て、もうじき死ぬんだと思い込む話がある。物語の結末は単位の違いで100度といってもそれは華氏(F→正確には℃のように小さな丸が左上に付くが変換ででてこない。ちなみにFはフ ...
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2014年に読んだキンドル本
推薦文『未来劇剣浪漫譚 Human Possibility』 退廃的な未来で巻き起こるSF剣豪小説2作目 今回は作者が商品紹介に書いてある通りにエンタメの要素を強く打ち出していて前作と比べてかなり読みやすいです。また続編なので登場人物や世界観が共通していて、早い段階から物 ...
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『ワールド・ウォー・わなび/月狂四郎』~KDP作家は自立しよう~
『ワールド・ウォー・わなび/月狂四郎』 まずは苦情を言いたい。 月狂さんに書評を貰ったので、ウフフと良い気分で彼のblogを再度訪問した時に、ふと気になって『月狂四郎』をAmazonで検索すると、新着でこの本が一番上にあった。 ふむふむ、これが前々から言っていたヤバ ...
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