『スミルナ埠頭にて』はヘミングウェイの短編である。 いきなり地名を出されてもよく分からないが、調べてみるとトルコにある都市。 そこにどうしてギリシャ難民がいるのかというと、第一次世界大戦でギリシャがそこを占領したから。しかし『スルミナ埠頭にて』の頃にはト ...
カテゴリ: 執筆
『蜘蛛の糸/芥川龍之介』〜自分で自分を救うことはできない〜
お釈迦様が地獄に蜘蛛の糸を垂らして大泥棒カンダタを救おうとするお話。小学校の教科書にも載っているので読んだことがある人は多いはず。 カンダタは蜘蛛の糸を辿って極楽へ行こうとするが蜘蛛の糸は途中で切れてしまう。切れたのは地獄の亡者たちが糸を登ろうとしたの ...
ブラッド・エグゼキューションについての前日譚
去年の12月からよしもと原作開発プロジェクトに出す短編を書いていた。題名は『ブラッド・エグゼキューション』。『それゆけアキちゃん!ゴーゴーゴー!』という案もあったが、表紙の文字入れがどうしてもうまくキマらなかったので仮題のままでいくことにした。最近『幽 ...
2016年に読んだkindle本
悪人の系譜/月狂四郎赤ちゃんは言葉を喋ることができない。「あの、おっぱい吸わせてもらえませんか?」「お尻拭いてもらえませんかね?」「そろそろ眠りたいからそっと抱きしめててほしいな」 などと言葉を出したら非常にびっくりするだろう。 ある本によれば人間が最初 ...
古い本を値下げしようかと考えているけど
エバーホワイトを出してからずっと過去作に手を加えている。何も書かないと決めた一ヶ月が過ぎたが、未だに改稿している(ってことはずっと書いているということになる。でも初稿と改稿の執筆って別物のような気がする)。 今年書いた幽霊になった私は、別に手を付けなく ...
もっと殻を破らなければならない?
『真論君家の猫』に少し手を加えようとしていたが、あまりの長さに躊躇したので、(取り掛かった時は)一番売れていて、ほどよい長さの『幽霊になった私』に手を加えていた。 特筆するような変更はないが、ただひとつ内容を変えたところがある。アキが神社に行って狛犬の口 ...
もっとエンドマークを集めたほうがいいのかもしれない
最近の作家はそうでもないようだが、昔の作家は短編が多い。芥川なんかは短編ばっかりだ。しかし夏目先生は最初から猫の大長編を書き上げている。続けて書いた坊っちゃんもそこそこある。短編は少ない。でもないわけじゃない。初期の頃は何年か書いている時期があった。 ...
避けるべきはキライじゃなくてキモい
先日、根木珠さん、アヲイさんとウェブ上の宣伝がうざいという話をしていた。根木珠さんは宣伝する側に回ると相手がウザいんと思うんだろうなぁと悩まれていた。私はアニメだと最初は嫌いだった相手を好きになることがあるので、それを目指したらどうかという事を言った。そ ...
世の中全てに理屈が通っているとは限らないー執筆日記No.12
毎年年末年始になると体温が35度以下に下がる。その状態になると驚くほど眠れる。目をつぶっただけ眠れるんじゃないかと思うぐらい。2日ぐらい眠り続ければその状態は治る。 それから半年ぐらい経った、6月か7月の頃には何故か微熱が出る。37度近辺。頭が働かない ...
日記No.9『<進捗状況>一人で歌うには大きすぎて』『小説と作家の人間性は切り離せない?』
○進捗状況一人で歌うには大きすぎて(仮題) 4500字くらい 7/7に出る予定の『もの書く人々』で王木さんとリレー小説をしてくれませんかと提案されたが、王キさんとは成立できそうにないのでやんわりと辞退した。それでも対談後にきらりとひらめくものがあったので先週 ...
日記no.8『やる気スイッチより眠りスイッチがほしい』『パリって変な場所』
数カ月前から夜11時には眠るようにしようとしているのだけれど、結局なし崩し的に日をまたいで起きている。というか、実はこのブログも今11時を越えて書いている。ダメだ。そもそも眠れないのが悪い。眠ろうという気はある。実際に眠い時もある。でも眠れない。もう何年 ...
日記No.7『王木さんはいいやつ』『隙間社さんおめでとう!!』『もうずっと書いていないけど』
徳島県の某所にあおぞら本棚という物があったりなかったりする。青空文庫ではなく、あおぞら本棚である。あったりなかったりするというのはあおぞらの下にしかないから。雨の日はついぞ見かけたことがない。晴れの日でもないことがある。とっても気まぐれだ。猫が近くに座っ ...
『火星へ行こう君の夢がそこにある』10版の改訂、および改定案
インターネットはどこかで誰かがしょうもない情報をあげていることで、調べれれば何でもあるという状態が維持される。でも、近所のサイクリングロード脇にある用水路にカメが何匹いるか計測しているサイトは存在しなかった。検索したら本当に無かったので逆にびっくりした ...
とある小説家の執筆日記No.5『川端康成の雪国から推敲の仕方についての雑感』
『幽霊になった私』を出してから、過去の作品にも手を加えているので、もうかなり長いこと改稿している。そうすると他人はどう書いているのか気になってしかたない。ネット上の文章はともかく、普通に十冊以上も本を出している小説家でも後半は意外に気の抜けた文章が多いこ ...
とある小説家の執筆日記 No.4『液タブって何をする機械なのかよく分かっていない』
やっと蒲生田岬の改稿が終わりました。話自体は変わらないけれど、以前より読みやすくなっています。5月9日以前の版を持っている人はアマゾンに申請すれば、最新版をダウンロードできます。 ※最新版に更新すると旧版は読めなくなります。 改稿したついでに表紙に ...
牛野小雪の夢日記
夢は森の入り口で始まった。最初から夢だと気付いていた。 自分が今夢の中にいると気付いたのはこれが初めてだったので、もしかして空を飛べるんじゃないかと期待したが、私のとぼしい想像力では夢の中でも現実と同じだった。空は飛べないし、瞬間移動もできない。 夢は私を ...
とある小説家の執筆日記No.3『頭が爆発した!』『違和感を感じる気がしないでもないかな? よく分からないけど』『敵はインターネットにあり』
●頭が爆発した!先週の木曜日ぐらいだったか、本を読んでいる途中に眠気が襲ってきて、本を開けたまま目をつぶっていた。まだ眠るつもりはなくて、ほんのちょっと目をつぶるだけ、眠気の波が去ったら本を読もうと考えていたら、突然 ドーン! と頭の中で爆発音がした。ハリ ...
根木珠さんに会ってきた
先日、くみた柑さんの似顔絵(イメージ画?)を描いた【とある小説家の執筆日記No.2-2『やっと新刊が出せた』】。そうしたら今度は根木珠さんが私を誘っているんじゃないかと疑うようなことがあった。だから前と同じようにそれとなく探りをいれてみたら・・・・ 世の中どう ...
とある小説家の執筆日記No.2-2『やっと新刊が出せた』
ああ、やっと終わった。ついに新刊をリリースできた。考えてみると去年『ヒッチハイク!』を出したのが8月だから、もうちょうど8ヶ月ぶりということになる。その間も色々書いていたのだが、出版するのは久しぶりなので、KDP管理画面の『保存して出版』を押す時はドキドキした。 ...
とある作家の執筆日記 No2『KDPの表紙問題』『推敲と筋トレ』
『幽霊になった私』の表紙を今作っている。最初は自分で描いていたが早々にギブアップした。頭の中にイメージはあるのだが私にそれを形にする力はない。フリー素材サイトを三日ぐらい巡って、最初にポップなもの、一時抽象画の迷宮に迷い込んで、またポップな世界に戻ってき ...
とある小説家の執筆日記 No.1『弾は三発もある』『言葉未満の言葉』『文学は爆発だ!』
ひらめきは爆発らしい。芸術だったかな? 爆発というと爆薬やダイナマイト、もっと規模を大きくすれば核爆弾、超新星爆発。どれも熱くて勢いが激しいイメージ。漫画や、小説、映画でもそういうイメージで描かれている。いや、稲妻の方が多いか。どちらにしろ熱くて瞬間的にパワーが走るイメージ。でも、私の執筆している感触ではあんまりピンとこなくて、ひらめきは暗い密閉されたほんのり暖かいところで微生物が嫌気発酵を繰り返して徐々に気温と圧力が上がり・・・・・・・・・・・・あっ、やっぱり爆発するのか。 ...
やっと死んだ
作家といえど作中の人間を勝手に殺すことはできない。○○は死んだ。おわり。みたいにはできないもので、彼らは作家に対して抵抗を試みる。 作家から書く意欲を失くしてみたり、物語自体をつまらないと思わせたり、突然部屋の掃除をさせたり、財布に溜まったレシートの整理、預金通帳の記帳、車両保険の払込み、まだ見ていない映画のことを思い出させ、人生に対する大いなる不安を抱かせ、この先一生書くことすら無理なように思わせる。彼らも必死なのでなりふり構ってはいられないのだ。 ...
人を殺すのもなかなか難しい
実際の話じゃなくて小説の話。今書いているところで人ひとり殺さなければならなくなったんだけど筆はピタリと止まってしまった。筆力はまだあるのを感じるけれど気力が出てこない。 話の内容的には殺されるんじゃなくて死ぬわけだが、作家が文章を書いて殺さなければ相手は死んでくれないわけで、死んでくれないと話が進んでくれない。だからずっと止まっている。殺すのは人どころか猫でも難しい。真論君家の猫でもずいぶん筆が止まった。ある種の狂気がなければ人(猫)は殺せないようだ。 ...
2015年に読んだkindle本
『ジミー・ザ・アンドロイド/如月恭介』を読む魂を宿した人工知能ゴッドが暴走。人類に対して戦いを挑み、別の人工知能ジミーがそれを阻止しようとする話。月狂さんは続編があると書いていた(ペンと拳で闘う男の世迷言/ジミー・ザ・アンドロイド」書評)が、人類の視点で ...
カフェイン断ちと執筆
カフェイン断ちをした件について群像新人賞を出した後にショートショートを二つ書いて、これまたどこかのコンテストに出した。月一であるので今月も出すつもりだ。原稿はもうある。 10月から新しく書き始めるつもりだったが、こんな事をしている間にもう11月になってし ...
群像新人文学賞に応募した話
今年の8月に星新一賞に応募して、それからまた何か書こうとしている時に藤崎ほつまさんが文学会か、群像か、どちらに出そうか迷っていた。ブログを読んだ感じでは文学会になりそうなので、よし、それじゃあ私は群像に出してやろうと密かに計画していた。 9月10日から原 ...
推敲はやればやるほど面白くなる?
推敲はやればやるほど面白くなる? 日本の古典といえば源氏物語と平家物語が有名だ。源氏物語の方は光源氏が幼女をさらう辺りで読むのをやめたが、平家物語は矢切りの但馬とか、する墨の沙汰とかは読み返す事がある。ちなみに面白いのは平清盛が死ぬまでだと思う。三国志が ...
理想と予想
9月から公募に出す小説を書いている。書き始めの想定ではもう書き終わって次の小説に取り掛かっているはずだが、まだ今の小説はオチが見えてこない。正直言って全然進まない。その日書いた字数が二千を下回った日は自分がゴミになったような気分がする。ふとカレンダーを見 ...
一日に書ける量は決まっているのかなぁ
9月の上旬にまた公募へ出す小説を書き始めた。星新一賞は法外に待遇がいい。同じ水準のの賞金を狙うなら、もっと書かなければならない。というわけで、今はもっと書こうとしている。 構想、プロットの段階で感じたのだが、私はたぶんまず原稿用紙10枚の呼吸があって、その ...
執筆における1時間の時間割
ヒッチハイクを書いてから色んな人に「暑さが抜けたら書きます」と言っていたのだが、もう暑さが抜けてきたので嫌になっている。暑さが抜けたらとは言ったけど、何となく10月あたりを思い浮かべていたので全然書く気がしない。一応ノートは机の上に置かれているが、ただそ ...
執筆と光の関係
海外の、というかハリウッド映画を見ていると夜光灯の色はたいてい赤色をしている。これはハリウッドだけではなく、他の西洋諸国もそうらしく、またお隣の中国や韓国は極彩色っぽいイメージで、日本みたいな青白い色は珍しいそうだ。今日読んだ本には、青白い光(昼間の太陽と ...
近代美術史 牛野小雪 ヒッチハイク派の返還
初期 極初期。使用する色を決めて題名と著者名を打ち込んだだけのもの。日本地図を挿入した。ここに正木忠則君も付ける。元の絵はWEBから拾ってきたものだが、それを元に自分で書いている。拡大すると輪郭ガクガク。どうやって滑らかな直線や曲線を曳いているのか今でも分か ...
作家のスランプについて
マンガやテレビの中で作家はたいていスランプに陥っている。何かを創ろうとするならたいてい誰もが一度は陥るもので、たとえ準備万端で『これで書けなきゃバカだぜ』という状態でも起こりうる。たいていの場合以下の状態を段階的に通過していくようだ。 1.否認2.怒り3. ...
真論君家の猫 上下 表紙作成について【KDPの表紙作成についての雑感】無念残念旧版の表紙は廃止、悲しいよ~
このたび『真論君家の猫』を分冊して売ることにしました。元の表紙に上下を打ち込むだけだと芸がないので、執筆を中断して表紙を作ってみた。その作成の流れを書いていきます。参考になればありがたい。表紙の縦横比は黄金比ではなく白銀比 1:1.414。KDPのヘルプ ...
『死ぬかと思って(A Day’s Wait)/アーネスト・ヘミングウェイ』100度の熱で息子が死なない理由
ヘミングウェイの小説でインフルエンザにかかった息子が体温計で熱を測ると100度と出て、もうじき死ぬんだと思い込む話がある。物語の結末は単位の違いで100度といってもそれは華氏(F→正確には℃のように小さな丸が左上に付くが変換ででてこない。ちなみにFはフ ...
創作ノート 真論君家の猫 チラシのウラ編
前記事ー創作ノート 真論君家の猫 以下、これを見ながら執筆したチラシの裏篇(ルーズリーフだが) 創作ノートを見ながら時に書き足し、あるいは削り、そして変更する。1クロスケが真論君に拾われるまで 一章ミータンが真論君と出会うまで、2000字で終わらせたかっ ...
真論君家の猫の創作ノート
ターンワールドは本当に余裕がなかったので、『真論君家の猫』の創作ノートを公開できなかった。 やっとやっとの休息なのでここに公開する。 画像加工の腕が多少上がったので、写真には書き込みがある。 その前に撮影の腕を上げろと言われそうだけど。1真論君家の猫の ...
『ターンワールド上下巻』をリリース
ついに来ました。『ターンワールド上下』をリリース。 4/24日~28日まで上巻を無料キャンペーンするので、どうぞよろしくお願いします。 以下Amazon の内容紹介です。 内容紹介『この世はバラの絨毯が敷き詰められた最悪の世界 彼はこの世から姿を消すために徳島へ行く ...
2014年に読んだキンドル本
推薦文『未来劇剣浪漫譚 Human Possibility』 退廃的な未来で巻き起こるSF剣豪小説2作目 今回は作者が商品紹介に書いてある通りにエンタメの要素を強く打ち出していて前作と比べてかなり読みやすいです。また続編なので登場人物や世界観が共通していて、早い段階から物 ...
高崎望の創作ノート チラシの裏篇 その2
元の記事高崎望の創作ノートhttp://blog.livedoor.jp/cowfieldtinysnow123/archives/8078174.html1.2章(二年生 愛梨マイラヴ)全体を書き直した案2.2章の起。この時になってやっと舞が出てくる。一応舞のような存在は想定されていたが、物語に絡んでくる人物ではなかった。 ...
高崎望の創作ノート チラシの裏篇 その1
以下の物は実際にパソコンに向き合う時に脇に置いておく覚え書きみたいなもの。チラシの裏や、コピー用紙の裏を使用した。1.1章 起の構成を書く左端にへなへなの斜め線で区切り別1と書いてある。この部分は序章の3年生 中学卒業? の部分。右上に5000と書いてあるのは15000 ...
高崎望の創作ノート
最近蒲生田岬の創作ノートの記事が伸びている。どうやら創作の道を迷う子羊がいるらしい。しかしながら、自分自身が絶賛書き悩んでいる最中なので、こっちも他人の創作ノートを見たい気持ちだ。まあ、かいより始めよとう言葉もあるし、創作ノートに一定の需要があるようなの ...
2013年に読んだkindle本のレビュー
『魔女と機械と遺世界と/舟渡攻』を読んで考えてみた『魔女と機械と遺世界と/舟渡攻』を読んで 主人公は殺戮機械。旧世界を滅ぼした張本人である。機械というが、後に遺伝子がどうたらこうたらと出てくるので完全な機械ではなく人間と機械が合わさったような物のようです ...
蒲生田岬の創作ノート
何故か知らないが最近閲覧者数が4倍ぐらい増えている。PVからして新しい人が来て過去記事を一通り見ていったようだ。無料キャンペーンをしたからかな。 私は他の人がどうやって話を作っているのかずっと知りたかった。創作ノートとか覗いてみたいと思っている。 以前、月 ...
1時間に執筆できる物理的限界文字数
この前、1日中書いて5000字/日を突破した。さすがにここまで書ける人はそうそういないだろうとGoogle で検索したら1時間で5000字書くという人がいた。更には1000、2000ぐらいは当たり前の様に出てくる。中には1万というのもあってビックリした。1日ではなく1時間である ...