ゴッホの手紙―絵と魂の日記 という本を読んでいる。1880年~81年の間、ゴッホは素描ばかりやっていて、弟のテオに何を書いて何を書かないのかが重要だ。みたいなことを書き送っている。ジャポニズムの影響がある頃だし、書かない場所はいかに空白を活かすか、みた ...
カテゴリ: 執筆
未完が前提の小説、作者不在の小説、一年熟成の小説
私小説に結末を着けようとするなら自殺するしかないというので、未完で終わる夏目先生の『明暗』を読んだわけで、それから『山桜』も書き終わったし、新刊告知の予約投稿も仕込み終えたので、西村賢太の動画を見つつ、一度離れた私小説にまた取りかかると、瑞々しい感覚が ...
おりーりー鳥をめぐる冒険
昔々、三年前に私こと牛野小雪は唐突におりーりー鳥を食べたくなり、助手でバイトのニア・タスマ君と一緒にノルウェイの森まで飛んだ。これはその時の一幕である。おい、牛野。倍額のバイト代を払うって言うからノルウェイまで来たっていうのに全然見つからねえぞもうじき見 ...
『妄想の戦争の話をしよう』あらため『難聴製造機』 vol.3
3月末から書き始めた短編を書き終えた。すんごい着想を得て、表紙まで書けている。とはいえ、すぐに出すつもりはない。新刊のテコ入れにしようと思っている。でもこういうのって先に小さな物を出してから本命を出すのか、それとも本命を出した後でテコ入れにした方がいい ...
『妄想の戦争の話をしよう』を書こう ver2
ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』という小説がある。映画にもなっている。オン・ザ・ロード(字幕版) [Prime Video]『オン・ザ・ロード』の結末は、メキシコで分かれたディーンの噂を聞きつけたサルがニューヨークの路地を探し回り、ボロボロになったディーンを ...
『妄想の戦争の話をしよう』を書こう
小説を書き上げる度に、もう二度と小説なんて書けないと思うけれど、しばらくするとまた執筆パワーが湧いてくるのはいつものこと。 そろそろ『John to the world』を書いてみてはどうだと、ノートにちらちらと書いてみた。3年前からノートを書いているが、小説一個書くた ...
小説を書くのがおそい
山桜の推敲も終わり。2月26日にようやく完成。かなり長かった。 雑感帳を読み返すと8月27日から着手したので半年もかかっている。 8万字書くのにずいぶん時間をかけたものだ。 本文の製作は104日。 下のグラフは一日ごとの執筆量を七日平均線のグラフで表し ...
散文的には詩的、詩的にはかなり散文的
山桜は詩が入っている。というより途中から詩の注釈で小説を書いているような気がした。詩なんて去年までは全然詠んだことがなくて最初は手探りで書いていたけれど詩の原理 と歌よみに与ふる書 はかなり啓蒙された。あとサラダ記念日 は教科書で習った短歌の既成概念を壊 ...
口に刺せ、ガソリン銃
ガソリンスタンドで給油口に刺されるアレの名称が分からないので(というか、あるとも思わなかったので)銃の様な物を給油口に刺した。銃にはホースが繋がれていた。としたのだが、ふと『ガソリンガン』という正式名称があるのではないかという疑問が湧いて検索してみると、 ...
私小説のラストは自殺とか、首都圏方言とギャル語とか、僕は長編を書けないとか
熱に浮かされたのか、文学的天啓なのかは分からないが、インフルエンザで40度の熱が出て手足が氷水につかっているみたいに冷えて、布団の中でぶるぶる震えている時に、絶対にこれを小説に書こうと何故か決心した。それで日記とは別に私小説を書いた。勢い余って他の事も ...
インフルで五日間ひきこもる
今週はインフルエンザでずっとひきこもっていた。その間、ひげを剃らなかったので野生動物みたいな顔になった。すっかり野蛮になっただろう、と猫にひげを見せると、失礼しちゃうわ、とぷいっと背中を向けてしまった。猫はメスだってヒゲが生えているし、顔も毛むくじゃらだ ...
二つの小説
小説を書き上げた後は、俺って天才!と舞い上がり、推敲を始めると、俺は一体何を書いてきたんだ···と落ち込むのは毎度のこと。あまりに落ち込んで一章推敲するのに一日かけてしまうこともある。でも、そんなこんなで今週中に推敲を一周した。今回は珍しく一章書き直した ...
あえて完璧から一歩踏み出してみる
去年の11月には、山桜のラストはこれでもう決まりだろう、これ以外にはありえないという場面ができていて、頭の中にもノートにもはっきりと言葉が刻まれていた。 しかし、今年からは新しい小説を書くんだと意気込んでいたので、これが完璧だとは思い込まずに、何とか別の ...
あえて書かないでみる
一昨年の暮れから去年の前半はずっと改稿をしていて、毎日の改稿字数を計測していた。それによると一週間休んでから二週間後に改稿字数のピークがくることが分かった。夏に群像に送った小説もやはり14日目にピークがきた。ついでに今書いている小説も15日目が一番書けた ...
小説の練習
ある小説家同士の対談で、野球は試合に向けて練習するけれど、小説には練習がない、毎日がぶっつけ本番だ、ということを言っていた。その瞬間に気付いた。私が毎日書いているノートって小説の練習じゃないか。確かによく考えてみれば、ノートに書いているのはこれから書こ ...
またまたまたぁ!
今年中に書き終わるような気がしていたけれど、やっぱり書けそうにない。ずいぶん久しぶりに書けない感覚を味わっている。これだけ準備を整えているのだから最後まで一息に書けるはずだと思い込んでいたが、書けない時はどうやっても書けないんだと驚いた。wordの画面を開 ...
最後の一押し2000文字
今年から、まだあと一押しできるというところで小説の執筆を切り上げる書き方に変えた。その一押し分で雑感帳とノートをそれぞれ1ページ、余力があれば2ページ書いている。横着して二行三行使った大きな字でページを埋める時もあるが大体は一行ずつ文字を書いて1ページ埋 ...
プロットを引きなおす
全体のプロットを書いた紙に余白が足りなくなったので、先週全体のプロットを新しい紙に引き直した。書き始めた時のプロットを書いた紙には2018/11/5と書いてあり、二枚目が2018/11/10。三枚目が2010/11/30だ。この調子なら四枚目は2018/12/20ぐらいになりそう。でもそれま ...
文体とは何だろう?
最近ある本を読んでいて(どうも読んだことがある気がするんだけど……)と思ったが、それでも読み進めていると、この本は読んだことはないけれど、この著者の本は読んだことがあるという確信を抱いた。それで本の後ろにある著者略歴を読んでみたが、そこで紹介されている ...
感覚はうそつき
最新版のword は総編集時間というのが表示されるんだけど、それと今まで書いた字数を計算すると1時間1000字も書けていないことが判明して、とても驚いている。何かの間違いかと疑ったがファイルを変えると編集時間はリセットされるので、この遅さは本物だ。 去年出した『 ...
長編なんて書けません
あわよくば山桜を長編にできないかなと思っていたが、この調子だと本当に中編で終わりそうだ。というか短編で終わるかもしれない。 9000字書いてやっと主人公が人と喋った。どんだけ無口なんだよ言いたくなる。プロットからどんどん人が減って、二人いた主人公は一人 ...
蟻一匹一匹に群れの意識なし
蟻の行列を構成する蟻の一匹一匹は全体を意識していないが群体としては統一されたような動きをする。何年か前からそういう感じで書けないかとおぼろげに思っていた。 8月からずっと書いていたプロットはアイデアがいくつもあったが、それが一本のストーリーラインになら ...
小説の神様
去年、聖者の行進を出してからもうじき一年になる。それから全作改稿して、群像にも出して、それからプロットを作り始めて2ヶ月が過ぎた。ノートを書き始めてからだと今までで一番長く時間をかけている。難産というよりは輪廻転生を何度も繰り返している感じで、今月生ま ...
少しずつ、本当に進んでいる?
8月から武士道や大和魂について調べていて、それも行き詰まってきたので、最近は外国人が日本について書いた本を読んでいる。『ニッポン放浪記』という本を読んでいると三島由紀夫や大江健三郎の翻訳をした人の本ということが分かって、久しぶりに小説の世界に帰ってきた気 ...
タ、ターン、プロット、メロディライン
先月末からプロットを書いているのだが、まだプロットラインが引けない。まだネタが熟成されていないというのもあるが根本的にプロットの作り方に問題があるのかもしれないと考えるようになった。 そもそも最初はタン、タン、タン、タンと起承転結四拍子でプロットライン ...
大和魂とは?
群像の結果が出るのは来年なので、結果がどうであれ来年に小説を出せるようにしようと考えている。『幽霊になった私』ぐらいの長さを一年ぐらいかけて書くつもりなのでテーマもそれに見合う物にしようとしていて、現代の日本に突如出現した武士道を書こうとしていたが、ま ...
群像新人文学賞にもう一回送る
3年前に群像新人文学賞に送ったことがある。その年は例年になく予選突破者がいたらしいのだが、私は箸にも棒にも引っかからなかった。電話番号を送り忘れたから一行も読まれずに落とされたのだと今でも思っている。というかそうであって欲しい。小説以外の部分で落とされた ...
書かない日を増やしたら史上最速の執筆だった
最近ブログの更新をしていないが実は6月11日から群像新人賞のリベンジに出すかもしれない小説をずっと書いていた。 自分の中ではseason3の位置付けになるわけだし、今までと違う書き方をしようとして、書かない日を増やしてみることにした。理由はとても単純で、書かな ...
『裸娼門/芥川龍之助平』
『暴っちゃん』で味をしめたのか今度は芥川龍之介の『羅生門』をパロッた小説。キモ金おじさん(元イケメンという設定だが)が主人公で、原作と同じように悪に身を落とそうかどうか煩悶しているということ(既に小悪党だけど)を下敷きにしているのだが、ここでもう少し踏み込ん ...
推敲、改稿、やってみよう No.end 150万字の改稿
やっと改稿が終わった。『聖者の行進』の推敲を入れると、推敲改稿を8ヶ月も続けていたことになる。こんなにも続けてやったのは人生初で5年分ぐらい小説を読んだような気がする(自分で書いた物だけど)。 KDPで出版したのを全部読んで改稿したわけだけど、やっぱり最高 ...
黒髪の殻 推敲、改稿、やってみよう 自発的な小説
『黒髪の殻』は群像新人賞に出すために書いた物で、この辺りから意識的に書き方を変えた。火星の辺りは改稿していても強くてニューゲームぐらいガンガン改稿できたけれど、この辺りからちょっと跳ね返してくるようになった。嬉しいような面倒くさいような複雑な気持ちがする ...
ターンワールドの創作ノート
1.最初の素案 元々のネタは野宿をしながら料理人の女が四国を回る話だったが、当時は四国88ヶ所巡りが始まって1200年とかでテレビでよくニュースとか特集をやっていたので、それをネタにしようとしていて弘法太師のネタを探しに色んな寺を巡った。しかし小説のネタ ...
幽霊になった私 推敲、改稿、やってみよう No.1 眠るまで眠れない
5日の休養前はもうこれ以上『聖者の行進』を改稿するのは無理だと思っていたのに、三日目からまだできるんじゃないかと思い始めて、少しやってみると……やっぱりできた。どうも休養期間中にもりもり脳が成長しているような気がする。今回の30日はけっこうキツくて一日 ...
推敲、改稿、やってみよう No? 微笑みは頬で笑うこと
今週は『聖者の行進』の改稿に手を付けたのだけれど、心持ちはいまだにこれを書いた後のままなのでそれほど改稿した場所はなかった。その代わりルビの振り方を全部変えた。 今までは単語単位でルビを振っていたのだけれど、今回は文字単位に変えてみた。この前テレビを見 ...
ヒッチハイク 推敲、改稿、やってみよう No.3 小説の神
『ヒッチハイク!』の改稿終わり。今月も絶好調だが結局10日ぐらいかけてしまった。一日一万字ちょいのペースだ。 この小説を改稿していて、ふっと気付いたことがある。小説家は小説の中においては神で、どんなことを書いてもいいんだってこと。変な有人飛行計画で火星に ...
【おせっかいな賢者よ、来たれ】牛野君は小説技法を知らない
先日『ヒッチハイク!』の改稿をした記事で『言い切る比喩』について書いたら、こういうコメントが付いていた。1. 名無しの読者 2018年04月07日 16:21節子、それ言い切る比喩やない。暗喩や ほうほう、それで暗喩についてグーグル先生に問い合わせると一番最初に出てき ...
ヒッチハイク 推敲、改稿、やってみよう No.2 言い切る比喩
川端康成はすんごい作家である。 川端康成といえば『雪国』と『伊豆の踊り子』で語られて、特に前者は”国境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった。”は百回ぐらいは聞いたことがある。しかしどちらを読んでも肌に合わなくて、しょせん昔の人だからと省みることはな ...
ヒッチハイク 推敲,改稿,やってみよう
ヒッチハイクはほとんど人名が出てこない。副題が~正木忠則君のケース~だが、たぶん彼の名前が出てくるのも片手で数えるぐらいではないだろうか。改稿している時に忠則とかいきなり出てきて、作者でさえ一瞬誰だか分からなかったほどだ。最後に出てくる姉の夏未の方がよ ...
ターンワールド 推敲、改稿、やってみよう NO.8-5 やっと終わり
本当は先週で終わりでも良かったのだけれど、調子が良いとまだまだ踏み込めるので、今週もずっと『ターンワールド』の改稿をやっていた。何だかんだで『聖者の行進』と同じくらい時間をかけてしまった。絵が上手くなると上手い絵を描くようになるので、結局絵を描くのにか ...
ターンワールド 推敲、改稿、やってみよう No.8-4
休養期間中は何もしていないと罪悪感を感じたので宇宙について考えていた。何日かスティーブン・ホーキング博士と話しているところを妄想していたら、博士が死んだというニュースが飛んできたので驚いた。次は誰と話しているところを妄想すればいいのだろう。 今週は休養 ...
ターンワールド 推敲、改稿、やってみよう No.8-3
30-5日体制にしてから、かなり改稿が進むようになった。1月は一日3~4万字改稿するのがやっとだったが、2月は一日4~5万字改稿できた。調子の良い日は6万字を超えたのでとんでもないことである。 とはいえターンワールドは終わらず、今日から5日の休養期間に入 ...
ターンワールド 推敲、改稿、やってみよう No.8
18日から改稿を始めて一週間で上巻の終わりに手が届いた。来週には上巻の改稿が終わっているかもしれない。ペースはちょっと落ちたけれど、先月と比べればまだまだ高い方、今月は9日から改稿作業を始めたから、来週は20日-30日の期間に入る。ここからペースアップ ...
長い寄り道 推敲、改稿、やってみよう NO.7
真論君家の猫の次はターンワールドなんだけれど、20万字以上の改稿から続けて30万字の改稿に手を付けるには気が引けたので短編集に手を付けることにした。書名もちょうど長い寄り道だし、ちょうどいい。 やっぱり竹薮の柩とぼくとリカルドはまだ書き慣れていない感じ ...
真論君家の猫 推敲、改稿、やってみよう NO.6
この50日ぐらいずっと真論君家の猫を改稿しながら読んでいたのだけれど、やっぱりこれが今のところ最高かなという気がする。最低傑作の聖者の行進を書いた勢いで書けばどうなったか分からないけれど、意識的に書いてこれを超えるのはまだ無理だ。 それに影響力も抜群 ...
小説は毎日書いた方がいいの?
小説は毎日書けばいいのか、それとも週に一度か二度休みを入れたほうがいいのか。 週に一度休みを入れるのは体感的にダメだと分かっている。休み明けには筆に力が入らないし、執筆エンジンが冷めてしまう。かといって毎日書けばいいのかと言うと、そうでもない。長編なん ...
下手は下手なりに 推敲、改稿、やってみよう NO.5
グッドライフ高崎望の改稿はそろそろ終わり。この頃は下手なりに色々工夫していて面白い。 主人公の望の変化は髪型に象徴されているのだけれど、それが唐突にならないように何度も髪の毛についての言及があったり、窓から飛び降りる前に窓の描写が前章から何度も出たり、 ...
KDP作家の奇妙な改行~word編~
プルルルルル、プルルルルル ガチャ やあ、久しぶり。元気にしてたかい。 この前君がKDPにwordファイルを上げていて、奇妙な現象に悩まされていると小耳に挟んだんで。ちょっと電話したんだ。実は僕もあれには悩まされていたんだ。もし良かったら聞いてくれ。ほんの5分 ...
BE 推敲、改稿、やってみよう NO.3 執筆はエンドレスワルツ?
ドアノッカーの改稿が終わると、ブラッドエグゼキューションがちょろっと読まれていたのでそっちを先に改稿することした。2万字強なので数日で終わってくれた。その次は蒲生田岬へ。 やっぱり今年書いた物だとドアノッカーと比べて全然違うと感じた。改稿の手応えもかな ...
『医師とその妻(The Doctor and the Docter wif)/アーネスト・ヘミングウェイ』〜小さな罪の正当化〜
冒頭で医師は湖岸に流れついた丸太を見つける。しかしその丸太を回収するには手間も費用がかかるので、あえて湖岸から引き上げることもしないだろうから、医師は自分の物にしても問題ないはずだと考える。 そうして彼はインディアンの男達を呼ぶのだが、彼らにはっきりと ...
『インディアンの村(Indian camp)/アーネスト・ヘミングウェイ 』〜何故父親は死んだ〜
ニックがパパと一緒に川を渡ってインディアンの村へ行くとそこには子どもを産もうとしているインディアンの女性がいる。パパはその子を取り上げるのだが、子供の父親は喉を掻ききって死んでいるというお話。 何故死んだのかという疑問の前に、最初から夫は死んでいたので ...