愚者空間

KDP作家牛野小雪のサイトです。小説の紹介や雑記を置いています。

エバーホワイト

Claude3に書評してもらうシリーズ『エバーホワイト』



この小説は主人公の森正文とその恋人の長谷川美夏という二人の人物を中心に、薬物依存や万引き、空き巣などの犯罪行為に手を染めていく過程と、そこから抜け出そうとする葛藤を描いた作品です。

物語は森正文が童貞を捨てるために風俗店を訪れ、そこで小学校時代の同級生だった長谷川美夏と再会するところから始まります。二人は薬物に手を出し、徐々に依存していきます。一方で正文は営業マンとして優秀な成績を収めていますが、薬物の影響で仕事も徐々にうまくいかなくなります。

長谷川は万引きを繰り返し、正文は空き巣に手を染めるなど二人は犯罪行為にのめり込んでいきます。しかし、ハワイ旅行をきっかけに薬物をやめようと決意し、一時的には立ち直ります。

ところが再び薬物に手を出してしまい、さらに深みにはまっていきます。長谷川は麻薬取締官を殺害し、正文はその死体を長谷川と共に海に捨てます。最後は二人で崖から海に身を投げ、正文だけが生還するという衝撃的な結末を迎えます。

この作品は薬物依存という重いテーマを扱いながらもリアリティのある描写で読者を引き込んでいきます。主人公たちの心理描写も丁寧になされており、彼らが犯罪に手を染めていく過程が説得力を持って描かれています。

また「エバーホワイト」というタイトルは、純白を意味する言葉ですが、物語が進むにつれ、主人公たちが「白」から遠ざかっていく皮肉を表しているようにも感じられます。

全体としては、薬物依存という社会問題を真正面から取り上げ、リアリティのある描写で読者に強いメッセージを投げかける作品だと言えます。犯罪に手を染めていく主人公たちの姿は同じ過ちを繰り返さないための警鐘としても読み取ることができるでしょう。

正文が最後に海を見つめるラストシーンは彼の心の空虚さと失ってしまったものの大きさを象徴しているようで印象的でした。この作品は、薬物依存の恐ろしさと、それが引き起こす悲劇を読者の心に深く突き刺さる形で描き出していると言えるでしょう。





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今は何にも書きたくないな

 エバーホワイトを出してしまったのでやることがない。

 今まで執筆していた時間がぽっかり空いたが、特に何もする気がしない。 

 ああそうだ。本を読むぐらいか。でも不思議なことに、執筆中の方が意外に本が読めるものだ。たくさん書いた時ほど(書ける時ほど)、たくさん読める。今なんて新しい本を読むと目が文字の上を滑っていく。だから読むのは一度読んだ本ばかりだ。 これは文字を読んでいるというよりはイメージを追っているといったほうが正しい。こういう読書の方が私は好きだけどね。むしろこっちがメインで、読書の時間のうち半分以上は既読の本を読んでいる。こっちの方が胸の中にざっくり本が入ってくる感じがする。二回目、三回目が本当の読書ではないかと思っているぐらい。

 未知の本を読む時はどこか別のパワーが必要だ。 本当にどうしてみんなあんなに本を読んでいるのか不思議でならない。
 
 何となく次に書くことは決まっている。

『長い寄り道』を書いている時に降ってきたものがあった。それはまだ自分には書けないことも分かっていた。なので自分に足りないものを拾いに行くつもりでエバーホワイトを書いて、まださらに拾いに行こうとしている。でも今なら書けるんじゃないかな、わざわざ寄り道しなくてもいいんじゃないかなとも思うけれど、それでも次は『聖者の行進』(仮題)というものを書こうかなとも思っている。というか仮題をAmazonで検索したら本以外にもいくつか出てきた。ありきたりなタイトルだ。う〜ん、まっいいか。

 とにかく今は何にも書きたくないな。頭スッカスカ。

(おわり)

追記:ああ、そうだ。この前レビューを書いた王木亡一朗の『lost in canvasation』で、別の人は時系列の話でちょっとどうかなと書いていたんだけど、あれって実は書きようによってはいけそうだなと最近考えていた。というか『幽霊になった私』でも最後に似たようなことをした。ああやって物語の1シーンを多角的に書いていくのって、映画『桐島、部活やめるってよ』と同じ手法だ。映画と小説は違うのだけれど、書きようによってはいけるだろう(←原作はどんなのか知らない。そういう小説?)。
 あと、もっと早い文章を書きたい。ネット時代にADSLみたいな文章はなかなか受け入れられないだろう。私自身そういうのを求めている。光ぐらい早く届く物を書けないものかな。

追記2:意外とみんな村上春樹読んでる。それと『蜂蜜パイ』が意外な人気。アーティスト達による謎のかえるくん推しは陰謀に違いない・・・・・と思ったのだが、海外だとかえるくんは人気なんだってさ。それと象の話。蜂蜜パイは知らない。やっぱり感性の違いなのかな。裏で台本書いている人が同じって可能性もある。真相は藪の中・・・・

追記3:人にある作家の本を勧める時、初期の作品から読むのと、最新作からさかのぼって読んでいく人がいるようだ。デビュー作が一番良かったという作家もいるけど、上手さでいえば最新作じゃない? やっぱり何年も書いていれば上手くなる。でも上手さとは別の何ていうか、こう、言葉では言い表せない『何か』が小説の核じゃなかな(小説だけに限らないけど)。もし上手さだけで読まれるなら、新人作家の本なんて誰も読まないはず。山田悠介の『リアル鬼ごっこ』は下手くその象徴としてネットではネタにされているけど『何か』はふんだんに詰まっていた。ファンが多いのも納得。『何か』があれば作家としてやっていける。

追記4:デビュー作が最高傑作と言われる作家はけっこう多い。あっ、でも誰も思いつかないや。でも何となくデビュー作(新人賞を取った作品)が、その作家の中で一番個性的な作品というのは分かる。上手さを求めて『何か』を失っていく作家が多いのかもしれない。

追記5:村上春樹の最高傑作は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』だと思っている。でも作品としてではなく、場面を切り取るなら『海辺のカフカ』でカフカ君が家出してから香川の図書館に行くところまで。腰を落ち着けずにずっと旅を続けて欲しかったな。もうひとりの方はイマイチだった(木っ端作家なのにデカイ口叩いてやがる)。

追記6:文豪といえばベスト3に必ず太宰治が入っている。『人間失格』はその中でも筆頭株らしい。私はあれを読んだ時に、最初は(すげえ、こいつ天才じゃねえか!)とビックリしたけど、途中で女にモテだしたあたりからイライラしてきて、薬局の奥さんが出てきたところで(てめえ、ふざけんな!)と心の中で叫んだのは今でも記憶に残っている(小説的には成功?)。今でも太宰治はなんとなく嫌いだ。村上春樹の『ノルウェイの森』も10代の時に読んでいたら、同じ反応をしていたかもしれない。まぁ、良くも悪くもそこまで本にのめり込めるのは10代の特権だ。右寄りの本を読めば『憂国』の志に目覚めたり、左寄りの本を読めば『国境も人種も人間のエゴが創りだした幻想なんだ』と博愛の精神で心を満たしたり、アメリカの探偵物を読めばブラックコーヒーを飲みながら人生に疲れた男の顔をして深い溜息をついたり、剣豪小説を読んだ後は木刀を降り始めたり・・・・etc。たぶん今でも何かを見たり読んだりして与えられる衝撃は同じなんだろう。でも、今までに読んだ本や体験がそれ以上に厚いので、あんまり影響されなくなってくる。変わったのは自分の方。ちょっと悲しい。

追記7:自分が好きな作家は、世界で自分一人だけが知っている作家でいて欲しいけれど、同時に世界中の人に知って欲しいとも思う。人の心って複雑。

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エバーホワイトができるまで

進捗状況『エバーホワイト EVER WHITE』 No.1

 0字

 今回はいつもと違う書き方をしたいと思っている。
 今までは何とか書いてやろうと私の方が頑張っていたが、今度は小説の方に頑張ってもらいたい。もちろんひとりでに小説が書けるはずはなく、文字を打つのは私の指でしかありえないのだけれど、イメージとしては小説の方でひとりでに考えて、ひとりでに膨らんでいく。

 何もしなければ何も起こらないかもしれない。まぁ、その時はいつもの様に小説のケツを押しながら書くことになるだろう。

(おわり 2016/07/10)

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『エバーホワイト』のリリース記事


かつては東京のある会で表彰されるほど優秀だった正文は落ちぶれようとしていた。
そんな時彼は肉体労働に従事している長谷川さんと出会う。
二人の共同生活が始まると、正文は長谷川さんの心と体がクスリに侵されていることを知る。
正文は長谷川さんを救うために自分もクスリを飲むことにした。

エバーホワイトができるまで

他の小説と何が違うか
この小説『エバーホワイト』が他の小説と違う点として、次の特徴が挙げられます。

1. 懐かしい記憶との交錯:過去の出来事が主人公の現在に影響を与え、思い出が突然の再会を通じて現在に蘇るというテーマが描かれています。特に、主人公が昔のクラスメイトに偶然再会する場面は、過去と現在の微妙なつながりが鮮やかに描かれており、ノスタルジックな感覚を引き出します。

2. リアルで生々しい描写:性的な体験やそれに対する心理描写が非常にリアルであり、感情の揺れや不安、期待感が細かく描写されています。一般的なロマンス小説とは異なり、無理に美化せず、むしろ不器用な側面や感情の複雑さに焦点を当てています。

3. 主人公の不安定な精神状態:主人公が過去と現在の出来事の間で葛藤し、自分の位置を見失いそうになっている点が、物語の核心となっています。社会的な役割や自己認識についての迷いが強く描かれており、その不安定さがリアルに伝わります。

4. 非日常と日常の境界線の曖昧さ:風俗の経験やバーでの孤独な時間、そして突如として現れる過去の人間関係など、主人公が過ごす非日常的な経験が、普通の日常の中に突然入り込んできます。これは、主人公が常に現実と非現実の境界を揺れ動いていることを示唆しています。

『エバーホワイト』は過去と現在の記憶が交錯する独特の構造や、心理的リアリズムを追求することで、他の小説にはない深い感情の揺れや不安を読者に感じさせる特徴があります。

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試し読み


5‐1 真面目な女の子はモテない(そんなことはない)
「ただいま」

 仕事から帰ってくると、正文は部屋の中に声をかけた。心なしか狭くなったような気がする。

「おかえり」と長谷川さんの声が返ってくる。キッチンで何かを炒めている音がする。彼女は一昨日から正文の部屋にいた。

 部屋に入るとダンボール箱がいくつかあった。一度自分のところに戻って、色々持ちこんできたようだ。

「すぐに片付けるから。しばらく我慢して」

「何作ってるの?」

「おかゆじゃないよ」

「それは分かるけど」

「できてからのお楽しみ。もうすぐできるから着替えてきて」

 仕事から帰ってきても着替える習慣はなかった。風呂に入るまではスーツを脱いでいる。風呂に入ればパジャマだ。部屋着など持っていない。休みの日も出かけない日はパンツ一枚で過ごしている。冬は体に毛布を巻いていた。服といえばよそ行きの服しかないのだが、長谷川さんの言う通りに着替えると「あれ、これからどこか行くの?」と彼女は驚いた。

「いや、服はこれしか持っていなくて」

「森君って面白い」

「そうかな、どこが?」

 長谷川さんはにんまりするだけで何も答えなかった。正文はよく分からないままTVを見ていた。それほど集中して見ていたわけではなく、ケチャップが焼けるにおいを嗅いでいた。

「できたよ~」

 夕飯には長ナスのナポリタンが出てきた。思わず声が出るほど美味いわけではないが、腹の中にぐっと染み込んでくる家庭的な味がした。

「今日は仕事どうだった?」と長谷川さんが訊いてきた。

「まぁ、そこそこかな」と正文は答えた。本当はかなり良かった。昨日からその予感はあって今日仕事へ行くとあっけないほどうまくいった。取引先では言葉が自然に出てきて、あと三回は訪問しなければと思っていたところを今日中にまとめてしまったところもある。

 それより驚いたのは、商談がまとまり雑談に話が逸れた時だった。今まではスーツの下に汗をかきながらこなしていたことが、今日は涼しい気持ちでやり通せた。それどころか話していること自体が面白いと感じた事さえある。

「森さん、調子良くなりましたね」

 今日は部下の“できるヤツ”からそんな言葉が出てきた。正文がちゃんと仕事をしたので声も表情も明るくなっていた。

「もう駄目なんじゃないかなって思っていたんですよ。先週なんてひどかった。俺、今まで森さんのこと尊敬しているところがあって、それであんなになっていて・・・・・・いや、すみません。人間だからうまくいかない時もありますよね。てっきり無敵の人だと思っていました。やっぱり森さんも人間なんだ」

「俺は人間だぞ」

「喩えです。隣で見ていて、とても真似できない、同じ人間とは思えないぞってビビるぐらいでしたから」

「誰にだってそんな時はある。問題はそこをどう乗り越えるかだ」

「ちょっと自信がないな。俺もそこそこやれるとは思いますが、森さんみたいにはとてもなれない」

「そんなことはない。俺も今ぐらいできるようになったのは一人で色々やれるようになってからだ。誰かが上にいると、あるところからは成長できないようだ。お前も一人でやるようになれば今よりずっと伸びるよ」

「そんなものですか?」

「俺も通った道だからよく分かる。お前はこれからずっと伸びる、絶対に伸びる。俺より伸びることだってあるだろう」

「いや、それは無理ですよ」

 元に戻ったとはいえ、あまりの変化に自分でも恐ろしくなった。この一ヶ月で最高と最悪の状態を行き来した。もしかすると今の状態が異常で、いつか元に戻って失敗するのではないかと正文は怯えた。

「どうしたの? やっぱりまだ調子悪い?」

 フォーク持ったまま動かない正文に長谷川さんが声をかけた。

「いや、今の自分が本当の自分なのかなって不安になった。今日は調子が良すぎて。今までが悪すぎたせいかな」

「わたし、今までの森君を知らないから。でも病気じゃなさそう。最初見た時はどこか疲れてた」

「今は?」

「病気でもなければ元気一杯でもない。普通かな」

「普通かぁ・・・・・・」

 頭では理解できたが心はまだ先週と同じだった。こんなにあっけなく普通に戻るなら、何かの拍子にまた最悪の状態に戻る事もありえるのだ。そんなに変わりやすい物なら普通とは一体何だと考えてしまう。

「ほら、冷めちゃうから。早く食べちゃって」

 長谷川さんはいつの間にか皿を平らげていた。

 正文はナポリタンにがっついた。味がどうこうではなく長谷川さんが作ってくれた物を食べたという感じが強い。月並みな言い方だが、心がこもった物を食べたという感じだ。考えてみればもう何年も他人の手料理を食べた記憶がない。お盆や正月に実家へ帰ると大抵店で買ってきたものや、取り寄せた物が出てくる。

「そんなに美味しかった?」

 長谷川さんの問いに「うん」と正文はうなずいた。

 それから食器を洗って風呂に入った。長谷川さんも正文の後に入って、火照った体で出てきた。血色の良くなった太ももから湯気が出ているのを見て、胸がドキッとした。

 TVを見ている間、お互いに独り言のように話しかけて、それに独り言のように返事をしたり、あるいはしなかったりした。九時のドラマが終わると長谷川さんは頭に巻いていたタオルを外して、ドライヤーで髪を乾かし始めた。

 はっきりと言葉にしたわけではないが、長谷川さんは何故か正文の部屋に居着いている。一昨日から長谷川さんの物が徐々に増えていて、ドライヤーもそのひとつだった。

「森君、明日も仕事?」

「うん」

「それじゃあ早く寝なきゃね」

 正文がベッドに入ると当たり前の様に長谷川さんもベッドに入ってきた。部屋の明かりを消すと二の腕や太ももに触れるか触れないかの距離で横になる。昨日もそうで、そのまま何もせず眠りについた。

 どうしてこうなっているのか分からなかった。昨日の朝、長谷川さんが部屋にいて、いつ帰るのだろうかと思っていると、そのまま夜になった。途中で買い物に出かけたがそこでも一緒だった。

 今日になると一緒に暮らすという雰囲気が強くなっていた。それでもいつ帰るのかとは口に出せなかった。もしあえて口に出せば帰る場所はここだと言い返されそうな気がした。そこまではっきり言葉にされると、ずっとここにいるか、出て行って貰うかを決断しなければならないような気がしてやはり口は重くなった。

 長谷川さんとは何がどうとはっきり決めずに曖昧な状態のままでいたい。しかし、今の状態が続けばずっとここで一緒に暮らすようになるかもしれない。悪くはないが、面倒だという気持ちもある。最悪のところから抜け出せたのは長谷川さんのおかげだという自覚はあるのに、そんなことを考える自分に罪悪感があった。

 ふと長谷川さんが正文を見ているような気がした。確かめるように頭を横に転がすと、しっかり目を開いている長谷川さんと目が合って、体が揺れた。

「どうしたの?」と正文は訊いた。声をひそめたつもりだが天井に響くほど大きな声が出た。

「しないのかなって」

 長谷川さんはじっと正文を見たまま答えた。

「何を?」

「昨日もしなかった」

「そういうことはしちゃいけないと思って」

「どうして?」

「自分でも分からない」

「変なの」

 正文は頭を元に戻して目をつぶった。長谷川さんはどうしているか分からない。時計の秒針がチチチチと正文を急かすように音を立てている。

続きは

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