優れた小説は冒頭の文章が小説全体を支配する。究極的には最初の10行で読むのをやめてもかまわない。夏休みの宿題で読書感想文を書くならなおさらだ。始めに書いておこう。『レモン/グラス』の冒頭で僕と姉は毎朝京野菜を食べていると描写されている。まずはこれを憶え ...
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カテゴリ:他の作家 > 書評
この王木亡一朗を読め2♪ 『あのころ』~だれにもいいねされない私達の退屈、そして無意味さ~
社会が意味の無いことを許さないのはこの記事の存在自体が示している。この映画は、この本はどういう意味なんですかという問いはよくあるし、それは何の意味もないなら何の価値もないということを暗に示している時もある。価値がないなら存在してはいけないということだ。 ...
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この王木亡一朗を読め1♪ 『当てつけ』~前山田君が令和のジョーカーになれるわけねえよ、夏~
現代社会は多様性の時代だと言われているが、そんなことは嘘っぱちでせいぜい数バリエーションの人しか受け入れ先はない。腕が6本あったり、目からビームが出たり、指の間からアダマンチウムの爪が出たり、体が岩でできている人間を想定されてはいない。社会の要請する人間 ...
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『天国崩壊/伊藤なむあひ』
この小説には徹底されたものが二つある。登場人物の匿名性と、くどいほどのコマーシャル的な形容詞だ。 登場人物は少年や母親、彼女、店長と、代名詞や血縁関係、社会的地位で表される。ミカとかYPという名前も出てくるが偽名である。 形容詞はコマーシャル的でいかに価 ...
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『東京死体ランド/伊藤なむあひ』
Are you really ready to the die? 僕たちはきっとこれからも失い続けていくのだろう。そしてその中で幸せや不幸を味わって死んでいくんだ。でも僕はそんな幸せなんてまっぴらなのさ。もちろん不幸もいらない。それどころか世界も必要ない。僕たちは全てを否定する。こうして僕とスピーカーは妻と子どもをトランクに放り込み、車に乗って・・・・ ...
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