103万円の壁。聞くだけでゾッとする、昭和から続くこの制度。現代の労働環境や経済状況とあまりにも乖離しているこの収入ラインは、まさに「罠」としか言いようがない。断言するが、これが日本社会の成長を妨げ、特に女性たちのキャリア形成や経済的自立を台無しにしている。
そもそも103万円という数字、誰が決めたんだ?基礎控除48万円と給与所得控除55万円の合計から導き出されたものだが、この基準が設定されたのは何十年前の話だってことを忘れてないか。1995年に基礎控除が引き上げられたとはいえ、30年近くもそのままだ。時代は進化しているのに、この壁だけはまるで古い化石のように存在感を放ち続けている。
最低賃金は年々上がっている。いいことだ。けど、そのせいでパートタイム労働者はフルタイム勤務どころか、シフトの調整まで強いられる。なぜなら、103万円を超えると所得税がかかるから。結果的に働きすぎてしまうと、手取りが減る可能性がある。働いているのに稼ぎが減る?こんな馬鹿げた話があるか。家計を助けるために働く人々に「これ以上頑張るな」と制限をかけているも同然だ。
さらに問題なのは扶養控除だ。年収103万円を超えると配偶者や親の扶養から外れるケースが出てくる。これで何が起きるか。家族全体の税負担が増え、結局、手取りが減るという負のスパイラルだ。個人の努力が家庭全体を苦しめる結果になる。こんな制度をありがたがる人なんているのか?
一方で、企業側もこの壁のせいで雇用調整を強いられる。せっかく能力のある人材をパートタイムで雇えても、103万円を超えないようにシフトを抑えなければならない。結果、労働力不足に拍車がかかる。日本は今、少子高齢化で労働人口が減少している。その状況で、働ける人を制度の名のもとに縛りつけているのだ。国は何を考えているのか。
この壁が女性の働き方に与える影響も見過ごせない。専業主婦として家計を支える女性たちが、パートタイムで働く際に必ず直面するのがこの103万円の壁だ。これがあるせいで、キャリアアップを目指す意欲がそがれ、経済的自立が妨げられる。女性の社会進出を促すなんて言葉だけのスローガンだ。現実には、制度そのものが女性の可能性を潰している。
政府は改革をちらつかせるが、実現する気があるのか疑わしい。178万円に引き上げるという話もあるが、根本的な解決には程遠い。金額をいじるだけでは意味がない。103万円という基準そのものを廃止し、税制や扶養制度全体を見直すべきだ。
本当にこの国は変わる気があるのか。現行の制度を維持する限り、日本経済も、国民の生活も、良くなる未来なんて見えてこない。103万円の壁はただの数字じゃない。これは日本社会に張り巡らされた見えない鎖だ。この鎖を断ち切らない限り、私たちは真の意味で自由になれない。
政府よ、目を覚ませ。時代遅れの「罠」を放置している場合じゃない。改革が必要なのは明らかだ。さもなくば、この国の未来は壁の向こう側に閉じ込められたままだ。
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