毎月お米屋さんにお米を買いに行っている。すでに精米済みの25kgのやつを買う。毎月買うんだからもう配達でいいじゃんと思うのだが、どういうわけかその判断は先送りを繰り返し、いつしか私がお米を買いに行くのが1か月のルーチンになっている。
さて、2024年8月。X上ではお米がないっていう話題がちらほら出ている。大阪の親戚もお米がないと言っていた。でも東京にはお米があるらしい。どうも奇妙だ。Xを何日か見ていると、どうやら一部地域で誰かがお米を買い占めているらしい。お米は1年に1回しか取れないし農家の人も需要をあてにして作るわけだから、誰かが突然買い占めてしまうと足りなくなるというわけだ。なぜこんな奇妙なことが起きたのだろう。
今月お米を買いに行くとお米屋に人がいるので驚いた。普段は私一人か、ごくたまに先客がいるぐらいなのに二人もいた。なにか運よく繁盛でもしたのかなと思いつつ車で待っていると、二人の男は何も買わずにお米屋を出ていく。男二人でお米を買いに来るというのも奇妙だった。兄弟でも友達でもない雰囲気である。あと、こんなことを言うと田舎者みたいだがよそ者っぽい感じがする。どう見てもこのへんに住んでいる感じではない。よそ者と地元の人をどうやって見分けるかは知らないが、中学で別の学区の子たちを見た瞬間のあの感じである。
私が店に入ると、いつも買っているお米がない。毎月買いに来ているから向こうも私の顔をおぼえていて「あぁ~すみません。お米を切らせてしまって」とお米屋さんのおばあちゃんが大きな声を出す。なんでそんなに大きい声を出すんだろうと不思議だった。ちなみにこのお米屋さん、家族で経営していて時々おばあちゃんが店に出てくるのだ。
5kgで4000円とかのやつしかないのでどうしたものかなって迷っていたら、おばあちゃんが外の様子をちらちら見ている。新しく客が来たのかなと思っていると、さっきの二人組の男が米屋をのぞいている。なんだろう? と私が見つめ返すと男たちはあきらめたようにどこかへ行く。
米はまだあるし、最悪パンでも食べればいいので「また来ます」と店を出ると、おばあちゃんが「ほんまにすみません」とあやまりながら外までついてくる。これもおかしい。徳島県で外まで見送りに出るなんてイルローザと車屋ぐらいしか知らない。しかも今回はお米さえ買っていないのだ。
私が車に乗ってもおばあちゃんが私の方になんだかねばっこい視線を向けている。なんだろうと不思議すぎたが、まさか聞いても答えてくれないだろうなとエンジンをかけようとすると、おばあちゃんがコンコンと車のドアを叩く。
「ちょっと裏まで来てもらえる?」
おばあちゃんが突如として奇妙なことを言い出すので頭の中は(??????????)である。個人的に好かれていて、スイカでも食べさせてくれるのかなぁと思って、おばあちゃんの後ろについて店の裏まで行くとお米の袋がいくつも積まれていた。あれ、お米がある????????
おばあちゃんのひそひそ話では米を買い占めている人がいるので、常連の人が買えるように隠しているんだそうだ。私はこの話を聞いた瞬間、年寄りがスマホでyoutubeを見ていたら陰謀論にハマったっていうストーリーが頭をよぎった。去年も今年も冷夏ではないし、去年の台風で田んぼをやられたという話も聞かない。おまけにちょっと道を外れれば、実った稲穂が垂れ下がっている黄金色の田んぼが広がっている。稲刈りももうすぐ始まる(これを書いている時はもう半分近く刈られている)。こんな状況で米を買い占める馬鹿がいるはずない。
だから、おばあちゃんはyoutubeの陰謀論にハマったか、もっと悪ければ頭がボケてしまったのだと私は思った。おばあちゃんは「誰にも言わんといてください」と言ったが、こんなこと話せるわけないだろと私は別の理由で思った。私はお米屋さんの家族に同情して、しかし、すぐさま政治的に正しい表情と態度で「いつものやつ一袋ください」と言った。いつものレジではなく手渡しで一万円札を渡す。お釣りを持ってくるのでお米を車に積んでくれるで?とおばあちゃん。おばあちゃんが出てきた時は私がやるのである。
はてさて、私が車にお米を積むと、ほぼ同時におばあちゃんがお釣りを持ってくる。金額は合っている。おばあちゃんをちらっと見るが、頭はしっかりしているように見える。でも、なんにでも初期症状というのがあるのかもしれない。でも信じられない。あのお米屋さん大丈夫かな……と心配していたのがついこのあいだ。
しかし、数週間後、本当に買い占めが行われていると知ってビックリする。陰謀論でもなく、おばあちゃんの頭がぼけたのでもなく、本当に買い占めはあった。まるで「ラピュタは本当にあったんだ」状態である。
小説を叩く時に、こんなの現実ではありえないというのがあるが、ありえないことは実際に起きるのである。そろそろ新米が出るので、あと数日で売り抜けないと買い占めて儲けようとした人は大損するだろうが、やっちゃったことはやっちゃったことである。大谷翔平は40HR40盗塁しちゃうし、お米なんてそこらへんに実っているのに、お米を買い占めちゃうことだってあるのだ。現実は小説より奇なりである。
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さて、2024年8月。X上ではお米がないっていう話題がちらほら出ている。大阪の親戚もお米がないと言っていた。でも東京にはお米があるらしい。どうも奇妙だ。Xを何日か見ていると、どうやら一部地域で誰かがお米を買い占めているらしい。お米は1年に1回しか取れないし農家の人も需要をあてにして作るわけだから、誰かが突然買い占めてしまうと足りなくなるというわけだ。なぜこんな奇妙なことが起きたのだろう。
今月お米を買いに行くとお米屋に人がいるので驚いた。普段は私一人か、ごくたまに先客がいるぐらいなのに二人もいた。なにか運よく繁盛でもしたのかなと思いつつ車で待っていると、二人の男は何も買わずにお米屋を出ていく。男二人でお米を買いに来るというのも奇妙だった。兄弟でも友達でもない雰囲気である。あと、こんなことを言うと田舎者みたいだがよそ者っぽい感じがする。どう見てもこのへんに住んでいる感じではない。よそ者と地元の人をどうやって見分けるかは知らないが、中学で別の学区の子たちを見た瞬間のあの感じである。
私が店に入ると、いつも買っているお米がない。毎月買いに来ているから向こうも私の顔をおぼえていて「あぁ~すみません。お米を切らせてしまって」とお米屋さんのおばあちゃんが大きな声を出す。なんでそんなに大きい声を出すんだろうと不思議だった。ちなみにこのお米屋さん、家族で経営していて時々おばあちゃんが店に出てくるのだ。
5kgで4000円とかのやつしかないのでどうしたものかなって迷っていたら、おばあちゃんが外の様子をちらちら見ている。新しく客が来たのかなと思っていると、さっきの二人組の男が米屋をのぞいている。なんだろう? と私が見つめ返すと男たちはあきらめたようにどこかへ行く。
米はまだあるし、最悪パンでも食べればいいので「また来ます」と店を出ると、おばあちゃんが「ほんまにすみません」とあやまりながら外までついてくる。これもおかしい。徳島県で外まで見送りに出るなんてイルローザと車屋ぐらいしか知らない。しかも今回はお米さえ買っていないのだ。
私が車に乗ってもおばあちゃんが私の方になんだかねばっこい視線を向けている。なんだろうと不思議すぎたが、まさか聞いても答えてくれないだろうなとエンジンをかけようとすると、おばあちゃんがコンコンと車のドアを叩く。
「ちょっと裏まで来てもらえる?」
おばあちゃんが突如として奇妙なことを言い出すので頭の中は(??????????)である。個人的に好かれていて、スイカでも食べさせてくれるのかなぁと思って、おばあちゃんの後ろについて店の裏まで行くとお米の袋がいくつも積まれていた。あれ、お米がある????????
おばあちゃんのひそひそ話では米を買い占めている人がいるので、常連の人が買えるように隠しているんだそうだ。私はこの話を聞いた瞬間、年寄りがスマホでyoutubeを見ていたら陰謀論にハマったっていうストーリーが頭をよぎった。去年も今年も冷夏ではないし、去年の台風で田んぼをやられたという話も聞かない。おまけにちょっと道を外れれば、実った稲穂が垂れ下がっている黄金色の田んぼが広がっている。稲刈りももうすぐ始まる(これを書いている時はもう半分近く刈られている)。こんな状況で米を買い占める馬鹿がいるはずない。
だから、おばあちゃんはyoutubeの陰謀論にハマったか、もっと悪ければ頭がボケてしまったのだと私は思った。おばあちゃんは「誰にも言わんといてください」と言ったが、こんなこと話せるわけないだろと私は別の理由で思った。私はお米屋さんの家族に同情して、しかし、すぐさま政治的に正しい表情と態度で「いつものやつ一袋ください」と言った。いつものレジではなく手渡しで一万円札を渡す。お釣りを持ってくるのでお米を車に積んでくれるで?とおばあちゃん。おばあちゃんが出てきた時は私がやるのである。
はてさて、私が車にお米を積むと、ほぼ同時におばあちゃんがお釣りを持ってくる。金額は合っている。おばあちゃんをちらっと見るが、頭はしっかりしているように見える。でも、なんにでも初期症状というのがあるのかもしれない。でも信じられない。あのお米屋さん大丈夫かな……と心配していたのがついこのあいだ。
しかし、数週間後、本当に買い占めが行われていると知ってビックリする。陰謀論でもなく、おばあちゃんの頭がぼけたのでもなく、本当に買い占めはあった。まるで「ラピュタは本当にあったんだ」状態である。
小説を叩く時に、こんなの現実ではありえないというのがあるが、ありえないことは実際に起きるのである。そろそろ新米が出るので、あと数日で売り抜けないと買い占めて儲けようとした人は大損するだろうが、やっちゃったことはやっちゃったことである。大谷翔平は40HR40盗塁しちゃうし、お米なんてそこらへんに実っているのに、お米を買い占めちゃうことだってあるのだ。現実は小説より奇なりである。
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コメント
コメント一覧 (1)
本当にそうでした。いや、こんなことあるんだなってビックリしました
まさやん
がしました