ユフは天井を見上げて、ため息をついた。人類が滅んでから何年経ったのだろう。カレンダーを見る習慣もなくなり、時間の感覚さえ曖昧になっていた。
「アル、どこ行った?」
ユフが声を出すと、草をかき分ける音がしてアルが姿を現す。大きな金色の犬は、いつものように人懐っこい目でユフを見上げた。
ユフ:「何もすることがないな」
アル:‥‥‥(首をかしげる)
人類滅亡後、サイボーグ忍者となったユフの日課は、宇宙船を打ち上げ、人類のデータを宇宙に送り出すことだった。しかし、その作業も機械化され、ユフがすることはほとんどなくなっていた。
ユフ:「アル、運動でもするか?」
アル:‥‥‥(尻尾を振る)
二人は外に出た。かつて都市だった場所は、今では草木が生い茂る荒野と化していた。ユフは走り始めた。アルも楽しそうについてくる。
ユフ:「昔の人間はこうやって体を鍛えていたんだ」
アル:‥‥‥(興味なさそうに周りを見回す)
走っているうちに、ユフは自分の体に違和感を覚えた。サイボーグの体なのに、なぜか息が上がり、筋肉が痛くなる。そんなはずはないのに。
ユフ:「おかしいな...」
家に戻ると、ユフは自己診断を行った。結果は驚くべきものだった。
ユフ:「...私の体が人間化している!?」
days = 0
while True:
ユフは毎日走った。サイボーグの体が人間化しているという驚きの事実に、ユフは戸惑いながらも、かつての人間の記憶を頼りに体を動かし続けた。
if days == 30:
ユフ:「アル、一か月経ったぞ」
アル:‥‥‥(特に興味なさそうにユフを見上げる)
ユフは鏡の前に立った。驚いたことに、かつてのサイボーグの姿はほぼなくなり、人間らしい体つきになっていた。筋肉もついてきている。
ユフ:「信じられない...こんなことって...」
elif days == 60:
ユフ:「二か月か...」
ユフの体は完全に人間のそれになっていた。しかも、かなりの筋肉がついている。
ユフ:「アル、見てくれ。私、人間に戻った上に、かなりの筋肉がついたぞ」
アル:‥‥‥(特に感心した様子もなく、尻尾を振る)
elif days == 90:
break
days += 1
ユフ:「三か月...まさか自重トレーニングでここまで変われるとは」
ユフの体は驚くほどたくましくなっていた。サイボーグ時代には考えられなかった筋肉の隆起が、体のあちこちに見られる。
ユフ:「これはもしかして...」
ユフは試しに近くにあった巨大な岩を持ち上げてみた。驚いたことに、その岩はまるで紙くずのように軽々と持ち上がった。
ユフ:「なんてことだ...超人的な力を手に入れてしまった」
アル:‥‥‥(呆れたように首をかしげる)
その時、遠くの方で大きな音がした。ユフとアルは音のする方向を見た。
ユフ:「あれは...まさか」
空から降ってきたのは、巨大な宇宙船だった。
宇宙船のハッチが開き、一人の人影が現れた。
???:「やあ、元気かい?」
その声を聞いた瞬間、ユフは凍りついた。まさかの人物が目の前に立っていた。
ユフ:「フーカ!?」
かつてユフを殺そうとしたサイボーグ忍者、フーカだった。しかし、彼女の姿も人間のそれになっていた。
フーカ:「驚いたかい? 私も人間に戻ったんだ。宇宙で不思議な現象に遭遇してね」
ユフ:「私もだ。気づいたら人間に戻っていてね」
フーカ:「へぇ、なかなかの筋肉じゃないか。鍛えたの?」
ユフ:「ああ、暇つぶしにね」
二人は互いの変化に驚きながら、しばらく近況を語り合った。
フーカ:「実はね、私たちが送り出した人類のデータ、どうやら宇宙の法則と干渉して、予期せぬ結果を生んでしまったらしいんだ」
ユフ:「どういうこと?」
フーカ:「簡単に言えば、私たちも含めてすべての人間が戻りつつあるんだ」
ユフはその言葉に驚愕した。
ユフ:「じゃあ、あの宇宙船は?」
フーカ:「そう、人類が帰ってくるんだ。私はその先発隊ってわけ」
その時、宇宙船から次々と人々が降り立ち始めた。見覚えのある顔もある。かつてユフが知っていた人々だ。
ユフ:「こ、これは...」
フーカ:「驚いた? でも、これが現実なんだ」
突如として、ユフの腕を誰かが掴んだ。
???:「おい、ユフ。その筋肉、どうやって手に入れたんだ?」
振り返ると、そこにはバールが立っていた。
ユフ:「バール!? お前も生き返ったのか」
バール:「ああ。それより、その筋肉だ。教えてくれよ」
ユフ:「これか? 単純な話さ。毎日走って、腕立てして、スクワットして...要するに、自重で鍛えた結果wwwってわけだ」
バール:「マジかよ...」
フーカ:「ふふ、面白いね。人類が帰ってきて最初にすることが筋トレの話かい?」
ユフ:「仕方ないだろ。暇すぎて」
そう言いながら、ユフは空を見上げた。次々と降り立つ人々。かつての知人たち。そして、新たな未来への期待。
ユフ:「さて、これからどうする? アル」
アルは相変わらず無関心そうな顔でユフを見上げていた。しかし、その目には小さな期待の光が宿っているように見えた。
ユフ:「そうだな。まずは、みんなで筋トレでもするか。自重で鍛えた結果www、こんなことになっちゃったしな」
フーカとバールは笑い、新たに降り立った人々も不思議そうにユフの筋肉を眺めている。こうして、思いもよらない形で人類の新たな歴史が始まろうとしていた。筋トレから。
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