ワイ、またしてもマッチングアプリでブロックされる。

「ファッ!?なんでや...」

画面に映る「ブロックされました」の文字。それはまるで電子の蹴り技。

ワイの心、マット際。

「もうアカン...ワイの恋愛、終わりや...」

そんな時、不思議な声が聞こえてきたんや。

『お前、柔道やってみーひん?』

「はぁ?柔道?なんやそれ...」

『そうや。柔道や。相手の力を利用して投げる競技やで』

「ファーーー!?力を利用して投げる!?」

ワイの脳内、電撃が走る。

そうか...マッチングアプリはパンチや蹴りみたいなもんや。
でも柔道は...投げ技。

「よっしゃ!ワイ、柔道始めるで!」

こうして、ワイの柔道ならぬ「出会い道」の旅が始まったんや。


道場...じゃなくて、街に出たワイ。

目の前を通り過ぎる女性たち。
みんな、ワイの存在に気づかへん。

「くそっ...こんなんじゃ、相手の力も利用できへんやないか...」

そんな時、ワイの目に飛び込んできたのは...

「ファッ!?婚活パーティー!?」

そうや。これこそが、ワイの畳やったんや。

会場に入るワイ。緊張で手が震える。

「よ、よろしくお願いします...」

誰も振り向いてくれへん。

そやな...これじゃあかんのや。

ワイ、深呼吸する。

「そや...柔道や。柔道や!」

ワイ、声を張り上げる。

「みなさーん!私は今日から柔道を始めました!」

会場、静まり返る。

「お、おい...アイツ大丈夫か?」
「柔道?なんやそれ...」

ザワザワと空気が動く。

これや!これこそが、相手の力!

ワイ、続ける。

「柔道ってのはな、相手の力を利用して投げる競技なんや!」

「はぁ?」
「何言うとんねん...」

さらにザワザワ。

そして、ついに一人の女性が近づいてきた。

「あの...面白い人ですね」

「!!!」

ワイの心の中、大技決まった瞬間の歓喜。


それから、ワイと彼女は何度か会うようになったんや。

「ねぇ、柔道くん」

彼女はワイをそう呼ぶ。

「なんでそんなに柔道にハマったの?」

ワイ、答える。

「実はな...ワイ、マッチングアプリでブロックされまくってん」

「えっ!?」

「そうなんや...でも、柔道の考え方で、人生変わったんや」

彼女、不思議そうな顔。

「どう変わったの?」

ワイ、畳を見つめながら答える。

「な...柔道ってな、相手の力を利用するやろ?」

「うん」

「でも実は、自分の弱さも受け入れなアカンのや」

「どういうこと?」

「ワイ、マッチングアプリでブロックされて、自分がダメな人間やって思うてた」

「...」

「でも違うんや。ワイの弱さを受け入れて、それを逆に武器にする。それが柔道の教えやったんや」

彼女、目を輝かせる。

「すごい...」

ワイ、続ける。

「人生も同じやと思うんや。自分の弱さを隠すんやなくて、それを受け入れて、むしろそれを武器にする」

「...」

「そうすれば、相手の力も、自分の弱さも、全部味方になるんや」

彼女、黙ってワイを見つめる。

そして、

「...好きかも」

「ファーーーッ!?」

ワイの脳内、大技決まった瞬間の歓喜×100倍。

でも、ワイは慌てない。

柔道の教えや。相手の力を利用する。

「そ、そうか...ワイもお前のこと...」

その瞬間、彼女がワイに抱きつく。

ワイ、バランスを崩す。

でも、それもまた良し。

だって、これぞまさに「一本背負い」。

ワイら、一緒に倒れ込む。

畳の上で、笑い合う二人。

ワイ、ふと思う。

マッチングアプリでブロックされて良かったんや。

だって、そのおかげで柔道に出会えた。
そして、彼女にも出会えた。

人生は不思議や。

ブロックされたと思った瞬間が、実は大きな投げ技のチャンスやったんや。

ワイ、決意する。

これからも、人生という畳の上で、どんな相手が現れても、
柔道の精神で立ち向かっていくんや。

たとえ投げられても、また立ち上がって。

そして時には、大胆な技をかけて。

だって、人生もまた、壮大な柔道の試合なんやから。