ワイこと鈴木(仮名)は、某大手フィットネスジムのトレーナーやったんや。毎日、会員さんらに自重トレーニングの素晴らしさを説いとったんやが、なかなか理解されへんかったんや。

「鈴木さん、自重だけじゃ筋肉つかんやろ?マシン使わな意味ないで!」

そう言うて、高そうなプロテインをゴクゴク飲みながらマシンに向かう会員。ワイはため息をつきながら、自重トレーニングの極意を伝えようとするんやが...

「いや、聞いてクレメンス!自重トレーニングは究極のトレーニング方法なんや!どこでもできて、しかも無料やで!」

しかし、誰も耳を貸さへん。みんなマシンやらダンベルやらに夢中や。ワイの心の中で、怒りと悲しみが渦巻いとったんや。

「くそっ...こいつら、本当の自重トレーニングの凄さを知らんのや...」

そんな時、ワイはテレビで宇宙特集を見たんや。

「おっ、ブラックホールの事象の地平線...そこなら重力めっちゃ強いんやろ?」

ワイの脳内で電球が点灯したんや。そうや、究極の自重トレーニング環境はあそこにあるんや!


翌日、ワイはジムを辞めて、NASAに乗り込んだんや。

「おい、ブラックホールまで連れてってクレメンス!自重トレーニングの真髄を極めるんや!」

NASAの職員は呆れ顔でワイを見つめとったんやが、ワイの熱意に負けたんか、なぜか特別にブラックホール観測ミッションに参加させてくれたんや。

「お前、正気か?事象の地平線近くなんて人間が行ける場所やないで?」

そう言われても、ワイの決意は固かったんや。

「構わんわ!自重トレーニングのためなら命も惜しくないんや!」

こうして、ワイは宇宙飛行士になるための特訓を始めたんや。過酷な訓練やったけど、ワイにとっては日々のトレーニングみたいなもんやった。

「ふんっ...ふんっ...」

無重力環境での自重トレーニングは難しかったけど、ワイは工夫を重ねて筋肉を維持し続けたんや。周りの宇宙飛行士は呆れとったけど、ワイには関係なかったんや。

数ヶ月後、ついに宇宙船は発射されたんや。

「いざ、ブラックホールへ!究極の自重トレーニングの地へ!」


長い宇宙旅行の末、ついにブラックホールに到着したんや。ワイは特殊な宇宙服を着て、慎重に事象の地平線に近づいていったんや。

「おお...これが噂の事象の地平線か...」

ワイの体は、徐々に強烈な重力を感じ始めたんや。普通の人間なら、とっくに潰されとるレベルやったんやけど、ワイの鍛え抜かれた肉体は何とか耐えとったんや。

「うおおおお!!めっちゃ重いンゴ!!でも、これこそワイが求めとった究極の自重トレーニングや!!」

ワイは必死で腕を動かそうとするんやが、ビクともせえへん。それでも諦めへんかったんや。

「ふんっ...ふんっ...」

1時間...2時間...いや、もしかしたら数日経っとったんかもしれへん。時間の感覚がどんどん歪んでいくんや。でも、ワイは少しずつ、ほんの少しずつやけど、動けるようになってきたんや。

「イケる...イケるで!!」

そして、ついにワイは立ち上がることができたんや。その瞬間、ワイの体は信じられないほどの筋肉で溢れかえっとったんや。

「やった!!究極の肉体や!!」

しかし、その喜びもつかの間、ワイは恐ろしい事実に気づいたんや。

「あかん...もう地球には戻れへん...」

事象の地平線のすぐそばまで来てしもうたワイは、もう引き返すことはできへんのや。ブラックホールの重力に引き寄せられ、ゆっくりと、でも確実に吸い込まれていくんや。

「でも、ええんや...ワイは究極の自重トレーニングを成し遂げたんや...」

ワイは、最後の力を振り絞って、地球に向けて通信を送ったんや。

「聞いてくれ、地球のトレーニーたちよ!自重トレーニングこそ至高のトレーニング方法や!マシンに頼るんやなく、自分の体と向き合うんや!そして...事象の地平線まで来いや!!」

そう叫んだ瞬間、ワイの姿は完全にブラックホールに飲み込まれてしもうたんや。

しかし、ワイの言葉は地球に届いたんや。それからというもの、地球のジムでは自重トレーニングがブームになったんや。みんな、ワイの精神を受け継いで、必死に自重トレーニングに励むようになったんや。

そして、ワイの名前は「究極の自重トレーニングマスター」として、永遠に語り継がれることになったんやとさ。

おしまいや。