ワイこと山田タロウ(28)は、平凡なニート生活を送る青年や。毎日、パッパの稼ぎで買ったカップ麺をすすりながら、ゲームと2ちゃんねる巡回が日課やった。

ある日のこと、ワイの部屋の窓からひょっこり黒猫が入ってきよった。

「おっ、ネッコやんけ!かわいいやんけ!」

ワイは思わず叫んでもうた。黒猫は、ワイをじっと見つめとる。その瞳は、まるで「お前のような奴に拾われるとは...」と言っとるかのようや。

「よっしゃ!ワイが飼ったるで!」

ワイは勢いで決めてもうた。マッマに内緒で飼うことにしたんや。名前は...

「せや!クロちゃんや!」

安直な名前やけど、ワイ的にはピッタリやと思うとる。

クロちゃんは、最初こそ警戒しとったけど、ワイがカリカリをあげると、すぐに懐いてきよった。

「やっぱりネッコはかわいいンゴ...」

ワイの心にも、久しぶりにあたたかいものが灯ったんや。

数日後、ワイはネットサーフィンしとったら、昭和のヤンキー文化にハマってもうた。特に、リーゼントとかパンチパーマとか、ああいう派手な髪型にメッチャ惹かれたんや。

「あかん...なんでワイはヤンキーに生まれへんかったんやろ...」

そう嘆いとったら、ふと横でグルーミングしとるクロちゃんが目に入ったんや。

「...せや!」

ワイの脳裏に、稲妻が走ったんや。


「クロちゃん、お前をニャンキーにしたるで!」

ワイは意気揚々と宣言したんやが、クロちゃんは「にゃ?」と首をかしげるだけや。

まずは、リーゼント風の髪型に挑戦することにしたんや。ワイは100均で買ったヘアジェルと櫛を手に、真剣な表情でクロちゃんに挑んだ。

「じっとしとれや〜」

ワイがクロちゃんの頭を触ると、クロちゃんは「にゃごぉ〜!」と悲鳴を上げて逃げ出してしもうた。

「あかん、捕まえへん!」

ワイは必死にクロちゃんを追いかけるんやが、クロちゃんの俊敏な動きについていけへん。部屋中を逃げ回るクロちゃんを追いかけとるうちに、ワイは転んでしもうた。

「いててて...」

ワイが起き上がると、クロちゃんはベッドの下から警戒しながらワイを見とる。

「まぁまぁ、怖がらんでええで〜」

ワイは優しく声をかけながら、ゆっくりとクロちゃんに近づいていったんや。するとクロちゃんも、少しずつ警戒を解いてきよった。

「よしよし、ええ子やで〜」

ワイはクロちゃんを撫でながら、徐々にヘアジェルを塗り始めたんや。クロちゃんは最初こそ嫌がっとったけど、ワイの優しい手つきに次第に慣れてきよった。

「おっ、ええ感じやで!」

1時間後、クロちゃんの頭にはりっぱなリーゼントが完成したんや。鏡に映ったクロちゃんは、最初は戸惑っとったけど、すぐに新しい自分に興味津々な様子や。

「クロちゃん、お前カッコよくなったで!」

ワイは満足げに笑うと、スマホでクロちゃんの写真を撮り始めたんや。

「これは絶対バズるで!」

ワイはさっそくTwitterにクロちゃんの写真をアップしたんや。


「草ァ!」
「ネッコがニャンキーで草」
「かわヨ」
「これは反則や」

ワイのツイートは、あっという間に拡散されていったんや。リツイート数は10万を超え、いいね数は20万を突破。ワイの携帯は通知音が鳴り止まへんようになってしもうた。

「なんやこれ...ワイ、バズってもうた...」

ワイは混乱しながらも、どこか誇らしげな気分になってきよった。

そんな中、あるコメントが目に留まったんや。

「これ、虐待やないか?」

ワイは一瞬ドキッとしたんや。確かに、クロちゃんの意思を無視して勝手に髪型を変えたんは、良くなかったかもしれへん。

でも、クロちゃんは今や自分の新しい髪型を気に入ってるみたいや。鏡の前でポーズを取ったり、威張った様子で部屋を歩き回ったりしとる。

「クロちゃん、ごめんな。お前の気持ち考えんと、勝手なことしてもうた」

ワイがそう言うと、クロちゃんは「にゃー」と鳴いて、ワイの膝の上に乗ってきよった。

「...許してくれたんか?」

クロちゃんは、ゴロゴロと喉を鳴らしながらワイの手に顔をすりつけてきよった。

「よっしゃ!これからは、クロちゃんの気持ちも考えながら、一緒に楽しんでいこな!」

ワイは決意を新たにしたんや。

その後、ワイとクロちゃんのコンビは、ネット上で大人気になってしもうた。昭和のヤンキー風の髪型を次々と再現していくクロちゃんの姿に、多くの人が癒されとるみたいや。

「次は、どんな髪型にしようか?」

ワイがクロちゃんに問いかけると、クロちゃんは「にゃお!」と元気よく返事をしたんや。


あれから半年、ワイの人生は大きく変わってしもうた。クロちゃんとのコラボ企画が評判となり、ペットグッズメーカーからスポンサー契約の話が来たんや。

ワイは、ニート生活にサヨナラを告げ、クロちゃんと一緒に新しい仕事を始めたんや。

「クロちゃん、お前のおかげでワイの人生変わったで。ありがとな」

ワイがそう言うと、リーゼント姿のクロちゃんは、得意げな表情で「にゃん!」と鳴いたんや。

今日も、ワイとクロちゃんのニャンキーな日々は続くんや。

完結やで!


105真論君家の猫2

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