ワイは就職氷河期真っ只中の2XXX年、地球の日本で大学生やった。周りの奴らは皆、就活に必死で、毎日スーツ姿でどっかに消えていくんや。

ワイも必死やった。エントリーシート書いては落とされ、面接行っては撃沈の毎日や。

「はぁ...もう疲れたわ...」

ある日、ワイは珍しく第二次面接まで進んだ企業の最終面接を受けに行ったんや。緊張で胃が痛くなるわ、頭痛はするわで最悪の状態やった。

面接官「では、我が社の経営理念について、あなたの考えを聞かせてください」

ワイ「えっと...その...(うわっ、全然覚えてへん...)」

結局、ワイはその場で嘔吐してもうた。面接どころやあれへん。

そんなこんなで、卒業式。みんな晴れ晴れとした顔でスーツ姿やのに、ワイだけジーパン姿。

「ワイ、どないなったん?」
「あかんかったわ...バイトでもするわ...」

その夜、ワイは公園のベンチで缶チューハイ片手に星を眺めてた。

「はぁ...就活って運ゲーやな...才能とか関係あれへんわ...」

そしたら突然、空からまぶしい光が降り注いできたんや。


気づいたら、ワイはなんか未知の空間におった。周りを見渡すと、そこには...猫型の宇宙人がおるやないか!

にゃんこ星人A「ニャー(おや、地球人かにゃ?)」
にゃんこ星人B「ニャニャーン(珍しいにゃ。こんな辺境の惑星から)」

ワイ「えっ!?なんやこれ!?夢か!?」

そしたら、にゃんこ星人たちの中から、特に偉そうな猫が出てきたんや。

にゃんこ星総帥「ニャゴゴゴ(我々は人材を求めているのだ)」

なんと、そのにゃんこ星人はワイの言葉を理解できるらしい。

にゃんこ星総帥「我々の星では、地球人の柔軟な発想力が必要とされているのだ。そこでお前を拉致...いや、スカウトしたというわけだ」

ワイ「えっ、ワイがですか!?でも、ワイ、就活全滅したんすよ...」

にゃんこ星総帥「なに? 就活? ああ、地球の厄介な習慣か。我が星では、そんなものは存在しない。才能があれば、それを活かす場所が用意されているのだ」

ワイ「でも...ワイに才能なんてあるんすか...?」

にゃんこ星総帥「お前が今まさに我々と会話できているという事実が、お前の才能を証明している。我が星の言語を瞬時に理解し、コミュニケーションを取れる者は稀なのだ」

ワイは驚いた。確かに、猫の言葉が普通に理解できてる。しかも、ワイの言葉も通じてる。

にゃんこ星総帥「さあ、決断の時だ。我が星で働くか、それとも地球に戻るか」

ワイは迷った。でも、地球に戻っても、待ってるのは非正規雇用の人生かもしれん。それに比べて、未知の可能性に満ちた宇宙...

ワイ「...決めました。働かせてください!」

にゃんこ星総帥「よかろう。では、明日から勤務開始だ」

こうして、ワイのにゃんこ星生活が始まったんや。


にゃんこ星での仕事は、想像以上に面白かった。

最初は「地球文化翻訳部」ちゅう部署に配属されたんや。地球のポップカルチャーをにゃんこ星人に分かりやすく説明するんが仕事や。

ワイ「つまりですね、猫じゃらしは地球猫にとってのソシャゲガチャみたいなもんですわ」

にゃんこ上司「ニャるほど! 地球猫は射幸心の塊だったのか!」

みるみるうちに、ワイの仕事ぶりが評価されていった。

1年後、ワイは「異星間コミュニケーション部」に昇進。今度は、にゃんこ星と他の星との交渉の通訳を任されるようになったんや。

ワイ「イヌ星の方々が『骨が欲しい』と仰っていますが、これは単に資源が欲しいという比喩表現です。決して本当の骨を要求しているわけではありません」

にゃんこ大臣「ニャなるほど! お前がいなければ、無駄な戦争が始まるところだった!」

そして就職して5年後、ついにワイは「総合企画部」の部長に抜擢されたんや。

にゃんこ星総帥「ニャゴゴゴ(お前の柔軟な発想と、異星人とのコミュニケーション能力は、我が星の発展に不可欠だ。これからもよろしく頼むぞ)」

ワイ「はい!全力で頑張ります!」

今じゃワイは、にゃんこ星の重要人物や。地球に残ってたら、どん底だったかもしれんのに。

ある日、にゃんこ星のテラスで地球を眺めながら、ワイは思うたんや。

「就活って、ほんまに運ゲーやったんやな...才能とか関係あれへん。要は、自分の才能を活かせる場所に出会えるかどうかや」

そんなワイの元に、急に1匹の部下が駆け寄ってきた。

にゃんこ部下「部長!大変です!地球で『猫耳人間』ブームが起きています!」

ワイ「なに!?よっしゃ、これは商機や!すぐに企画書作って」

にゃんこ部下「しかし...どんな企画を...?」

ワイ「決まっとるやろ。『本物の猫耳』を売り出すんや。にゃんこ星特製の、着脱可能な猫耳や」

にゃんこ部下「ニャ、ナンと...!さすが部長!」

こうして、ワイの新たなプロジェクトが始まった。地球とにゃんこ星を結ぶビジネス。これが成功したら、もしかしたら...会長になれるかもしれん。

ワイは今日も、にゃんこ星のオフィスで、宇宙規模の仕事に励んでるんや。

たまに思うんや。あの時、公園のベンチで星を眺めてなかったら、今頃どうなってたんやろ...。

でもまあ、それはそれ、これはこれ。

人生何があるか分からん。ワイにとっての就活は、まさに「にゃんこ星との遭遇」やったんや。