ワイこと鈴木太郎、27歳のニート。毎日、布団の中でスマホいじりながら、猫動画見て「かわいいンゴ〜」って言うてる人生や。

ある日、いつもみたいに猫動画見てたら、急に思いついてしもうたんや。

「そういや、猫ってワイらのこと、どう思ってんのやろ?」

ワイは猫の気持ちが気になって仕方なくなってしもうた。

「せや!猫になったろ!」

そう思った瞬間、ワイの体がムズムズし始めたんや。

「なんやこれ...」

気づいたら、ワイの体はみるみる小さくなって、毛が生えてきて...

「にゃ〜?」

なんと、ワイは本物の猫になってしもうたんや!

ワイは慌てて鏡を見に行ったんや。そこには、茶トラの猫が映っとった。

「マジか...ワイ、ホンマに猫になってもうた...」

最初は驚いたけど、すぐにワクワクしてきたんや。

「よっしゃ!これで猫の気持ちがわかるで!」

ワイは早速、猫としての生活を満喫することにしたんや。


まず最初に気づいたんは、視界がめっちゃ広いってことや。

「うおっ、後ろまで見えるやん!」

ワイは首をクルクル回しながら、新しい視界を楽しんどった。

次に気づいたんは、匂いや。人間の時には気づかんかった匂いが、めっちゃ強く感じるんや。

「なんやこの匂い...あ、台所のゴミ箱か!」

ワイは匂いに引き寄せられるように、台所に向かったんや。

そしたら、ワイの飼い猫のミケが近づいてきたんや。

「おっ、ミケ!ワイやで!」

ワイが話しかけても、ミケは「にゃ〜?」って首をかしげるだけや。

「あかん、猫の言葉わからへんのか...」

ちょっとガッカリしたけど、ミケが急に「にゃおーん」って鳴き始めたんや。

「お、なんや?」

ワイがミケについていくと、キャットフードの入った皿の前に連れて行かれたんや。

「わかった!腹減ったんか!」

ワイも猫の体やから、なんとなくキャットフード食べてみたんや。

「うまっ!なんやこれ!こんなんうまかったんか!」

人間の時には想像もつかんかった美味しさに、ワイは夢中になって食べまくったんや。

食べ終わったら、急に眠くなってきてん。

「そういや猫って1日の大半寝てるんやったな...」

ワイはソファーの上で丸くなって、気持ちよく眠りについたんや。

起きたら、なんかムズムズするんや。

「なんやこれ...あ、毛づくろいか!」

ワイは本能のままに、自分の体を舐め始めたんや。

「うひょー!気持ちええ!」

毛づくろいの気持ちよさに、ワイはすっかりハマってしもうた。

そうこうしてるうちに、ワイの妹が帰ってきたんや。

「ただいま〜。あれ?新しい猫?かわいい〜!」

妹がワイを抱き上げようとしてきたんや。

「おいおい、ワイやで!」

でも、言葉は通じへん。妹はワイをギュッと抱きしめて、撫で回し始めたんや。

「うわ...なんやこれ...」

最初は戸惑ったけど、だんだん気持ちよくなってきたんや。

「ふにゃ〜...」

思わず、気持ちよさそうな声が出てしもうた。

「あら、喜んでくれてるのね!」

妹は大喜びで、ワイを可愛がり続けたんや。


数日が経って、ワイはすっかり猫生活に慣れてきたんや。

毎日、日向ぼっこしたり、高い所に登ったり、ダンボール箱に入ったり...

「なるほど、こういうのが猫は好きなんや!」

ワイは猫としての生活を満喫しとったんや。

でも、ある日、ミケが窓の外を見つめてるのに気づいたんや。

「どしたん、ミケ?」

ワイも窓の外を見てみたら、鳥が飛んでるのが見えたんや。

その時、ミケが小さくため息ついたんや。

「にゃ〜...(ああ、外の世界か...)」

なんと、ミケの言葉が理解できるようになっとったんや!

ワイは急いでミケに話しかけたんや。

「ミケ!ワイにも猫の言葉わかるようになったで!」

ミケはビックリした顔でワイを見たんや。

「にゃにゃ!?(お前、人間やったんか!?)」

ワイはミケに、自分が人間から猫になった経緯を話したんや。

「にゃおん...(そうか、お前も猫の気持ちが知りたかったんやな)」

ミケは少し考え込んでから、話し始めたんや。

「にゃ〜、にゃおにゃお(実はな、ワイら猫は、人間のことをちょっと見下しとるんや)」

「にゃ!?(なんでやねん!)」

「にゃおーん(だってな、人間は自分の気持ちに正直やないやろ。ワイらは好きなもんは好き、嫌いなもんは嫌いってはっきり示すけど、人間はそうやないやん)」

ワイは猫の本音を聞いて、ちょっとショックを受けたんや。

「にゃ〜...(確かに、そう言われるとそうかもしれんな...)」

ミケは続けたんや。

「にゃにゃお(でもな、それでも人間のこと好きやで。ワイらを可愛がってくれるし、えさくれるし。たまにウザいけど、まあ、家族みたいなもんや)」

ワイは感動して、思わずミケを抱きしめようとしたんや。

「にゃおっ!(やめろや、急に抱きつくな!)」

ミケに引っ掻かれそうになって、ワイは慌てて手を引っ込めたんや。

そんな時、急にワイの体がまたムズムズし始めたんや。

「あかん、人間に戻りそう...」

ワイは慌ててミケに別れを告げたんや。

「にゃ〜(ありがとうな、ミケ。猫の気持ち、ちょっとわかった気がするで)」

「にゃおーん(ほな、また人間になってからな。たまには猫じゃらしで遊んでくれよ)」

そう言うと、ワイの体はみるみる大きくなって、元の人間の姿に戻ったんや。

「ふう...なんやったんやろ、あの経験...」

ワイは猫になった経験を思い返しながら、ミケを見つめたんや。

「ミケ、これからはもっと一緒に遊ぼうな」

ミケは「にゃ〜」って鳴いて、ワイの足元にスリスリしてきたんや。

その日から、ワイは猫との付き合い方が変わったんや。

たまに「にゃ〜」って話しかけてみたり、高い所に登ってみたり...

家族は「太郎、最近猫っぽくなったな」って言うけど、ワイは気にせえへん。

だって、ワイは猫の気持ちがわかる、特別な人間になったんやから。

「やっぱり猫はかわいいわ。でも、これからは猫の気持ちも考えながら接していくで!」

ワイはミケを撫でながら、そう誓ったのであった。

小説なら牛野小雪がおすすめ【kindle unlimitedで読めます】


105真論君家の猫2

試し読みできます