ワイ、28歳のいわゆる喪男。職場と家の往復だけの寂しい人生を送っとるんや。休日は一日中ゲームしてまうし、特に好きなのがドラクエ3なんや。

「はぁ...彼女欲しいンゴ...」

ある日、ワイはついにマッチングアプリに手を出すことにしたんや。プロフィールを作る時、趣味の欄にはモロに「ゲーム」って書いてもうた。

「正直に書いたろ!隠すもんやないで!」

そして、いざスワイプ開始!...が、全然マッチせえへん。1週間経っても、2週間経っても、まったくマッチせえへんのや。

「なんでや...ワイそんなにアカンのか...」

ワイは落ち込んで、オフ会に参加することにしたんや。そこで出会ったのが、マッチングアプリのプロを自称する「マッチング翼竜」こと鈴木さんやった。

「お前、それやとアカンて。マーケティングの基本や。ターゲットを絞れ」

「は?ターゲットって...」

「お前、ドラクエ好きやろ?なら、ドラクエ好きな女性をターゲットにすりゃええんや」

ワイは目から鱗が落ちる思いやった。


鈴木さんのアドバイスを受けて、ワイはプロフィールを変更。趣味の欄を「ドラクエ3」に絞ったんや。

そして、マッチした女性には必ず最初に「ドラクエ3好きですか?」って聞くことにしたんや。

最初はちょっと怖かったけど、意を決して送信や!

@「ドラクエ3好きですか?」

返事を待つこと数時間...

A「えっと...ごめんなさい。ドラクエってあんまり...」

ワイは即刻そのマッチを解除したんや。

「悪いけど、ワイはドラクエ3が好きな人しか求めてへんのや」

次や!

@「ドラクエ3好きですか?」

B「ドラクエは4が好きです!」

ワイは少し迷ったけど、やっぱり解除や。

「4もええけど...やっぱり3やねん」

そして次!

@「ドラクエ3好きですか?」

C「はい!大好きです!勇者の名前、いつもリュカにしてます!」

おっ!?これは...いけるか!?

ワイは心躍らせながら会話を続けたんや。でも、途中でなんか違和感が...

「ちょっと待て...リュカってドラクエ3主人公...?」

そう思って確認したら、案の定、ドラクエ5の主人公の名前やったんや。

「すまんな...ワイはガチ勢やから...」

ワイは悲しみを胸に、またもやマッチを解除したんや。

こうして、ワイは何百人もの女性とマッチしては、ドラクエ3フィルターで振り落としていったんや。周りからは「そんなんじゃ一生彼女できへんで」って言われたけど、ワイは諦めへんかった。

「いつか絶対、ドラクエ3を心から愛するええ女性に出会えるはずや!」


そんなある日のこと。いつものように「ドラクエ3好きですか?」って送ったら、衝撃の返事が!

D「もちろんです!私の人生のバイブルです!」

ワイは思わず二度見してもうた。そして、慎重に会話を進めていくと...

@「じゃあ、魔法使いの初期装備は?」

D「布の服に皮の盾、それと魔法の杖ですね!」

@「転職したらどのジョブになる?」

D「魔法使いは賢者一択です!HPとMPを引き継げるのが最強なので」

ワイはもう感動で涙が止まらへんかったんや。

「ついに...ついに見つけたんや...!」

ワイはもう我慢できへんかったんや。

「結婚してくれへんか!!!」

...いや、さすがにそこまでは言わへんかったけど、ワイはすぐにデートに誘ったんや。

そして、現実に会ってみると、彼女はめっちゃ可愛くて、性格もよくて、ワイの理想そのものやったんや。

「ワイ...ずっとドラクエ3好きな人を待ってたんです」

彼女もワイと同じように、ドラクエ3フィルターをかけてたらしいんや。

ワイらは意気投合して、初デートからずっとドラクエ3の話で盛り上がってもうた。そして、付き合うことになったんや。

今じゃワイら、休日はいつもドラクエ3を一緒にプレイしとる。たまにはケンカもするけど、「ルーラ」の呪文を唱えて仲直りするんや。

「やっぱりな、マーケティングの基本はターゲットを絞ることやったんや」

ワイは鈴木さんの言葉を思い出しながら、幸せな毎日を過ごしとるんや。

そして今、ワイはマッチングアプリで悩んでる後輩たちにこう言うとるんや。

「お前らも自分の『ドラクエ3』を見つけるんや。自分が心から好きなもので相手をフィルタリングしていけば、必ず運命の相手に出会えるで」

「それに、そうやってターゲットを絞ることで、無駄な時間とコストを削減できるんや。これ、ビジネスでも同じことやで」

ワイの話を聞いた後輩たちは、目を輝かせて自分たちの「フィルター」を探し始めたんや。アニメ、映画、音楽...みんな自分の情熱を武器に、新しい恋の冒険に出発していったんや。

そんな彼らを見送りながら、ワイは彼女と手を繋いで歩き出す。

「次は、ドラクエ3の世界に行けるVRでも作ろうか」
「いいね!私、魔法使いやるわ!」
「ワイは勇者や!」

ワイらの冒険は、まだまだ続くんや。だって、人生はRPGやからな。レベルアップしながら、一緒に歩んでいくんや。

そして、いつかワイらの子供にも教えてやるんや。

「人生でも恋愛でも、大切なのは自分の『ドラクエ3』を見つけることやで。それを見つけたら、絶対に妥協せずに突き進むんや」

ワイらの「ドラクエ3フィルター」が、次の世代にも受け継がれていくことを願いながら...完