ワイ、23歳無職。世間様からはチー牛呼ばわりされとる残念な奴や。今日もパソコンの前でなんJを見とるんや。
「ハァ...人生つまらんわ。ワイがもしイケメンやったら...」
そんなことを考えながら、ワイは鏡を見た。そこにあるんは、まさしく典型的なチー牛面。黒縁メガネにモジャモジャの前髪、そして特徴的な輪郭。ワイは深いため息をついて、再びパソコンに向かった。
そのとき、突然画面が激しく明滅し始めたんや。
「なんやこれ!?ウイルスか!?」
慌ててパソコンを切ろうとしたんやが、気づいたらワイの体が光に包まれて、意識が遠のいていったんや。
目が覚めたら、そこはどこやねん!?見たこともない古い町並みが広がっとる。しかも、みんな変な服着とるし、馬車が走っとるやないか。
「ファッ!?タイムスリップしてもうたんか!?」
ワイは慌てふためいて周りを見回した。すると、近くの建物に掲げられた看板が目に入ったんや。
「1888年...フランス...アルル!?」
そう、ワイはなんとゴッホの時代にタイムスリップしてしまったんや。
途方に暮れてさまよっとったワイは、偶然にもゴッホのアトリエを見つけてしまったんや。そこで絵を描いとる男を見て、ワイは思わず声をあげてしまった。
「ファッ!?ゴッホやんけ!」
するとゴッホは振り返って、ワイを見つめたんや。
「おや、君は誰かね?その奇妙な格好は...」
ワイは焦って適当に言い訳を考えた。
「あ、ああ...ワイは...未来から来た画家の卵や!ゴッホさんに絵を習いに来たんや!」
ゴッホは不思議そうな顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「未来から?面白い!君の顔、とても特徴的だね。ぜひ描かせてもらえないかね?」
ワイは戸惑いながらも、せっかくの機会やからとモデルを引き受けることにしたんや。そして、ゴッホはワイのチー牛顔を熱心に描き始めたんや。
「君の顔、なんとも言えない魅力があるよ。この輪郭、この眼差し...まるで現代社会の苦悩を背負っているかのようだ」
ゴッホの筆は止まることを知らず、キャンバスの上にワイの顔が徐々に現れていく。ワイは複雑な気持ちで自分の肖像画が出来上がっていくのを見守っとったんや。
「いとをかし...」
思わずワイの口から漏れた言葉に、ゴッホは首をかしげた。
「イトヲカシ?それは何か未来の言葉かね?」
「あ、いや...ごめん。ええ絵や、って意味やで」
ワイは慌てて誤魔化したんや。
日が暮れるまで、ゴッホはワイの肖像画を描き続けた。その間、ワイはゴッホから絵の技法や芸術観について熱心に話を聞いたんや。初めは戸惑っとったワイも、次第にゴッホの情熱に引き込まれていったんや。
絵が完成したとき、ワイの体が再び光に包まれ始めたんや。
「あかん、どうやら戻らなあかんみたいや...!ゴッホさん、ありがとう!」
ゴッホは驚いた様子で叫んだ。
「君、消えていく...!待ってくれ、君の名前を教えてくれないか!?」
ワイは必死に叫び返した。
「ワイの名前は...!」
しかし、声が届く前にワイの意識は闇に落ちていったんや。
目が覚めると、ワイは自分の部屋のベッドの上にいた。
「なんや...夢やったんか?」
がっかりしながらスマホを確認すると、なんJで大騒ぎになっとるスレッドを見つけてしもたんや。
「ファッ!?ゴッホの『チー牛肖像画』が発見された!?」
スレッドには、ワイにそっくりなチー牛顔の肖像画の画像が貼られとる。しかも、画面の隅には「To my friend from the future」って書かれとるやないか!
ワイは慌ててパソコンを開き、詳細を調べ始めたんや。するとなんと、この絵はゴッホの「失われた傑作」として美術界で大騒ぎになっとるらしいんや。
「まじで...あれ夢やなかったんか...」
ワイは茫然自失やったんやが、ふと鏡を見てビックリ!なんや、ワイの顔が少し変わっとるやないか。メガネを外すと、目つきがシャープになっとるし、肌もツヤツヤしとる。
「もしかして...ゴッホに描かれたことで、ワイの遺伝子が書き換わったんか!?」
興奮冷めやらぬワイは、勇気を出してマッチングアプリに登録してみたんや。すると驚いたことに、めっちゃマッチするやないか!
「もしかして...ワイ、イケメンになってもうたんか!?」
ワイは喜びのあまり、外に飛び出した。すると、街を歩く人々がワイを見て驚いた様子で指さしとるんや。
「あれ、『チー牛肖像画』のモデルとそっくりや!」
「ほんまや!もしかして子孫なんか!?」
ワイは戸惑いながらも、なんだか誇らしい気持ちになってきたんや。
その日から、ワイの人生は大きく変わったんや。美術館からモデル依頼が来るわ、テレビに出演するわで大忙し。チー牛顔を気にしとった過去が嘘のようや。
でも、ワイは決して調子に乗りすぎんようにしとるんや。だって、ゴッホから学んだ大切なことがあるからな。
「外見やなくて、中身が大事なんや。ワイがワイらしくおるだけで、誰かの心に響く『アート』になれるんや」
ワイは今日も、ゴッホへの感謝の気持ちを胸に、自分らしく生きとるんや。そして、チー牛の仲間たちにも、こう語り続けとるんや。
「お前らも、自分の個性を大切にするんやで。いつかそれが、世界に認められる『傑作』になるかもしれへんで」
ワイの部屋の壁には、ゴッホが描いたチー牛肖像画のレプリカが飾られとる。それを見るたびに、ワイは誇らしい気持ちになるんや。だって、これはワイのルーツであり、ワイの可能性を示すものやからな。
「チー牛だろうが何だろうが、みんな自分なりの『輝き』を持っとるんや。それを誇りに生きていこうや」
ワイは今日も、そう心に誓いながら、新しい1日を始めるんや。
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