「はぁ...今日も残業かぁ...」

疲れ切った表情で会社を出る山田。彼が勤めるのは、超がつくほどのブラック企業だ。

「ファッ!?もう23時やんけ!」

そんな山田の前に、突如現れたのは...

「お前も今帰りか?」

「え?あ、はい...」

声をかけてきたのは、同じマンションに住む鈴木。彼は業界でも有名な非モテである。

「ワイも今帰りや。合コンで撃沈してきたわ...」

「はぇ〜...大変っすね」

「お前、ブラック企業なんやろ?なんでやめへんの?」

突然の質問に、山田は戸惑う。

「いや、まぁ...やめられへんというか...」

「ワイにはよーわからんわ。ブラック企業もモテへんのも似たようなもんやと思うで」

「ファッ!?どういうことですか?」

「まぁ、飲みながら語ろうや」

こうして、ブラック企業マンと非モテの奇妙な夜が始まった。


居酒屋に入った二人。ビールで乾杯する。

「で、どういうことですか?ブラック企業と非モテが似てるって」

鈴木は、ニヤリと笑う。

「考えてみいや。ブラック企業って、最初はみんな『ここで頑張れば、きっと報われる』って思って入るやろ?」

「まぁ...そうですね」

「でも実際は、ずっと使い潰されるだけ。それでも『もう少し頑張ればなんとかなる』って思い続けるんや」

「ぐっ...」

山田の胸に、言葉が突き刺さる。

「非モテも同じや。『もう少し頑張れば、きっと彼女できる』って思い続ける。でも、そのまま年だけ食う」

「はぇ〜...」

「要は、現実から目を背けてるんや。どっちも」

山田は、グビッとビールを飲む。

「でも、会社やめたらローンも組めへんし...」

「彼女おらんかったら、結婚もできへんで」

「うぐっ...」

「結局、どっちも『このまま』が心地ええんや。変化が怖いんや」

鈴木の言葉に、山田は反論できない。

「でもな、ワイらにはチャンスがあるで」

「えっ?」

「ブラック企業やめて、ホワイト企業探せばええやん。ワイも髪型変えたり、趣味増やしたりして、モテる努力すればええんや」

「そう...簡単に...」

「簡単やないで。でも、このまま続けるよりはマシやろ?」

山田は、深く考え込む。


それから数日後、山田は会社で呼び出しを受けた。

「山田君、君にはうちの会社の将来を担ってもらいたい」

上司の言葉に、山田は複雑な表情を浮かべる。

一方、鈴木は街コンに参加していた。

「鈴木さん、趣味豊富で素敵ですね」

女性からの言葉に、鈴木は照れ笑いを浮かべる。

その夜、二人は再び居酒屋で出会った。

「どうや?ワイは街コンで手応えあったで!」

鈴木は上機嫌だ。

「ワイは...昇進の話がありました」

「ファッ!?おめでとう...なんか?」

山田は、複雑な表情で頷く。

「でも、よく考えたんです。このままじゃダメだって」

「ほう...」

「ブラック企業やめます。有給全部使って転職活動します」

「おお!ええやん!」

「鈴木さんの言葉、胸に刺さったんです。このまま現実逃避しても、何も変わらないって」

鈴木は、嬉しそうに笑う。

「ワイもな、お前の姿見てたら『このままやとアカン』って思うたんや。だから街コン行ってみた」

「お互い、いい刺激になりましたね」

「せやな。ほな、これからの人生に乾杯や!」

グラスを合わせる二人。その目には、希望の光が宿っていた。

...

それから1年後。

「ファッ!?山田が結婚!?」
「鈴木がホワイト企業に転職!?」

なんJ民たちは驚愕する。

「ブラック企業やめたら、彼女できたんか」
「髪型変えたら、ホワイト企業から内定もろたで」

山田と鈴木の書き込みに、なんJ民たちは沸いた。

「ワイも頑張るわ」
「ワイも変わるで」

そして、なんJには新たな風が吹き始めた。

「お前ら聞いてくれ!ワイがブラック企業をやめた結果www」
「彼女できたから報告や!」

変化を恐れずに一歩を踏み出す勇気。それこそが、ブラック企業をやめない男とモテない男に欠けていたものだった。

しかし、全てが順調だったわけではない。

「ファッ!?新しい会社の方がブラックやったんやが」
「街コンで知り合った子が地雷やったンゴ...」

それでも、二人は諦めなかった。

「また転職するわ」
「次の街コン行ってくる」

その姿に、なんJ民たちは勇気をもらった。

「ワイもやるで」
「一緒に頑張ろうや」

こうして、なんJに新たな風潮が生まれた。ブラック企業に立ち向かい、非モテから脱却しようとする男たちの姿が、そこにはあった。

「でもな」

ある日、山田がなんJに書き込んだ。

「ブラック企業もモテないのも、そんなに悪くなかったかもしれん」

「ファッ!?」
「なんでや」
「説明クレメンス」

「だって、あの時があったからこそ、今の幸せがあるんやと思うんや」

「ぐうの音も出ない」
「ワイ、感動した」
「哲学者かな?」

そう、人生に無駄なことは何一つない。ブラック企業での経験も、モテなかった日々も、全て今の自分を作り上げた大切な糧なのだ。

「せや!」

鈴木も書き込む。

「ブラック企業もモテないのも、要は『今を変えたい』って思うきっかけなんや」

「ファーーーッ!?」
「なんやその格言」
「心に刺さるわ」

こうして、なんJは少しずつ変わっていった。ブラック企業をやめない男も、モテない男も、みんなで助け合い、高め合う場所に。

「よっしゃ!ワイも明日から変わるで!」
「ワイは今日から変わるで!」
「ワイは昨日から変わっとるで!」

...