「はぇ~、ついに就活の時期が来てしもたんか」

なんJ民の代表格、通称ハセカラ君はため息をつきながら、某大手企業の面接会場に向かっていた。

「ワイが内定もらえるわけないやろ...でも、マッマのためにも頑張るで!」

意を決して面接室のドアをノックする。

「どうぞ」

「失礼します」

ハセカラ君が部屋に入ると、そこには3人の面接官が座っていた。

「ハセカラ君ですね。どうぞお座りください」

「は、はい」

緊張しながら椅子に座るハセカラ君。しかし、面接官たちの様子がどこかおかしい。

「では、早速面接を始めます。最初の質問です」

「はい!頑張ります!」

「ふんっ!」

突如、真ん中の面接官が大きな声で叫んだ。

「ファッ!?」

驚くハセカラ君。しかし、面接官たちは何事もなかったかのように続ける。

「次の質問です」

「あ、はい」

「ぐぬぬ...」

今度は左の面接官が奇妙な声を発した。

「え...?」

困惑するハセカラ君。そして、右の面接官が口を開く。

「最後の質問です」

「お願いします...」

「こんな茶番に意味はない。バナナを食べてもらう」

「ファーーーッ!?」

予想外の展開に、ハセカラ君の脳内がパニックに陥る。

「バナナを...食べる...?」

「そうです。ここにバナナがあります。食べてください」

面接官が机の引き出しからバナナを取り出した。

「えぇ...」

戸惑うハセカラ君だが、断る理由も見当たらない。

「じゃあ...いただきます」

バナナの皮を剥き、一口かじる。

「美味しい...です」

「結構です。面接は以上で終了です。結果は後日連絡します」

「ファッ!?もう終わりなんですか!?」

驚くハセカラ君だが、面接官たちは既に退室の準備を始めていた。

「あの...何かの間違いでは...」

「間違いなどありません。さようなら」

そう言い残し、面接官たちは部屋を後にした。

「なんやったんや...」

呆然とするハセカラ君。こうして、意味不明な面接は幕を閉じたのであった。


その夜、ハセカラ君は思わずなんJ民に相談せずにはいられなかった。

「ワイ、今日こんな面接受けてきたんやが...」

ハセカラ君は面接の顛末を詳細に書き込んだ。

「ファッ!?」
「草」
「お前それ、ガイジ企業やろ」

予想通り、なんJ民たちの反応は冷ややかだった。

「でもさ、その会社って超一流企業やで?」

「マ?」
「じゃあなんでそんな面接するんや」
「ワイも気になるわ」

議論は白熱していく。

「もしかして、これって何かの実験?」
「心理テストとかやないか?」
「バナナ食べる様子で性格判断しとるんやろ」

様々な憶測が飛び交う中、一人のJ民が衝撃の事実を明かした。

「実はワイも似たような面接受けたことあるで」

「ファッ!?」
「マジか」
「詳しく教えてクレメンス」

「ワイんとこは梨やったけど、同じようなことあったわ」
「ワイはリンゴやった」
「ワイはメロン」

次々と類似体験が報告される。

「なんやこれ...」
「陰謀やろ」
「イルミナティか?」

混乱するなんJ民たち。そんな中、一人の古参J民が現れた。

「実はな、ワイこの面接の真相を知っとるんや」

「ファッ!?」
「誰やお前」
「教えてクレメンス」

古参J民は語り始めた。

「これはな、『究極の適性検査』って呼ばれとるんや」

「究極の適性検査...?」

「そう。バナナを食べる様子で、その人間の本質を見抜くんや」

「はえ~」
「すっごい」
「でもそんなん信じられへんで」

古参J民は続ける。

「例えば、バナナの皮の剥き方、食べるスピード、食べ終わった後の態度...全てが採点対象なんや」

「マジか...」
「ワイ、ゆっくり食べたから落ちたんかな...」
「ワイなんて皮まで食べてもうたわ」

なんJ民たちは、自分の面接を思い返して悶々とし始めた。

「でも、そんな検査あかんやろ」
「せやな、バナナ食べ方で人間判断すんのおかしいわ」

議論は白熱し、バナナ面接の是非を巡って意見が分かれる。

そんな中、ハセカラ君は静かに呟いた。

「でも、ワイ、なんか分かる気がするで...」


それから1週間後、ハセカラ君のもとに一通の封筒が届いた。

「ファッ!?これって...」

おそるおそる封を開けると、そこには衝撃の文字が。

「内定おめでとうございます」

「うおおおおお!受かったああああ!」

喜びに打ち震えるハセカラ君。しかし、その喜びもつかの間、封筒の中から一枚の紙が滑り落ちた。

「ん?なんやこれ...」

それは、バナナ面接の真相を記した文書だった。

「拝啓、この度は弊社の面接試験にご参加いただき、誠にありがとうございました。
 
 さて、あなたが体験された『バナナを食べる面接』について、その真意をお伝えいたします。
 
 この面接方法は、『予想外の状況下での適応力』を測るために考案されたものです。
 
 現代のビジネス環境は日々変化し、予期せぬ事態が常に起こり得ます。そのような状況下で
 冷静に対応し、柔軟に行動できる人材こそが、我々が求める人材なのです。
 
 バナナを食べるという一見無意味な行為を通じて、我々は以下の点を観察しています。
 
 1. 予想外の指示に対する反応
 2. 困惑した状況下での態度
 3. 指示に従う素直さ
 4. タスクの遂行能力
 5. 終了後の振る舞い
 
 あなたは、この予想外の状況に見事に対応されました。困惑しながらも冷静さを失わず、
 与えられたタスクを確実にこなす姿勢に、我々一同感銘を受けました。
 
 これこそが、我が社の求める人材像なのです。
 
 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。」

「ファーーーッ!?」

驚愕するハセカラ君。そして、なんJに書き込む。

「バナナ面接の真相が分かったで!」

一気に盛り上がるなんJ。

「マジか!」
「教えてクレメンス!」
「頼むで!」

ハセカラ君が真相を明かすと、なんJは大騒ぎになった。

「なるほどな...」
「ワイ、ガチで皮まで食べたから落ちたんか...」
「でもこれ、ええ採用方法やと思うで」

議論は白熱し、やがて新たな方向へ。

「よっしゃ!ワイらで究極の面接対策するで!」
「バナナの達人になるんや!」
「せやな!バナナ農家になったろ!」

こうして、なんJに新たなブームが巻き起こったのであった。

そして数年後...

「今日からワイらの会社や!なんJ株式会社の船出や!」

ハセカラ君を中心に、元なんJ民たちが立ち上げた会社。その採用試験は...

「では、このドリアンを食べてください」

「ファーーーッ!?」




201ターンワールド2

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