ワイは今年で27歳。今の時代なら「彼女いない歴=年齢」って言葉がぴったりなんやけど、ワイの場合は違うんや。

「彼女いない歴=年齢性発達障害」

これがワイの"難病"や。

普通の奴らは、彼女おらんかったらそれでおしまいなんや。でもワイは違う。ワイには常に彼女がおるんや。

「おはよう、ダーリン♡」

朝から甘い声で起こされる。隣で寝てるんは、今月の彼女や。

「あかん...また新しい彼女や...」

ため息つきながら起き上がる。これがワイの日常や。

彼女いない歴=年齢性発達障害。これは"病気"やない。でも難病や。女のおらん場所に行かん限り、治療方法はないんや。

「ねぇ、今日は何して遊ぶ?」

彼女の声に、ワイは頭を抱える。

「すまん...ワイ、仕事あるんや」

「えー、つまんないの!」

彼女の機嫌が悪くなる。でもワイにはどうしようもない。

仕事場に向かう途中、またもや悲劇が起こる。

「あの...よかったらこれ...」

知らん女の子から告白される。これで今日3人目や。

「すまん...ワイには彼女が...」

「えっ...そうなんだ...ごめんね」

がっかりした顔で去っていく女の子。こんなんばっかりや。


「お前、マジでモテまくりやな!」

会社の先輩に言われる。

「いや...それが困ってるんです」

「は?なにいうとんねん。モテて何が悪いんや」

誰も理解してくれへん。ワイの苦しみを。

「彼女いない歴=年齢性発達障害なんです...」

「なんやそれ?お前、彼女おるやないか」

「いや、それが...」

説明しても、誰も信じてくれへん。むしろ、嘘つき呼ばわりされるだけや。

「お前、調子くれとんちゃうか?」

「彼女おるくせに、さらにモテたがるとか最低やな」

攻撃の的になる。非難の声を浴びせられる。

ワイは何も悪いことしてへんのに。ただ、この"難病"と闘ってるだけなのに。

「もう...どないしたらええんや...」

夜、一人で歩いてると、また声をかけられる。

「イケメンお兄さん、一緒に飲みに行かへん?」

綺麗なお姉さんや。でもワイには関係ない。

「すみません...ワイには彼女が...」

「えー、つまんないなぁ。彼女なんていいじゃん♡」

こんなんばっかり。誘惑の嵐や。でもワイは、今の彼女を裏切るわけにはいかへん。

たとえそれが、ワイの意思とは関係のない"難病"が勝手に作り出した関係やとしてもな。


「もう別れよ?」

ある日、彼女に言われた。

「えっ...なんで?」

「だって...あなた、私のこと本当に好きじゃないでしょ?」

グサッと胸を刺される言葉。

「違う!そんなことない!」

必死に否定するワイ。でも、本当はそうなんや。ワイは彼女のことを選んだわけやない。"難病"が勝手に彼女を作り出しただけや。

「私、わかってるの。あなたの目...誰かを探してる目」

彼女の目に涙が浮かぶ。

「違うんや...これは...」

でも、言葉が出てこない。どう説明したらええんや。ワイの"難病"のこと。

結局、彼女は去っていった。でも、すぐに次の彼女が現れる。これがワイの"難病"や。

「なあ、お前いつも彼女おるよな」

「羨ましいわ」

「お前みたいなヤツがモテるんだから、世の中間違ってるで」

周りからの言葉が、ワイを責め立てる。

でも、誰もわかってくれへん。ワイの本当の苦しみを。

ワイは、本当の愛を知りたいんや。自分で選んだ人を好きになりたいんや。

でも、それが許されへん。彼女いない歴=年齢性発達障害やから。

「ねぇ、明日デートしよ♡」

また新しい彼女からLINEが来る。ワイは深いため息をつく。

「わかった...」

返事をする指が震える。これがワイの宿命なんや。

誰もが羨む境遇。でも、ワイにとっては地獄や。

本当の愛を知ることができない。自分の意思で誰かを好きになれない。

それなのに、周りからは祝福されたり、嫉妬されたり。

誰も理解してくれへん。ワイの苦しみを。

「彼女いない歴=年齢性発達障害...いつになったら治るんやろ...」

夜空を見上げながら、ワイはつぶやく。

明日も、また新しい彼女とデートや。
本当はワイ、一人で過ごしたいだけなのに。