ワイこと火星の王様、マーズ・ザ・14世や。最近、地球の「マッチングアプリ」ってやつが気になって仕方ないんや。

「うーん、火星にもマッチングアプリ的なもんあるけど、全然盛り上がらへんのよなぁ」

そう呟きながら、宇宙船の窓から地球を眺めとったんや。

「よっしゃ、決めた!地球行って、マッチングアプリあるあるってやつを体験してくるで!」

そうして、ワイは東京に向けて出発したんや。

着陸したのは渋谷のスクランブル交差点。人混みにビビりながら、さっそくスマホを取り出す。

「えーっと、『ティンダー』『ペアーズ』『with』...めっちゃあるやん!」

ワイ、興奮して全部ダウンロードしてもた。

プロフィール作成中、「種族」の欄で少し悩む。

「うーん、『火星人』はマズいよな...『会社員』にしとこ」

そして、いよいよスワイプ開始や!

「右にスワイプが『いいね』で、左が『いいね』じゃないんやな。よっしゃ、がんばるで!」


スワイプし始めて3日目。ワイ、マッチングアプリあるあるを次々と体験してるんや。

まず、「いいね」が全然こえへん。

「なんでや!ワイ、火星では超イケメン王子やぞ!」

そう思いながらも必死にスワイプし続ける日々。

ようやくマッチしても、女の子から「はじめまして♪」としか返ってこーへん。

「こマ!?会話続かんやんけ!」

必死に話題を探すワイ。「火星の天気どうですか?」って聞きそうになって慌てて消したで。

たまにええ感じの子とマッチしても、

「身長どれくらいですか?」

「えっ、火星単位やと2.5メートルくらいですけど...」

そう答えたら、即ブロックされてもうた。

「あかん、地球の単位に換算せなアカンかったわ...」

そんなこんなで、ようやくデートにこぎつけたんや。

待ち合わせ場所に行ったら、プロフィール写真と全然違う子が来てもうた。

「えぇ...」

ワイの顔も、実は緑色やったんやけどな。


そんなこんなで1ヶ月が経った頃、ワイはマッチングアプリにすっかり疲れ果ててた。

「はぁ...やっぱ難しいわ、地球の恋愛は」

そう思いながら歩いてたら、突然ぶつかってもうた。

「あ、ごめんなさい!」

「いえいえ、ワイが悪かったです」

目の前におったんは、めっちゃ可愛い女の子やった。

「あの...もしかして、マーズ・ザ・14世様ですか?」

「えっ!?ワイのこと知っとるん!?」

その子は火星系YouTuberで、ワイのことを知っとったんや。

「実は、火星に行きたくて日々努力してるんです!」

ワイ、思わずドキドキ。

「ほ、ほんまに!?」

そこから話が盛り上がって、気づいたらデートしてた。

マッチングアプリやのに、リアルで出会うってどないやねん!

結局、その子と意気投合して、一緒に火星に帰ることになってもうた。

「まさか地球に行って、火星ファンと出会うとは...」

宇宙船の中、ワイは苦笑い。

「でも、マッチングアプリあるあるは体験できたし、ええ経験やったわ」

そう思いながら、ワイは火星への帰路についたんや。

火星に着いたら、さっそく火星版マッチングアプリの開発を始めるんやで。

「今度は『種族』欄に『地球人』も追加しとこ」

ワイの火星での新しい挑戦が、こうして始まったのであった。




20240809火星01

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