ワイ、30歳無職。趣味は超ひも理論の研究なんや。

「はぁ…もう何年研究しとんねん…」

そう呟きながら、ワイは紐をグルグル巻いとった。

突然、「ポン!」って音がして、紐がめっちゃ複雑な形になったんや。

「うおっ!なんやこれ!?」

よく見ると、蝶結びみたいな形やけど、次元が違うみたいな感じ。

「こ、これは…超蝶結び!?」

ワイ、興奮して叫んでもうた。

「せや!これが超ひも理論の究極の姿なんや!」

嬉しくなって、ツイッターに投稿したんや。

「超ひも理論を超蝶結びにしたで~ #物理学 #超ひも理論」

そしたら、めっちゃバズってもうた。

「すげえ!」「ノーベル賞あるで!」「こいつ天才か?」

コメント欄は大盛り上がり。

せやけど、ワイは気づいてしまったんや。ヤバいことが起こりそうやって…。


翌日の朝、ワイがテレビつけたら、アカンことなっとった。

「昨日から小説家の様子がおかしいという報告が相次いでいます」

アナウンサーがそう言うてる。

「村上春樹さんは『猫のあああああ』という小説を発表し、記者会見では『にゃーん』としか言わなくなりました」

「えぇ…」

ワイ、絶句。

「星新一さんのTwitterには『ショートショートって何?食べ物?』という投稿が…」

「まじか…」

ワイ、だんだん事態の深刻さに気づき始める。

そしたら、ワイの携帯に電話がかかってきた。

「もしもし、〇〇大学の△△です。君の超蝶結びの件で…」

「あ、はい…」

「どうやら、君の超蝶結びが小説家の創造性に影響を与えているようなんです」

「えっ!?」

「超蝶結びが生み出す特殊な波動が、小説家の脳に作用して…まあ、簡単に言うと、小説家がバカになってるんです」

ワイ、頭を抱える。

「う、うわぁぁぁ…ワイ、なんてことを…」

超蝶結びを作ったワイのせいで、小説家が全員バカになってもうたんや…。


事態を収拾しようと必死になっとったワイ。

せやけど、もう遅かった。

小説家がバカになった影響で、世界中の文学賞が中止に。

本屋には「うんち!」「ぷー!」みたいなタイトルの本ばっかり並んどる。

そんな中、突如現れたんや。蝶結び職人たち。

「我々が世界を導く!」

なんと、小説家の穴を埋めるべく、蝶結び職人が台頭してきたんや。

蝶結びの技術を物語に応用するっちゅうねん。

「複雑な人間関係?蝶結びで表現できまっせ!」

「伏線回収?蝶結びをほどく快感で味わえます!」

そして、ベストセラーが誕生した。

『超蝶結び物語~織りなす愛の絆~』

著:山田のび太(元蝶結び職人)

ワイ、困惑。

「な、なんやねん…」

そんな中、ノーベル文学賞の発表の日がやってきた。

「そして今年のノーベル文学賞は…日本の山田のび太氏の『超蝶結び物語』に決定いたしました」

世界中が歓声に包まれる。

ワイだけが呆然。

「マジで言うとんのか…」

そして10年後…。

ワイは蝶結び文学の第一人者になっとった。

「超ひも理論と蝶結びの融合が、新しい文学の扉を開いたんや」

ワイ、インタビューでドヤ顔。

昔の小説家は今、「蝶結び療法」で少しずつ回復中や。

村上春樹は「猫の蝶結び」っていう新しいヨガを始めたらしい。

世界は思わぬ方向に進んだけど、案外ええもんなんかもしれん。

ワイは今日も、紐を結びながら、新しい物語を紡いでいくんや。