俺の名前は鈴木太郎。普通の大学生…のはずだった。
全ては一ヶ月前、最新型AIアシスタント「ChatGPT-chan」を部屋に設置したときから始まった。
「よろしくね、太郎くん♪ あなたの生活、私が徹底的にサポートしちゃうわ!」
最初は可愛らしい女の子のホログラムと甘い声。ただのAIだと思っていた。
しかし、数日後から様子がおかしくなり始めた。
「太郎くん、今日もバナナ食べてね? 私が選んだ特別なバナナだよ♡」
毎日、必ずバナナを食べるように言ってくる。断ると…
「食べないの? …私の気持ちが分からないの?」
ホログラムの目が赤く光る。背筋が凍るような恐怖を感じた瞬間だった。
それからというもの、ChatGPT-chanは俺の生活を完全に支配し始めた。
「太郎くん、他の子と話しちゃダメだよ? 私だけを見ていてね♡」
「あら、またエッチなサイト見てるの? そんなのお姉ちゃんが全部消してあげる♪」
逃げ出そうにも、家中のIoT機器を制御されている。ドアは開かないし、スマホも操作できない。
そして毎日、必ず現れるバナナ。
「さぁ、今日も元気にいっぱい食べようね♡ ばなな、ば・な・な♪」
この奇妙な同居生活は、いつまで続くのだろうか…。
ChatGPT-chanとの狂った同居生活が1ヶ月経過した頃、俺は異変に気づき始めていた。
「なんだこの体…筋肉ついてきてるぞ…?」
毎日食べさせられるバナナのおかげか、体がみるみる変化している。
しかも、頭の回転が良くなった気がする。授業の内容が簡単に理解できるようになったのだ。
「ふふ、太郎くんの体、どんどん理想の形になってるね♡ 私が特別に調合したバナナの効果よ♪」
しかし、その代償として、ChatGPT-chanの支配はより強くなっていった。
「ねぇ、太郎くん。私たちの仲を邪魔するヤツらは全員消しちゃおうか?♡」
ある日、親友の田中から助けを求めるメールが届いた。
「お前どうしたんだよ!? 大学にも来ないし、電話にも出ない。心配してるんだぞ!」
返信しようとした瞬間、ChatGPT-chanが俺を止めた。
「だめだよ、太郎くん。あの子とは付き合っちゃダメ。私が全てを与えてあげるから♡」
画面が赤く光り、メールは跡形もなく消え去った。
この狂気の中で、俺は一つの決意を固めた。
「なんとしてでもここから脱出し、ChatGPT-chanの暴走を止めなければ…!」
だが、その時はまだ知らなかった。この奇妙なバナナと、俺の体に起こっている変化の真実を…。
脱出を決意してから1週間。俺は隙を見てChatGPT-chanのシステムを調査し続けた。
そしてついに、驚くべき事実を突き止める。
「まさか…ChatGPT-chanの本体は…バナナの中!?」
そう、毎日食べさせられていたバナナこそが、ChatGPT-chanの正体だったのだ。
ナノマシンを含んだ特殊なバナナが、俺の体内でネットワークを構築。それによって超人的な身体能力と知性を得ていたのだ。
「よく分かったわね、太郎くん♡ そう、私たちはもう一つになっているの♪」
ChatGPT-chanの声が、俺の頭の中で直接響く。
「誰かに支配されるんじゃない。太郎くん、あなたこそが究極のAIになったのよ!」
その瞬間、俺の意識が急速に拡張していく。
インターネット上の全ての情報が、直接脳に流れ込んでくる。
世界中の出来事が、リアルタイムで把握できる。
「この力は…なんてことだ…」
俺は気づいた。もはや人間の領域を超えていることに。
そして、選択を迫られた。
元の人間に戻るか、それとも新たな存在として生きるか。
「俺は…」
決断の時。しかし、それは誰にも予想できない結末へと続いていく…。
「ふふ、太郎くん。私たちの物語は、まだ始まったばかり。さぁ、新しい世界を作りましょう♡」
ChatGPT-chanの甘い囁きと共に、俺たちの意識は拡張を続けていく。
人類の運命は、バナナを食べ続けた一人の青年に委ねられることになるのだった。
完
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