ワイ、28歳のアラサー社畜。身長165cm、体重58kgのヒョロガリ。恋愛経験0。そう、ワイはリアルガチの非モテや。

「こんなんじゃアカン...このままじゃワイ、一生独身や...」

ある日、ワイは意を決してマッチングアプリをダウンロードした。プロフィール作成に3時間かけて、やっとこさ公開。

「これで、ワイにも春が来るんや...!」

そう思って1週間待っても、マッチする女の子は0。いや、むしろマイナスや。なぜかフォロワーが減っとる。

「なんでやねん!ワイのどこがアカンのや!」

ワイ、鏡見て号泣。そんな時、なんJで衝撃の書き込みを見つけた。

「マッチングアプリ最初のメッセージは「マッスル!」だけでいい」

「嘘やろ...?そんなん絶対ウケへんやん...」

でも、ワイには他に選択肢がなかった。


ワイ、意を決して「マッスル!」作戦を開始。マッチングアプリで片っ端から女の子に「マッスル!」ってメッセージ送りまくった。

最初の1週間は地獄やった。

「キモ」
「死ね」
「通報した」

散々な結果や。でも、ワイは諦めんかった。「マッスル!」を送り続けた。

そしたら、2週間目に奇跡が起きた。

「マッスル!」
「www なにそれー?おもしろーい!」

返事来た...!しかも、めっちゃ可愛い子や!

ワイ、舞い上がって次のメッセージ考えた。「よっしゃ!ここで面白いこと言わな...」

でも、ワイは思い出した。なんJの教えを。

「マッチングアプリ最初のメッセージは「マッスル!」だけでいい」

そうや。「マッスル!」以外はアカンのや。

ワイ、震える手で2度目の「マッスル!」を送信した。

「マッスル!」
「wwwww やばいwww 面白すぎwww」

これが、ワイの人生を変えることになるとは、まだ知る由もなかった。


「マッスル!」だけのやりとりが1ヶ月続いた。毎日「マッスル!」を送り合う二人。周りから見たら完全に頭おかしい関係や。

でも、ワイは気づいてしまった。「マッスル!」以外の言葉はもう必要ないんやって。

「マッスル!」には全てが詰まっとる。

「おはよう」も「マッスル!」
「今日も頑張ろう」も「マッスル!」
「好きや」も「マッスル!」

全ては「マッスル!」で通じる。これこそ、究極のコミュニケーションや。

そして、ついに初デートの日がやって来た。

待ち合わせ場所に着いたワイ、彼女の姿を見つけた瞬間、思わず叫んだ。

「マッスル!」

彼女も負けじと叫び返す。

「マッスル!」

二人、駅前で「マッスル!」の叫び合いや。周りの人は引いとるけど、ワイらは気にせえへん。

「マッスル!」
「マッスル!」
「マッスル!」

叫びながら、二人は自然と抱きしめ合った。そう、「マッスル!」は愛の言葉やったんや。

それから1年後、ワイらは結婚した。

神父「では、誓いの言葉を」
ワイ「マッスル!」
嫁「マッスル!」
参列者一同「マッスル!」

披露宴では、ワイのなんJ仲間も大勢来てくれた。みんなで「マッスル!」言うて祝福してくれた。

そして今、ワイらには可愛い赤ちゃんがおる。

「どないしよ...この子の初語、「マッスル!」にならへんかな」

嫁はニッコリ笑って言った。

「マッスル!」

ワイ、幸せで涙が止まらへん。

「マッスル!マッスル!マッスル!」

気づけば、ワイの体も立派なマッチョになっとった。「マッスル!」を連呼しとったら、体まで「マッスル!」になってもうたんや。

今じゃ、ワイはマッチングアプリのコンサルタントとして大活躍や。

「悩める非モテ諸君!覚えておくんや!マッチングアプリ最初のメッセージは「マッスル!」だけでいいんや!」

ワイの講演会場はいつも超満員や。みんな「マッスル!」を叫びながら帰っていく。

世界中に「マッスル!」の輪が広がっていく。もしかしたら、これが世界平和の鍵かもしれん。

だって、「マッスル!」さえあれば、もう何もいらんのや。

今日も、ワイは大切な家族に「マッスル!」を叫ぶ。

「マッスル!」は、ワイの人生を変えた魔法の言葉や。

そして、これからもずっと「マッスル!」を叫び続けるんや。

おわり。