ワイこと高橋みゆき(24)、世間でいうところのチー牛女やで。黒髪ボブにメガネ、ちょいポッチャリ体型にアニメTシャツ。そう、完全体や。
「はぁ...また今日も誰にも話しかけられへんかったわ...」
会社の帰り、いつもの様に誰とも目を合わせずコンビニでチー牛買って帰るんや。家に着いたら、すぐさまVRゴーグル被って、バーチャル空間に逃げ込む。
「よっしゃ!今日こそ火星サバイバルゲームでじゃがいも100個収穫するで!」
そう言いながらゲーム始めたんやけど、なんかいつもと画面の質感が違うねん。
「あれ?なんか臭いするし...ファッ!?」
気づいたら、ワイほんまに火星におるやんけ!!!
赤茶けた大地が広がって、遠くには低重力やからクッソでかい山が見えるし、空はピンク色やし。
「うわああああ!ワイどないしたらええねん!」
パニックになってるワイの目の前に、突如でっかいモニターが現れたんや。
「チー牛女のみゆきさん、あなたは火星移住計画『ポテト・マーズ』のモニター隊に選ばれました。これから1年間、火星でじゃがいもを育てていただきます」
「ファーーーwww なんやねんそれwww って、マ?」
気づいたらワイ、巨大ドーム型の温室の中におるんや。周りにはクッソ広大なじゃがいも畑が広がっとる。
「まぁ、ゲームでやってたことと同じやし、やってみるか...」
そう思って、さっそく火星土壌にじゃがいもの種イモを植え始めたんや。
最初のうちは、ゲームの知識だけでなんとかなっとったんやけど、だんだん難しくなってきよった。
「うわぁ...この葉っぱ、変な色してるやん...火星の放射線やばいんか?」
試行錯誤の日々や。でも、ワイ、なんかだんだん楽しくなってきたんや。
「よっしゃ!この肥料配合でいけるはずや!」
毎日コツコツ作業して、データ取って、改良して...気づいたら半年経っとった。
ある日、モニターから連絡が入ってん。
「みゆきさん、あなたの育てたじゃがいもが地球の研究所で高評価を受けました。このまま頑張ってください」
「マ?ワイのじゃがいも、うまいんか?」
なんか、ワイの胸がジーンときたわ。今まで誰にも認められたことなかったのに...
そんな時、モニターに地球のニュースが流れてきた。
「火星移住計画『ポテト・マーズ』、順調に進行中。しかし、具体的な成果はまだ発表されていない」
「ファッ!?ワイのこと誰も知らんのか...」
ワイの存在、誰もシランケド...
あれから3ヶ月経って、ついにワイのじゃがいもが大収穫や!
「よっしゃあああ!1000個超えたで!」
喜んでたら、急にモニターが慌ただしくなってきよった。
「緊急事態発生!地球のじゃがいも畑が謎の疫病で全滅!みゆきさん、あなたの火星じゃがいもが人類最後の希望です!」
「えぇぇぇ!?ワイのポテトが人類救うんか?」
大慌てで収穫したじゃがいもを宇宙船に積み込んで、地球に向けて発射したんや。
その1週間後、地球中のニュースがワイのじゃがいもの話題で持ちきりになっとった。
「奇跡の火星ポテト、人類を救う!」
「火星じゃがいもの驚異の栄養価、専門家も舌を巻く」
「謎の天才農家、その正体は?」
ワイ、なんかとんでもないことになってもうたわ...
そんな時、モニターから通信が。
「みゆきさん、あなたの功績を称えて、地球に凱旋帰還してもらいます。明日、最新型宇宙船でお迎えに上がります」
「えぇ...ワイ、地球帰ってええんか...?」
正直、複雑な気分やった。だって、火星のこの生活が好きになってもうてん。
翌日、ワイを迎えに来た宇宙船から降りてきたんは、なんとワイの会社の上司!
「高橋くん!こんなところにいたのか!みんな心配してたぞ!」
「えっ...ワイのこと、心配してくれてたんですか...?」
「当たり前だ!君がいなくなってから、会社の雰囲気が変わってしまってな。君のチー牛パワー、実は皆んな密かに頼りにしてたんだよ」
ワイ、思わず涙が出てきよった。
「でも...ワイ、このじゃがいも畑が好きになってもうて...」
上司は優しく微笑んで言うてくれたんや。
「なら、こうしよう。君を火星支社の責任者として、正式に赴任させよう。地球と火星を行き来しながら、この事業を大きくしていこう」
「ホンマですか!?ありがとうございます!」
ワイ、人生で初めて心の底から笑顔になれたわ。
1年後、ワイこと高橋みゆきは、チー牛ファッションのまま、世界中の記者を前に得意げに語っとったんや。
「これからは、火星じゃがいもの時代や!ワイらチー牛が、人類の食を支えるで!」
カメラのフラッシュを浴びながら、ワイは思うた。
「誰もシランケドやと思とったけど、ちゃんと見てくれとる人おったんやな...」
チー牛女の星間じゃがいも物語は、まだまだ続くんやで!
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