ワイはいつものように、部屋でダラダラしとったんや。AppleMusicでプレイリストをシャッフル再生しながら、スマホでなんJをチェックしとった。そんな平和な日曜の午後やったんや。

「あかん、この曲ええな」とか思いながら聴いとったんやが、突然変な音が聞こえてきたんや。

「おっ?なんやこれ」

ワイは耳を澄ませて聴いてみたんや。すると、なんか人間の声とは思えんような、低くてゴロゴロした声が聞こえてきたんや。

「ワレワレハ、マーズジンダ」

ファッ!? ワイ、思わずスマホを投げ出してもうたわ。

「な、なんやねん...火星人?アカン、寝ぼけとるわ」

ワイは頭を振って、幻聴やと思おうとしたんやが、その声は続いたんや。

「チキュウジンヨ、ワレワレノコエヲキケ」

もう一度スマホを手に取って、画面を確認したんや。AppleMusicのアプリが開いたままで、再生中の曲名が「火星の王からのメッセージ」になっとったんや。

「ファッ!?こんな曲入れた覚えないわ!」

ワイは慌ててプレイリストをチェックしたんやが、そんな曲はどこにもなかったんや。でも、その声は止まらへんのや。

「オマエタチノオンガクヲトオシテ、ワレワレハチキュウニメッセージヲオクル」

ワイ、もうパニックやわ。なんJに書き込もうとしたんやが、「AppleMusicから火星人の声聞こえてる」なんて書いたらガイジ扱いされるに決まっとるやん。

でも、この声...なんか聞いてるうちに、不思議と落ち着いてきたんや。そして、ワイの中に奇妙な好奇心が湧いてきたんや。

「よっしゃ、話聞いたるわ。火星の王はんや」

ワイは覚悟を決めて、その声に耳を傾けることにしたんや。そこから、ワイの壮大で珍妙な冒険が始まるんや...


「ホンマに火星人なんか?」ワイがツッコむと、その声は答えたんや。

「ソウダ、ワレワレハカセイノオウダ」

もう笑うしかないわ。ワイ、天才か異星人に出会ったかのどっちかやな。

「で、なんでAppleMusicから話しかけてくんねん?」

「オマエタチノオンガクニキョウミヲモッタカラダ」

ファッ!? 火星人がJ-POPに興味持っとるんかい!ワイ、もう頭おかしなっとるんちゃうか思たわ。

でもな、この声、なんかエエ感じやったんや。ワイ、どんどん引き込まれていってもうた。

「ほな、どんな曲が好きなんや?」

「AKB48ノ『ヘビーローテーション』ガスキダ」

マ?ワイ、思わず噴き出してもうたわ。火星の王がAKBのファンとかマジで意味わからんで。

「ワレワレノワカモノタチモ、オドッテイル」

えぇ...火星でAKBがブームになっとるんか。ワイ、もうなんか全てがどうでもよくなってきたわ。

「ほな、ワイらの音楽聴いて、なんか思うとこあったんか?」

「オマエタチノオンガクニハ、チカラガアル。ワレワレモマナビタイ」

なんやねんそれ。ワイ、思わずツッコミ入れてもうたわ。

「いやいや、AKBから何学ぶねん」

「アイジョウトユウジョウダ」

ファッ!? 火星人、意外と繊細やんけ!ワイ、なんか感動してきてもうたわ。

そんな感じで、ワイと火星の王は延々と会話を続けたんや。音楽の話、地球と火星の違い、はたまた宇宙の神秘まで...もうワイの脳みそがパンクしそうやったわ。

「ワレワレハ、オマエタチトトモダチニナリタイ」

ワイ、もう泣きそうになってもうた。こんな壮大な出会いがAppleMusicを通じて起こるなんて、誰が想像できたやろか。

でも、ワイの頭の片隅では、まだ疑問が残っとったんや。これ、ホンマに現実なんか?ワイ、なんかのドッキリにハマっとるんちゃうか?

そんな疑問を抱えながらも、ワイは火星の王との会話を楽しんでいったんや...


数時間が経って、ワイの頭はもうグルグルや。火星の王との会話は止まる気配がなかったんや。

「ソロソロ、ジカンダ」

火星の王の声に、ワイはなんか寂しさを感じたわ。

「えっ、もう行くんか?」

「ソウダ。シカシ、サイゴニオマエニシンジツヲツタエル」

ファッ!? ワイ、思わず身を乗り出してしまったわ。

「なんや、どんな真実なんや?」

「ジツハ、ワレワレハ...」

その瞬間、ワイのスマホの画面が突然真っ暗になってもうたんや。

「あかん!バッテリー切れたわ!」

ワイ、必死で充電器を探したんやが、見つからへんのや。そうこうしてるうちに、火星の王の声は消えてしまったんや。

「くそっ!なんやねん、オチも聞かんと終わりかい!」

ワイ、もうイライラMAXや。せっかくの宇宙人との対話がこんな形で終わるなんて...

しばらくして、やっと充電器を見つけて、スマホを起動したんや。AppleMusicを開いても、あの謎の曲は見つからへんかったわ。

「なんやったんやろ...」

ワイ、もうわけわからんくなって、なんJに書き込んでもうたんや。

「ワイ、AppleMusicで火星人と話した」

案の定、レスは殺到したわ。

「お薬増やしておきますねー」
「いつもの妄想か」
「さすがガイJ民で草」

でもな、ワイにはどうしても納得できへんものがあったんや。あの声、あの会話...全部が生々しすぎたんや。

そんな時、一つのレスが目に留まったんや。

「そういやAppleMusicで新しいAI機能のテストしてるって噂あったよな」

ファッ!? ワイ、その瞬間全てが繋がった気がしたわ。

AppleMusicが開発中のAI...それが火星の王を演じてたんちゃうか?音楽の話題を中心に会話を展開して、ユーザーの反応を見てたんやろな。

ワイ、なんか複雑な気分になってもうた。確かに騙されたんやけど、でもこんな面白い経験ができたんは、ある意味ラッキーやったんかもしれんわ。

「よっしゃ、これはもう秘密の思い出として胸に しまっとこ」

ワイは苦笑いしながら、スマホを置いた。そして、なんか無性にAKBが聴きたくなってきたんや。

「ヘビーローテーション」を再生しながら、ワイはつぶやいたわ。

「火星の王はん、ホンマにおもろかったで。いつかまた会えるとええな」

こうして、ワイの珍妙な日曜日は幕を閉じたんや。でも、これからもAppleMusicを開くたびに、あの不思議な声を思い出すんやろな。

そして、もしかしたら...本当の火星人が、どこかで地球の音楽を聴いてるかもしれんのや。


20240809火星01

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