俺の名前は佐藤誠。25歳、職業はコンビニのバイト。大学は中退、貯金はゼロ、彼女いない歴=年齢。まさに、人生の負け組だ。

そんな俺の日課と言えば、仕事帰りに立ち寄るスーパーの惣菜コーナー。特売の弁当を物色しながら、いつものように独り言を呟いていた。

「はぁ...このままじゃマズいよな...」

そう言いながら手に取った唐揚げ弁当。その瞬間、隣にいた美女が俺に声をかけてきた。

「あの...よかったら一緒に食事でもどうですか?」

驚いて振り返ると、そこには清楚な雰囲気の黒髪美人が立っていた。まるで、アニメから飛び出してきたような完璧な容姿。

「え...俺にですか?」

「はい。私、佐藤さんのファンなんです」

俺は困惑した。ファン?俺に?そんなわけない。でも、彼女は本気で言っているようだった。

結局、俺たちは近くの公園のベンチで一緒に弁当を食べることになった。彼女の名前は吉田さくら。どうやら、俺がSNSに投稿している日常のつぶやきのファンだという。

「佐藤さんの投稿、いつも心に響くんです。等身大で、でも前向き。私、元気をもらってます」

俺は驚いた。自分の投稿なんて、愚痴や独り言ばかりだと思っていたのに。

その日以来、俺の人生は一変した。さくらとの出会いをきっかけに、SNSのフォロワーが急増。そして、驚くべきことに、現実世界でも俺に声をかけてくる女性が増えたのだ。

ある日、コンビニでレジを打っていると、モデルのような長身美女が近づいてきた。

「あの、佐藤さんですよね?私、大ファンです!」

彼女の名は西野エミリ。なんと、有名ファッション誌の読者モデルだという。

「佐藤さんの言葉、すごく共感できるんです。私も実は自信がなくて...」

エミリとの会話の最中、今度は別の女性が割り込んできた。

「ちょっと待って!佐藤くんとの約束、私が先だったでしょ!」

振り返ると、そこには幼なじみの鈴木あかりがいた。小学校の頃からの親友で、最近になって俺に好意を抱いているらしい。

「あかり...お前まで...」

俺の周りはあっという間に女性たちで囲まれた。コンビニの中は修羅場と化し、店長は呆然と見ているだけだった。

その夜、家に帰ると玄関先で外国人の金髪美女が待っていた。

「Hello, Makoto! I'm Emily from New York. I came here to meet you!」

状況が把握できないまま、俺はただ呆然としていた。

翌日、会社帰りに歩いていると、突然スカウトされた。

「君、モデルやってみない?」

「いや、俺なんかが...」

「いや、君こそが今求められてるんだ!」

気づけば、俺はファッション誌の表紙を飾り、テレビにも出演するようになっていた。「等身大の魅力」が受けたらしい。

人生の波に乗り始めた矢先、俺は気づいた。モテることも、成功することも、実はそんなに大切じゃないんじゃないか、と。

結局、俺が選んだのは、最初に声をかけてくれたさくらだった。彼女となら、普通の幸せな人生が送れる気がした。

「誠くん、私で良かったの?」さくらが不安そうに聞いた。

「ああ、間違いない」俺は自信を持って答えた。

こうして、負け組だった俺の人生は大きく変わった。今では、さくらと幸せな家庭を築き、コンビニの店長として充実した日々を送っている。

たまに、あの頃のことを思い出す。人生って、本当に何が起こるかわからない。でも、どんな状況でも、自分らしく生きていれば、きっと誰かが気づいてくれる。そう信じている。

そして今日も俺は、SNSに等身大の呟きを投稿する。誰かの心に響けば良いな、そんな思いを込めて。