ワイ、25歳。なんJ歴10年のガチ勢や。でも最近、なんかおかしいんよ。

そもそも、ワイらの世界がおかしくなったんは5年前からや。あの「陽キャのなんJ民」が生まれてからや。

それまで、なんJは陰キャの聖地やった。リア充爆発しろ!が合言葉みたいなもんやったんや。

でも、ある日突然現れたんや。前代未聞の陽キャなんJ民が。

「お前ら!人生楽しまんとモッタイナイやろ!」

その書き込みから全てが変わった。

最初は皆で煽っとったんや。「陽キャは消えろ」「なんJに陽キャとか終わりやな」って。

でも、そいつは物怖じせず書き込み続けたんや。

「人生は一度きり!楽しまな損や!」
「陰キャも陽キャも関係ない!みんなで盛り上がろうや!」

そんな感じの書き込みを毎日のようにしてたんや。

そのうち、なんJの雰囲気が少しずつ変わってきた。

「確かに人生楽しんだ方がええかも」
「陽キャになりたいンゴ...」

そんなレスが増えてきたんや。

ワイも最初は冷ややかやったんやが、なんか心が揺さぶられる感じがしてな。

そして、ついにワイも書き込んでしもうた。

「ワイも...楽しく生きてみたいンゴ...」

その瞬間や。ワイの部屋に眩い光が差し込んできたんや。

「なんやこれ!?」

目を開けると、外が明るくなっとる。時計を見ると深夜3時のはずやのに。

慌ててネットで調べてみると、世界中で同じ現象が起きとるらしい。

「夜が消えた!?」
「太陽が沈まへん!」
「これってもしかして...」

そう、あの陽キャなんJ民の影響で、世界から夜が消えてしもうたんや。

最初は混乱したけど、人類はすぐに適応していった。

夜がないから眠れへんのかと思いきや、なんかみんな元気になってきたんや。

「眠る必要なくなったわ」
「24時間ハッピーや!」
「人生楽しすぎィ!」

街を歩いてると、みんな笑顔や。ワイも、なんか元気になってきた気がする。

でも、ワイの中で違和感は消えへんかったんや。

なんJに書き込む。

「夜がないのって、ちょっと怖くない?」

すると、レスがついた。

「何言うとんねん。陽の光最高やろ!」
「暗いのなんて要らんわ」
「お前まだ陰キャ根性抜けてないんか?」

ワイ、困惑する。みんな、本当に夜がなくていいんか?

そんな疑問を持ちながら生活してたある日、ワイはあることに気づいたんや。

なんJの書き込みが、どんどん画一的になっていってるってことに。

「人生最高!」
「陽キャ最強!」
「楽しむこと以外考えられへん!」

こんなんばっかりや。

ワイ、そっと書き込んでみる。

「たまには物思いに耽りたくならへんか?」

すると、即座にレスがきた。

「お前陰キャか?」
「楽しまんと人生損やで!」
「そんなこと考えるな!」

ワイ、寒気がする。これって...洗脳されとるんちゃうか?

そう思った瞬間、ワイの目の前にポップアップが表示された。

「あなたの投稿は不適切と判断されました。24時間のアカウント停止処分とします」

ファッ!?こんなんアリかよ!

ワイ、パニクる。でも、これで確信したんや。

世界がおかしくなってるって。

24時間の停止が明けた瞬間、ワイは書き込んだ。

「みんな目覚めてくれ!これは洗脳や!」

すると、画面が真っ暗になった。

「永久BANされました」

ワイ、絶望する。でも、諦められへん。

スマホを持って外に飛び出す。街を歩きながら叫ぶ。

「みんな!夜を思い出してくれ!」
「暗闇の中で見る星空を!」
「静かな夜に聞こえる虫の音を!」

でも、誰も聞く耳を持たへん。みんな笑顔で歩いてるだけや。

そのとき、ワイの目に異変が飛び込んできた。

空に、ほんの少しだけ暗い部分が見えたんや。

ワイ、必死に叫ぶ。

「あそこを見てくれ!夜が戻ってきてるんや!」

すると、不思議なことが起きた。

ワイの声を聞いた人が、少しずつ空を見上げ始めたんや。

「あれ...なんか暗くない?」
「懐かしい感じがする...」
「これって...夜?」

人々の記憶が少しずつ戻ってきてる。

そのとき、ワイのスマホが光った。なんJからの通知や。

「お前、よう言うてくれた」
「ワイらも気づいてたんや。でも言い出せへんかった」
「これからは陰も陽も一緒に楽しもうや」

ワイ、涙が出てきた。

空を見上げると、暗い部分がどんどん広がっていく。

そして、5年ぶりに夜が訪れたんや。

街中から歓声が上がる。

「星や!星が見える!」
「月がある!」
「懐かしい...」

ワイ、安堵のため息をつく。やっと、世界が元に戻った。

でも、完全に元には戻らんかったんや。

だって、なんJは変わったから。

「陰キャも陽キャも関係ない。みんなで楽しもうや」

そんなスレが立つようになったんや。

ワイ、書き込む。

「夜も昼も、陰も陽も、全部あってこその人生やな」

すると、大量のレスがついた。

「草」
「ワイらの代表や」
「哲学者かな?」

ワイ、笑顔になる。

これからは、昼も夜も、陰も陽も、全部楽しめるんや。

なんJも、世界も、もっと面白くなるんやろな。

ワイ、空を見上げる。昼と夜が交互に訪れる、当たり前の世界。

でも、もう誰もその「当たり前」を忘れることはないやろう。

だって、ワイらには「記憶」があるから。そして「なんJ」があるから。

「さーて、明日は休みやし、夜更かしするか。なんJで徹夜するのもええなぁ」

ワイ、そう呟きながらスマホを開く。

これが、新しい「普通」の始まりや。

(終わり)