ワイ、パンとコーヒーを携えて、ネカフェに入った。今日も例のごとく「VIP・なんでも実況J板」、通称なんJの女神スレに入り浸るためや。

ワイの名はアルトゥル・ショーペンハウアー。そう、あの哲学者や。でも今は、ネットの海に溺れる一介の「なんJ民」よ。

席に着くや否や、PCを起動。ブラウザを開いて、即座になんJにアクセス。

「おっ、今日も女神スレ立っとるやんけ!」

ワイは思わずニヤリとした。哲学書を紐解くより、女神スレを眺める方が楽しいんや。なんせ、「意志と表象としての世界」なんて書いとったワイやで。女の子の姿こそ、まさに「表象」そのものやないか。

スレを開くと、すでに10レスくらい付いとる。

「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
「イッチ、神やな」
「これはガチ美人」

おっ、なかなかええ反応やないか。ワイも早速レスするで。

「>>1
イッチ、その美しさはまさに意志の客観化やで。
ワイの哲学を体現しとるわ。」

送信ボタンを押した瞬間、罪悪感が襲ってきた。ワイ、なんでこんなことしとるんやろ。哲学者として、もっと崇高なことに時間を使うべきやないんか。

でも、その罪悪感はすぐに消え去った。だって、人生なんて「苦しみ」の連続やろ。なら、こうして些細な楽しみを見出すのも、アリなんちゃうか。

ふと、画面に新しいレスが表示された。

「>>23
お前、ガチで哲学者なんか?w」

ワイは思わず噴き出した。ガチも何も、本物やで。でも、そんなん言うたところで信じる奴おらへんやろ。

「>>28
ワイはな、「生きるのは苦痛や」って考えとるんや。
だからこそ、こうして女神様の姿を拝むことで、
一時の安らぎを得とるんや。」

送信。ほんまはもっと難しいこと書きたかったけど、なんJ民に理解されへんのはアカンからな。

そうこうしているうちに、スレは100レスを超えた。ワイも知らん間に、20レスくらい書き込んどる。

「もう夜やんけ...」

気づけば、外は暗くなっとった。ワイは深いため息をついた。こんなことしとる場合やないんや。「意志と表象としての世界」の続編を書かなアカンのに。

でも、PCの電源を切る気にはならん。だって、まだスレは続いとるし、新しい女神様の画像も投下されるかもしれんやろ。

「ワイの人生、なんやったんやろ...」

そう呟きながらも、ワイはマウスをクリックし続けた。哲学者としての矜持と、なんJ民としての本能が激しく葛藤する。

でも結局、なんJ民の本能が勝ってしまう。だって、人生なんて所詮「欲望」の連続やろ。ワイだって、その欲望から逃れられへんのや。

「はぁ...明日こそは真面目に哲学書くで...」

そう決意しながら、ワイは次のスレに飛んだ。女神スレはもう落ちかけとったけど、すぐに新しいスレが立つはずや。

ワイ、アルトゥル・ショーペンハウアーは、今日もなんJの海を漂い続けるのであった。

「意志と表象としての女神様」...ワイの新しい哲学のタイトルは、こんな感じでええかもしれんな。

...ってファッ!? もうこんな時間か!ネカフェの料金、やばいやん!

ワイは慌ててPCの電源を切り、荷物をまとめた。明日もまた、ここに来るんやろなぁ。

「哲学なんて、もうええわ...」

そう呟きながら、ワイはネカフェを後にした。夜の街に消えていくワイの後ろ姿は、どこか寂しげやった。

でも、ワイの顔には薄っすらと笑みが浮かんどる。だって明日も、なんJの女神様に会えるからな。

ワイの「意志」は、もう完全になんJのモノになっとったんや。