ワイ、マッチングアプリに手を出してもうた。正直言うて、ワイはイケメンちゃうで。むしろブサイクの部類や。でも、このご時世、出会いなんてアプリでしか見つからへんのやろ?
プロフィール作るのにめっちゃ時間かかったわ。写真は盛りまくり、自己紹介は嘘まみれ。でも、これが普通なんやろ?みんなそうしとるんやし。
そんで、マッチしたんや。相手の名前は「ミユキ」。プロフ見たら、これがめっちゃ可愛いねん。
「こんなん絶対ワイとマッチするわけないやん...」
でも、なんでかマッチしてもうた。ワイ、舞い上がってまうで。
メッセージのやり取りが始まったんや。ミユキは話が面白くて、ワイの心をグイグイ掴んでいくねん。
「お前、ええ女やな。実際に会ってみたいわ」
ワイが言うたら、ミユキも「うん、会いたい!」って返してきよった。
約束の日、ワイはめっちゃ緊張しながら待ち合わせ場所に向かったんや。
そしたら、そこにおったんは...
「ヒエッ...」
ワイ、思わず声が出てもうた。だって、プロフィールの写真とぜんぜん違うねん。いや、ブサイクとかそんなレベルやない。もはや別人や。
「あの...ミユキさん...?」
「あ、○○くん?はじめまして!」
ニコニコしながら近づいてくるミユキ。ワイ、逃げ出したくなったわ。でも、そんなことできへんやん。
「写真と...ちょっと違うな...」
ワイが言うと、ミユキは笑いながら言うてきよった。
「そうかな?写真は盛ってるけど、私はこれが本当の自分だと思ってるよ」
は?何言うとんねん。でも、ワイにも言い返す資格なんてあらへんわ。だって、ワイだってプロフィールめっちゃ盛っとるもん。
「まあ...そうやな」
ワイは渋々頷いた。
そこからデートが始まったんや。最初はめっちゃ気まずかったけど、話してみるとミユキ、めっちゃ面白いねん。
「ねえ、私って可愛いと思う?」
突然、ミユキが聞いてきよった。
「え...まあ...」
ワイ、どう答えたらええんか分からへんかったわ。
「私は可愛いと思ってるよ。だって、自分のことを可愛いと思わなきゃ、誰が私のこと可愛いと思ってくれるの?」
ミユキの言葉に、ワイはハッとしたんや。
「そうか...二重思考や」
ワイ、つぶやいてもうた。
「二重思考?」
「ああ、『1984』っていう小説に出てくる概念なんや。矛盾する二つの考えを同時に信じることができる能力のことやな」
ミユキは目を輝かせた。
「そうそう!私、それをマスターしたの。自分のことを可愛いと思いつつ、同時に自分がブスだってことも分かってる。でも、可愛いって思うことで、実際に可愛くなれるんだよ」
ワイ、衝撃を受けたわ。こいつ、ガチで二重思考極めとるやん。
「お前...すごいな」
「ありがとう!でも、○○くんだって同じでしょ?自分のことをイケメンだと思いつつ、ブサイクだってことも分かってるんでしょ?」
ぐうの音も出えへん。ミユキの言うとおりや。
「そうや...ワイもそうかもしれへん」
そこから、ワイとミユキの関係は急速に深まっていったんや。二人とも、自分たちがブサイクやってことを分かっとるけど、同時にイケメン・美人やと思い込んでる。
「ねえ、私たち、最高のカップルだと思わない?」
ミユキが言うた。
「せやな。めっちゃ羨ましがられそうや」
ワイも同意した。実際はみんなに引かれとるんやろうけど、そんなん関係あらへん。
二人で街を歩くとき、ワイらは堂々としとる。だって、ワイらは最高にカッコええカップルやからな。
「お前、ホンマに二重思考極めとるな」
「うん、でも○○くんだって負けてないよ」
ワイら、二人して大笑いしてもうた。
これが恋愛ってもんなんやろか?ワイには分からへん。でも、こうやってミユキと過ごす時間が、なんかめっちゃ楽しいねん。
世間の目なんて関係あらへん。ワイらは最高のカップルや。そう思い込むことで、実際に最高のカップルになれるんや。
これが二重思考の極みや。ブサイクでありながら、最高にカッコええ。矛盾しとるけど、それでええねん。
ワイ、こんな恋愛、アリやと思うで。お前ら、どう思う?
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