ワイはネッコ大好きなんJ民や。毎日YouTubeで猫動画見てニヤニヤしとるような奴や。部屋にはネッコのポスターがべったり貼ってあるし、枕もネッコ型や。

ある日、いつもみたいにスマホでネッコ動画見てたら、急に画面が暗くなってもうた。「なんや?」って思ってたら、画面に得体の知れん文字が浮かび上がってきたんや。

『猫は可愛すぎる。これはルッキズムだ。世界の歪みを正す時が来た。』

ワイ、「なんやこれ」って思ってスマホ再起動しようとしたんやが、電源が落ちへん。そしたら今度は、部屋中のネッコポスターから、ネッコの目がワイを見つめ始めたんや。

「ヒェッ...」ワイ、思わず声出してもうた。すると、ポスターのネッコたちが口を開いて、不気味な声で喋り始めたんや。

「そうや...ワイらは可愛すぎるんや...」
「ルッキズムはアカン...平等にせなアカン...」
「ブサイクにならなアカンのや...」

ワイ、怖くなって部屋から飛び出したんや。外に出たら、街中が大変なことになっとった。

道を歩いとるネッコたちが、みるみる姿を変えていくんや。フサフサの毛並みがハゲていき、つぶらな瞳がギョロッとした目つきに。可愛らしい鳴き声は、ゲロゲロいうカエルみたいな声に変わってもうた。

「にゃ...ゲロ...にゃゲロ...」

その声で街中が溢れかえっとる。人々は悲鳴を上げて逃げ惑っとるんや。

ワイ、必死に走って逃げたんやが、どこに行ってもブサイクなネッコだらけや。公園に逃げ込んだら、池の鯉までもがネッコの顔になっとる。それも、めちゃくちゃブサイクなネッコや。

「もう、どこにも可愛いネッコはおらへんのか...」ワイ、絶望的な気分になってきた。

そのとき、ふと目に入ったのが、可愛らしい子猫や。まだ変わっていない、ぬいぐるみみたいな可愛さの子猫が、ワイの足元にすり寄ってきたんや。

「おお!まだ可愛いヤツがおったんか!」ワイ、思わず手を伸ばして撫でようとした。

その瞬間や。

「アカン!ワイも変えられてまう!」

子猫が突然叫んで、ワイの手を噛んだんや。そしたら、ワイの手からみるみるうちに毛が生えてきて、爪が伸びて...気づいたら、ワイの体全体がネッコになっとったんや。

でも、鏡に映ったワイの姿は...めちゃくちゃブサイクなネッコや。

「にゃ...ゲロ...」思わずワイの口から、ブサネッコ特有の鳴き声が出てもうた。

そのとき、空から声が響いてきたんや。

『これで世界は平等になった。もう、可愛いだけが正義ではない。』

ワイは絶望的な気分で街をさまよい始めた。かつての可愛いネッコたちが、みんなブサイクになって、悲しげに鳴いとる。人間も、犬も、鳥も、みんなブサネッコになってもうたんや。

数日後、ワイはテレビでニュースを見とったんや。

「世界中の猫がブサイクに変異する謎の現象が続いております。専門家は『これはある意味、種の平等化かもしれない』と分析しています」

そんなん聞いても、ワイの心は癒されへん。毎日、鏡に映るブサネッコの自分を見ながら、かつての可愛いネッコたちを思い出して、涙を流すんや。

ある日、ワイは公園のベンチで休んどったんや。すると、隣に座ってたブサネッコが、ワイに話しかけてきたんや。

「にゃ...ゲロ...(ねえ、キミ)」
「にゃゲロ...(なんや?)」
「にゃ...ゲロゲロ...(ワイらって、本当に平等になれたんやろか)」

ワイ、その言葉聞いてハッとしたんや。確かに、みんなブサイクになったけど、それって本当の平等なんか?見た目が同じになっても、中身は変わらへんのやないか。

そう気づいた瞬間、ワイの体から不思議な光が放たれ始めたんや。

「なっ...何が起こっとるんや!?」

光が消えると、ワイは元の人間の姿に戻っとった。そして周りを見渡すと、他のブサネッコたちも、次々と元の姿に戻っていくんや。可愛いネッコも、人間も、犬も、鳥も、みんな元通りや。

空から、また声が聞こえてきた。

『お前たちは真の平等を理解した。美醜は関係ない。大切なのは心だ。』

その日から、世界中の人々は、見た目だけで判断することはなくなったんや。ネッコだけやない、みんなの個性を認め合うようになったんや。

ワイは今でも、ネッコ動画を見るのが大好きや。でも、もう見た目の可愛さだけやない。ネッコの性格や、人間との絆とか、そういうとこにも目を向けるようになったんや。

そして時々思い出すんや。あの恐ろしくも、ちょっと滑稽やったブサネッコの日々を。そして、美しさの本当の意味を教えてくれた、あの不思議な出来事をな。

---