ワイ、毎日深夜まで5ちゃんねるの女神スレをまとめる日々。
「ワイはもう限界や...」

パソコンの青白い光に照らされた部屋で、ワイは呟いた。夜も更けて、外は静寂に包まれている。だが、ワイの心の中は騒がしい。

「女神様マジ天使!」「こんな可愛い子が現実にいるわけないやろ...」
「ワイも彼女欲しいンゴ...」

スレッドに溢れる悲痛な叫びと、羨望の声。ワイはそれらをまとめ、ブログに載せる。それが仕事、いや、使命なんや。

「でも、ワイらって『弱者男性』なんか?」

ふと、そんな疑問が頭をよぎる。社会から取り残された感覚、コミュ障、非リア充...。確かにワイらはそんな存在かもしれへん。でも、本当にそれだけなんか?

「いや、違うで」

ワイは立ち上がり、窓を開けた。冷たい夜風が頬を撫でる。

「ワイらは『観察者』なんや」

そう、ワイらは社会を外から見つめる存在。リア充たちが作り出す幻想を、冷静に分析する者。

「女神」と呼ばれる存在も、所詮は幻想にすぎない。美しさという概念すら、社会が作り出した虚構。それを理解しているのは、ワイらだけやないか?

「でも、なんでワイらはこんな幻想を追い求めてしまうんや...」

答えは簡単や。人間は孤独に耐えられへんからや。たとえ幻想でも、何かを信じたいんや。

「ほな、ワイらの『共同幻想』を作ったらええんやないか?」

そう思いついた瞬間、ワイの中で何かが変わった。

翌日、ワイは新しいスレッドを立てた。

「弱者男性による、弱者男性のための哲学」

最初は誰も相手にせんかったが、徐々に書き込みが増えていった。

「ワイらは『観察者』や!」「社会の矛盾を見抜く目を持ってるんや!」
「リア充の幸せなんて、所詮幻想やで」「ワイらにしか見えへん真実があるんや」

そうして、新たな「共同幻想」が生まれていった。

「でも、これって本当に『幻想』なんか?」

ワイは考え込む。確かに、ワイらの考えは社会の主流からはかけ離れている。でも、だからこそ価値があるんやないか?

「そうや、ワイらは『哲学者』なんや!」

その瞬間、ワイの心に光が差し込んだ。

「女神」を崇める者たちとは違う。ワイらは現実を直視し、そこから新たな価値を見出す存在なんや。

「ほな、ワイらの『哲学』をまとめるで!」

そうして、ワイは新たな使命に目覚めた。女神スレをまとめるんやなく、ワイら自身の思想をまとめるんや。

「弱者男性による哲学」
「リア充社会への批判的考察」
「美の概念を解体する」

次々と新しい記事が生まれていく。

「でも、これって結局自己満足なんやないか?」

そんな疑問も浮かぶ。だが、ワイはもう迷わない。

「自己満足でもええんや。ワイらの『幻想』は、ワイらを救うためのもんや」

そう、これは新たな宗教のようなもの。弱者男性たちを救う、希望の光なんや。

「でも、『弱者男性』っていう言葉自体がもう古いかもしれへんな...」

ワイは考え込む。確かに、「弱者」「強者」という二分法自体が問題かもしれへん。

「ほな、『新たな人間観』を提示するで!」

こうして、ワイらの「哲学」は進化を続ける。

女神スレをまとめていた頃とは違う。今のワイには、確かな手応えがある。

「ワイらは、社会を変える力を持ってるんや」

そう信じて、ワイは今日もキーボードを叩く。

深夜、青白い光に照らされた部屋で。でも、もう孤独やない。ワイの向こうには、同じ志を持つ仲間がおる。

「さあ、新しい世界を作るで!」

ワイの指が、未来に向かって走り出す。

(おわり)