朝からスマホ握りしめてガチャ回すワイ。「ついに SSR の赤い砂漠の魔王が出たで!」歓喜の声あげる瞬間や。

「おいおい、また課金したんか?」カーチャンの呆れ顔。「仕事は?」

「今日休みやで」ニヤリと笑うワイ。「それより、このゲームの話聞いてくれへん?」

『異世界転生火星』は、地球の平凡なリーマンが事故で死んで、火星に転生するっちゅう設定や。でも、ただの SF やないで。ファンタジー要素もあって、火星にオーク、エルフ、ドワーフがおるんや。主人公は、火星の重力に慣れるのに苦労しながら、異種族と交流していくんや。

「へー、面白そうやな」カーチャンも興味津々。

「そうやろ? でな、このゲームの一番ヤバいとこは、リアルタイムバトルシステムや」ワイ、熱く語り始める。「地球と火星の位置関係で、通信遅延が変わるんや。これをゲームシステムに組み込んどる」

「ほな、地球と火星が近いときはレスポンス良くて、遠いときは操作難しなるんか?」カーチャン、意外と理解早いやん。

「せやで! 天文学的要素を組み込んどるんや。だから、プレイヤーはみんな NASA のサイト見ながらプレイしとるで」

「お前、それで英語力上がったんちゃう?」

「まあな」ちょっと照れくさそうに答えるワイ。「でも、それだけやない。火星の地形データも本物使っとるんや。クレーターとか渓谷とか、実際の火星探査機が撮影したデータ基にしとる」

「ほんまに勉強になりそうやな」カーチャン、ちょっと感心した様子。

「せやろ? でな、ガチャで出てくるキャラも面白いで。火星の神様マルスとか、火星探査機の擬人化キャラとかおるんや」

「火星探査機の擬人化?」

「そう、キュリオシティちゃんとかパーサヴィアランス君とか。可愛くてかっこいいで」

「お前、そんなんで喜んどるんか...」カーチャン、呆れ顔に戻る。

「いやいや、ストーリーもめっちゃ良いんや!」ワイ、必死に説明続ける。「主人公が火星で新しい文明作っていくんやけど、その過程で地球の植民船が来たりして、政治的な駆け引きもあるんや」

「ほー、結構シリアスな展開もあるんやな」

「せやで。でも、ギャグもあって笑えるで。例えば、火星人が地球の文化勘違いしてるシーンとか」

「具体的にどんなん?」

「そうやな...『エビフライの尻尾は食べへんもんや』って地球人に教えられて、火星人が『なんや!地球人はエビの頭から食べるんか!』って勘違いするシーンとかあるで」

「あほくさ」カーチャン、思わず吹き出す。

「でしょ? こういう小ネタがようけあって、ファンの間で盛り上がっとるんや」

「まあ、お前が楽しんどるんならええか」カーチャン、諦めたように言う。「ただ、課金は程々にな」

「わかっとるって」ワイ、ちょっと心虚になる。だって、昨日も3万円課金してもうた...。

「ほな、ワイはまたゲームするで」スマホに目を戻すワイ。

「あ、そういやお前、明日有給取っとったな」

「せや、明日は火星が地球に最接近する日やからな。レイドバトルあるんや」

「はぁ...」深いため息つくカーチャン。

ワイはまたゲームの世界に没頭していく。火星の赤い砂漠を駆け抜け、オークと戦い、エルフと交渉する。現実世界から離れて、ワイは火星の英雄や。SSR キャラ揃えて、最強パーティーで無双や!

「よっしゃ!ランキング10位以内や!」歓喜の声あげるワイ。

カーチャンは呆れながらも、ちょっと微笑んどる。「あんな真剣な顔、久しぶりに見たわ」

ワイは気づかず、ゲームに熱中しとる。だって、『異世界転生火星』は、ワイにとって現実逃避やのうて、もう一つの人生なんや。

ほな、また明日。火星で会おうや。

101火星へ行こう2

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