朝の11時、ワイことタロウ(28)は目を覚ました。ニート歴3年のワイの日課は、なんJとAmazonレビュー荒らしや。
「さてと、今日も頑張るで〜」
パソコンの電源を入れると、なぜか村上春樹の『海辺のカフカ』が勝手に起動した。
「なんやねん、ワイそんなん読んでへんで」
消そうとするも、画面がバグって消えへん。しゃーないから読み始めるワイ。
「ファッ!?意味わからんわ」
そう思いながらも、なぜか読み進めてしまう。気づけば3時間経っとった。
「やべぇ...なんか頭おかしなったわ...」
ふと窓の外を見ると、黒猫が歩いとる。しかも喋っとる。
「おい、お前。村上春樹は小説家なのか?」
ワイ「えっ?」
黒猫「お前、考えたことあんのか?村上春樹が本当に小説家なのかってよ」
ワイ「いや...そんなん考えたことあらへん...」
黒猫「じゃあ考えろよ。お前、ニートなんだろ?時間あるだろ」
言い残して、黒猫は去っていった。
ワイ「なんやねん...」
混乱しながらも、ワイは考え始める。
「村上春樹は小説家なのか...?」
そのとき、部屋に謎の霧が立ち込めてきた。
「うおっ!なんやこれ!」
霧の中から、村上春樹らしき人影が現れる。
ワイ「村上...春樹?」
村上春樹「いや、違う。俺はお前の中の村上春樹のイメージな」
ワイ「ファッ!?」
村上春樹「お前、俺が小説家かどうか考えてるんだろ?」
ワイ「ま、まぁ...」
村上春樹「じゃあ聞くけど、小説家ってなんだ?」
ワイ「え?そりゃ...小説書く人やろ?」
村上春樹「じゃあ、小説ってなんだ?」
ワイ「それは...」
答えられへん。
村上春樹「分からないだろ?俺だって分からないんだ」
ワイ「えっ?」
村上春樹「俺が小説家かどうかなんて、誰にも分からない。お前にも、俺にも、読者にも」
言い残して、村上春樹は霧の中に消えていった。
ワイ「なんやねん...」
混乱するワイ。そのとき、スマホの通知音が鳴る。
「村上春樹、新刊発売!」
ワイ「まぁ、新刊出すってことは小説家なんやろ...」
そう思いながら、Amazonで注文しようとする。
しかし、「カートに入れる」ボタンを押すと、画面が歪んで...
「うおっ!」
気づくと、ワイは本屋の中にいた。
「ここは...」
目の前には村上春樹コーナー。大量の本が並んでいる。
ワイ「すげぇ...こんなに書いとんのか」
そのとき、隣にいたオッサンが話しかけてきた。
「へぇ、君も村上春樹好きなのか」
ワイ「いや、ワイは...」
オッサン「でもさ、あいつホントに小説家なのかな?」
ワイ「えっ?」
オッサン「だって、あいつの本ってさ、小説っていうより自己啓発本みたいじゃない?」
ワイ「そ、そうっすか...?」
オッサン「まぁ、俺にも分からんけどな。じゃあな」
オッサンは立ち去っていった。
ワイ「もうわけわからんわ...」
混乱したまま、ワイは本屋を出る。するとそこは、いつの間にか海辺になっていた。
「ファッ!?ここ『海辺のカフカ』の世界か!?」
波の音を聞きながら、ワイはますます混乱する。
「村上春樹は小説家なんか?小説ってなんや?ワイは何者なんや?」
そのとき、波打ち際に謎の文字が浮かび上がる。
「お前が小説家だ」
ワイ「えっ...ワイが...?」
突如、目の前が真っ暗になる。
「うおおおお!」
目を開けると、ワイは自分の部屋のベッドの上にいた。時計を見ると、朝の11時。
「え...夢...?」
混乱するワイ。しかし、枕元には一冊の本が。
タイトルは『村上春樹は小説家なのか考えるニートの一日』
著者名は...ワイの名前。
「ファッ!?ワイ...小説書いとったんか...?」
そのとき、窓の外で黒猫が笑っていた。
「お前が小説家だ。村上春樹も、お前の中にいるんだよ」
ワイは深く考え込む。
「村上春樹は小説家なのか...それはワイが小説家なのかってことと同じなんか...?」
答えは出ない。でも、ワイは何かを掴んだ気がした。
「よっしゃ、これをなんJに書き込んだろ!」
ワイはパソコンを起動し、なんJに長文を投稿した。
「村上春樹は小説家なのか考えたンゴ」
レスが付く。
「お前、それ村上春樹っぽいな」
「ニートのくせに偉そう」
「でも、なんか分かる気がする」
ワイは満足げに微笑む。
「ワイも、小説家になれるんかもしれへんな...」
そう呟きながら、ワイは新しい物語を書き始めたのであった。
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