西暦2XXX年、地球の環境がメチャクチャになって、人類は火星に移住しとったんや。

ワイことタロウは、火星第3居住区の底辺労働者や。毎日、火星の赤土掘り返して暮らしとるんや。

「はぁ...もう疲れたわ...」

タロウが愚痴こぼしとったら、隣で働いとるジローが声かけてきた。

「おいタロウ、聞いたか?」

「なんやねん」

「女性様専用の高級居住区ができるらしいで」

「ファッ!?」

そうなんや。火星に来てからというもの、男女平等どころか、完全に女尊男卑の世の中になっとったんや。

「まぁ、ワイらみたいな底辺男は一生そんなとこ入れへんやろけどな」ジローが自虐的に笑う。

その夜、タロウは仲間と集まって、男性専用の地下バーで愚痴り合っとった。

「くそっ!なんでワイらばっかりこんな目に遭わなあかんねん!」

「せやな!女性様は楽して暮らしとるのに、ワイらは毎日重労働やで!」

「火星来る前は、男女平等言うとったくせに、なんやねんこれ!」

みんな顔を真っ赤にして怒っとる。でも、それも当然や。だって、火星の大気のせいで、怒ると顔が赤くなるんやもん。

そんな中、テレビから女性様たちのニュースが流れてきた。

「はい、こちらは新しくできた女性様専用高級居住区です。快適な生活と、最新の設備...」

「くそっ!」タロウが思わずジョッキを投げつける。

「おいタロウ、落ち着けよ」ジローが止める。

「でもよ...」

タロウが言いかけたその時や。バーのドアが開いて、一人の美女が入ってきた。

「あら、ごめんなさい。ここ、男性専用だって知らなくて」

場が静まり返る。

「いや...別にええですよ」タロウが思わず言う。

「あら、優しいのね」美女がニッコリ。

その美女の名前はハナコ。なんと、高級居住区に住む上級女性様やったんや。

「私ね、実は男性の皆さんの気持ちを知りたくて...」

ハナコの言葉に、場の空気が変わる。

「マジで?」
「ワイらの気持ちを?」

ハナコは真剣な表情で頷く。

「ええ。だって、このままじゃおかしいでしょ?男女平等だったはずなのに...」

その言葉に、みんなの顔がさらに赤くなる。でも今度は怒りやなくて、感動で赤くなっとったんや。

「ワイら...ワイら...」タロウが涙ぐむ。

そこからみんな、思い思いの不満や悩みを話し始めた。重労働のこと、差別のこと、将来への不安...

ハナコは黙って聞いとった。そして最後に、こう言った。

「わかりました。私、上の人たちに直接訴えかけてみます」

「えっ、マジで!?」みんなが驚く。

「ええ。だって、このままじゃ火星の未来はないもの」

その言葉に、バーにいた男たちは感動で号泣。顔は真っ赤やけど、今度は怒りやなくて喜びで赤くなっとったんや。

それから数ヶ月後。

火星の社会は少しずつ変わり始めた。男性の労働環境が改善されたり、男女共同の居住区ができたり...

タロウたちは、相変わらず赤土掘り返す仕事しとるけど、なんか希望が見えてきた感じがするんや。

「なぁジロー」

「なんや?」

「ワイら、もしかして火星の歴史変えたんちゃうか?」

「そうかもな。でも、まだまだこれからやで」

二人で笑い合う。顔は相変わらず赤いけど、今度は火星の夕日に照らされて赤くなっとるんや。

その夜、タロウは日記にこう書いた。

「火星の弱者男性は、もう怒りで顔を真っ赤にせんでええんかもしれん。これからは、希望に満ちた赤い顔で生きていけそうや」

...せや。火星に来てからというもの、ワイらの顔はずっと赤かったんや。でも、その赤さの意味が変わろうとしとる。

怒りやなくて、希望の赤に。

そして、その赤い顔で、ワイらは新しい火星の歴史を作っていくんや。

男も女も、みんなで力を合わせて。

だって、ここは赤い惑星やからな。

みんなで赤くなって、でっかい夢に向かって突っ走るんや!

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101火星へ行こう2

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