ワイ、就活4年目のニート。もう何社落ちたか数えるんもめんどくさなってもうた。
そんなある日、ネットでびっくりするニュースを見つけてもうたんや。
「就活、もはやチー牛選手権へ。最もチー牛な学生に内定を」
なんでも、日本の労働人口が激減して、もはやチー牛でもかまへんから働いてくれって会社が悲鳴あげとるらしいわ。
ワイ、これは勝機やと思たんや。だって、チー牛界隈じゃワイはカリスマ的存在やからな。
さっそく、エントリーシートを書き始めたで。
特技の欄には「アニメ一挙見マラソン」「Vtuberの配信で月100時間以上コメント」「2次元嫁との結婚生活」。
自己PRは「リアルでは口数少ないですが、ネットでは饒舌です。現実よりもネットの方が本当の自分を表現できると信じています」
志望動機には「御社の社員食堂でチー牛定食が出ると聞いて」
書き終わって、ワイにしては珍しく満足げに頷いたんや。
説明会の日、いつもはスーツやけど今回は意を決してアニメのキャラTシャツにハーフパンツや。髪の毛は1ヶ月以上切ってないし、メガネは分厚いフレーム。完璧なチー牛や。
会場に着いたら、ワイと同じような奴らがゾロゾロおるやんけ。みんな同じこと考えとったんか。
説明会が始まると、人事部長が壇上に立ったんや。
「みなさん、今日はお集まりいただき、ありがとうございます。我が社は、最もチー牛な方を求めています。なぜなら、チー牛こそが真の多様性を体現しているからです」
会場がざわついた。ワイ、なんかよーわからんけど、とりあえず頷いとこか。
そして、衝撃の一言が。
「本日は、皆様にチー牛度を競っていただきます」
まさかのチー牛選手権や。種目は「アニメ知識」「2次元愛」「オタク英語」「ぼっち飯の作法」やと。
ワイ、これは勝てると思た。だって、ここにおる連中なんて、チー牛なりたてのにわかばっかりやろ。
アニメ知識のテストでは、2000年代のマイナーアニメについて答えまくったで。採点した人事のお姉さんの顔が引きつっとった。
2次元愛を語るスピーチでは、推しキャラとの結婚式の様子を熱弁したんや。審査員のおっさん、メモ取るの忙しそうやった。
オタク英語では、「お前それサバンナでも同じこと言えんの?」を英訳させられて、ワイ得意げに "Can you say that even in the savanna?" って答えたんや。
最後のぼっち飯の作法では、コンビニの商品だけで豪華なオタ飯作ってみせたで。隣のやつ、ガン見しながらよだれ垂らしとったわ。
結果発表。ワイ、まさかの準優勝や。優勝したんは、なんと説明会ドタキャンしたやつ。人事「本物のチー牛は、こんな選手権来るわけないですからね」ですと。
でも、準優勝でも内定はもろたで。人事部長が「君みたいなチー牛、待ってました!」って言うてくれたわ。
そんなこんなで、ワイ、無事に内定者になれたんや。
入社式の日、人事部長が言うたんや。
「実は今回の選考、全部嘘でした。チー牛とか関係なく、自分の個性を素直に出せる人を探してたんです」
ワイ、その言葉聞いてハッとしたで。要するに、ありのままの自分でええってことやったんか。
今じゃ、会社でもワイはチー牛キャラとして愛されとるで。プレゼンの時はアニメのセリフで例え話するし、社内システムにはアニメキャラの絵文字追加したりしとる。
新入社員向けの「チー牛入門講座」も開いとるんや。「チー牛は、ありのままの自分を受け入れる生き方や」がテーマや。
世の中には、いろんなチー牛がおるんや。メガネチー牛、スポーツチー牛、イケメンチー牛...。多様性の時代、チー牛だってグラデーションがあってええやろ。
ワイはこれからも、チー牛の旗を高く掲げ続けるで。それが、ワイの就職であり、人生なんや。
そして、いつかワイは夢見とんねん。チー牛が普通になって、もはやチー牛って言葉すら使われんようになる日をな...。
ほな、ワイは今日も元気に出社や。今日は「チー牛でもできる接待」の講習会や。牛丼屋で7時間粘る技を教えるんや。
コメント