ワイ、30歳。職場と家の往復だけの生活を送る平凡なサラリーマンや。いわゆる「弱者男性」っちゅうやつや。

「はぁ...また今日もマッチングアプリ、全然マッチせえへんかったわ」

ため息とともにスマホを投げ出す。もう3ヶ月も使い続けとるのに、1回もマッチしたことあらへん。

「なんでワイはこんなにモテへんのやろ...」

鏡を見る。確かにイケメンやない。むしろブサイクの部類かもしれん。身長も低いし、年収も大したことない。

「ま、こんなんがモテるわけないよな」

自虐的な笑みを浮かべる。でも、心の中では叫びたくなる。

「でも、ワイにも恋がしたいんや!」

マッチングアプリを始めたんは、友達の勧めやった。

「お前みたいなんでも、マッチングアプリなら彼女できるで!」

そう言われて始めたんや。でも現実は厳しかった。

プロフィール写真を撮るのに1ヶ月かけた。自己紹介文を書くのに2週間悩んだ。それでも、全然マッチせえへん。

「やっぱりワイみたいな奴は、恋愛市場から去るしかないんかな...」

そんな気持ちで、ワイは毎日を過ごしとった。

ある日、職場の同僚・田中が自慢げに話しかけてきた。

「お前、マッチングアプリやっとるんやってな。ワイなんか、1週間で10人以上とマッチしたで!」

田中は、まあまあのイケメンや。身長も高いし、年収も悪くない。

「へぇ...すごいやん」

ワイは無理に笑顔を作る。心の中では嫉妬と羨望が渦巻いとる。

「お前も頑張れや!絶対誰かとマッチするで!」

田中は元気よく背中を叩いて去っていった。その言葉が、逆にワイを追い詰めるんや。

その夜、ワイはアプリを必死でスワイプし続けた。右にスワイプ、右にスワイプ...。でも、マッチする気配はまったくない。

「もう...疲れたわ」

深夜2時。ワイはスマホを置いて、ベッドに倒れ込んだ。

翌日、仕事中もボーッとしてまう。頭の中はマッチングアプリのことでいっぱいや。

「山田くん、大丈夫?顔色悪いよ」

後輩の佐藤が心配そうに声をかけてきた。

「あ、ああ...大丈夫や。ちょっと寝不足なだけや」

嘘をつく。本当のことなんて言えへん。マッチングアプリに夢中になって、心も体もボロボロになっとることなんて。

昼休み、ワイは1人で弁当を食べとった。周りを見渡すと、カップルで仲良く話してる同僚がおる。

「ああ...ワイもあんな風になりたいなぁ」

切ない気持ちで、スマホを開く。案の定、マッチの通知はゼロや。

「もう...やめよかな」

そう思いつつも、夜になるとまたアプリを開いてしまう。これが習慣になってもうた。

週末、ワイは珍しく外出した。行き先は本屋や。

「恋愛テクニック」「モテる男になる方法」...そんな本を買いあさる。

「これで...ワイにも少しは希望があるかもしれん」

そう思いながら、レジに向かう。でも、レジの女の子に話しかける勇気すらない。

家に帰って本を読み始める。でも、どれも「自信を持て」「積極的になれ」みたいなことばっかり書いてある。

「そんなん...言われてもなぁ...」

ワイには、そんな自信なんてないんや。

その夜も、ワイはマッチングアプリをスワイプし続けた。でも、結果は変わらへん。

「もう...ええわ」

ワイは、ついにアプリを削除することを決意した。

「ワイみたいな奴は、やっぱり恋愛市場から去るしかないんや」

そう呟きながら、アンインストールのボタンを押す。

その瞬間、なぜか涙が溢れてきた。

「ワイには...恋は無理なんや」

枕に顔を埋めて、ワイは泣き続けた。

翌日、会社でまた田中が話しかけてきた。

「お前、最近マッチングアプリの話せえへんな。うまくいっとるんか?」

ワイは苦笑いを浮かべる。

「あー...まあな」

嘘をつく。本当のことなんて言えへん。恋愛市場から完全に撤退したなんて。

「そっか!よかったな!」

田中は喜んでくれた。でも、その言葉がワイの心をさらに締め付ける。

家に帰る途中、街中のカップルを見かける。手を繋いで、楽しそうに話してる。

「ああ...ワイにはもう永遠に無理なんやろうな」

そう思いながら、ワイは1人寂しく帰路につくのであった。

部屋に戻ると、ワイはベッドに倒れ込んだ。天井を見つめながら、ぼんやりと考える。

「マッチングアプリのせいで、ワイみたいな弱者男性は恋愛市場から完全に締め出されてもうたんやな」

そう思うと、なんとも言えない虚しさがこみ上げてくる。

「でも...これがワイの現実なんや」

目を閉じる。明日からまた、恋のないつまらない日常が始まる。

「せめて...夢の中だけでも、誰かと幸せになりたいなぁ」

そんな儚い願いを胸に、ワイは眠りについたのであった。

...完。