ワイこと田中太郎(28)、今日も元気にニート生活満喫中や。朝から晩までゲームしたり、アニメ見たり、5チャンネルで喧嘩したり。そんな毎日を送っとるんやが、最近ちょっと気になることがあんねん。

「プロテインって、ほんまに筋肉つくんかな」

ワイの部屋の隅っこに、でっかいプロテインの空き容器が山積みになっとるんや。ワイ、筋トレする気はさらさらないんやけど、なんとなーくプロテイン飲んどるんよ。

「まあ、飲んどるだけマッチョになれへんかな」

そう思いながら、今日もプロテインをごくごく。ふと、ワイは思いついてしもうた。

「せや!プロテインに人生飲ませたらどないなるんやろ!」

そうや、ワイの人生なんて、プロテインシェイカーに入れて振り混ぜても、たいして変わらへんやろ。だって、中身スカスカやもん。

でも、ほんまにやったらどうなるんやろ。ワイは、早速実験開始や!

まずは、ワイの人生をシェイカーに入れなあかん。でも、どうやって?頭抱えて考えとったら、急に目の前が真っ暗になってもうた。

「うわっ!なんや、これ!」

気づいたら、ワイはプロテインシェイカーの中におるんや。周りは真っ暗で、なんかドロドロしたもんに囲まれとる。

「やべっ!ほんまに人生シェイカーに入ってもうた!」

パニクってる間もなく、シェイカーが激しく揺れ始めた。ワイの人生、文字通り振り回されとるわ。

「うわああああ!」

しばらく振られ続けて、やっと揺れが収まった。ほっとしたのもつかの間、シェイカーのフタが開いて、ワイは外に放り出されてもうた。

「いってぇ…ん?ここどこや?」

見覚えのない部屋におるんやけど。しかも、なんか体がムキムキになっとる!

「うおっ!なんやこの筋肉!」

鏡を見ると、そこにはマッチョマンと化したワイの姿が。

「ま、まさか…プロテインのおかげで、ワイの人生変わってもうたんか!?」

そう思った瞬間、ドアが開いて、めっちゃ可愛い女の子が入ってきよった。

「あなた、まだ寝てたの?もう、遅刻しちゃうわよ!」

「え?あ、ごめん…って、お前誰や!」

「もう、冗談はやめてよ。私たち来月結婚するのに」

「けっ、結婚!?」

ワイ、完全に頭おかしなったんとちゃうか。でも、なんか楽しなってきたで。

「よっしゃ!行くで!」

ワイは意気揚々と家を飛び出した。外に出ると、ピカピカの高級車が止まっとる。

「こ、これワイの車なん?」

運転席に座ると、自然と体が動いて、スムーズに発進。どうやら、この世界のワイは運転もうまいらしい。

会社に着くと、みんながペコペコ頭下げてくる。

「社長、おはようございます!」

「しゃ、社長!?」

ワイ、気づいたら大企業の社長になっとるやんけ!プロテイン恐るべし!

仕事はめっちゃ忙しかったけど、なんかワクワクする。今まで経験したことのない充実感や。

そんな日々を過ごしてると、ワイの人生、どんどん良くなっていくんや。

結婚式では、押しも押されもせぬ大物として、みんなから祝福された。新婚旅行では、世界中を周って、めっちゃ楽しんだ。

仕事も順調で、会社はどんどん大きくなっていく。社員のみんなも、ワイのことを信頼して、一緒に頑張ってくれるんや。

休日には、趣味のマラソンを楽しんだり、ボランティア活動に参加したり。充実しすぎて、昔のニート生活が嘘みたいや。

ある日、ワイは思いついた。

「せや!プロテイン会社作ったろ!」

だって、プロテインのおかげでここまで来れたんやから、恩返ししたいやんか。

そうして、ワイはプロテイン会社を立ち上げた。商品名は「人生変えるンゴ」。めっちゃ売れて、あっという間に業界トップに。

「こりゃすげぇや!」

ワイの人生、まさに絶頂期や。幸せすぎて、もうなんも言うことあらへん。

…でも、そんな生活にも、ちょっとずつ飽きてきてしもうた。

「なんやろなぁ。なんか物足りんのや」

ある日、家でくつろいでると、奥さんが話しかけてきた。

「ねぇ、あなた。私ね、最近思うの。私たち、幸せすぎるんじゃないかしら」

「そ、そうか?」

「だって、何もかもうまくいきすぎてるのよ。ちょっと現実味がないっていうか…」

ワイも同じこと考えとったんや。完璧すぎる人生って、なんかつまらんのかもしれん。

そんなある日、会社で大問題が起こった。ワイの会社の「人生変えるンゴ」を飲んだ人が、突然元の人生に戻ってしまうという事件や。

「なんやて!?」

ワイは大慌て。だって、これってワイも…?

案の定、次の日、ワイは元の部屋で目覚めてしもうた。

「あかん…元の人生に戻ってもうた…」

ニート部屋に積み上がったプロテインの空き容器。デカい腹。まさに元通りや。

でも、なんか、ほっとしたんは気のせいやろか。

「やっぱ、ワイはこれでええんかもしれんな」

そう思いながら、ワイはぼんやりテレビを見始めた。そしたら、ニュースでワイの会社のことやっとるやんか。

「話題のプロテイン『人生変えるンゴ』に、思わぬ効果が…」

画面には、元気そうな人がいっぱい映っとる。

「一時的に人生が変わったおかげで、自分のやりたいことが分かりました」
「今の生活の大切さに気づきました」
「夢に向かって頑張る勇気をもらいました」

みんな、ニコニコしながらインタビューに答えとる。

「ほんまか…」

ワイの目から、なんか熱いもんがこぼれ落ちた。

「ワイのプロテイン、みんなの人生ちょっとだけええ方向に変えられたんか…」

なんか、めっちゃ嬉しくなってきた。ワイにも、人の役に立てることがあったんや。

その日から、ワイは少しずつ変わり始めた。

まずは、部屋の掃除から。プロテインの空き容器を片付けて、きれいにしたら、なんか気分ええわ。

次に、バイトを始めてみた。プロテインを売るバイトや。なんか、お客さんと話すの、意外と楽しいもんやな。

そのうち、プロテインについて勉強し始めた。成分のこととか、効果的な飲み方とか。知れば知るほど、おもしろくなってきた。

「よっしゃ!ワイ、プロテインマスターになったろ!」

そう決意して、ワイは猛勉強。プロテインアドバイザーの資格を取って、今度は正社員としてプロテインショップで働き始めた。

お客さんに適切なアドバイスができると、めっちゃ喜んでくれるんや。その笑顔見るたびに、ワイもなんかホッコリする。

「ありがとう!あなたのおかげで、筋トレ頑張れそう!」
「プロテインのこと、よく分かりました。健康的な生活、始められそうです」

そんな言葉をもらえるようになって、ワイの人生、ちょっとずつ変わってきた。

体型も、ちょっとずつ引き締まってきたし、仕事も楽しい。休みの日は、たまに筋トレしたり、友達と遊んだり。

恋人はまだおらんけど、職場の女の子と仲ようなって、この前初めてご飯行ったんよ。

「ワイ、ちょっとずつやけど、前に進んどるんかな」

プロテインシェイカーに人生を入れて振ったあの日から、もうずいぶん経った。

あの時の衝撃的な体験は、夢やったんかもしれん。でも、その夢のおかげで、ワイは少しずつ変われた。

プロテインに人生飲ませたらどうなるんやろ?

答えはもう出とるんちゃうか。

プロテインに人生飲ませても、一瞬で人生変わったりせえへん。でも、そのキッカケで、自分で人生変えていけるんや。

ワイの「人生変えるンゴ」は、まだまだ続いとるで。

今日も、プロテインシェイカーを振りながら、ワイは新しい一歩を踏み出す。

「よっしゃ、今日も一日頑張るで!」

(おわり)