ワイ、テレビ局のプロデューサー。今日も激務に追われとるんやが、上からの無茶振りでマジ頭抱えてもうた。

「お前な、次のバチェロレッテ3、全員みかんにせぇ」

ファッ!? みかんて…あのオレンジ色の果物かいな。頭おかC社長やなぁ…。

「いや、社長。さすがにそれは無理ですって」

「バカもん! ポリコレやぞ! 人間様やなくてもええんや! みかんの気持ちも考えろや!」

社長、キレッキレで草。でも、ここで引き下がったらプロデューサー失格や。なんとかして説得せなアカン。

「でも社長、みかんにバラ渡せんやろ…」

「くっそ! そうやな…よっしゃ、バラの代わりにみかんの花な! ぴったりやんけ!」

もはや社長の脳内お花畑やん。でも、これ以上突っ張ったらクビになりそうやし、しゃーない。やるしかあらへんな…。

数日後、ワイはスタジオにおるんや。目の前には3つのでっかいみかん。これが主役のバチェロレッテ3やと…。

「よっしゃ! 撮影開始や! みかん1号、アピールしてや!」

するとみかん1号が、

「・・・」

って言うてきよった。さすがみかん、何も喋らへんな。

「みかん2号! お前はどないや!」

みかん2号「・・・」

これはいけるんちゃうか…?と思った矢先、スタッフの1人が叫んだ。

「うわぁ! みかん3号が腐っとる!」

ファッ!? 腐っとるやと!? そらそうや、みかんやし…。

「みかん3号! 大丈夫か!?」

みかん3号「・・・」

まぁ、そら喋られへんわな。

このままやとヤバいわ。視聴者もドン引きやろ。でも、なんとかせなアカン。ワイのプロデューサー人生かかっとるんや。

「よし! みかん3号の代わりや! 誰か、すぐにスーパーで新しいみかん買うてこい!」

スタッフ「え? でも、それやとみかん3号の個性…」

「バカ! みかんに個性なんかあらへんわ!」

…あかん、ワイ正気失いかけとる。

そんなこんなでなんとか撮影は進んでいったんや。男性参加者たちも困惑しとったけど、まぁみかんやし文句は言わへんかったわ。

最終回。ついに選ばれし1つのみかんが決まる時が来た。

「そして、バチェロレッテみかん1号が選んだのは…」

会場がシーンとなる中、ワイはみかん1号の横に立っとった。

「えー、みかん1号はこちらを選びました」

ワイがみかん1号を持ち上げ、選ばれた男性の前に置く。

男性「あ、ありがとうございます…」

みかん1号「・・・」

なんとも言えへん空気が流れる中、ワイは締めの言葉を述べた。

「こうして、みかん1号とAさんの甘酸っぱい恋が実りました。おめでとうございます」

スタジオ中から拍手が起こる。ワイはほっと胸を撫で下ろした。

翌日、視聴率が発表された。

「なんと! 史上最高視聴率や! みかんバチェロレッテ、大成功やで!」

社長が興奮して叫んどる。ワイはもう何が何だかわからへん。

「よっしゃ! 次はスイカでやるで!」

社長、あんた本当にバカやな…。でも、まぁエエか。これでワイの給料も上がるやろ。

そして数ヶ月後、「スイカ de バチェラー」が始まるんやけど、それはまた別の物語。

おしまい。
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306ペンギンと太陽2

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