「クッソ!また女にバカにされたわ!」

平安時代、都の片隅で一人の男が呟いた。その名は紫式部。まあ、本名やないんやけどな。

ワイこと紫式部は、生まれついての不細工男。顔はブサイク、体型はポッチャリ、しかも性格は陰キャ。そんなワイを、女どもはいつも見下しとるんや。

「あたし、あんな男とは絶対に付き合えないわ」
「キモ~い。近づかないでよね」
「あの人、存在自体が迷惑なのよね」

そんな言葉を、ワイは毎日のように浴びせられとった。

「なんでや・・・ワイだって人間やぞ。感情はあるんや・・・」

ワイは涙をこらえながら、自分の部屋に引きこもった。

そんな時や。ワイの目に、一冊の本が飛び込んできた。

「『物語速習法~たった3ヶ月で文豪になれる!』・・・?」

ワイは興味本位で、その本を手に取った。

「ほーん、作者は『なろう主人公』か。変な名前やな」

しかし、その内容はワイの心を掴んで離さなかった。

「なるほど・・・こうすれば、ワイでも文豪になれるんか・・・!」

その日から、ワイの生活は一変した。

朝は『枕草子』を音読し、昼は『竹取物語』を書き写し、夜は『古今和歌集』を暗記する。

「くっそ~、難しいわ!でも、これで女どもを見返せるんや!」

ワイは必死に勉強を続けた。汗と涙にまみれながら、ペンを走らせる。

そして、3ヶ月後・・・

「よっしゃあああああ!!!ついに完成や!!!」

ワイは、渾身の力を込めて書き上げた物語を掲げた。

その名も・・・『源氏物語』!

「これで、ワイも文豪や!女どもを見返したるで!」

ワイは意気揚々と、都の中心部に向かった。

「おい、聞いてくれや!ワイが『源氏物語』っちゅう最高の物語を書いたで!」

しかし・・・

「うわ、あのブサイクがなに言ってんの?」
「キモ・・・近づかないで」
「あんな奴が物語を?笑わせないでよ」

相変わらずの冷ややかな反応。

「チッ、こいつらにゃ分からんのか・・・」

ワイは、落胆しながらも諦めなかった。

「よし、あの貴族の屋敷に行ったろ!そこなら分かる奴おるやろ!」

ワイは意を決して、ある貴族の屋敷を訪れた。

「すみませーん!ワイが書いた『源氏物語』を読んでもらえませんか?」

すると・・・

「おや、これは・・・」

一人の貴族が、興味深そうにワイの物語を手に取った。

「むむ・・・これは・・・すごい・・・!」

貴族は、どんどん物語に引き込まれていく。

「こ、これは傑作だ!こんな素晴らしい物語は初めてだ!」

その言葉を聞いた周りの貴族たちも、次々とワイの物語を読み始めた。

「本当だ!なんて美しい文章・・・!」
「これぞ文学の極み・・・!」
「作者は誰だ?天才としか言いようがない!」

ワイは、徐々に注目を集め始めた。

そして、数日後・・・

「紫式部様!紫式部様はどこですか!?」

都中が、ワイを探し回っとった。

「『源氏物語』の作者、紫式部を探しております!」

ワイは、びっくりして木の陰に隠れた。

「な、なんやねん・・・ワイのこと、探しとるんか?」

恐る恐る顔を出すと・・・

「あっ!紫式部様だ!」

たちまち、ワイは人だかりに囲まれた。

「紫式部様!あなたの『源氏物語』、素晴らしいの一言です!」
「私たち、あなたのファンです!」
「サインください!」

ワイは、混乱しながらも喜びを感じていた。

「ほ、ほんまか・・・?ワイの物語が、そんなに凄いんか・・・?」

そして、ついに・・・

「紫式部殿、陛下がお呼びです」

一人の役人が、ワイに告げた。

「え?陛下・・・?」

ワイは、震える足で宮殿に向かった。

「紫式部殿、よくぞ参られた」

帝は、優しく微笑んでワイを迎えた。

「そなたの『源氏物語』、まことに素晴らしい。我が国の誇りとなる作品じゃ」

「は、はぁ・・・恐れ多きお言葉・・・」

ワイは、感激のあまり言葉を失った。

「そなたに、この『文豪の称号』を授けよう」

帝は、ワイに金色の巻物を手渡した。

「こ、これは・・・」

ワイは、涙を流しながら巻物を受け取った。

「あ、ありがとうございます・・・!」

そして、宮殿を出たワイを待っていたのは・・・

「紫式部様ぁぁぁ!」

大勢の女性たちやった。

「私と結婚してください!」
「いいえ、私と!」
「紫式部様、愛してます!」

かつてワイをバカにしていた女たちが、今や熱狂的なファンになっとった。

「ふん・・・」

ワイは、冷ややかな目で彼女たちを見た。

「すまんな。ワイは女嫌いなんや。お前らみたいな奴には興味ないわ」

「えぇぇぇ!?」

女たちは、ショックで崩れ落ちた。

ワイは、満足げに立ち去った。

「ざまぁみろや。これが復讐ってやつや」

そう呟きながら、ワイは新たな物語の構想を練り始めた。

「次は『平家物語』でも書くか・・・」

こうして、ワイこと紫式部は、平安文学の最高峰として名を残すことになったのであった。

「ところで、『源氏物語』の作者である紫式部が女性だったっていうのは、実は後世の創作らしいで」

ワイは、ふと思い出したように呟いた。

「紫式部の性別は実際には不明なんや。でも、『源氏物語』の繊細な女性描写から、作者は女性に違いないって勝手に決めつけられてもうたんやな」

ワイは、クスッと笑った。

「ま、ワイが男やってことは、誰にも言わんとこ」

そして、ワイは次の傑作を書くため、静かに筆を取るのであった。