「ヨッシャアアアアア!!!!ついに完成したで!!!」

研究室に響き渡る歓喜の雄叫び。声の主は、天才物理学者として名高いワイことニャンジロウ博士や。長年の研究の末、ついに「ネッコによる強い力弱い力の法則」を完成させたんや。

「これで宇宙の謎が解けるで!!!」

ワイの目は輝いとった。そう、この法則こそが、宇宙の根源的な4つの力――重力、電磁気力、強い力、弱い力――を統一する究極の理論なんや。

しかし、その瞬間・・・

「にゃーん」

研究室の隅から、一匹の猫が姿を現した。

「おっ、トラ吉か。丁度ええわ。お前にこの偉大な発見を披露したるで!」

ワイはトラ吉に向かって得意げに語り始めた。

「な、聞いてくれや。この理論によると、宇宙のあらゆる現象は『ネッコの気まぐれ』で説明できるんや。強い力も弱い力も、ネッコの気分次第やねん」

トラ吉は、ただじっとワイを見つめとった。

「例えばな、クォークとクォークを結びつける強い力。これはネッコが『くっつきたいにゃー』って思った時に発生するんや。逆に、放射性崩壊を引き起こす弱い力は、ネッコが『離れたいにゃー』って気分の時やねん」

「にゃー?」

トラ吉は首を傾げた。

「そして驚くべきことに、この理論は量子力学と相対性理論の矛盾も解決できるんや!ネッコの『シュレディンガーの箱』状態こそが、量子の重ね合わせを表現しとるんやで!」

ワイは興奮のあまり、踊り出しそうやった。

「さらにな、ブラックホールの特異点も説明できるで。あれはネッコが『狭いとこ好きにゃー』って極限まで縮こまった状態なんや!」

トラ吉は、あくびをしながらワイの話を聞いとった。

「お?なんや、眠たいんか?そういや、ワイもちょっと疲れたわ。休憩するか」

ワイはパソコンの電源を切り、コーヒーを淹れに行った。

そのスキに・・・

トラ吉は、ゆっくりとパソコンに近づいた。そして・・・

「ごろにゃーん」

優雅に伸びをして、キーボードの上に寝そべったんや。

数分後、ワイが戻ってきた時には・・・

「ファッ!?なんやこれ!?」

パソコンの画面には、意味不明な文字列が表示されとった。

「01001110 01111001 01100001 01101110」

「これは・・・2進数?でも、なんでこんなんなっとんねん!?」

ワイは必死にデータの復旧を試みた。しかし・・・

「アカン・・・データが消えてもうた・・・」

ワイの研究データは、跡形もなく消え去っていたんや。

「クッソ!!!なんでや!!!」

ワイは天を仰いで絶叫した。

そんなワイをよそに、トラ吉はのんびりと毛づくろいを始めた。

「まさか・・・お前か?」

ワイはトラ吉を疑惑の目で見た。

「にゃ~ん♪」

トラ吉は、意味ありげな笑みを浮かべた・・・ような気がした。

「・・・まさか、本当にネッコの気まぐれで宇宙が動いとるんか?」

ワイは、自分の理論の真実味を感じ始めた。

「ネッコの『にゃーん』って鳴き声は、野生のネッコ同士ではほとんど使わへんらしいで。人間に慣れたネッコが、人間とコミュニケーションを取るために進化させた鳴き方なんや」

ワイは、ふと思い出したように呟いた。

「・・・ってことは、ネッコは人間を操るために『にゃーん』を覚えたんか!?」

その瞬間、ワイの中で何かが繋がった。

「待てよ・・・もしかして、ネッコは最初から人間を操って、宇宙の真理を隠蔽しようとしとるんちゃうか?」

ワイは、急に背筋が凍るような恐怖を感じた。

「つまり・・・ネッコこそが宇宙を支配する存在・・・?」

トラ吉は、相変わらずのんびりとしていた。しかし、その目は何かを語っているようにも見えた。

「お前ら、そこまで知ってしもたんか」

突如、低く渋い声が響いた。

「にゃにィ!?」

ワイが振り返ると、そこには・・・

「やあ、地球人さん。僕らの正体を見破ったみたいだね」

人間の姿をしたネッコが立っていた。

「ワイらは、宇宙ネッコ同盟のメンバーや。宇宙の秩序を守るためにな、地球の科学の進歩を見守っとるんや」

「な、なんやと・・・」

ワイは言葉を失った。

「キミの理論は素晴らしかったよ。でも、まだ地球人には早すぎる。だから・・・消さなきゃいけないんだ」

ネッコ人間は指をパチンと鳴らした。

「あばよ、地球人」

その瞬間、ワイの意識は闇に包まれた・・・

・・・・・・

「うーん・・・」

目を覚ますと、ワイは研究室のソファで横になっていた。

「なんや・・・夢か?」

ワイは頭をかきながら立ち上がった。

「おかしいな・・・なんか大事なこと忘れとる気がするわ・・・」

ワイは首を傾げながら、パソコンの電源を入れた。

画面には、意味不明な文字列が表示されていた。

「01001110 01111001 01100001 01101110」

「ファッ!?なんやこれ?」

ワイは困惑した表情を浮かべた。

そんなワイの足元で・・・

「にゃーん♪」

トラ吉が、意味ありげな笑みを浮かべていた。