ワイ、28歳のいわゆる「チー牛」。人生どん底やと思ってた矢先、筋トレに手を出してもうた。
「どうせ痩せ細った腕しか付かんやろ」
そう思いながら、ダンベルを持ち上げる。隣で鍛えてるマッチョ兄ちゃんが、ワイを見て笑う。
「おいおい、そのヒョロガリ腕で何すんだよ?」
ワイ、顔を真っ赤にしながら必死こいてダンベルを持ち上げる。
「うるせぇ! ワイだってムキムキになれるんや!」
マッチョ兄ちゃん、さらに大笑い。
「あーはっは! お前みたいなチー牛が? 冗談きついぜ!」
ワイ、悔しさで涙目になりながらも、黙々と筋トレを続ける。
そんな日々が1ヶ月続いた頃、ワイの体に少しずつ変化が。
「おっ? 二の腕、ちょっと太くなってきたんちゃう?」
鏡の前でポージングするワイ。まだまだヒョロガリやけど、確実に筋肉はついてきてる。
「よっしゃ! このまま頑張るで!」
ジムに通う日々。マッチョ兄ちゃんは相変わらずワイを笑う。
「おいチー牛! 今日も無駄な努力か?」
ワイ、反論せずに黙々と鍛える。心の中では「いつか見とけよ」と誓う。
3ヶ月が経ち、ワイの体つきが明らかに変わってきた。
「ファッ!? これワイの体か!?」
鏡に映る自分の姿に驚く。腹筋が割れ始め、胸板も厚くなってきた。
ジムのマッチョ兄ちゃんも、少し驚いた顔。
「おい、チー牛...いや、お前...ちょっと変わったんじゃね?」
ワイ、ニヤリと笑う。「まだまだっすよ」
そんなある日、ジムのトレーナーがワイに声をかけてきた。
「君、すごい成長ぶりだね。実は面白い話があるんだけど...」
トレーナーの話によると、ある筋トレサプリメーカーが広告モデルを探してるらしい。
「えっ?ワイがモデル!?」
「そう。チー牛からマッチョになった君の姿は、多くの人の励みになると思うんだ」
ワイ、興奮と戸惑いで言葉を失う。
「あ、ちなみに知ってる?『チー牛』って言葉、元々は2019年頃にTwitterで広まったスラングなんだ。容姿や性格のステレオタイプを揶揄する言葉だったけど、今じゃ自虐的に使う人も多いんだよ」
トレーナーの雑学にワイ、苦笑い。「へぇ...ワイみたいな奴のことやったんですね」
ワイはその話を受けることに。
撮影当日、スタジオに緊張しながら入るワイ。そこにはなんと、あのマッチョ兄ちゃんの姿が。
「お前...なんでここに?」
マッチョ兄ちゃん、困った顔で言う。「いや...俺、このサプリの『ビフォー』モデルなんだよ...」
ワイ、状況を理解して爆笑。
「あーはっは!お前が『ビフォー』かい!」
マッチョ兄ちゃん、顔を真っ赤にする。「う、うるせえよ...」
撮影が始まる。ワイの鍛え上げられた体が、カメラに収められていく。
「はい、そのままいいですよ!チー牛からマッチョへの奇跡の変身!」
カメラマンの声に、ワイはますます調子に乗る。
「どや!ワイの筋肉!」
マッチョ兄ちゃんは、悔しそうな顔でワイを見てる。
撮影終了後、ワイはマッチョ兄ちゃんに声をかけた。
「なぁ、一緒に飯食いに行かへん?」
マッチョ兄ちゃん、驚いた顔をする。「えっ...いいの?」
「ええやん。ワイらどっちもダサい過去あるし、笑い合えるやろ」
二人で居酒屋に入る。ビールを片手に、互いの筋トレ話で盛り上がる。
「お前、よく頑張ったな」とマッチョ兄ちゃん。
「あんたに笑われたのが良い動機づけになったで」とワイ。
二人、大笑い。
その日から、ワイとマッチョ兄ちゃんは妙な仲になった。一緒にジムに通い、互いを高め合う。
ワイの人生は大きく変わった。モデルの仕事も増え、自信もついた。
でも、ワイは忘れへんかった。かつてのチー牛時代の自分を。
「誰かを笑うんやなくて、励まし合える関係っていいもんやな」
ワイは、鏡に映る筋肉質な自分を見ながら呟いた。
「チー牛の筋トレを笑う男はいつか笑われることになるやで...ほんま、その通りやったわ」
ワイの新しい人生は、まだ始まったばかり。これからどんな筋肉が付くんやろ...いや、どんな出会いがあるんやろ。
ワイの、なんとも言えん筋トレストーリーは続く...。
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