ワイはモテモテや。そう思っとった時期が、人生にありました。

大学デビューしてから、なんやかんや言って女の子にモテるようになってもうたんや。顔はそこそこ、体型もまぁまぁ、性格は明るいし、ちょっと面白いところもあるし。そんなワイに、周りの女の子が寄ってきよったんや。

最初はうれしかったで。告白されたり、デートに誘われたり。「ワイって、こんなにモテるんか!」って、舞い上がっとった。

でも、そんな日々が続くうちに、なんか変な気分になってきたんや。

ある日の夜、部屋で一人で酒飲んどったら、急にLINEの通知音がなりまくってもうた。10人以上の女の子から、同時にメッセージが来たんや。

「今どこ?」「会いたい」「遊ぼう」

ワイは焦ってスマホ消したんや。なんやこれ。怖くなってきた。

次の日、大学行ったら、知らん女の子に囲まれてもうた。

「昨日はどうして返事くれなかったの?」「私のこと嫌いになったの?」「他の子と会ってたんでしょ?」

みんな笑顔やけど、目が笑ってへん。ワイは無言で逃げ出したんや。

それからや。ワイの周りで、おかしなことが起こり始めたんは。

ワイの彼女やと思っとった子が、突然失踪してもうた。警察に捜索願出したら、「そんな名前の人、存在しませんよ」って言われてもうた。写真も、LINEの履歴も、全部消えとる。

ワイの部屋に、知らん女の子の髪の毛が落ちとるんや。掃除しても掃除しても、次の日にはまた落ちとる。しかも、色んな色や長さの髪の毛が。

夜中に目覚めたら、ワイのベッドの周りに女の子が立っとる。目を閉じて、ニコニコしながら。目を瞑ってまた開けたら、消えとるんやけど。

友達に相談しても、「お前、モテモテでええやん」って笑われるだけや。誰も信じてくれへん。

ある日、ワイは決意したんや。もう大学行かへん。バイトも辞める。誰とも会わへん。完全に引きこもるって。

でも、そんなワイの決意も、すぐに破られてもうた。

引きこもって3日目の夜、ドアをノックする音で目が覚めたんや。

コンコン、コンコン。

「誰や?」って聞いても返事がない。でも、ノックの音は止まらへん。

怖くなって、布団に潜り込んだんや。そしたら、今度は窓をコンコンする音が。カーテン越しに、女の子の影がいっぱい見えるんや。

「もう出てきてよ〜」「みんなで遊ぼう〜」「大好きだよ〜」

甘い声やけど、なんか違う。人間の声やない。

ワイは震えながら、クローゼットに隠れたんや。でも、そこにも女の子の服がいっぱい掛かっとる。ワイの覚えのない服ばっかりや。

そのとき、スマホに通知が来た。見たくないのに、思わず見てもうた。

「私たちは、あなたのこと大好きだよ。だから、永遠に一緒にいよう。逃げちゃダメだよ? 絶対に、ね。」

その瞬間、クローゼットのドアが開いて、無数の手がワイに伸びてきたんや。

「やっと会えたね」「もう離さないよ」「永遠に一緒だよ」

ワイは叫んだ。「やめてくれ!もうモテたくない!誰も好きになりたくない!」

でも、その声はどこにも届かへんかった。

気がついたら、ワイはベッドで目覚めたんや。「ああ、夢か...」って思ったけど、違った。

ワイの体は、女の子の体に変わっとったんや。鏡を見たら、知らん女の子の顔が映っとる。

そして、枕元に手紙が。

「あなたが望んだ通りよ。もうモテることはないわ。だって、あなたはもう、私たちの一人なんだから。さあ、次の獲物を探しに行きましょう。」

ワイは絶望的な気分で、自分の新しい姿を見つめたんや。

女にモテる絶望。ワイは今、その本当の意味を知ってもうたんや。

もし、お前らにモテ期が来たら、気をつけや。ワイみたいになりたくなかったら。



901総集編season1-3
20240720-1