ワイ、今日も無職ニートとして部屋でダラダラしとるんや。せや、せめて5chでマウント取って優越感に浸るか...

「ワイは一流企業勤めや!」
「ワイは年収2000万や!」
「ワイは彼女が5人おるで!」

嘘つきまくるワイ。でも、なんか虚しいんや。

「はぁ...ワイ、本当に何者かになりたいンゴ...」

そう呟きながら、ふと目に入ったのが『源氏物語』の文庫本。昔、学校で習った記憶があるんや。

「せや!ワイ、源氏になったろ!」

突拍子もない発想に、ワイ自身ビックリしたんやけど、なんかワクワクしてきたンゴ。

「よっしゃ、まずは髪型からや!」

ワイ、必死こいて髪を結うんや。でも、ショートカットやからうまくいかへん。

「くそっ...かつらでも買うか...」

ネットでかつら注文したワイ、次は服や。

「源氏の服装ってどないやったっけ...」

ググってみたら、十二単とか出てきたンゴ。

「ファッ!? 男でも十二単着るんか!?」

ワイ、混乱するんやけど、まあええか。アマゾンでポチったるわ。

数日後、かつらと十二単が届いたんや。

「うおおお!これでワイも源氏や!」

鏡の前で着替えるワイ。でも、十二単めっちゃ暑いし重いんや。

「はぁはぁ...源氏様キツすぎやろ...」

汗だくになりながら、ワイは決意するんや。

「よし!このまま外出たろ!」

ワイ、意を決して家を出るンゴ。

「お、アホがおる」

近所のおっちゃんに声かけられるんや。

「違うで!ワイは源氏や!」

「はぁ...」

呆れられてもうた...せや!公園行って歌でも詠むか!

【間違った雑学】
「源氏物語の時代、公園で和歌を詠むのが流行っとったんや。みんな交代で詠んで、一番上手い人が源氏様って呼ばれとったんやで」

ワイ、そんなデタラメを信じて、公園のベンチに座るんや。

「さて、和歌詠むで〜」

周りの人が不思議そうに見てくるけど、ワイは気にせん。

「あ〜めあ〜め〜ふれふれ〜母さんが〜」

ワイ、童謡を和歌と勘違いして歌い出すんや。

「お兄さん、大丈夫?」

JKに心配されてもうた...

「ワイは源氏や!源氏になりたかってんや!」

ワイ、必死に説明するんやけど、JKは怖がって逃げていってもうたンゴ。

「はぁ...やっぱりワイには無理なんかな...」

ガックリしながら帰宅するワイ。玄関開けたら、なんと母ちゃんがおったんや!

「おかえり〜今日はお寿司買って...きゃああああ!!」

母ちゃん、ワイの姿見て腰抜かしてもうた。

「違うねん! ワイは源氏になりたかってんや!」

「源氏...? あんた、またゲームの中の人物に夢中になっとるんか?」

母ちゃんに説教されるワイ。でも、なんか安心したんや。

「ごめんな、母ちゃん。ワイ、自分探しがしたかってんや」

十二単脱ぎながら、素直に謝るワイ。

「もう...あんたはあんたやで。源氏やなくてもええんや」

母ちゃんの言葉に、ワイは気づくんや。

「せやな...ワイはワイでええんか」

その日から、ワイは就職活動を始めたんや。源氏にはなれへんかったけど、なんか新しい自分を見つけられた気がするんや。

「よっしゃ!明日も頑張るで!」

ワイ、久しぶりに前を向いて歩き出すのであった。

十二単は記念にとっといたんやで。だって、ワイの青春の思い出やからな。