ワイ(17)、不登校歴3年。太陽が沈むのを見たことないんや。
「よっしゃ、今日も小説書くで!」
そう言うて、ワイはパソコンの前に座った。
ワイの夢は作家になること。それも、ただの作家やのうて、芥川賞作家や。
「絶対に芥川賞取ってやる!」
ワイは意気込んで、キーボードを叩き始めた。
『月の裏側で』
タイトルはもう決まっとる。夜を知らんワイが、想像で書く夜の物語。
「月の裏側では、人々は逆さまに歩いている。重力に逆らい、天井を這うように...」
ワイは想像を膨らませる。夜の世界、ワイにとっては未知の領域や。
「おい、また小説書いとんのか?」
突然、弟の声。
ワイ「うるさいわ! 天才の仕事の邪魔すんな!」
弟「はぁ...お前、マジで外出ーへんな」
ワイ「外なんか出る必要あらへん!ワイには想像力があるんや!」
弟「...」
弟は呆れた顔でワイの部屋を出ていった。
ワイは再び小説に没頭する。
「月の裏側の人々は、光を恐れていた。彼らにとって、光は死を意味する...」
ワイの指は止まることを知らん。
一日中、ワイは小説を書き続けた。
「よっしゃ、20000字や!」
ワイは満足気に伸びをした。
「さて、飯でも食うか」
時計を見ると、午後6時。
「あれ? なんか暗くなってきたな...」
ワイは初めて、窓の外が暗くなっているのに気づいた。
「うわっ、これが夜...?」
ワイは恐る恐る窓に近づいた。
「すげぇ...」
街灯の明かり、車のヘッドライト、そして...
「あっ、あれが月か!」
ワイは息を呑んだ。
「なんや、この神秘的な感じ...」
ワイは初めて見る夜の景色に魅了された。
「ヤバい、小説全部書き直さなアカンやん!」
ワイは慌ててパソコンに戻った。
ここで、ちょっとした雑学や。芥川賞の選考会って、実は夜に行われるんやで。選考委員が夕食を食べながら議論するんや。つまり、夜の雰囲気が作品選びに影響してるかもしれんのや。
ワイは一晩中、小説を書き直した。
朝日が差し込んできた頃、ようやく完成や。
『月の表側で』
タイトルも変えた。
「よっしゃ、これで芥川賞や!」
ワイは興奮して叫んだ。
「うるさい!」
隣の部屋から、マッマの怒声。
「すまん...」
ワイはおとなしくなった。
それから数ヶ月後、ワイの小説が文芸誌に掲載されることになった。
「マジか!?」
ワイは飛び上がって喜んだ。
「これで、芥川賞も夢やないで!」
ワイは意気揚々と、編集部に向かった。
「えっ、これが初めての外出...?」
編集さんは驚いとった。
ワイ「はい...」
編集「そうか...それで、こんな新鮮な視点が生まれたんやな」
ワイ「えっ?」
編集「君の作品、夜を知らない人が書いた夜の物語って感じがするんや。それがええんや」
ワイ「マジっすか!?」
編集「うん、期待してるで」
ワイは有頂天になって帰宅した。
「よっしゃ、次は芥川賞や!」
ワイは意気込んで、次の小説に取り掛かった。
『朝を知らない夜型人間は直木賞を目指す』
「おっと、これは自分のことやないな」
ワイは苦笑いしながら、タイトルを消した。
『夜を超えて』
「うん、これでええか」
ワイは再び、キーボードを叩き始めた。
「月は、静かに地球を見下ろしていた。そこには、夜を怖がっていた少年がいて...」
ワイの新しい物語が、始まろうとしていた。
「芥川賞、絶対取ってやる!」
ワイの決意と共に、夜が明けていった。
完。
「夜を知らない不登校が芥川賞?なんやそれ」
「でも、面白そうやな」
「ワイも小説書いてみようかな」
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