俺(28歳、システムエンジニア)は、最近の後輩・美月(22歳)の様子がおかしいと感じていた。

ある朝、会社に着くと机の上に弁当箱が置いてあった。

美月「先輩!おはようございます!今日のお弁当、作ってきました♡」

俺「え?ありがとう...でも、なんで?」

美月「えへへ、ChatGPTに『理想の彼女の行動』って聞いたら、手作り弁当がいいって...」

俺(ChatGPT...?)

それから毎日、美月のChatGPT活用エスカレートしていった。

翌日。

美月「先輩!今日の服装、ChatGPTが選んでくれたんです!どうですか?」

俺「あ、うん...似合ってるよ」

美月「やった!ChatGPTさまさま♡」

数日後。

美月「先輩!今日の晩御飯のメニュー、ChatGPTに聞きました!」

俺「いや、俺の晩御飯まで...」

美月「大丈夫です!私が作って持っていきますから♡」

俺(これはマズイ...)

ある日、俺は美月に話しかけた。

俺「美月、ちょっといいか?」

美月「はい、先輩!なんでしょうか?」

俺「その、ChatGPTのことなんだけど...」

美月「あら、気になります?私、毎日ChatGPTに先輩のこと聞いてるんですよ♡」

俺「それがちょっと、怖いというか...」

美月「え?」

俺「AIに頼りすぎるのはどうかと思うんだ。人間関係はもっと自然なものじゃないかな?」

美月「...」

美月は黙ってスマホを取り出し、ChatGPTに入力し始めた。

美月「AI曰く、先輩のその発言は『照れ隠し』だそうです♡」

俺(もうダメだ...)

AIを恋愛や人間関係に活用する「AIラブコーチ」というサービスが増加している。2023年の調査によると、20代の約15%がこういったサービスを利用したことがあるらしい。恐ろしい時代になったもんだ。

その後も、美月のAI依存は深刻化していった。

美月「先輩!ChatGPTによると、私たちの結婚式は来年の春がベストだそうです!」

俺「えっ!?」

美月「そして、新居は駅から徒歩7分のあのマンションがいいそうです♡」

俺「ちょ、ちょっと待って...」

美月「子供は3人。長男、長女、次男の順番がいいそうです♡」

俺(助けて...)

ある日、会社のシステムに異常が発生した。調べてみると、ChatGPTのAPIに大量のリクエストが送られていたのだ。

上司「誰だ!無断でAI使ってたのは!」

美月「あの...私です...」

上司「君か!こんなことして会社をどうするつもりだ!」

美月「だって...先輩のために...」

俺「はぁ...」

結局、美月は始末書を書くことになった。そして、ChatGPTの使用も禁止された。

数日後、落ち込んだ様子の美月が俺に話しかけてきた。

美月「先輩...ごめんなさい。AI頼りすぎました」

俺「まぁ、わかってくれたならいいよ」

美月「でも、私の先輩への気持ちは本物です! AIに頼らなくても、絶対に先輩に尽くします!」

俺「あのさ、美月...」

美月「はい?」

俺「たまには普通に話そうか。AIじゃなくて、自分の言葉で」

美月「え!?」

俺「お前の本当の気持ちが知りたいんだ」

美月「先輩...」

美月の目に涙が溢れた。

美月「実は...私、先輩のことが好きで...でも、どう接していいかわからなくて...」

俺「だからAIに頼ったのか」

美月「はい...ごめんなさい」

俺「美月、AIじゃなくて、素直な気持ちを伝えてくれればよかったんだよ」

美月「先輩...」

俺「俺も、お前のことをもっと知りたいと思ってた」

美月「本当ですか!?」

俺「ああ。これからは、AIに頼らず二人で関係を築いていこう」

美月「はい!約束します!」

こうして、俺と美月の新たな関係が始まった。もちろん、今度はAIに頼ることなく。

...たぶん。

後日、俺のパソコンの検索履歴には「ChatGPT 理想のプロポーズ」の文字が...。

完全にAIから解放されるのは、まだ少し先のことになりそうだ。